タグ: 宝塚「サン・テグジュペリ」

ブログBlog

無尾翼機のお話

以前、主翼と尾翼の間にある、切っても切れない恐ろしい腐れ縁について書きました。

記事はこちら→誰が尾翼をそうさせたか

 

飛行機というものは、主翼で揚力を得て空高く肥ゆるじゃなかった上がっていくことができるのですが、主翼だけではだめで、尾翼があってはじめてきりもみだのなんだのに入らず、フツーに飛ぶことができるのでした。

この場合、主翼が上向きの揚力を生むともに、飛行機をまっすぐ飛ばす安定性を得るために、尾翼では下向きの揚力を発生させて釣り合いを取っています。

https://radizetsu.blog.fc2.com/blog-entry-1261.html?sp
 

でも、尾翼なんて、飛行機が大嫌いな重量物、空気抵抗でまくり、かつ、せっかく主翼が作った揚力の一部を削減させてしまう、飛行機からみれば、パイロットの次に役立たずな、ただのごみじゃん、であり。

尾翼がなくても飛べる飛行機ってないのかなーというのが、意外と関係者間でまじめに研究されてきました。

その結果、ちゃんと無尾翼機とか、その仲間の全翼機とかで実用化されるまでになっていたのです。

一番有名なのがB2爆撃機。

https://www.flugzeuginfo.net/acdata_php/acdata_b2_en.php
 

 

でも、これは機体の安定のために相当コンピュータ制御に保っていると思われ。

そういうずるっこなしに、フツーの飛行機と同じくらい静的・動的安定のある無尾翼機ってないの?

パイロットが細心の注意で操縦すれば。。。というのならあるらしい。

例えば、Me163とかノースロップのN9とか。

Me163  https://forum.finescale.com/t/the-original-egg-plane-messerschmitt-me163-komet-testors-ex-hawk-1-48/257370
 

 

ノースロップN9 https://planesoffame.org/aircraft/plane-N9MB
 

 

無尾翼機がちゃんと存在していることはわかりましたが、どうやって尾翼なしで飛ぶのか?

それは、無尾翼機がへんな主翼を持っているからなのです。

どんなふうにへんなの?

まず、フツーの主翼はこんな感じ

全翼機の世界(全翼機とはなんだ(その2))
 

 

ご覧の通り、空力中心は翼を上に引っ張ろうとするし、重心下に引っ張るので、両者の場所が一致していない以上、翼はくるりとバランスを崩して回転しそうになってしまい。

安定どころではないのであった。

でも、尾翼の代わりに、主翼自体に下向きの揚力を発生するようにしたら?

S字キャンバー翼(反転キャンバー翼、あるいはプランク翼)というのが発明され。

翼型の種類と特徴 ー ライト兄弟の飛行機から現代の旅客機まで | 鳩ぽっぽ
 

 

この画像にある翼型のしっぽというか、とんがった先端あたりに注目ください。一番上のように、ぴゅっと上向いていたり、あるいは翼の下面が先端近くで水平尾翼みたいに下側に膨らんでいるのがわかると思います。

ううむわからん?という人に、S字キャンバーではないフツーの翼型(の一例)派こんな感じ

翼型の種類と特徴 ー ライト兄弟の飛行機から現代の旅客機まで | 鳩ぽっぽ
 

 

つまり、フツーは翼下面は平べったくて、上に膨らませて揚力を発生しているのだが、S字キャンバーは、後端を跳ね上げるか、あるいは下(先っぽ)にも膨らみを持たせるとかして、後端では下向きの揚力が生じるようにしたのであった。

こうすれば、翼前縁から中央とか、要するに大部分は飛行機を空に押し上げる上向きのプ揚力を生み。一方、後端のちょっとした部分で、翼がつんのめらないために必要な下向きの揚力を生み出して、水平飛行を可能としたのである。

へええええー!頭いいねえ。

こうしたプランク翼の典型にファウベル滑空機があります。

ttps://www.flickr.com/photos/125284960@N05/15109484278/in/photostream/lightbox/
 

 

なかなかかっこいいというかかわゆいというか、これを飛ばしていて操縦不能に陥ったという情報はでてこず。いがいと操縦が楽しいグライダーじゃね?

ちなみに、Me163や、無尾翼機じゃないけど「震電」もグライダーでプロトタイプを作り、いずれもとても操縦性がよかったとのことなので、無尾翼というのはグライダーにはむいているのかもしれん?

グライダーの場合は、燃料といった、機体の挙動によって重心が移動してしまったり、消費されるに従って重心点が変わっちゃった、というパーツがないので、無尾翼機みたいに重心移動にものすごくシビアな機体にはうってつけなのだそうである。

震電のグライダー型プロトタイプ 。正式名称は海軍空廠 MXY6 前翼型動力付滑空機 https://kcraft.biz/?pid=136910246
 

 

そのうち、ふつーの矩形翼よりも、後退翼の方がモーメントアームを稼げるんじゃね?ということに気が付き

ttps://www.flickr.com/photos/rkc01/28707741500
 

 

https://fdra.blogspot.com/2014/05/ala-voladora-northrop-n-9m-usa.html
矩形翼つまりまっすぐな翼のFauvel(上)と、後退翼のノースロップ(下)
 

 

モーメントアームというのは、がんらい尾翼のある飛行機の概念であり。要すれば主翼と尾翼の間の距離のことである。この距離が長ければ長いほど小さな尾翼でも安定できるという理屈なのであった。

https://radizetsu.blog.fc2.com/blog-entry-857.html?sp
 

 

つまり、後退翼にして、胴体近くは正の揚力を生むようにし、先端つまり空力中心より極力離れたところでこんどは不の揚力を生むようにすれば、ふつーの飛行機とはいかないまでもそれに近い感じにできるんじゃね?

全翼機の世界(全翼機とはなんだ(その2))
 

リピッシュという機体などで、こちらの発展を見ることができます。

上記の図では、翼の先端に「ねじり下げ」といって、ほとんど尾翼みたいな翼型になっているのであった。

 

その後、エンジンの付いている飛行機でも無尾翼機が生まれ。

NASAの太陽光動力機。エンジンというよりモーターだけど。
https://www.nasa.gov/image-article/page/2794/
 

 

後退翼にすると、方向安定性もよくなるというおまけもあった。

ここまでなら、無尾翼でもちゃんと飛べるじゃん、と思われるでしょうが、実は、ことはそう簡単でもなかったのだった。

なんとかまっすぐ飛ぶというならまだしも、旋回やフォワードスリップとか、要するに操縦性はどうよ?というのがあり。

素直な翼ではない、文字通りねじけた(ねじり下げた)翼です。

水平尾翼がないので、昇降舵もないのだった。ははは

仕方がないので「エレボン」といって、補助翼と昇降舵をむりやり統合してしまった。

垂直尾翼のあるやつ(Fauvel、コメート)とかはまだその程度ですんだが、真正のというか、垂直尾翼のない奴は、方向制御ために、エレボンのさらに先端に「ラダー」をつけ。これがぱかっと開くと空気抵抗になり、機首が抵抗の多いほうに向く、という、なんかアドバースヨーを逆用したような怪しい作動が必要になってしまった。

全翼機の世界(全翼機とは何だ(その4))
垂直尾翼のない真正無尾翼機の操舵舵面。
 

 

ちなみに、上の図ではフラップも示されていますが、ふつーはねじけた翼の全翼機には、フラップはつけられなかったらしい。

結局、無尾翼機といいつつ、垂直尾翼を残したコメートなどはそれなりに「成功」しましたが、真正のやつは実用化までは。。。というのが実情らしい。

単に挙動を制御しきれん、というほかに、着陸時に滑走距離が長くなりすぎとか、離陸も物凄く機首上げしないとうまく浮き上がらないとか、いろいろこまったクセに対応する技術革新が得られなったということなのですねー

きょうびはステルス性能優先でB2爆撃とかも飛んでいますが、この記事の初めに言ったように、コンピュータでむりやりまっすぐ飛ばしているということであり、残念ながらあまり望ましい発展ではないと理解します。唯一順調に行ったのが高速機つまりコンコルドやミラージュ戦闘機などにおける三角翼だと思います。

著しい機首上げ姿勢でないとうまく離着陸できん、というのは無尾翼機の重大な課題であり。コンコルドは、なんと機首が折れ曲がるようにして視界を確保するという荒業に訴え。

離陸時のコンコルド https://www.aeroflap.com.br
 

 

一方、パイロットの鍛錬に頼って、機首上げ上等!という力技により、多数の事故機を出したしまったのにカットラスがあります。

カットラス https://boomsonicprints.com/print-store/f7u-3m-cutlass-side-view/
 

 

カットラスはじめ、無尾翼機は、いったん空高く上がっちゃえば、空中での挙動はそれほど癖のあるものでもなかったらしい。でも、飛行機にとって最重要である、離着陸時の操縦性に難あり、ということで、残念ながら現在は忘れられた存在になってしまいました。

でも、将来は、全翼機なのか?リフティングボディなのか?なぞの旅客機も研究途上だそうで、未来には不思議な形の飛行機がいっぱい飛んでるかも?

3000字越えで打ち止め。

こうなるかも。未来の旅客機 3種の「見た目も中身も近未来すぎる旅客機」エアバスが発表 燃料は水素 2035年実用化へ (2020年9月21日) – エキサイトニュース
 

 

ではでは。。。

 

Posted by 猫機長
ブログBlog

風防と窓枠

みなさんが駅前を歩いているとき、あああ突風だー!と、傘だのカバンだのをもぎ取られそうになったことはないでしょうか。

この時の風速は12m/sくらいか?

気象庁・各気象台が用いている基準によると、以下の図みたいになります。

「リスク対策.com」より https://www.risktaisaku.com/articles/-/40193
 

 

スピードの遅い軽飛行機でも、離陸時の速度が41ノットくらいで、これは台風の時と同じくらいの風速らしい。巡航速度となると85ノットで「非常に強い台風」と同じくらい強烈だそうです。

9
20.8 m/s (41 knot)
台風88.2Km/h

10
24.5 m/s (48 knot)

11
28.5 m/s (56 knot)

12
32.7 m/s (64 knot)
強い台風117.2Km/h

43.8 m/s (85 knot)
非常に強い台風157.68km/h

54.1 m/s (105 knot)
猛烈な台風194.76km/h

Wikipediaによる区分

風速 – Wikipedia

 

 

黎明期は吹きさらしで飛んでいた飛行機も、次第にすっぽりと風防がかぶさるようになり。

黎明期の旅客機 https://www.ne.jp/asahi/airplane/museum/cl-pln8/DH66.html
 

 

これは飛行機だけの専売特許ではなく、白バイとかも大きな風防を装着しています。

https://www.pinterest.co.uk/pin/pictures-photos-from-chips-tv-series-19771983–276549233344289783/
 

 

 

白バイの風防は、まるで風上に衝立をたてているみたいで、空気抵抗でまくりですが、その陰に隠れるライダーは「台風もびっくりの強風」から身を守られ。疲労の度合いを著しく低減できるらしい。

衝立型の風防は、白バイのおまわりさんが1日を通じて楽な姿勢で操縦するための装置ですが、レース用のバイクになると、空気抵抗を減らすためにライダー自体がオートバイにへばりつくような姿勢になり。

この場合の風防は、搭乗者を守るというより、空気抵抗を減らして速度性能を極限まで引き出すのが目的となります。

https://scontent.fbsb8-1.fna.fbcdn.net/v/t1.6435-9/53046721_1128091794036913_4710854219131781120_n.jpg?_nc_cat=105&ccb=1-7&_nc_sid=13d280&_nc_eui2=AeEnb4fKM7ouwsonBO9j2jiT9Y-nFFcOKnT1j6cUVw4qdJ7lVHkdeMi_YiEn6cgAbbSYYjCcVJB-ZTIm4lx3-2Yz&_nc_ohc=iMFXS0jT90UQ7kNvgHRJC_a&_nc_ht=scontent.fbsb8-1.fna&oh=00_AYAUvtlohITlFSVUgSlhyaqHzXK-1cRHZBQnkjwTCJGi4w&oe=66ABED0C
 

 

飛行機の場合は、そもそもある程度のスピードとそれに伴う適切な風圧、でも人間から見れば、ぎゃああー!台風だー!という烈風の中でないと離陸できません、ということで、風防は、飛行機自体の空気抵抗削減と搭乗員の保護の両面から必須となっています。

第1次大戦時の複葉機では、機首に装備した機関銃の後ろくらいに透明の衝立を置き。

フォッカーDR1のコックピット。機関銃の間に風防。
Fokker Dr. I Dreidecker 1917 | Military Aviation Museum
 

 

ソッピース・キャメルの例 https://br.pinterest.com/pin/374643262769089409/
 

 

単葉機の時代になると、もっと立体的な風防が現れはじめ。

96戦の風防https://www.jiji.com/jc/d4?p=ina817-scn130896002&d=d4_mili
 

 

最初はコクピット前面のみで、操縦席自体は吹きさらしでしたが、パイロットが「顔に当たる風でスピードを判断」しなくても正確に速度を提示してくれる速度計が登場してから、コクピット全体を覆うものに変化してきました。

過渡期の形状https://makeshop-multi-images.akamaized.net/hobbyland/shopimages/73/41/7_000000104173.jpg?1678209902
 

このへんで、時代は格闘戦至上主義から一撃離脱へと変化し。風防の役割も搭乗者の保護より機体の空気抵抗削減が重視されるようになり。ファストバックと言って、風防後部は胴体と同じラインとなった形が一般的になりました。

P47のファストバック式風防 http://www.hasegawa-model.co.jp/product/02099/
 

 

しかし、実戦の場においては、ファストバックで後ろが見えないというのは重大な欠陥となり。せっかくファストバックにしたのに、空気抵抗でまくりのバックミラーを追加するなどの修正が必要になってしまった。

http://majo44.sakura.ne.jp/planes/spitVtrop/04.html
 

 

 

その結果、涙滴型風防に置き換わっていきました。

涙滴型風防に変化したP47 http://www.hasegawa-model.co.jp/product/02099/
 

 

P47の新旧コクピット https://www.pinterest.jp/pin/766386061571406718/
 

 

こういったわけで、プラモや写真を見ると、欧米や独ソの戦闘機はファストバック型が多いのに比べ、日本の戦闘機は「飛燕」「五式戦」や「雷電」をのぞき、涙滴型なのがわかります。

https://onemore01.blog.ss-blog.jp/2016-09-29-2
 

 

日本の場合はいつまでも格闘戦至上が抜けなかった、というか、一撃離脱のできる大馬力エンジンが作れなかった、という事情もあるのでしょうが、前も後ろもよく見えるというのを重視した。

その中でも、次第に洗練された流線形になっていったのがわかります。

隼の風防の変遷
上がI型 1/144 プラスチックモデルキット 陸軍 一式戦闘機 隼1型 Platz (プラッツ) (ms-plus.com)
下がII型 Ki43-III 一式戦闘機 隼3型デカールセット(1/72) – v1models – BOOTH
 

しかし、涙滴型風防を作り量産するには、それなりの技術が必要であり。

飛行機の風防はだいたいアクリル樹脂というかプレキシガラス製ですが、その整形がなかなか難しかったらしい。

流線形と言えば流れるような曲面が重要ですが、これを見事体現したのにアメリカの風防があり。P51やP47等、大戦終期に大いに生産されました。

P51の風防 https://qph.cf2.quoracdn.net/main-qimg-d6dd077b46dc6dfad0d53c06fa7bdc58-lq
 

 

でも、大戦前は、まだまだ曲面は最小限に抑え、窓枠で区切った風防が主流であり。F4Uに至っては、初期型は胴体に埋もれたみたいだったのが、次第に「マルコム型」の、ぽこんと丸い風防を装着し、空気抵抗の低減とパイロットの視界確保に貢献しました

F4Uの初期型(上)と後期型(下)の風防https://www.reddit.com/media?url=https%3A%2F%2Fi.redd.it%2Fb3wtoliyngdc1.jpeg&rdt=37219
 

 

ちなみに、マルコム風防はイギリスのスピットファイアで多用され、初期型のP51などにも流用されたらしい。

スピットファイア  スピットファイア Mk.Ia Supermarine Spitfire Mk.Ia Tamiya 1/48 part-2 (soyuyo.main.jp)
 

 

ファストバックにマルコム風防のP51
Malcolm Hood’s Instagram, Twitter & Facebook on IDCrawl
 

 

一方、涙滴型の採用では世界に先んじた日本も、風防自体は窓枠だらけになってしまいまいました。

零戦の風防 http://underzero.net/html/tz/tz_385_1.htm
 

 

アメリカのような全面一体成型(以後一体型とします)とはいかないまでも、隼みたいに、いいかんじのところまでは行けたのですが、特に海軍の場合、窓枠だらけの風防が多くなってしまい。

この理由として、いろいろ言われていますが、だいたいコンセンサスを得たのに以下があり(特に技術的な裏付けはありません。マニアたちの推定です)。

◎成型技術。作ろうとすればアメリカ式のも作れたが、当時の日本の技術では、分厚くなり。ならなくても透明でなくなってしまった。

◎曲面ガラスは、光の乱反射をもたらし、外に写る景色がゆがんでしまった。

◎海軍が窓枠だらけなのは、極力平面のガラスとして、乱反射を防ごうとしたため。さらに、着艦などの狂った衝撃も考慮する必要があった。陸軍では、多少視界がゆがんでも空気抵抗重視の一体型が使えた。

◎窓枠型は、枠で囲まれたガラスが破損しても、そのガラスを取り換えるだけで済んだ。一体型は、風防全体の取り換えが必要となり、部品備蓄のスペースがない空母では窓枠型にするしかなかった。

◎ガラスはアルミやジュラルミンに比べ重く。窓枠の分だけ軽くできた。

などなど。

でも、個人的にはそもそもの成型技術に難があったのではないかなーと思います。戦中に技術が向上したのか、海軍でも紫電等になってくると窓枠が減少しています。

日本もびっくりの窓枠風防を多用したのがドイツ。

JU88 https://www.ne.jp/asahi/airplane/museum/cl-pln4/290Ju87.html
 

 

 

Bf109 https://br.pinterest.com/pin/482659285064000242/
 

 

ウーフー偵察機 https://pit-road.jp/l4803/#L4803%201/48%20WWII%20%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E7%A9%BA%E8%BB%8D%20%E5%81%B5%E5%AF%9F%E6%A9%9F%20%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%83%E3%82%B1%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%95%20Fw189%20A-2
 

 

でも、Fw190は最初から一体成型の涙滴(見ようによってはファストバックともいえるけど)なんですよねー

Fw190 https://qph.cf2.quoracdn.net/main-qimg-68952aa3aac16f060ffec129e9972522-lq
 

 

泣く子も黙るドイツの技術力では、一体成型だろうと窓枠型だろうと作れたが、カクカクととんがった窓枠型の方がドイツ人の美的感覚にマッチしたのかもしれん。

*というより、乱反射を嫌がったのが真相と思います。

美的感覚というと「涙滴型なのに風防後部は鋼製」という、利点をぶち壊して欠点(乱気流増加)を引き出そうとしたようなのもあり。

イタリアの戦闘機がおおむねそんなのなのでした。

マッキMC202 http://www.spmodelismo.com.br/howto/am/mc202.php
 

 

この場合は、やっぱり重量増加と共に、成型技術がまだなかった時代だったのだと思います。

この辺はアメリカも一緒で、P35も後部風防の曲面の部分はガラスをあきらめています。

P35 https://www.armedconflicts.com/Republic-P-35A-t43562#valka_group-2
 

 

今日では技術革新は頂点に達し。文字通り360度ほぼ全周が見渡せます、というのも生まれています。

F16の例 The extremely limited space of an F-16 cockpit [1000×667] : r/WarplanePorn (reddit.com)
 

 

 

一方、よく見えては困る、という飛行機も生まれてしまいました。

それがB52。

https://wired.jp/2014/05/28/b-52-gets-first-full-it-upgrade/
 

 

もちろん、通常の飛行ではよく見えたほうがいいのですが、戦略爆撃機という性格上、原爆を落としたときにその閃光にさらされることが想定されており。コクピットの内側に遮光カーテンがあって、爆撃時はこれでふさいで閃光が通らないようにする、というのをトム・クランシーの小説だったか?で読んだことがあります。

B52のコックピット https://www.flickr.com/photos/isaiasmalta/3200274538
 

 

F16とかの場合は、そもそも閃光の影響を受ける距離での飛行を想定していないか、あるいはバイザーで閃光を遮るということなのだと理解します。バイザーでさえぎることができるかは疑問ですけど。。。。

最後は脱線でした。

ではでは

 

 

Posted by 猫機長
ブログBlog

サントスデュモンのお話その2

飛行機の黎明期に活躍したふしぎな発明家サントスデュモン。以前、生い立ちから飛行船王になるまでのお話を書きましたので、こちらもお読みください→飛行船でお散歩

さて。

何度も墜落しながら、飛行船で空を飛ぶということは極めたサントスデュモン。

エッフェル塔を周回するサントスデュモンの「6号」飛行船
https://www.cidadedosleiloes.com.br/peca.asp?ID=16674769
 

 

でも、鳥みたいに、翼で空を飛ぶ、という夢はまだ達成されていなかった。

リリエンタールだのライト兄弟だのが、はっちゃきになってグライダー開発とかを進めていた。つまり、翼で滑空というのならなんとかできるところまでは来ていたのである。

サントスデュモンは、別にはっちゃきにはならず。ゆうゆう遊び半分、といったら怒られそうですが、のびのびと飛行船から飛行機への転換を目指した。

第一の布石が、「14号」でした。

14号 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/20/Dirig%C3%ADvel_N%C2%BA14_-_1-13633-0000-0000%2C_Acervo_do_Museu_Paulista_da_USP.jpg
 

 

飛行船じゃん?

はいその通りです。でも、この飛行船からゴンドラとかを取り去って、この下に飛行機のプロトタイプを括り付け。

このプロトタイプが空中でどんな挙動をするか実験を重ねたのでした。

https://www.cabangu.com.br/pai_da_aviacao/4-「14Bis」/1-simula.htm
 

 

飛行船にあたる部分は引き続き「14号」の名前で継続。飛行機のほうは「14Bis」と命名。「Bis」は「再び」というか「帰ってきた14号」みたいな意味である。

この場合、揚力は「14号」で稼ぎ、飛行機のほうの舵面の効きとか機体の安定性とかを「14Bis」で実験したのである。

「14号」がでかすぎて風の影響を受けすぎ。すくなからず「14Bis」の挙動にも影響を与えしまったので、次は「14号」なしでやることに。

鋼鉄のワイヤーを一本張り渡し、ここに「14Bis」をぶら下げたうえで、機首もケーブルでロバにつなぎ。ハイドー、シルバー!とロバを走らせ、ケーブルにひっぱられて「14Bis」が疾駆するという実験を行い。

https://www.cabangu.com.br/pai_da_aviacao/4-「14Bis」/「14Bis」mula.jpg
 

東宝の特撮みたいな実験がどれだけ効果を生んだか?

自信をつけたサントスデュモンは、いよいよ「14Bis」単独で飛行することに。

単独飛行について書く前に、「14Bis」という飛行機についてちょっと解説します。

長さ10メートル、全幅12メートル、高さ4.8メートル。

ぼくの乗っている軽飛行機コヨーテが、全長6.1メートル、全幅10メートル、高さ3メートルなので、「14Bis」のほうが一回り大きい。

でも、重さはコヨーテが270キロなのに、「14Bis」は160キロと、ものすごく軽いのだった。

Rans Super Coyote
 

 

「14Bis」(飛行中のレプリカ) Física em Ação: 14bis
 

 

特徴的なのが、「先尾翼機」であること。

当時は、ライトフライヤーとか、少なくとも水平尾翼は先尾翼にするというのが一般的だった。

というのも、当時のエンジンはとにかくパワーがなく。

「14Bis」のエンジンは50Hp、95キロ。コヨーテのほうは80Hp、60キロと、零戦とグラマンもびっくりの「埋められない差」があり。さらには、コヨーテはWarp Drive3翅プロペラで、「14Bis」の「櫂をつなぎ合わせたような2翅プロペラ」とは伝達できるエネルギーというかトルクがぜんぜん違うのである。

要すれば、「14Bis」含め当時の飛行機は、エンジンのパワーが決定的に不足しているぶん、とにかく軽く、揚力の稼げる機体が必須になっていた。

このために、複葉にして、揚力と箱型構造による強度の両立を図り。

フツーの尾翼の場合、主翼が上向きの揚力を生むともに、飛行機をまっすぐ飛ばす安定性を得るために、尾翼では下向きの揚力を発生させて釣り合いを取っています。

https://radizetsu.blog.fc2.com/blog-entry-1261.html?sp
 

 

でも、「下向きの揚力を発生させる尾翼」なんて贅沢なものを付けたとたん、黎明期の飛行機ではたちまち主翼で作った揚力が打ち消されて、離陸できなくなっちゃうのでした。ははは

先尾翼機の場合、先尾翼も揚力を生み。主翼とともに揚力を稼ぐのに重要だった。

https://radizetsu.blog.fc2.com/blog-entry-1261.html?sp
 

 

しかし、先尾翼の場合、3輪車をバックさせて走らせるようなもので、ともかく安定性が悪い、というか、安定をくずそうというような挙動をしてしまうので、パイロットが尋常ならぬ繊細さで機首の上げ下げを制御しなければならず。

というわけで、ブレリオXIくらいまで進化して、非力ながらも最小限のパワーがあるエンジンが開発されると、先尾翼機はすたれていったのでした。

ブレリオXI  https://www.bleriotxi.com/Home/private-se-xmc-bleriot-xi-la-manche-14293.jpg
 

 

この結果、特徴的な「14Bis」のスタイルとなったのである。

それでも、サントスデュモンは、「14Bis」を飛行船にぶら下げたり、ケーブルにぶら下げたりして十分に訓練し。それ以前にも飛行船で十分な飛行時間を積み上げ。

操縦ができないか、できても絶望的に困難な当時の先尾翼機で、何度か落っこちては機体を直すを繰り返しながらも、ついにまあまあ安定して飛ぶことに成功。

パブリックドメイン
 

 

1906年10月23日、ブローニュの森、bagatelle競技場で、2メートルの高度で7秒間に60メートルを飛び、ヨーロッパにおける最初の飛行機の飛行として知られるようになりました。

時速31キロ。確かにロバ(時速50キロくらい)に引かせてテストできるスピードだったのでした。ははは

めでたしめでたし。おわり。

の前に。。。

飛行時間を積み上げる、というのはどういうことをいうのでしょうか。

サントスデュモンの場合は、飛行時間の多くが飛行船(気球も)ですが、パイロットとしての実体験であり。きょうびフライトシムで自衛隊パイロットもびっくりの操縦をこなすお兄ちゃんも多数ではありますが、実際墜落を切り抜けて新たに。。。というのはやはり代替できないと理解しています。

一つの例として。

「5号」飛行船でエッフェル塔周回に挑戦していたサントスデュモン。例によって飛行船の高度が下がり始め。ゴールにたどり着く前に、とある大資本家の庭園にある高い木に引っ掛かり、墜落と言わなければ不時着のやむなきに至ってしまった。

その大資本家が、なんとロスチャイルドだったということである。

お気に入りの庭園に、突然変な野郎が空から落ちてきやがり。ロスチャイルドもびっくりしたでしょうが、別にケンカになったとかいう記録も見つからないのですよねーブラジルだったら、まあ一杯コーヒーでも飲んでいきなさい、となるのですが、そういう記録もなし。

代わりに、ロスチャイルド庭園のお隣に邸宅を構えていたブラジル王室の皇女イザベルさん(皇太子格)から、遊びにおいで、と誘われ。

落っこちたことが縁で呼ばれたくせに、ヒコーキ野郎(というか風船野郎)としての功績をいたく評価されて、メダルをもらいました。

「サン・ベント」といって、事故から守る守護聖人のメダルでした。

イメージ画像
História da Medalha de São Bento – Mosteiro da Virgem
 

 

というわけで、実は何とかの表彰とかではなく、純粋にお守りですよ、という意味のメダルである。自由人から自由人への大切な連帯の証明ですね。

さて、その後エッフェル塔周回を完遂し、フランス航空当局から「ドイチェ賞」が付与されると、早速、時のブラジル大統領(皇室は廃止されていた)カンポス・サーレスから、“Por céus nunca dantes navegados”という謎の美辞麗句が刻まれたメダルが送られました。

でも、こっちのメダルは、政治家の人気取り、国威発揚のための英雄づくり、どこかのイーロン・マスクじゃないけれど、政権への票集めのための「客寄せパンダ」に利用されているだけじゃね?と思ってしまうのはぼくだけでしょうか。どこかのファストフードチェーンで「今週のトップセールス店員」を表彰するみたいな、なんか「社畜の証明」みたいに見えてしまうのです。

空を飛ぶという純粋な喜びを分かち合ったのがイザベルさんのメダルなのに対して、空を飛ぶということを利用してなんか利益を得よう、というのがカンポス・サーレスのメダルなのであった。

前者の、空飛ぶよろこびは、飛行船「9号」の優雅なお散歩で頂点に達し(そのヒコーキ版でDemoiselleもある)ましたが、その後、後者のビジネス追及に飲み込まれてしまったのが悲しい現実と思います。

Demoiselle
OIP.l6Y3SZcseGEWoPcLXrxktwHaE8 (474×316)
 

 

ビジネス追及によって、やれねじれ翼の著作権は誰だとか身の毛のよだつ抗争に発展したり、機関銃を乗せて人をぶち56す軍用機とか、最後は原爆を落とすということが正義というふうに世界がねじけていってしまったのかもしれません。

このHP的に言えば、サントスデュモンはお金(もうけ)から自由になった資本家。カンポス・サーレスなどは飛行機を隠れ蓑に利益を追求するビジネスオーナーとでもいったところでしょうか。ライト兄弟は、ロスチャイルドなどにうまく使い倒される「哀れな社畜」の人生だったと思います。

Santos Dumont https://br.pinterest.com/pin/502292164674809670/
 

 

牧歌的な内容にしたかったのに、最後はやっぱりすさんでしまいました。ははは

ではでは

 

Posted by 猫機長
ブログBlog

主翼と尾翼

今年(2025年)の2月、シアトルの国際空港で、地上走行していたJAL機が、停止していたデルタ機の尾翼に主翼をひっかけちゃった!という事故が発生し。

シアトル空港で日本航空とデルタ航空の旅客機が接触、機体の尾翼と主翼が接触するも怪我人なし – 江南タイムズ
 

 

【写真】デルタ航空機の尾翼と接触した日本航空機の主翼 | Joongang Ilbo | 中央日報
 

 

なあんだ、いっそすぱっと切り落としちゃえばいいのに!とか、つい思ってしまった人はいないでしょうか。

そんなことをしてはいけません。尾翼が切り落とされた飛行機は、まっすぐ飛べなくなってしまうのです。

飛行機というのは、大気中を高速ですっとんでいくものであり。そのスピードは時速900キロ近くにも達します。

弓道の矢が時速200キロくらいだそうで、如何に飛行機というものが速いかということです。

ところで、弓道の矢には、尾羽(おばね)があり。まっすぐ飛ぶための方向安定板として作用しています。

飛行機の尾翼も尾羽と同じである。ただし、垂直尾翼が水平面での安定を担っているのに比べ、水平尾翼は垂直面での安定を担っており、主翼の揚力とのバランスとかさらにセンシブルなので、要注意となっています。

そもそも、飛行機が空を飛べるのは、主翼が揚力を発生するからである。

よくわかる飛行機の重心の話【ガラガラのトリプルセブンで乗客が一斉に席を移動すると墜落するかも】 – イケてる航空総合研究所
 

 

しかし、ここで課題が。

飛行機の重力重心は、だいたい翼の生み出す揚力の重心より前にあり。このため、飛行機は機首を下に向けてでんぐり返ろうとしてしまうのでした。

よくわかる飛行機の重心の話【ガラガラのトリプルセブンで乗客が一斉に席を移動すると墜落するかも】 – イケてる航空総合研究所
 

 

というわけで、垂直尾翼で、なんと下向きの揚力をつくり。機首がまっすぐないしはちょっと上向き加減で安定するようにしていたのでした。

よくわかる飛行機の重心の話【ガラガラのトリプルセブンで乗客が一斉に席を移動すると墜落するかも】 – イケてる航空総合研究所
 

 

ここで重要なのにモーメントアームというのがあり。

https://radizetsu.blog.fc2.com/blog-entry-857.html?sp
 

 

要すれば主翼から尾翼までの距離のことである。

飛行機なんて、一種のてこ、といってもよく。支点(重力中心)から作用点(尾翼)まで長くすればするほど、小さな力でも作用は大きくなり。

そういった意味では、尾翼と主翼はなるべく離したい。

じっさい、黎明期の飛行機では、ブレリオXIみたいに、モーメントアームとりすぎ?て翼の長さ(全幅)より機体の長さ(全長)の方が長い飛行機もあった。

ブレリオXI(3D モデルです)
https://free3d.com/ja/3d-model/bleriot-xi-9325.html
 

 

しかし、離せば離すほど、胴体がうけるストレスも大きくなり。ブレリオXIみたいに、それこそほそっこい木か竹の骨組みだと、いつ「ぼき」なんて折れてしまわないか心配です。

折れなくても、長くなる分重量も増して、無用にエンジンの馬力を食ってしまう。

というわけで、とにかく胴体を短く、とやったのにI16があります。

https://steamcommunity.com/sharedfiles/filedetails/?id=828444987
 

 

尾翼の始まりが主翼のフェアリング後端にほとんどくっついてしまっているのでした。ははは

こんなに近すぎると、もっとずっと大きな尾翼にする必要があり。でも空気抵抗や重量を嫌ったか小さな尾翼で、安定もへったくれもなかったと思います。

一撃離脱のための高速戦闘機なので、とにかく無理やりハイスピードにおける最低の安定性を狙うとこういうことになってしまうらしい。

本当に安定性のいい飛行機、となると低速でなにげにまっすぐ飛べる飛行機になります。

その好例がピラタスPC6「ポーター」

http://www.pc-6.com/
 

 

ロクな滑走路もなく、大気密度が薄く気流の荒い山岳地帯で、重い荷物を運んでほとんどSTOL機か?みたいな離着陸をこなす名機です。

PRÉSENTATION PILATUS PC-6 Turbo Porter – ALAT.FR
 

 

1959年から飛んでいるベストセラー機であり。上記の三面図はターボプロップ化した今どきのポーターですが、基本設計は写真のレシプロバージョンと変わらず。ちょっと長めの胴体に、武骨だけれどしっかりと気流を捕まえる主翼と尾翼が印象的ですよね。。。

フィーゼラー連絡機のことを書こうかと思ったのですが、マニアの人にはこちらは有名すぎて陳腐化しているので、ポーターにしました。「おたく」のみなさん、三式連絡機とかのつっこみはやめましょう。

さて、I16やポーターは、それぞれスピードやStol性といった性能に着目した結果ああいう姿かたちになった。

これらは極端な例であり。もっとバランスの取れた、仏教でいうところの中道を体現した飛行機はないかなー

ありました。その名もセスナ「スカイホーク」

Pixabay無料
 

 

あまりにメジャーすぎて、Pixabayの無料画像で簡単に出てくるのでした。ははは

結局、飛行機というのは、どれだけ設計の目的に適応したエンジンが得られるかであり。そのエンジンの強み、弱みを考慮して主翼や尾翼を設計し配置するのであった。

なあんて、いろいろなエンジンチョイスがある現代だから言えることであって、草創期においては絶対的にエンジンのパワーが不足していた。

そのため「尾翼にマイナスの揚力を発生させ、つり合いを取る」なんてやったら、つり合いは取れるかもしれんが、主翼の揚力が削られて離陸できなくなってしまったのであった。ははは

尾翼もプラスの揚力を生むようにして、主翼のリフト力にさらに揚力を付加するようにはできないのか?

できました。

要すれば、主翼の前に尾翼を置けばよいのである。

そういうのを、先尾翼機(カナード機)といいます。

例えば、離陸するために1300Lbsの揚力が必要な飛行機があったとします。

でも、エンジン馬力と主翼の兼ね合いで、主翼だけでは1050Lbsのリフト力しか得られなかったとします。

https://radizetsu.blog.fc2.com/blog-entry-1261.html?sp
 

 

この場合、上の図のように、機首にプラスの揚力を生む先尾翼を配置し、これが250Libのリストを稼げば、主翼と合計でなんとか離陸できるようになるのです。

ちなみに、ふつーの尾翼配置にしたら、得られる揚力は主翼-尾翼=800Lbsとまったくお話にならないほど低下してしまうのである。

そういった切実な事情から、14Bisだのライトフライヤーだのはカナード翼(エンテ翼ともいう)を採用していたのでした。

14Bis  https://www.lenach.com.br/santos-dumont-aeroplano-14-bis-postal-antigo-original
 

 

ライトフライヤー https://tugaruya1.exblog.jp/21369007/
 

 

 

ちなみに、ライトフライヤーの場合、水平尾翼は前だが、垂直尾翼は後ろです。

これは、尾翼を前に置くと、機体安定どころかまるで努力して不安定にしようとするみたいになってしまうためです。

三輪車でバックしようとするとなかなかまっすぐに走れないのと同じである。

というわけで、ライトフライヤーは、揚力に関係ない垂直尾翼だけでも。。。と後方に置いたのであるが、これはこれで胴体を前と後ろに伸ばさなければならないわけで。木製でむき出しの骨組みは、軽くはあってもすさまじい空気抵抗を生み、エンジン出力がこれで相当殺されてしまったものと思います。

14Bisの方は機体を「日本の絹」で覆うという秘策によって、空気抵抗の低減、軽さと丈夫さの共存を実現していた。一方こちらは純然たる先尾翼で、主翼間の絹の仕切りが方向安定に多少は寄与したかもしれないが、著しく操縦の困難な機体であったろうことは想像に難くないと思います。

まあ、14Bisのほうは、レプリカが今日も複数飛んでますけど。。。。

ではカナードはすたれたかというとそうでもなく。

機首に機銃を集中して打撃力を増したい戦闘機とかで採用された。もちろん「震電」のことですよー

「震電」はどうやらジェット化をもくろんでいたらしい。また、エンテ機の割には安定したそうです。

震電 https://www.amazon.co.jp
 

 

ところで、エンジンの出力を100パーセント引き出したい、というのであれば、尾翼なんてないほうがいいんですよねー。

重量削減とかの他に、空力でかなり圧倒的な効果が得られ。設計によるが、飛行機から尾翼を切り取ってしまえば、20%から50%も有害抗力を低減できるらしい。

あはは何言ってんの、尾翼のない飛行機なんてあるわけないじゃない。

それがあるんですよ。その名も「無尾翼機」。ネーミングが小学生か?

これがなかなか恐ろしいからくりを持っており。でも3000字を超えたので、別の機会にさせていただきます。

ではでは。。。

 

Posted by 猫機長
ブログBlog

どこに置くのか機関銃

この原稿は「どこに置くのかエンジン」の姉妹編です。特に飛行機黎明期から第1次大戦までの戦闘機について書いています。

 

みなさんは、ハンバーグはお好きでしょうか。ぼくの住んでいるブラジルでは、朝冬が寒く、さむい夜中に、あつあつのハンバーグがおいしい季節になりました。

あかいケチャップたっぷりのハンバーグ。おいしいですよね

Pixabay無料画像
 

 

さて。

「14Bis」など草創期は先尾翼型だった飛行機は、強力なエンジンの開発により、通常の、後ろに尾翼がついている形式でも飛べるようになり。

機首にエンジン、その後ろに翼(と操縦席)、さらに後ろに尾翼、という形が今日まで続くスタンダードになりました。

飛行機が、「まさしく飛行機」だった時代は、みんなこれではっぴーだった。

はっぴーな時代の飛行機。Demoiselle
OIP.l6Y3SZcseGEWoPcLXrxktwHaE8 (474×316)
 

 

しかし、飛行機が「武器の一形態」に変身させられてしまうようになると、そうはいかなくなり。

第1次大戦が勃発すると、飛行機も戦争に駆り出され。

最初のころは、観測気球みたいな使われ方で、要すれば非武装丸腰の飛行機を敵陣上空に放ち、あこのへんに大砲がいっぱい置いてあるね、みたいな偵察に使われていたらしい。

敵も偵察機を放ってくるので、彼我が大空ですれ違う、ということもあったが、敵味方以前にパイロット同士、元気でね、なんて挨拶していたらしい。

しかし、殺生のすきなやつもおり。挨拶と見せかけてピストルをぶっ放し、相手のパイロットを消してやる!という行為が流行し始めました。

こうなると、ピストルから小銃、ついには機関銃を装備し。敵の飛行機と見れば問答無用で撃ち落としてやる!という状況に陥ってしまい。

戦闘機というものが生まれてしまった。

もともとは、操縦員、偵察員のペアが、偵察から銃手に変わり。でも、後部座席から横だの後ろだのに撃ってもなかなか敵機に当たらなかった。

RE8戦闘機 ・RE8 HARRY TATE – はりいの模型ギャラリー
 

 

敵も味方もぶんぶん飛びまわっているので、いくら「見越し射撃」しても、弾は敵機のはるか後ろに。。。となってしまうのである。

ところが、敵機が自分の真ん前に来た時、銃手がよっこらしょ、と操縦手の前に伸びあがって撃ったら、見事命中だ!

つまり、①自機の軸線に従って撃てば、弾も軸線上をまっすぐ飛んでくれる。➁敵機を自機の軸線に合わせるには、敵機の後ろに回り込んで追いかける形にするのが一番良い。

ということが明らかになった。

②については、すばしこい飛行機を作ればいいということで、鈍重な二人乗りから軽快な一人乗りのスバッドだのフォッカーだのに進化した。

問題は①である。

敵の後ろに回り込んで追いかける、となると、機銃は機首に装着する必要がある。

でも、機首の機銃を連射すると、敵機以前に自分のプロペラに当たってしまい。自分で自分のプロペラをむしり取って、墜落してしまうのだった。ははは

しかたなく、上翼からさらに離して、プロペラの直径より外から撃ちかけるなどの工夫を行い。

ニューポール戦闘機の例https://heycrow27.up.seesaa.net/image/_res_blog-da-fa_heycrow27_folder_998718_62_34466062_img_0.jpg
 

 

でも、プロペラがでかく、機体が安定しない第1次大戦の戦闘機でこれをやると、結局機体の中心線を外れたラインでの射撃となってしまい。横に撃つよりはまだましだけれど、実はやっぱり。。。。みたいな残念な結果になってしまったらしい。

なんとか機首の胴体中心近くに機銃を置けないものか。

エンジンを後ろに持っていきましょう、という機体が現れました。

エアコDH2 http://www.airliners.net/photo/Untitled/De-Havilland-Airco-DH-2-replica/1313432
 

 

 

エンジンを変なところに持って行ったわりには、わりかし機敏で、単葉フオッカー相手などなら奮戦した。

しかし、戦闘機とはいえ戦闘だけというわけではなく。穴だらけ、ぼろぼろになりながらも、なんとか基地に帰り着かなきゃ。。。

当時は基地と空戦空域が遠くなかったので、帰り着くだけならなんとかなった。

問題は、着陸時に、どうしてもでんぐりがえってしまう飛行機が出たことであり。

乗員がエンジンの前にあるエアコDH2の場合、でんぐりかえるということは、乗員がまず地面に、びしゃ!とたたきつけられたうえで、後ろから落っこちて来るエンジンに、ぐしゃしゃしゃー!とひき肉にされ、こんがりと焼き上げられてしまい。

人間ケチャップハンバーグになってしまうのであった。

 

やっぱりエンジンは翼の前にしないと。でも機銃も前にしないとねー

そこで生まれたのが「スパッドA2」

Spad A2
 

 

フツーの牽引式飛行機のプロペラの前に、鳥かごというか銃座をくっつけてしまいました。

まず、二人乗りという時点でかなりのハンデをおってしまったが、その程度ですまず。

プロペラの前にむりやり銃座を据えてしまったため、乱気流がでまくり。プロペラの効率が台無しになってしまった。

というわけで、性能的には全然とろくてのろくて、ということになってしまい。

もっと恐ろしいことには。

確かに機首の軸線に機関銃は装備できたのだが、それを構える銃手のすぐ後ろでプロペラがぶんぶん回ることになってしまった。

機動でGがかかって、ちょっとのけぞっちゃった、という途端に、プロペラでぶぎゃぎゃぎゃー!とぶつ切りにされてしまうということなのである。

なんとか戦闘を生き残り。ぶつ切りの「トマトウインナージュース」から逃れられたとしても、着陸ででんぐりがえれば、「ケチャップハンバーグ」は逃れられないのであった。

この場合、後ろの操縦士はジュースにもならないで済むし、でんぐりがえっても、エンジンが逆に後ろの乗員は守ってくれるので、無傷とは言わず軽傷で済んだのですが、前席の仲間が、ぶぎゃー!と粉砕されるのを目の当たりにしたら、操縦士の精神も崩壊してしまうとおもいます。

えへへ。。。。えへへへへ。。。。なんてスラムをさまよう廃人になってしまうだろう。

さて。

イギリスやフランスがこうした殺人飛行機を量産しているとき、ドイツは恐るべき解決策を発見。

その名も「プロペラ同調装置」。

機銃発射機構に自動スイッチをつけて、たとえパイロットが引き金を引きっぱなしにしていても、プロペラに当たるぞ、という弾丸は発射されずに、プロペラの間をすりぬけていく弾丸だけが射出されるように調整する装置です。

理屈自体は簡単で、プロペラ軸にカムをつけて置き。このカムがスイッチを押し上げたとき、スイッチは切れて機関銃は発射されなくなる、というもの。

カムを何個、どこに置くかが課題だが、結局はプロペラブレードがまわってくる寸前の位置に、計2個ということで解決したらしい。

プロペラの回転スピードを考慮すると、銃口をプロペラがふさぐ直前にスイッチを切れば、ちょうどプロペラが銃口を横切る時にスイッチが入り(弾丸発射され)、プロペラが射線を外れたその時に弾丸が通過していく、みたいな感じらしい。

同調装置の図解 同調発射装置で性能アップ
 

 

ただし、風の影響やエンジンの具合でプロペラの回転なんて意外と変わってしまい。英仏はこうした誤差を含めてうまく機能する同調装置の完成に手間取り、トマトウインナージュースやケチャップハンバーガを量産してしまったということらしい。

最初に実用に足る同調装置を開発できたのはドイツ。

フォッカー単葉戦闘機に装備して、横とか後ろにしか射撃できなかった英仏の戦闘機を駆逐しました。

フォッカー・アインデッカー戦闘機 https://www.amazon.co.jp/%E3%82%BB%E3%83%9E%E3%83%BC-%E7%AC%AC%E4%B8%80%E6%AC%A1%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%A4%A7%E6%88%A6-%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E7%A9%BA%E8%BB%8D-%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC-SMC72879/dp/B0BJJS233G
 

 

 

世にいう「フォッカーの懲罰」である。

英仏はがんばってエアコ戦闘機などで対抗したが、ドイツは機動に優れたアルバトロス戦闘機に機種転換して逆襲してきた。

アルバトロス戦闘機  https://heycrow27.seesaa.net/article/a30765984.html
 

 

その後、ようやく英仏も同調装置を完成し。ニューポール後期型とかキャメルとかで互角以上に持ちなおすことができたのでした

こうして、機首の機銃は第二次大戦後にプロペラ戦闘機が廃止されるまで重要な装備となったのでした。

ソッピース・キャメル https://www.youtube.com/watch?v=u3DXEsC4Pq8
 

 

 

人間というのは、人56しにはクレバーな工夫をするものですねえ。

3000字を超えました。

ではでは

 

 

 

Posted by 猫機長
ブログBlog

どこに置くのかエンジン

みなさんは「ホワイトウインナー入りトマトジュース」を飲んだことがあるでしょうか。

Pixabay無料画像
 

ジュースなので、トマトといっしょにホワイトウインナーもミキサーに入れましょう。

スイッチオン。ぶごごごごごごー

鋭利極まりない刃がミキサーの底で回転し。

まずは、ウインナーがぽんぽこぽん、と切断されてミキサーのガラス越しに元気よく飛び跳ね。ほぼ同時にトマトが液化して、きれいな赤のジュースがぴしゃしゃしゃー!とミキサー内いっぱいに飛び散り、埋め尽くすのでした。

なんだそれは?どこかの飛行教官が教えてくれたレシピですが、だれも実際には作ったことはないらしい。

さて。

飛行機に必須の装置に、エンジンがあります。

エンジンがないグライダーは、自力で離陸することができません。飛行機を飛行機とする最も重要なパーツがエンジンなのです。

ただ、エンジンというものはものすごく取り扱いが厄介であり、世の飛行機設計者はあらゆる工夫を凝らして最適なエンジンの配置を考えてきました。

特にプロペラ機の場合、機体とプロペラが干渉するので、配置のオプションは相当限られてしまい。機体側のニーズと、エンジンのオプションによって、なんじゃこりゃみたいな珍妙な配置も生まれました。

代表的なエンジンの配置は。。。。

*今回は、単発プロペラ機について記載します。

①機首置き。トラクター型

一番一般的で、安全な配置です。セスナなど、たぶん現在飛んでいる飛行機の99.9%はこれでしょうねえ。

セスナ Pixabay無料画像
 

 

飛行機の鼻先、先端にプロペラがあり、このプロペラで飛行機を引っ張る形になるのでトラクター型というのです。

ともかく飛行特性が素直になるので、やはり一番飛行機に適した配置と思います。

この場合重要な特徴が、エンジン、特にプロペラを機体の重心より前に置けるということ。

こうした飛行機だと、エンジンを絞れば機首を下に下げ。ふかせば上げるという特性を持つようになります。

この特性は、特に着陸経路で重要である。エンジンを絞って、機首下げで滑走路に向けて降りていくとき、急に下降気流だ!エンジン全開!すると、自然に機首は上を向き。降下率を瞬時に殺すことができます。こうしたきびきびしたエンジン操作を行うのに適した配置です。

さらに重要なのが、失速をするとき機首が下がる、というもの。失速から墜落しかかる過程で、機首が下を向いていればきりもみに入っても舵が効いて回復可能ですが、水平できりもみに入ると、それこそフラットスピンと言って回復不能になってしまうのである。

機首上げでスピンに入った場合は回復は可能かも?でもそんな状態で回復できるなんて神パイロットはそれほどいないと思います。

 

➁ミッドシップ、トラクター/プッシャー型

といって、飛行機の設計上、エンジンを機首には置けないケースもあり。

典型的な例に、レイク・バッカニアがあり。

レイク・バッカニア https://www.airhistory.net/photo/490530/N8004B
 

 

この場合、プロペラもプッシャー式、すなわち機体重心の後ろかつ機体からかなり離れた上部に設置となっています。

これが何を意味するのか。

①の場合とは逆に、エンジンをふかせば機首が下を向き、絞れば上を向いてしまうということなのである。

着陸経路で、下降気流だ!思わずエンジンをふかしてしまうと、機体はぎゅんと機首を下にして加速し。いよいよ高速度で地面に突き刺さってしまう危険が生じます。

というか、「ジェネアビの神」高橋淳さんの受け売りですが、この特性のせいでバッカニアは多数の事故を起こしてしまったらしい。

 

この特性を知って乗りこなせばいいのですが、今度は逆にフツーの飛行機が操縦できなくなっちゃうとか、ちょっとバッカニアはご免だ、というパイロットも多いかもしれません。

似たようなのにPetrelがあり。

Petrel https://www.airplane-pictures.net/aphoto/1475824/i-9258-private-edra-aeronautica-super-petrel-ls/#google_vignette
 

 

 

でも、こちらはバッカニアみたいなクセの報告は聞かず。プロペラを翼のラインとほとんど同じに高さにしたのがよかったのかもしれん。

さらに似たようなケースでは、元祖系すなわち鉄パイプで鳥かごみたいに作ったウルトラライト機もプッシャー式のプロペラ、というのが多く存在します。

https://www.aeroexpo.online/pt/prod/quicksilver-aircraft/product-176668-27609.html
 

 

ぼくも一度コパイ席に乗せてもらいましたが、特性はあまりトラクター式と変わらない感じ。着陸経路では、エンジンではなく、フラップをバチ!バチ!と下ろしたり上げたりしてランプ(着陸角度・進路)を保っていたのが印象的でした。

ミッドシップエンジンの名機というと、P39があります。

P39  http://www.warbirdalley.com/p39.htm
 

 

 

あれ、機首にエンジンじゃないの?

いいえ違うんですよ。スケルトン画像をご覧ください

https://forum.il2sturmovik.com/topic/25507-p-39-engine-protection/
 

 

なんと、エンジンはパイロットの後ろの胴体に収まっていたのでした。

なんでこういうことをするのかというと、この飛行機は、大きさの割には重くてでかい機銃を装備しようとしたため、プロペラ軸を中空にしたうえで銃身に使って、機銃は機首、エンジンは中央胴体、という画期的な設計になったのであった。

さて飛行特性としては、スポーツカーがミドシップにするのと同じ効果つまり旋回で機首や尻が振られずいい感じで曲がれる、一方でやっぱり失速時に機首が下がらずに、回復できずあえなく墜落、というのも多かったらしい。

ちょっと余談ですが、P39は重武装と防弾の強化で重くなりすぎてしまい、ターボチャージャーなしで生産という、日本機もびっくりの低高度用戦闘機になってしまい。陸上機のくせに、艦上機の零戦に高度優位を奪われてさんざんな目にあってしまった。

しかし、ソ連にレンドリースされたP39は、独ソ戦の特徴である地表すれすれにおける空中戦により、苦手な低空に降りてきざるを得なかったメッサ―Bf109などを相手に互角の活躍をしました。

 

③リアエンジン、プッシャー式

P39が、機首に機銃を積むためにエンジンを後ろにずらした結果、エンジンからプロペラまで長いエンジンシャフトが必要になり。パイロット保護のための重量増加などをきたした一方で、機首に武器を集中する、というのは捨てがたい魅力があり。

いっそエンジンとプロペラを全部お尻に積んじゃおうよ、と「震電」という飛行機が作られました

震電 https://www.amazon.co.jp/%E3%83%8F%E3%82%BB%E3%82%AC%E3%83%AF-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B5%B7%E8%BB%8D-J7W1-%E5%B1%80%E5%9C%B0%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F-%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB/dp/B0017TCKY2
 

 

ただ、こうすると先尾翼機にするしかなくなり。水平尾翼が機体の先に、垂直尾翼が主翼に、という要すれば安定もへったくれもない、常時パイロットがはっちゃきになって機体を安定させる、という飛行機になってしまったのではないかと危惧するのですが、プロトタイプ(グライダー)試験では意外と安定していたほか、失速に入りにくく、入ってもすぐ回復できたという情報もあり。

安定はともかく。

震電の場合、武装もさることながら、将来的にはジェットエンジンへの換装をもくろんでいたらしい。なんとなく現代のジェット戦闘機ちっくな外見で、先見の明を体現したようなスタイルですねー

但し重大な問題があり。

プロペラがパイロットの後ろで回っているため、敵弾にやられて脱出だ!というときに、パイロットがプロペラに当たってしまい。この記事の冒頭に書いたような「トマトウインナージュース」になってしまう危険性が高いということなのである。そのため、緊急時にはプロペラを爆散させるように爆薬を仕込んだそうです。

こういう死に方は嫌ですねえ
「零戦の操縦」ISBN978-4-7572-1734-8より。
 

 

元祖ウルトラライトみたいに、もともと脱出なんて考えてなくて、エンストでもどっかの原っぱに着陸だ!みたいなのならパイロットの後ろにプロペラでも問題はないんですけどねー

ドイツも震電と同時期に「プフェイル」という似ていると言えば似ている奴を開発しており。

プフェイル。 https://www.tamiya.com/japan/products/61074/index.html
 

 

こちらは、なんと機首とお尻に両方プロペラというキワモノだった。

しかし、やはり先進国ドイツは一歩進んでおり。

緊急脱出の際、後部プロペラと垂直尾翼の他に風防が爆破されて、座席ごと射出、という装置がすでに実用化されていたのだった。世界で最初の射出式座席です。

こうしてドイツのパイロットは「ウインナートマトジュース」になる危険から逃れていたのですね。。。

最後はちょっとすさんだオチになってしまいました。

3000字越えで終了。

ではでは。。。

 

 

Posted by 猫機長
ブログBlog

謎の傑作機KM2

どんなパイロットも必ず乗ることになる飛行機で、それも一度や二度ではなく、教官にしばかれながら、なんとか一人で乗りこなせるようになるまで我慢づよく付き合ってくれる頼もしい奴。それが練習機です。

練習機そのものとして作られる場合もありますが、自家用機として大人気になり、それを聞きつけた各国が喜んで練習機として購入するケースもあり。今回は、どちらかと言えば後者に属するビーチクラフトボナンザと、その日本版である富士KM2について投稿します。

まずはボナンザから。

時は第二次大戦中。日本が竹やりでB29をやっつけようとしていたそのころ、アメリカではすでに戦後を見越して「大人4人と手荷物が積める、自動車のように手軽で快適な軽飛行機。単葉・全金属製・水平対向エンジンを採用、斬新なデザイン(V字尾翼配置、美しい窓周り、モダンな内装)、小型軽量化など、新しい時代に合わせた、小型ながらも豪華な高速機(Wikipedia)」の設計製作が進んでいたのでした。

その結果、1947年にはV字尾翼のボナンザ・モデル35が初飛行し。その後、いろいろなユーザーの要望をくみ上げながら、通常の尾翼に変化したデボネアボナンザなど無数のモデルが生まれ。富裕層の高級な自家用機として現在もいっぱい飛んでいます。

(上)竹槍訓練https://www.reddit.com/r/HistoryFans/comments/5gozmt/japanese_soldier_training_women_to_defend_the/
(下)ボナンザ モデル35 https://www.kshs.org/km/items/view/853
 

 

この過程で、練習機型のT34メンターが生まれました。こちらも「良好な操縦性と安定性、そして荒い使用にも耐える頑丈さから傑作練習機との評価が高く、初飛行から50年以上を経た現在でも練習用として使用(Wikipedia)」されています。

練習機型のT34は、タンデムシートのかっこいい低翼単葉機です。日本でも、富士重工がライセンス生産しました。

ボナンザ(上)https://www.portaldoaviador.com/a-historia-do-beechcraft-bonanza-model-35/
とT34メンター(下)
http://www.avgeekery.com/mentor-beechcrafts-t-34-primary-trainer-well-played-gamble/
 

 

この経験から、富士重工は独自にその発展形であるKM1(陸自向け)とKM2(海自向け)を生産。今日の記事はKM2をお題としています(KM1もそっくりだけど)。

では、ここからアメリカの名機ボナンザをいかにして日本的に洗練していったかについて記載します。

まず、風防です。

ボナンザ(上)https://www.airteamimages.com/beechcraft-35-bonanza_D-EECA_-private_328761.htmlとKM2(下)富士KM-2研究 Study of the Fuji KM-2 (hikokikumo.net)

 

 

なぜ青がえるにしてしまうのか?

青がえる。東横線などで活躍した。(相鉄線かも?)
https://kumamoto.keizai.biz/headline/117/
 

 

気を取りなおして、側面のスタイルいってみます。

ボナンザ(上)https://flyteam.jp/photo/3662925とKM2(下)富士KM-2研究 Study of the Fuji KM-2 (hikokikumo.net)
 

 

トヨタのAAじゃん

スバルじゃないけど
Toyota AA – prvé auto vyrobili ešte pred vznikom automobilky | TOUCHIT
 

 

なぜこうなるのか?

これは、日本海軍じゃなかった海上自衛隊による使用方法と密接に関連しており。

海自の場合、基本サイドバイサイドの双発機、四発機を運用しており。機長と副操縦士が隣り合って座る感じにしないと都合が悪かった。

別にふつーのボナンザでいいじゃん?とは思うのですが、こういうぶっといピラーに四角いコクピット(丸みはあるけど)にしないと、天井に「いかり」を格納できないためらしい。

いかり?

海自の飛行機は、みんな錨を装備しているのです。

US2飛行艇の例
空飛ぶのになぜ“錨”つき? 飛行艇「US-2」の船っぽい“神装備”とは | 乗りものニュース (trafficnews.jp)
 

もちろんLM2に錨というのはうそですよー

では、なぜあんな冴えない、ダサくて、かっこわるい、ぶきっちょな、どう考えても誉め言葉がみつけられない、ボナンザの設計者が見たら卒倒しそうな、だれが見ても日本人にしか見えない、どうしようもないかわいそうなスタイルになったのか?

どうやら実戦配備になったときの実機になるべく近い雰囲気にしたかったらしい。

一式陸攻(上)https://benriyanekonote.sakura.ne.jp/issikirikukou.htmlとKM2(下)https://blog.goo.ne.jp/kazusisiren/e/a026b369f9a5d35852c576a290c36a09
 

 

なっとくしました。

KM2は4人乗りで、前には正副の操縦士としての役割を学ぶ訓練生。後ろには精神棒を構えた教官と、行き過ぎて死人が出ないように監視している米海軍のSP(Shore Patrol)がセットで搭乗していたそうです。

*もちろんうそですよー

 

ただ、全てうそとも言えない部分もあり。いじめに耐え兼ねた自衛隊隊員が、KM2を奪って飛び去り。結局今日まで行方不明という事件もあったそうです。

*この事件については、Wikipediaに詳しく書いてあります→自衛隊機乗り逃げ事件 – Wikipedia

すみません行方不明は陸自のLM1でした
http://hikokikumo.net/His-Mil-LM1-00000-index.htm
 

 

スタイル自体は各人の主観なので、ぼく自身は意外にいいじゃん、と思っていますが、性能や耐久性、強靭さは、やっぱりアメリカの冠たる高級軽飛行機メーカービーチクラフトの自信作、単発機の帝王であるボナンザを受け継いで、リムジンのような重厚な飛行機だったと聞いています。

ボナンザは、航空大学校で2020年まで練習機として使われるなど、文句ない世界の名機です。超高価なボナンザを無数に購入して練習機として使うことのできる日本は、やっぱり超大国だなーと素直に感心しています。

ぼくはブラジルに住んでいますが、ブラジルの場合ロクに練習機を買う金もなく。こともあろうにアルゼンチンから「アエロ・ボエロ練習機」を空軍だったかがまとめて購入してブラジル国内各地の飛行クラブにばらまいたという謎の過去があります。

なぜかアルゼンチン製の練習機アエロボエロ
https://www.airliners.net/photo/Aeroclube-do-Rio-Grande-do-Sul-ARGS/Aero-Boero-AB-115/806867
 

 

脱線ついでに、ブラジル政府はアエロボエロ購入の費用をねん出するため、パラグアイへ輸出している中古自動車に対する税金を充てようとしたのですが、ブラジルから大量にパラグアイへ輸出されている中古車は、両国民の駆け引きによって税金のかからない方法で出荷されていたため、政府は仕方なくどこか別の財源に変更したという話があります。

ブラジルとパラグアイにまたがる「友情の橋」。 https://www.memoriarondonense.com.br/eventos-single/construcao-da-ponte-internacional-da-amizade-foz-do-iguacu/32/
 

 

ブラジル全国から盗まれたじゃなかった取得された中古車がこの橋を渡ってパラグアイに輸出され、パラグアイの経済発展に貢献したらしい。

*訳が分からなくなった人はこの記事をご覧ください→微笑みの街ストロエスネル

本題に戻ります。

現在でもボナンザ乗りはアメリカをはじめ一目置かれる存在です。そんなボナンザを乗りこなすカッコイイ日本人パイロットのブログがあったので、リンクしときます→LA Flighrt Diary

世界の名機ボナンザを、これでもかとデフォルメし、似ても似つかぬゲテモノにしてしまった富士重工。でも、性能低下はぜんぜんなかったということですから、そこに日本の技術力が光っているのだと思います。

なんておちょくりまくっているように見えますが、KM2の、アートで、見る者の目を引き付けるふしぎなスタイルに魅了され、いつかプラモの一つでも組み立ててみたいなと思っています。

 

ではでは

 

Posted by 猫機長
Sem categoria

ペダルのお話

こないだ操縦かんのお話をしたとき、飛行機の操縦にはペダルも重要、と書きました。その記事ではスペースがなくなっちゃったので、改めてこちらでペダルについて書きたいと思います。

ぼくが乗っている軽飛行機「こよーて」のペダル
 

 

飛行機の操縦は「手と足」というふうに言われます。

手の方は操縦かんで補助翼と昇降舵。足はペダルで方向舵を動かします。

手足が調和するといい感じで均整の取れたカーブを切ることができます。

補助翼 http://blog.livedoor.jp/sac1195/archives/489548.html
 

 

昇降舵C*Uとは何か その1(技術的解説) | 彗星 (salamann.com)
 

 

方向舵 C*Uとは何か その2 (横の制御則) | 彗星 (salamann.com)
 

 

ターンコーディネーター(旋回釣合計)という計器があって、黒いボールが真ん中にあればいい具合に曲がっているということになります。

ターンコーディネーター
 

 

これが、ペダルを踏みすぎると、カーブの外側へ尻を振り出しながら曲がっていく感じになり、機体へのいらぬ負荷や、失速しやすくなるなどあり。ターンコーディネーターでは、ボールがカーブの外側に出ちゃいます。

これをスキッドと言います。 「飛行機操縦のABC」イカロス出版
 

 

 

一方、踏み足りないと、今度は機首をカーブの外側に向けながら、横滑りしていくようなカーブになり。スキッドと同じく避けるべきカーブとなります。ターンコーディネーターのボールはカーブの内側に行ってしまいます。

これをスリップと言います。 「飛行機操縦のABC」イカロス出版
 

 

スキッドやスリップは、ターンコーディネーターをみていないとなかなか気づかず。気づいたときは、コーディネタ―の玉ころを中心位置にけりこむようにべダル操作をすると修正できます。

また、操縦かんを倒しすぎたり、倒し足りなかったりするとやはりボールは中心から逃げちゃうので、操縦かんの場合は玉ころを中心に引っ張る感じで修正しますが、ふつーは30度旋回なら30度に人工水平儀のマークがぴたりと止まるよう操縦かんを操作して、玉ころの微修正はペダル操作で行っています。

20度旋回の例。人工水平儀の中央上黄色い三角のインジケーターが20度の白線で止まっています。玉ころは取り忘れた、というか玉ころを入れると地平線がみえなくなっちゃうので入れていませんが、まあまあ中央で維持していたと理解。
 

 

と思ったら、玉ころのある写真も発見。こちらは同じ20度でも左旋回。ちょっと上昇気味、それにつられて速力が落ち気味です。なかなかむずかしいですねえ
 

 

あと、上の写真で重要なのが人工水平儀の左横にある昇降計で、下降・上昇率0に維持します。つい上昇しちゃうと失速の危険が出るし、下降すると今度は速度がイエロー域に入っちゃうので、気を使います。

ドリフトやスリップは必ずしも悪、というのでもなく。飛行機の特性によりけりで、ぼくの乗っているコヨーテ(Rans Super Coyote)では、むしろぐいーんと尻を大きく振り出してカーブ内側に機首を切り込んでいくような旋回が好まれる傾向にあり。

また、高度取りすぎ、迅速に下降したいという場合に、フォワードスリップと言って、機首を左右どちらかに振り、操縦かんは機首と逆の方向に倒す、というのがあり。

意識的に操縦かんとペダルをディスコーディネートして、横滑り状態を作り出すのです。

滑走路の着陸経路に入ったけれど、高度高すぎ、という場合に多用されるテクニックで、黎明期の、フラップがなく、軽すぎてぜんぜん下降してくれないパイパーカブとかはこれができないと乗れないらしい。

パイパーカブのフォワードスリップ


 

 

あえて滑走路の延長線から機首を外したうえ、ふだんはやってはならない、ペダルとは逆方向への操縦かんの操作なので、実はなかなか怖くてできないですが、慣れてくればある程度なにげにできるようになるのでした。カブ乗りはぜんぜんなにげにやるらしい。

ぼくの乗っているコヨーテもあまり変わらず。フラップはついているけれど、フォワードスリップで高度調整というのはときたまあり。操縦席目線でのフォワードスリップを掲載します。


 

 

上の操縦席からの動画で、1:28でようそろー、と機首を中心線に戻していますが、場合によっては滑走路の真上まで来て初めて戻す場合もあり。

いずれにしろ、接地の時には機首は滑走路に正対していないとギアにいらぬ負担をかけるので要注意です。

さて、着地して減速だ!まっすぐ走らせるためには、三輪車と同じように前輪を操作しますが、三輪車と軽飛行機一般の違いは、前輪の操作をペダルで行うところにあります。これもペダルを右に踏めば機首が右を向くように作動し、左も同様です。

大きな旅客機では、ペダルではなくステアリングホイールで操作するのもあります。

YS11。機長側操縦かんの左横にあるステアリングホイールに注目。
http://www.airliners.net/photo/Interisland-Airlines/NAMC-YS-11/2228083
 

 

ちなみに、正式にはステアリングではなく、テイラーと呼ぶそうです。

一方、今どきの高性能自家用機には、テイラーもなく、ペダルと前輪が連動していないものもあります。

RV9A  https://www.kitplanes.com/jim-wright-rv-9a/
 

 

写真は「空のムスタング」RV9ですが、スピードを出すために、前輪は小さく、よわっちい支柱一本で支えられています。この前輪は自由にぐるぐると回転するようになっているところがミソで、こうしたケースではペダルで曲がりたい方のブレーキを踏むと、そちらの方のメインギアを支点に、前輪は慣性でぐりんと向きを変えて旋回します。

このやり方は黎明期の尾輪式飛行機でも採用されており。

巨大なB17を地上でまっすぐ走らすのは大変だったであろうと思います。。。。

尾輪式のB17 https://aventurasnahistoria.com.br/noticias/almanaque/b17-o-mais-importante-bombardeiro-aliado-da-segunda-guerra.phtml
と、前輪式になったB29 https://www.b29doc.com/b-29-doc-to-bring-its-history-restored-tour-to-newport-news-va/
 

 

B29もRV9と同じで、前輪を制御するステアリングシステムはなく、左右のエンジン推力と左右のブレーキで旋回したそうです(出典:https://www.quora.com/Why-did-the-B-29-have-no-nosewheel-steering)。

ここで、飛行機のペダルの特色がもう一つ明確になるのでした。

すなわち、飛行機にはアクセルペダルはないが、左右のペダルは両方ともブレーキペダル兼用なのだった。

2つブレーキペダルがあるの?

左右のペダルはそれぞれ左右のメインギアにつながっており、別々に作動させることができるようになっているのでした。

同じペダルですが、つま先で上の矢印の部分を踏み込むと赤線の軸でブレーキが作動。
下の矢印を肉球の部分で踏み込むと緑線の軸で方向舵と前輪が作動します。
 

 

ということで、上に書いたように、ステアリングのない機種ではブレーキで機首を制動し。

でも、やっぱりぼくの乗っている「こよーて」みたいに、すなおにペダルと前輪がつながっている方が全然操作しやすいですよねー

コヨーテのペダルから前輪支柱に伸びる制御機構
 

 

なぜ最新の高性能機が、よりによって脆弱で制御できない前輪にしているかというと、それは飛行機にとって車輪や支柱といった降着装置が、性能低下の元凶となる空気抵抗や重量増加を生むじゃま者だからなのです。

高性能になればなるほど、滑走路も舗装されたまともなのを想定しており、パイロットにもきちんとフレアして前輪にほとんど負担をかけない着陸の技量を要求し。

RVともなれば、飛行機が乗り手を選ぶ世界です。ムスタングというよりフェラーリですねえ。

ムスタング https://fukuokacj.jp/%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B0+68
とフェラーリ https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17267411
 

 

ぼくみたいな貧乏人が乗る飛行機で、ロクな長さもない滑走路、場合によっては草だろうが土だろうが、道なき道に着陸するような場合は、前輪もがっちり強化したのが多い。

一つの究極がParadiseで、なんと前輪にぶっといショックアブソーバーを装備しています。

これは、練習生がどっかーん!という着陸をしても耐えられるようにという設計なのです。こういうところで名機というのがわかるのですよねー

Paradise
 

 

Paradiseの前車輪。アルミ色のぶっといアブソーバーに注目。
 

 

ここまでで3000字越え。とりあえず終わりにします。

ではでは。。。

 

 

Posted by 猫機長
ブログBlog

バッファローは大陸の動物だった

*この記事の「冬戦争」関連情報は、主に以下が出展となっています。

冬戦争における空中戦 – HiSoUR Art Culture Histoire

 

バッファロー戦闘機、といえば、マニアのみなさんは「かわいそうなやられ役」とすぐピンとくることでしょう。

引っ込み脚に密閉式風防と、設計当時は先進的だったのですが、実際の使用場面では隼や零戦に、なすすべもなくバタバタ落とされた、という事実があります。

同じビヤ樽体形のグラマンF4Fが善戦したのに比べいかにも情けないというかかわいそうなバッファロー。

バッファロー(左)とF4F(右)
F2A Buffalo, or F4F Wildcat? | Sticking with the Midway sche… | Flickr
 

 

当時の一線機だったP39、P40といった陸上機が、零戦との巴戦はやめて戦闘爆撃機(地上襲撃機)として前線に継続・活躍したのにくらべても、バッファローはいいところがなく。ひっこめー!と退場させられてしまった。

ところが、そんなバッファローが大活躍した戦場があるのです。

それが「冬戦争」そしてその後の「継続戦争」

バッファローの前に、これらの戦争の説明が必要と思います。

第2次大戦は、横暴なドイツがかわいそうなポーランドに怒涛の進撃を開始したのが始まりとされており。それは一面で正しいのですが、実は同じくしてロシアもポーランドに血も涙もない侵略を行いました。

ソ連は、連合国側のくせに「独ソ不可侵条約」を結び、ポーランドを分割。英仏がまごまごしている間に魔の手を近隣諸国に伸ばし。1939年11月にフィンランドに侵攻を開始しました。

これが「冬戦争」である。

どこかのウクライナ戦争みたいなソ連の行いに、西側諸国というか米英仏は驚き。ウクライナじゃなかったフィンランドに精一杯の武器供与を行いました。

あれフィンランドって枢軸国じゃなかったの?

ソ連が見境なく近隣国家を蹂躙するので、蹂躙されたフィンランドはソ連の味方であるはずの連合国から支援を受けたというわけである。

というか、フィンランドを「枢軸国」というのも実は疑わしくて、必死になってソ連と戦っているうちに枢軸国にされちゃった、というのが実態と思います。

Finland Winter War Map
 

 

さて、怒涛のソ連侵攻を食い止め、フィンランドはよく戦った。

戦いぶりが、やっぱりウクライナに似ており。航空戦においても、いろいろな国から急遽いろんな飛行機の供与(あるいは貸与?)を受けて、何とか乗り切った。

以下の数字はいずれも推定ですが、「冬戦争」の間に、ソ連側は700機近い損害を被り。ということはそれよりずっと多い飛行機を飛ばしていたのに対し、フィンランド側は215機が使用できました、なんて情報があり。4倍近い?という恐ろしい戦力差だった。

それでも、いろいろな飛行機をかき集めて215機で戦い、見事ソ連空軍を撃退したのである。

フィンランド機の内訳は

ブリストルブルドッグIV(15機)、

フォッカーD.XXI(41機)

ブラックバーンリポン(15機)

ブリストルブレニム爆撃機(18機)

フィアットG.50戦闘機(10機)

グロスターグラディエーター(30機)

モラーヌソルニエMS406戦闘機(30機)

ブリュースター・バッファロー(44機)

ホーカーハリケーン(12機)

枢軸側のイタリア機が入っているのがお笑い。

笑い事ではないのが、「冬戦争」がこじれた結果の「継続戦争」で、ドイツからメッサーシュミットBf109 の供与を受けています。なお、冬戦争は独ソ戦前なのでフィンランド単独、「継続戦争」は独ソ戦たけなわの時期に勃発した戦争です。

どこで読んだかは忘れたのですが、フィンランド人の偽らざる実感として、「継続戦争において、確かにドイツから武器の供与も受けはしたが、実態は、ドイツと同じ戦線において、ドイツと同じ敵と戦っていたというだけであり、決してドイツのフィロゾフィーなどに無条件に賛同していたわけではない」ということだそうです。

「継続戦争」後半にもなるとソ連が猛然と戦力を盛り返して敵も味方もみなぶち殺す「絶滅戦争」のキバをむき出しにし。フィンランドもたまらず涙の講和でなんとか全土を占領されることを逃れました。

この際のソ連の講和条件の一つが「フィンランド戦線で戦っているドイツ軍をフィンランド軍が攻撃し、これを追い出すこと」というこれまた血も涙もない要求であり。でも、その辺はドイツもフィンランドも大人の対応で、いちおうソ連に向けてドンパチはみせながらも、なるべく無傷でドイツ軍が母国に戻れるように立ち回ったらしい。

さて、共産主義者による占領を逃れるうえで決定的な活躍をした飛行機の中にバッファローがあった。「冬戦争」の間はバッファローがんばり。「継続戦争」からは、Bf109と共闘した。

 

F2A-1 Buffalo Model B-239 | Finnish Air Force
 

 

冬戦争、継続戦争時のバッファローとBf109
Finnish Brewster Buffalo and ME 109G – WWII Fighter Planes
 

 

あれ、カギ十字じゃん?

これも、フィンランド人いわく、もともとは「幸運の青い十字(ハカリスティ(Hakaristi)」ということでフィンランドに根差したシンボルであり(発祥はスェーデンだそうです)。これをドイツ人が借用して、独自のフィロゾフィーで使ったのだ、ということだそうです。

さて、バッファローです。

上記の通り、「冬戦争」で絶望的ともいえる戦力差を盛り返した。

フィンランド空軍は、雑多な戦闘機の寄せ集めでしたが、その中でもバッファローは「真珠」と称賛される活躍だったそうである。

その理由について列挙します。最後のはちょっと拍子抜けかもしれんが。

◎気候上の問題

太平洋戦線は、ヨーロッパ人から見れば灼熱地獄であり。「夏はきんちょーだねー」のものすごい酷暑、さらにものすごい湿気が立ち込め、西洋人の作った機械は故障が頻発したらしい。バッファローやスピットファイアなど、オーバーヒート多発でそもそもの基本性能が発揮できなかった。これがフィンランドに行けば、なんか寒いね、くらいでかえってエンジンに優しい気候という感じだったらしい。

◎陸上機としての運用と、魔改造

酷暑の太平洋で日本機動部隊と対決するのが主任務の艦上戦闘機のくせに、暑さでくたばったヘタレなバッファロー。これがヨーロッパ大陸での陸上戦闘機としての活動になると、着艦フックだの救命いかだだのは下ろしてかなり身軽になれた(真正の陸上戦闘機と比べてもほとんどハンデを解消できた)。また、輸入の途上でいったんスゥエーデンへはこばれ、SAAB社の工場で照準機とかの独自の艤装がなされた。どこまで魔改造になっていたか?は不明ですが、性能向上には役立っていたとおもいます。

ちなみに、皆さんご存じNOKIA社がバッファローの魔改造に手を出していたというか、資金援助していたらしく。フィンランドのバッファローは「NOKIA」とスポンサーの広告をしっかりペイントしていたのでした。

「使えないビア樽」戦闘機が「空の真珠」に!? 評価一変 フィンランドでF2A「バッファロー」はなぜ活躍できたのか – (2) | 乗りものニュース
 

 

◎相手に恵まれた

こうして無敵の陸上戦闘機に生まれ変わったバッファローは、ソ連のミグやラボ―チキン新鋭戦闘機をさんざんに打ち破った、というわけではなく。

Bf109とも互角に戦った新鋭ヤク9戦闘機
YAKOVLEV Yak‐9D FIGHTER
 

 

実は戦果の大多数が爆撃機とか一世代前のI15, I16だった。

「冬戦争」当時のソ連側の飛行機は

戦闘機

I-15複葉戦闘機(チャイカ-「カモメ」)

I-16単葉戦闘機

爆撃機

DB-3双発長距離爆撃機

SB-2双発高速爆撃機

TB- 3 4発重爆撃機

というわけで「ワンショットライター」とはいかずともそれに近い旧式爆撃機や、格下のチャイカとかばかりだったので、要すればふつーに勝てる相手に勝った、というだけだったのだった。ははは

I15 チャイカ POLIKARPOV I-153″CHAIKA”FIGHTER
 

 

ただしその勝ち方は尋常ではなく。キルレシオでは1対21、すなわちバッファローが一機やられるごとにソ連機は21機撃墜という恐ろしいスコアを達成しています。

「NOKIA」なんてふざけた広告をはっつけた飛行機に、バタバタ落とされるソ連機。

痛快ですねえ。はははははは

*ロシア人のみなさんごめんなさい。プーチンがぶち56されたら、もっとロシアにも好意的な記事が書けるようになると思います。

いずれにしろ、フィンランド人にとってバッファローは救世主であり。空戦でやられて、ソ連占領地の奥深くに落っこちちゃった!のを、フィンランド軍が決死の回収作戦で取り返したりなどしたらしい。

「継続戦争」になって、本当に新鋭のソ連戦闘機が飛んでくるようになると、バッファローもBf109に応援してもらうようになりました。

バッファローとBf109が仲良くロシアをやっつける、というのはなかなか美しい構図ですねえ。ウクライナでも。。。なんて脱線しそうになってきたので、終わりにします。


 

 

ではでは。。。。

Posted by 猫機長
ブログBlog

高度計を信じよう

こないだその辺を飛んでいたら、管制官のお姉さんからお𠮟りが。

いわく「チャーリーモード受信不能。トランスポンダ-チェックせよ」

小さな飛行機で飛んでいます
 

 

へいへい、とトランスポンダーのIDENTボタンを押してチェックしたのですが、どうもこちらの高度が管制まで届いていないようで、何度かチェックの後、やっと

「Cモード受信。レーダーコンタクト確認」と、無罪放免になりました。

なんか暗号文みたいになってしまったので、説明します。

C(チャーリー)モードというのは、ぼくの操縦している軽飛行機に搭載された機位発信装置すなわちトランスポンダーと連動した高度エンコーダーによって機体の飛行高度が管制に発信されている通信作動形態(モード)の意味です。

ますます意味不明か?

要すれば管制のお姉さんは、この高度エンコーダーから発信されるぼくの機の高度情報が受け取れておらん、機材チェックせよ、と言っていたのでした。

そこで、こちらはトランスポンダーのIDENTボタンを押して、送信チェックを実行。こうすると、管制官が見ているスクリーン上で、ぼくの飛行機を表す光の点が、ぴかぴか!と点滅し、トランスポンダー異常なし、ということを明示するのでした。

計器盤の中央に鎮座しているトランスポンダー。STBY、ALT、IDENTのボタンに注目。
 

 

ただし、IDENT実行には、まずSTAND BY – ALT – IDENTと順序立てて複数のボタンを押す必要があるとか、いったんIDENTを押すと管制官の画面で8秒だったか12秒だったかぴかぴかとまぶしく点滅して、ほかの機の光の点滅が見えなくなっちゃうとかあり。「まちがってIDENT押しちゃった」とかやると管制から烈火のごとく怒られるので皆さんが飛行機を操縦するときはご注意くださいね。

 

さて、管制がCモード受信できん、という場合、たいていは気象状況によって電波が切れぎれになっちゃうというのが多いはずだが、万一こちらの機器が故障していた、だったらやばいので、着陸したら早速トランスポンダーとアンテナをチェックしました。

そしたら、なんとアンテナがごみや錆で真っ黒けになっていることを発見!これでよく発信・受信できていたなとびっくり。

アンテナ。管制のお姉さんごめんなさい
 

さっそくガシガシとこすって錆とかはとったのですが、勢い余ってアルミ?のメッキもはがしてしまい。なんかプラスチックみたいな白い地肌が出てきちゃった!

そこで、いつも機体の年次検査をお願いしている兄ちゃんに連絡。週日でぼくは町から出られないけれど、お兄ちゃんに格納庫のカギを渡し、郊外の飛行クラブまで出張修理へいってもらい。機体からアンテナを外し、点検してもらいました。

この結果

「アンテナ自体は全然問題ない。ただアンテナとCモード送受信機の接続部分で機体に干渉していたのでちゃんと絶縁しといた」

さらには「メッキが剥がれて、アンテナ本体の真鍮だっけ?がむき出しなのは問題ない」ということで、70ドルの出費を抑えることができたのは安堵。

新品のアンテナ。これで70ドルですから、やってらんないですねー
https://www.aerian.com.br/antena-transponder-dme-conector-bnc-ted-104-12
 

 

その後は、トランスポンダー画面のCモード送受信シグナルもちゃんと点滅するようになり、いい感じに作動しています。

画面に表示されている「ALT」の下に、「R」のシグナルが点滅し、高度情報を管制に送信していることがわかります。
 

 

これだけだったらめでたしめでたしなのですが、修理屋のお兄ちゃんの心無い一言で、夜も眠れない、恐ろしい懸念が発生してしまったのでした。

その一言とは

「トランスポンダーの高度表示の誤差がでかすぎたから、調整しておいたよ」

と、まあこれだけならよかったのですが

「ちゃんと(機体を駐機してある)飛行クラブの標高にあわせといたからね」

の一言がぐさりと突き刺さったのでした。

標高にあわせた?うああああー?

というのも、トランスポンダーの表示すべき高度というのは、標高とかではなく、標準大気圧1013hPaに合わせたものでなければならないからなのです。

標高に合わせなければならないのは高度計で、離陸前にかならず「QNHセッティング」を行います。

QNHというのは「海抜高度規制値」のことです。

気圧は毎日変わりますが、飛行場の標高は一定しているので、例えばぼくのホームベースであるSDCB飛行場では、離陸前に「3200フィート」にダイヤルを合わせます。その時高度計の気圧表示窓に現れる気圧がその日の気圧ということである。QNHは飛行場近辺の低空を飛ぶときは特に大切です。

海抜3160フィートの飛行場にて。左がQNHセッティング。「コールスマン窓(黄色い枠内)」表示の大気圧1023hPa。これがQNE(右)になると、気圧を国際標準の1013hPaに合わせるので、高度は300フィート近く低い2920フィートになってしまいました。
 

 

一方、トランスポンダーはあくまでQNEセッテイングでなければならないのである。

QNEとは「国際標準大気規制値」。

広いようで狭い空では、いろんな場所から飛んできた飛行機が同じ空域に交じりあい。たとえば羽田から飛んできた飛行機とブラジリアで離陸した飛行機がブラジリア上空でかち合った場合、ブラジリアの気圧に基づいた高度計セッティングと、羽田の気圧に基づいたセッティングでは同じ高度でも明らかに高度計の針は違う高さを指してしまい。ニアミスなどの原因となるので、「じゃあ一定の気圧を決めてみんなこの気圧で高度計を調整しましょう」としたのがQNEです。そして、その気圧は国際標準大気1013hPaとなっています。

ふつう、みんなQNHで離陸し、ある一定の高さまで行ったらQNEに変更します。ちなみに、QNEでの高度の呼び方は、7500フィートとは言わずFL075(FLはフライトレベル)となります。

QNHとQNEの差
https://www.linkedin.com/posts/airlifter_qnh-qne-and-qfe-are-altimeter-settings-activity-7093040410830274560-PiU5
 

 

 

要すれば、トランスポンダーの表示はあくまでQNE(標準気圧、1013hPa)に基づいたものでは無ければならないのに、修理屋の兄ちゃんが不用意に「標高に合わせた」なんていうから、こいつQNEとQNHを勘違いしたんじゃね?

という恐ろしい疑惑が生まれてしまったのでした。

その日は水曜だったか?木金は一日中ブルー。土曜日早速飛行場へ飛んで行って、ちゃんとトランスポンダーのFL(フライトレベル)表示が1013で調整となっているか確認しました。

確認自体はしごく簡単で、高度計のほうの気圧を1013にして、そこで示される高度がトランスポンダーのFL表示と合致していればOkということなのである。

その結果は、写真のごとく

 

 

高度計3040フィートのところ、トランスポンダーのFL30と、ばっちり合致でした。

あーよかった

*この確認方法では、高度計がしっかり調整されている必要があります。念のため

FLの調整がちゃんとなされていないと、罰金(恐ろしい金額です)以前に、本当にエアトラフィックを混乱させてしまうので、間違ってもこの調整でQNHとQNEを取り違えるなんてあってはならないのである。

ただ、このチェックは問題なく正しい数値が出るだろうというあてはあった。

というのも、トランスポンダーへ情報発信する高度エンコーダーは、そもそも標準気圧に基づいた数値(高度)しか示さないようになっているからである。

一抹の不安として、このエンコーダーが出す数値に誤差が生まれていて、それを修理屋の兄ちゃんが下手にいじってさらに拡大してしまった、ということを恐れていました。

結論から言えば、お兄ちゃんは「標準気圧に基づいた標高に調整した」という、下線の部分をはしょってしまったということなのですね。。。

「標高」という言葉は「標準気圧」という言葉が前提になっているのかもしれませんが。

というわけで、終わりよければすべてよし、と強引に終わるのでした。

ははは

ではでは

 

Posted by 猫機長