1960年製のVWかぶと虫に乗っています。
もう30年近く乗っていますが最近とみにエンストしやすくなってしまい。
別にエンジンの整備状況が悪いとか、ピストンがスカスカになっていて圧縮がなくなっていたとかというのではなく。

世界の名車かぶと虫
といって、赤信号で止まるたびに、気が付けばブレーキとアクセルを同時に踏んで(ヒールアンドトウ)、回転を落とさないようにしていることが多くなっていることに気づき。
要すれば、ちょっとエンジンが過熱するとたちまちガソリンポンプ内で燃料が揮発してキャブをふさいでしまうので、アクセルをふかしたりして冷たい液体のガソリンをキャブまで到達させていたのでした。
いったんエンストさせちゃうと、再始動がめちゃくちゃ困難になってしまい、恥ずかしいったらありゃしないので、停車中もアイドルに落とさずぶん回してごまかしていた。
最近、ブラジルのガソリンは30%エタノール混入が許可され、1960年製の、まともなガソリンを想定したVW空冷シングルキャブではどうにもべーパーロック(ガソリン、というよりアルコール気化による気泡発生)を抑えられなくなってしまったらしい。
80年代にブラジルでアルコール燃料車が生産奨励された時代に、このべーパーロックは頻繁に起こったらしく、当時の純正パーツで「ベーパ―セパレータ」というのがあったということを知り。

https://alvaromatiassa.blogspot.com/2019/07/fusca-itamar-historia-anos-equipamentos.html
1992年製ツインキャブ車。キャブのあいだにプラスチックのベーパ―セパレータが見えます。
そうだ、ぼくのかぶと虫にもつけてみよう。

こんな感じになりました。
すると、魔法のようにアイドル回転が滑らかになり。まるでリムジンに乗っているようだ!
加速はあまり変わらず。一方、スピードに乗ってからの速度維持はすごく楽になり、気が付いたら速度探知機の前でアクセルを緩めて速度を落としていた、みたいな感じになり。

アイドル回転も上がったので、4分の1回転ほどアイドルねじを緩めました。
こんなへんなプラスチックの容器でここまでかわるのか?も一度どアップ写真を掲載します。

この容器からにょきっとでている3本の管が秘密のカギを握っており。
まず上から二本目、真ん中の管ですが、こちらはガソリンタンクからガソリンポンプを通じてガソリンが流入し。
一番下の管からこのガソリンがキャブに導入されていたのでした。
秘密は一番上の管にあり。
ガソリンポンプが過熱して、というかアルコールが悪さをして気泡になってしまった時、この気泡は気体が上に行く特性を利用して、一番上の管から燃料タンクに向かって押し出されていくのだった。
こうして、キャブには液体だけが導入されるようになっていたのである。
あったまいいねえー
ここまではよかったのですが、3日くらい乗らないでいて早朝エンジンをかけたら、ぶわわわーと白い排気が。
変な容器をキャブの上につけてしまったので、エンジンを切っていても重力で容器からキャブに圧力がかかり。キャブ内のニードルバルブにある「針」つまりジェットニードルがフロートを微妙に押し下げて、キャブ内からエンジン内にオーバーフローを起こしてしまっていたのだった。

キャブの断面図。ニードルバルブとフロートに注目
Amaury F.Almeida「Conheça seu Volkswagen」より
これが始動時に燃焼して白い煙になってしまったのですねー
といって、走行中は得難い効果のベーパ―セパレータ―。
意を決してニードルバルブとフロートを取り替えました。
ニードルバルブはキャブの命であり、純正BROSOLのものを使っていたので、泣く泣く交換だったのですが、確かにジェットニードルが弱ってほにゃららになっており。新しいほうはMagnetti Marelliのこれも一級品なので、問題なくガス圧に耐えてくれることを祈っています。

ニードルバルブとフロート
設置してからわかったのですが、ベーパ―セパレーターは本来は一番下の管がキャブ側の入り口と同じ高さになるのが一番いいそうであり。僕の場合は6センチ上になってしまったので、その分圧力が無駄に加わってしまったということらしい。
ただ、このベーパ―セパレータを設置した工場のおっちゃんは「ちゃんとニードルバルブが作動していれば全然問題ない圧力だ。そんなことより、ともかくリターンを確保する事のほうが重要」だそうで、じゃあぼくのかぶと虫もガソリンタンクのリターンバルブにつなぎましょう、とベーパ―セパレーターからガソリンタンクまでゴムホースを引っ張ったのはよかったのですが。。。。
ガソリンタンクのほうにリターンバルブがなかったのでした。

60年式のタンク。施工前の写真を撮り忘れたので同型機じゃなった同じ型番の写真で代用しました Internet Security by Zscaler
もっとあたらしい年式のだったら、ちゃんとリターン用の管がついているんですけどねー

新式VWのタンク。写真下の大きな管がガソリン給油口。その横の小さなのがリターン。
Tanque De Combustível Fusca a Partir 1978 1132010756 – Zac Peças Automotivas
リターンのないかぶと虫も実は多くて、この場合はベーパ―セパレーターからのホースはT字継ぎ手でガソリンポンプ前の配管に戻してお茶を濁すケースも多数あるのだった。
でも、気泡をガソリンポンプの前に戻しても、結局は気泡のままガソリンポンプを通じてキャブに行ってしまうので、あまり効果がなくなってしまうのだった。ははは

T字継ぎ手。この場合、ガソリンタンクからの配管は写真の左上の管に入り、右下からでてガソリンポンプへ。一方気泡化してベーパ―セパレーターから押し出されたのは写真上に導入され、一応はT字継ぎ手内で冷やされて液体にもどります、というそうだが。。。。
というわけで、何とかしてガソリンタンクに戻したい。
ところで、ガソリンタンクには燃料計のフロートが仕組まれており。このフロートを入れるための大きな穴がタンク中央に空いていたのだった。
この穴に、リターン用の配管のついたフロートを入れることにしよう。

もともとの燃料計用センサー。電気式

もっと新型のセンサーというかフロート。リターン用の管があるのに注目
実は、この管はリターン用ではなく。新式の燃料系ではこの管から圧力吸入でエンジンに導いているのですが、ぼくのはタンクの底に穴があり、そこからエンジンにとなっているので、リターン用に拝借したのでした。

もとの燃料ゲージを外し、穴の見える状態。

新型のゲージにつけかえ、リターンをつなげた状態
ちなみに、ベーパ―セパレーターからのホース配管は、エンジン防火壁下部に穴をあけて室内の助手席センタートンネルの間を這わせ、足元上の壁に穴をあけてそこからガソリンタンクにつないでいます。
さて、ここで要注意なのが、燃料タンクの高さ。

VW Fusca – Material Técnico & Afins
上の断面図でわかる通り、かぶと虫の燃料タンクはキャブよりちょい下か?の位置にあり。
別に平地を走っているうちはいいのですが、急な登り坂に止めた時どうなるかというと、ガソリンタンクがキャブより上になってしまうのだった。
要するに、圧力でガソリンが勢いよくリターンの配管を下り。ベーパ―セパレータひいてはキャブレターに向けて噴出してしまうのだった。
キャブはだだ洩れ、下手すればエンジンが炎上してしまうので、今度はタンク近くのリターン配管にリターンリミッターバルブをつける必要が生じ。

こうすれば、ベーパ―セパレーターからのガソリンは問題なくタンクに行くが、タンクからはリミッターでストップして安心、になるのです。
ただ、このリミッターはつける方向を間違えると、まったく逆の作用になってしまうので、バルブの一方から息を吹きかけ、ちゃんと向こう側から息がでてくるね!と確認し、つけ間違えないように神経を使いました。
いろいろありましたが、ベーパ―セパレーターを装着してべーパーロックは解消し、安心して街中を走れるようになりました。
めでたしめでたし。
でも、パーコレーションはまだ残り。駐車後の最始動などでは、実はめでたくなしの部分も残ったのですが、それはまた別の記事にします。
ではでは
