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短編集:「愛のジョージ」と「HAIKAI」ほか

その①ヘッドセット修理

とある吉日、雨季のブラジリアにしてはからっと晴れて、久しぶりにそのへんの農場でTGL(タッチアンドゴー)してきました。ここ数週間、雨や霧で飛べないとか、飛べてもせいぜい滑走路の周回程度しかできなったので、まあまあせいせいと飛ぶことができました

現地でも有数の大農場。アスファルトの巨大な飛行場。

 

 

まあまあ、というのは、離陸前にちょっとやばくないけどやばいかも、というのが発生し。

いつもどおり、機体、エンジンと、プリフライトチェックは順調に行っていたのですが。。。

ラジオをオンにして、「えェラジオのテスト中。えへらへらへらー」とやったところ、あれ、片耳しか聞こえないじゃん?

もうフライトプランの離陸5分前くらいで、エンジンもガンガン回しているのに、あせりましたねえ。

スケルチ(マイク感度)調整とかやったのですがぜんぜんだめ。ヘッドセットからのコードを機体に接続しているコンセントをぶち抜き、コパイ用のヘッドセットに取り替えたらちゃんと作動したので、故障は機体側ではなくヘッドセットのスピーカーが死んだのであろうと判断し、その日はそのまま飛びました。

いやいや、ガンガンうなるコクピットの中でヘッドセットを外し、コンセントに抜いたりさしたりとか、うるさくてやってらんなかったですが、でもちゃんと両耳聞こえる状態でないと、大げさではなく多数の人の生死を分ける航空通信ですからねーちょうどソロでの飛行だったので全く問題なくヘッドセット交換できました。

問題のヘッドセット
 

 

さて、帰ってきてからじっくり確認、でもないけど、確かに7年以上の連続使用でもあり、湿気の立ち込めるブラジリアの夏でもあり。いつかは壊れるものが壊れたということで、インターネットで新たなヘッドセットを探してみましたが、なんと古すぎの化石になっていたらしく、どのサイトに行っても見つけることができず。

最新のに取り換えればいいじゃん?そうはしたいのですが、一応機長・コパイと2セット更新しなきゃならないし、値段も2倍どころか3倍、4倍となってしまうのですよねー

しゃあないので、いつも機体の検査をおねがいしているお兄ちゃんに連絡したら「確かに化石で新品はもうないが、部品は持っているから修理は可能である」とのことで、お兄ちゃんのアパートまでもっていって修理してもらいました。

7年の使用で、耳あてとマイクのスポンジがボロボロになっていたので、これらはコパイ分も含めて新品と交換してもらいました。これら消耗品はまだ新品があるらしい。

破れはてて、中から気味の悪い液体というボンドがにじみ出ていました
 

 

修理後はこんな感じ。耳当てがあんなにボロボロになったのは、純正品ではない得体の知れないニセモノだったから、ということで、じゃあちゃんと正規品を、としたら値段が高すぎて手が出ないので、やっぱり並行市場からまあいいじゃん、という模造品にしたのでした。ははは

ヘッドセットから耳当てを外して取り換え。上がダメになった耳当て。下がそれなりの新品。
 

ちゃんと両耳聞こえるようになりました
 

 

 

➁「愛のジョージ」と「HAIKAI」

「愛のジョージ」という名のカフェを発見。ポルトガル語で「Amado Jorge」です。

と言えば、ブラジルに住んだ人はわかると思いますが、Jorge Amado(ポルトガル語読みでジョルジェ・アマード)という文豪がおり。この文豪にあやかった、いわゆる意識高い系のカフェ兼古本屋らしい。

ムヒカそっくりのJorge Amado(パブリックドメイン)
 

 

このJorge Amadoですが、実はブラジル共産党員であり、このカフェも、結局そういう世界の住人が集まる恐るべきアジトではあるのですが、ぼくは小学校の教員のおばさんと一緒に行ったので、要すれば警察とかジエイタイとかとかかわりはないよね?ということで通してくれました。ブラジル空軍とはかかわりあいになっているけど。

街中にぽつんと立っている古本屋
 

 

ちょうどその日、というか夜の8時でしたが、共産主義者たちの集会に出くわし。でもその夜はみんなで詩を発表し合うというそれこそ意識高い系の集まりでした。

詩の内容もアジテーション的なものはなく、なんとなく平安貴族じゃね?みたいなのもあったりして。

マイクの前で歌ったり、詩の発表
 

 

安くてうまい、に近いかものサンドイッチと、謎のジュース
 

 

インテリアや古本コーナー
 

 

そのうち、へんなおっちゃんが登場し。

「俳諧をやります」

補足情報ですが、日本の俳諧とは「主に江戸時代に栄えた日本文学の形式、また、その作品のこと。誹諧とも表記する。正しくは俳諧の連歌あるいは俳諧連歌と呼び、正統の連歌から分岐して、遊戯性を高めた集団文芸であり、発句や連句といった形式の総称である。(Wikipedia)」

この俳諧が、日本人移民からブラジル人に広がり「HAIKAI」としてブラジル文化に定着したのでした。

季語だのなんだのというより、音韻とかがブラジルのソネットともなじみがあるらしいという技術的な部分と、なんでも茶化してやろう!というブラジル人の性格にマッチしたというのが主な理由らしい。

へんなおっちゃんの「HAIKAI」。お題は「マンゴー」

マンゴーは、皆さんご存じとおもいますが、とにかく繊維質で歯の間に挟まるのと、それはともかく、すさまじく黄色い果汁をそこら中にまき散らし、あたり一面を黄色くしてしまうという悪魔の果実です。

 

 

このHAIKAIを日本語に意訳したらこんな感じ(翻訳なので音韻もへったくれもないです。ご了承を)。

手にしたマンゴー

かぶりつく子供

歯に挟まる線維

喜ぶ子供。大口で笑う

黄色い笑い

 

原文はこちら、と言っても、書き取りしたわけでもなく、あくまで記憶です。

Mão com Manga

O menino Chupa

Fibra nos Dentes

Menino Feliz, Largo Sorrizo

Sorrizo Amarelo

 

ここで、「黄色い笑い」というのはブラジルのスラングで「気まずい笑い」という意味である。ここでは、盗み食いを見つけられた子供の「マンゴの-果汁で黄色く染まった口」を「気まずい笑い」とちゃかしているのですね。

 

会場は手を打って大笑い。

 

そんな感じでのんびりの一夜でした。

アフリカ系のおばちゃんと、アフリカ文化オマージュのオブジェ。
 

 

抽象画になり切れない、へんな絵画がいっぱいあった
 

 

③おまけ

今回の記事は字足らずなので、おまけに我が家の猫の写真を数枚。

車庫で、タイヤの上に登るバカネコ。
 

 

コンピュータの操作を邪魔するクズネコ
 

 

酔っ払いネコ
 

 

おそまつさまでした。

ではでは

Posted by 猫機長
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傑作機MU2

これまで何度か戦後の日本機について書いてきました。

その1→YS11

その2→エアロスバル

これらで、YS11はとろくて、とか、エアロスバルは無駄に敏捷すぎて、、、みたいなことを書いた、というか書かざるを得なかったのですが、この記事でやっと文句なく傑作機だ!というのにたどり着きました。

その名も三菱MU2。

当時の画期的なビジネス多用途機であり、「これが日本のコンパクト・プレーンです」みたいな感じで、世界各国で762機というベストセラーになったすてきな飛行機です。

三菱500 https://www.bibian.co.jp/product.php?id=p763745338
 

 

さて、三菱500ではない三菱MU2の外見はこんな感じ

https://www.mu-2aircraft.com/images/History_Veley_0229-web_optimized.jpg
 

 

マニアなら、この写真を見て、なんかフツーに見えて相当斬新なことをしてね?と感づくと思います。

斬新さの特徴を一つ一つ上げていきます。

その1 エンジン

MU2の初飛行は1963年。Wikipediaによれば、初の民生用量産ビジネスジェットは1964年のリアジェット23とのことで、当時はツインコマンチやクイーンエアみたいなプロペラ機が主力だった。

ツインコマンチ https://piperowner.org/pa-30-twin-comanche-ads/
 

 

クイーンエア https://kingairmagazine.com/article/beechcraft-90-years-of-excellence/queen-air-3/
 

 

これら競合機は、皆ピストンエンジンでプロペラを回していた。

当時の小さな地方空港や個人の滑走路に対応して、低速での加速があるプロペラ機とすることは当然として。競合機より性能のいいやつを作りたい三菱は、当時の画期的なイノベーションを導入した。

それが「ターボプロップエンジン」

エンジンの性能を決めるものに、馬力(推力)がありますが、馬力さえあればいいというものでもなく。馬力、重量、大きさの三拍子がそろっていないといいエンジンにはならないのである。

ターボプロップは戦後すぐに生産されていましたが、ビジネス機より大きなコミューター機はともかく、MU2クラスではまだまだピストン機が主流であり。

落ちれば4ぬ飛行機のエンジン。戦中からの「恐竜エンジン」つまりコンチネンタルとかライカミングといった信頼性の立証されている奴で安心したいというのが売る方も買う方も共通ですが、MU2はあえて当時未知数のターボプロップに挑戦した。

この結果、推力は競合機と同じだが、軽いエンジンになった。ターボプロップは、実態はジェットエンジンの中心軸に減速機などをかましてプロペラをつけたようなもので、構造上はピストンエンジンより簡素であり。その分軽く馬力のあるエンジンができた。

レシプロより簡単なのに、なぜ大戦中にターボプロップやジェットがもっと生まれなったかというのは、原理はわかっても、ガスタービンの超高温で溶けちゃったりとかしない素材や、コンプレッサーなどの製造技術の開発に手間取ったからである。

そんな状況で、えいやー!とターボプロップを採用した三菱の先見性恐るべし。

MU2は、エンジンが軽くなった分主翼を小さくでき。競合機と同じ収容力なのにコンパクトな機体にまとめ、レシプロ双発機の1.4倍に達する巡航速度を実現した(jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/13/143/13_143_396/_pdf)。

燃費はレシプロ勢とどっこいどっこいに抑えることができ。速度差が大きなアドバンテージになった。

ターボプロップの導入と並行して、というか影響し合ってMU2の特徴となったのが。。。

 

その2「主翼の配置と形態」

もいちど競合機2機とMU2の写真を見比べると、MU2のみが高翼機であることがわかります。

PA-30 Twin Comanche ADs


 

 

https://mantisserv.com/en/small-props/14/beech-queen-air-b80
 

 

https://www.mu-2aircraft.com/images/History_Veley_0229-web_optimized.jpg
 

 

低翼、高翼といろいろ利点・弱点がありますが、MU2の場合「地面効果」が重要な決定要因となったらしい。

地面効果というのは、着陸時に飛行機が滑走路上に到達したとき、主翼と地面の間の空気が「圧縮」されてクッションみたいになり、飛行機を上空に押しもどそうとする作用です。

せっかく滑走路端で地面ぎりぎりに降りても、地面効果のせいでいつまでも接地できず、余計に滑走路の長さを食ってしまうことがあり。低翼機に顕著で、MU2のような強力なフラップをつけた機体で低翼にすると、地面効果に対処できる昇降舵の設計が複雑・困難になってしまうらしい。

競合機のほうは、すなおに低翼の利点すなわち翼内に主輪を格納するスペースができるとか、高翼にすると天井に主翼桁の分だけ飛び出して頭をぶつけるとかを嫌って、大体が低翼であり、高翼はMU2とエアロコマンダーくらいという、ちょっとまれな配置になりました。

一方、エンジン(プロペラ)と地上のクリアランスを広くとることができるとか、客室からの見晴らしがいいとかも決定の要素に入っていたと理解。

結局はMU2の特徴的な翼により、高翼が妥当となったのだと推理します。わざわざ胴体の側面にバルジ(フェアリング)をぽっこりつけて主脚格納のスペースを作ってまで高翼にするというのは、それなりの利点があったんでしょうねー

機体上面のフェアリング(主翼桁の流線形の覆い)と側面のバルジが特徴的なMU2
https://www.the-blueprints.com/blueprints/modernplanes/modern-m/85701/view/mitsubishi_mu-2j/
 

 

さて翼型ですが、一見おとなしい、微妙にテーパーをかけた直線翼ですが、層流翼を採用し、かつ競合機に比べて小さめなのですよね。つまり、抵抗減、重量減で、いったん飛び上がっちゃえば高速飛行などには適しており、事実後発のターボプロップ機キングエアとかに比べても高速だったらしいのですが、はっきりいって操縦むずかしくなってね?と心配します。

速度も重要だけれど、着陸性能も劣らず大切のところ、MU2はSTOL性能でも競合機を引き離していました。

どうやったの?強力なフラップを装備して、ふだんは高翼面荷重のくせに、特に着陸時は翼がぎゅーんと伸びて大きくなったかのようなエフェクトを可能にしました。

ただ、無理やりフラップで着陸性能を確保しようとしたため、ふつーのように翼の中ほどまでのフラップでは足らず、翼後縁全体に伸びたものすごく長いフラップになってしまい。

それじゃ補助翼はどこに行ったの?つけることができませんでした。ははは

 

そこでMU2の特徴その3:スポイラー

補助翼の代わりに、スポイラーというものを翼の上面に設置しました。

ふつーの翼(上)https://br.pinterest.com/pin/775956210785738173/
とMU2の翼(下)https://siregar3d.com/category/mitsubishi-mu-2/
 

 

グライダーみたいなMU2。補助翼がなくなった分アドバースヨーとかも減少したとのことですが、やっぱり補助翼とスポイラーでは飛行機に与える挙動は違ってしまい。のちのち事故多発、と言って怒られるのであれば、複数の事故を巻き起こす原因になってしまいました。

それでも、MU2がにがてな着陸時の低速飛行や、スポイラーによる操舵レスポンスのずれや遅れを乗りこなせるパイロットたちからは、「ホットロッド」だ!と好まれたそうです。ホットロッドというのは、軽い車体にでかいエンジンを積んだスポーツカーの一種で、爆走できるが安定性は。。。みたいなののことらしい。

ホットロッドhttps://www.dragzine.com/features/car-features/ron-clarks-outrageous-bugzilla-blown-radial-tire-vw-bug/
 

 

MU2はいったんスピードが出ちゃえば安定性もあるし、操縦性もよかったらしい。ただ、旅客機で着陸安定性に難が、というのは痛い失点ですねーこれがなければ1000機以上売れていたかもしれん。小さな翼で、無理やり着陸滑走距離を少なくしようとしたひずみが出てしまったのだと理解。

ベルリン管弦楽団の著名な指揮者カラヤンが、訪日したときに、コンサートもそこそこに「MU2に乗りたい」と三菱の工場に乱入したこともあり。コクピットに乗り込んで、ゼロ戦乗りだぞ!みたいにニタニタしていたのかもしれん。

ドイツ人は、MU2のことを「零戦の三菱が生んだ名機」としてかなり好奇の目と言って悪ければ尊敬のまなざしで見ていたらしい。

日本人に好意的なカラヤン。 https://skawa68.com/2024/08/03/post-62765/
 

 

その4 与圧、その5 尾翼と、その6 チップタンク

MU2は、円形断面の胴体で効率的な与圧(与圧そのものが当時はゴージャスな装備)、翼端チップタンクで翼端渦を整流するなど、クレバーというか危ういというか、その辺は日本人にしかできない繊細なバランスのある飛行機になりました。特に、高翼のくせにT字尾翼ではないふつーの尾翼にして、ディープストールを防いだあたりは三菱くらいしかできないまねかもしれません。ほんらいは、T字尾翼にしないと主翼からの乱流を受けて尾翼が効かなくなっちゃうところ、乱流があたらないうまい位置で設置というのは、地味に見えてなかなか看過できない技術と思います。

主翼からの乱流をうまく避けた尾翼の設置。

jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/13/143/13_143_396/_pdf
 

 

注目は、チップタンクの取り付け位置や整流フィンの設置などで、翼の「上反角効果」を調整していたこと。タンクの位置をぶら下がる感じにしたことで、「横 の飛 行 性についてのパ イ ロッ ト・コメ ン トは 好 評 で あ っ た(外部リンク:Jstage)」とのこと。

 

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1969/22/247/22_247_405/_pdf
 

 

https://www.mu-2aircraft.com/images/History_Veley_0229-web_optimized.jpg
 

 

記事がでかくなりすぎなので、この辺でおわりに。スポイラーはともかく、文句なく名機のMU2でした。

ではでは

 

Posted by 猫機長
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前が見えない➁ 旅客機の風防

 

 

その①についてはこちらをご参照→前が見えない
今回は、旅客機の風防について投稿します。
黎明期の旅客機は、風防なんてなくて吹きさらしで飛んでいましたが、そのうち飛行機のスピードが速くなり、高度も上がったりしていくうえで、すっぽり操縦者を覆う機体と風防に進化しました。

黎明期の旅客機 https://www.ne.jp/asahi/airplane/museum/cl-pln8/DH66.html
 

といっても、最初はユンカース旅客機みたいに、機体には操縦者も覆う天井があるのに、なぜか操縦席だけ大きく天井をぶち抜いて、風防には申し訳程度の透明な板をくっつけたみたいな謎の飛行機も生まれ。

TYO magazine » 世紀をこえ、歴史的航空機が復活!──「ユンカース F13」 (tyo-m.jp)
 

 

Rimowa’s beautiful Junkers F13 flies for the first time | British GQ | British GQ (gq-magazine.co.uk)
 

 

ここまでやるんだったら全部覆えばいいじゃん、ということでハンニバルみたいな感じのが生まれました。
とくちゃんのプラモの部屋・プログ – 楽天ブログ (rakuten.co.jp)https://plaza.rakuten.co.jp/tokuchanplamo/diary/200611110000/
 

 

この当時はガラス・プレキシガラスの曲面加工とかがまだまだ未発達で、風防も窓枠ありすぎみたいなのが多かった。

エアスピードAs6Aエンヴォイ https://i.ytimg.com/vi/0eeUetkIz1o/maxresdefault.jpg
 

 

ちょっと脱線ですが、その後加工が比較的容易になった第二次大戦でも、一部の飛行機は曲面を極力避けて平面のガラスを窓枠で結合していた。

JU88 https://www.ne.jp/asahi/airplane/museum/cl-pln4/290Ju87.html
 

 

零戦 https://onemore01.blog.ss-blog.jp/2015-11-15-1
 

 

東海 パブリックドメイン
 

 

曲面ガラスだと光が乱反射して全然透明にならず。海面下に身をひそめる潜水艦を目視で発見するために作られた東海など、典型的な「曲面ガラス大嫌い」の飛行機になってしまったらしい。
旅客機の場合は、上だの後ろだの下だのを見る必要はなく、ちゃんと離着陸できて前が見えればいいやということで、機首のガラス部分も次第に必要最小限のものに効率化されていった。ドラゴンラピードからエレクトラへの変遷で見て取ることができます。

https://www.mailexperiences.co.uk/de-havilland-dragon-rapide-flight-over-london
 

 

ロッキード エレクトラ https://www.hobbyland.jp/shopdetail/000000103144/
 

 

このへんで、だいたい現在に通じる旅客機の風防のスタンダードが生まれたというか定着し始めました。
スタンダードと言えばDC3。

https://airlegend.fr/aircraft/dc-3/
 

 

まず、流線形の丸い機首。そして、操縦者にすっぽりかぶさる感じで風防と天蓋が設置された。

http://hikokikumo.net/Z-14-Senmonka.htm
 

 

似たようで個性のある旅客機たちの機首と風防はこんな感じ

ボーイング247 https://flightsim.to/file/34658/boeing-247-fast-western-airlines-fwa18
 

 

ビーチクラフト モデル18 https://i.ytimg.com/vi/NjJ05D0YR-c/maxresdefault.jpg
 

https://aviadejavu.ru/Images6/MA/MA95-2/o2-4.jpg
ロッキード スーパーエレクトラ
 

 

三菱MC20旅客機 https://www.ne.jp/asahi/airplane/museum/cl-pln8/MC-20.html
 

 

しかし、雨だろうが雪だろうが既定の路線を飛んでいかなければならない旅客機にとって、「風防に水滴や雪などが吹き付けられて、前が見えなくなってしまう」というやばい問題が生じ。
しょうがないので、せっかくコクピットに守られたパイロットが、風防のサイドウインドーを開けて顔を出し。びしょ濡れになりながら操縦というケースも多々発生してしまいました。
どうしよう。。。。
ワイパーが実用化されたのは第二次大戦くらいかららしい。
連合国勝利の立役者となったDC3が、ワイパーを設置して、雨だろうが雪だろうが元気いっぱい飛び回った。
ちなみに、日本にもDC3のライセンス版である「零式輸送機」がありましたが、こちらにはワイパーはなくて、戦後になってから日本の高空会社が購入した舶来のDC3に「あああこんな便利なものがあったのか!」と大喜びしたといううわさもあり。
まだワイパーのなかった戦前の30年代とかはどうしたのかというと
「風防に逆傾斜をつけた」
ボーイング247が典型的です。
まずは通常型から

https://flightsim.to/file/34658/boeing-247-fast-western-airlines-fwa18
 

 

逆傾斜をつけたのはこちら

https://www.tedwilliamsaviationart.com/profile-art/boeing-propliners/boeing-model-247-united-air-lines.html
 

 

この結果雨や雪が風防に貼りつかなくなって大喜びだったそうです。でも、機体強度だの空気抵抗だのではやはり無理があるらしく、ワイパーにとってかわられて今日にいたっています。

777のワイパー 縦ワイパーと横ワイパー: 風の探検隊 (air-nifty.com)
 

 

飛行機にとってなにより命なのがスピード。
でも、スピードだけでロクに前がみえない、操縦できない、というのでは困るので、パイロットの視界をよくする必要もあり。
結果、風防ガラスの位置や角度が色々と工夫されて、いろいろな旅客機の特徴的なツラがまえというか機首ができてきました。
も一度DC3ですが、やはり世界の名機だけあって、必要なものが必要な大きさと形で、と理解します。

http://hikokikumo.net/Z-14-Senmonka.htm
 

 

DC3の風防は、すとんと切り立った小さめのものが、大きくラウンドした天井にくっついており。重く、あつかいにくいガラスの使用面積を最小にしながら、空気抵抗の増大を抑えています。最新の旅客機では、機首と風防の段差がなくのっぺりとしています。空気抵抗の面ではこの方がいいのでしょうが、斜めにすればするほどガラスの面積も増えるわけで。さらには機体と一緒に曲面に整形しないとかえって空気抵抗増大になってしまいますから、整形しても軽く破損せず、かつ偏光して視界がゆがむということのない、最新技術があって初めて可能になったものと思われます。

https://air.theworldheritage.com/htm/htm_flame/flame_ERJ175.html
 

 

DC3から今日までの過渡期の例でYS11があり。当初のっぺり型を目指したが、やはり段差をつける方がよいということになり。確か3回ほど設計変更して最終的な形が決定された。

_pdf (jst.go.jp)
 

 

すずめや鷹など、鳥の頭はだいたい段差型をしており、個人的にはこれが一番効率的かなーと思うのですが、段差のない「機首一体」のも存在しています。

段差のないのもいる。https://medium.com/@VIVIMETALIUN/especial-tipos-de-tucano-6243f5f99434
 

 

グライダーも一体型が多い。

こういう風防で、乱反射とかないのだろうか?(PIXABAY無料画像)
 

 

とにかくスピードを出したい偵察機で、段差型から一体型に移行したのもあり。でも、「視界の歪みや夜間飛行時の内面乱反射の発生(Wikipedia)」で評判は良くなかったらしい。前期型の最高速度604キロから、段なし風防では630キロに向上したというのですが、エンジン出力も1080HP X2から1500HPX2と劇的に向上していますからねー風防の変更がどこまで役にたったかはなぞと思います

新司偵の初期型(上)http://www.hasegawa-model.co.jp/product/02243/
と後期型(下)http://www.nags-gallery.com/gallery/ki46.htm
 

 

大型機になると、空気抵抗以外の理由で、段差なしの一体型になることもあり。
例えばB29の場合、もちろん空気抵抗もあったが、通常型の機首上部に、というのだと、離着陸時に地面がみえなくなってしまい。B17で相当苦労したのか、B29では降着装置も前輪式にして、その点は離着陸がそうとうやりやすくなったとは思いますが、巨人機できびきびした取り回しの難しいB29だと、機首全体を温室みたいなガラス張りにして、地面を見やすくしたというのはあると理解します。

B29 パブリックドメイン
 

 

B29の着陸 https://www.youtube.com/shorts/zB4_tSsUJWA
 

 

B17やハドソンとか、段差式の機体でも機首はガラス張りにして照準器を置いていた。B29では、操縦席も一緒にしちゃえ!ということだったらしい。
あと、B29の場合は、与圧設備の都合があり。段差式にして照準手と操縦手を離してしまうと、効率が悪くなり設備も複雑になってしまったものと思われます。
他には機体の上部銃座の射角を確保したいというのも聞きます。
「空軍大戦略」でみんなおなじみハインケル爆撃機も、初期型は段差式だった。

初期型 https://www.gettyimages.com.br/fotos/heinkel-he111
 

 

後期型 https://www.gettyimages.com.br/fotos/heinkel-he111
 

 

与圧はないけれど、大体B29と同じ理由で「全視界操縦席」になったものと思われます。
戦後の旅客機全盛時代に戻ると、B29の民生型であるB377が機首と一体の風防になり。照準手の必要はないので、操縦席も前に移動し、ガラスの枚数も減りました。

B377 https://united-states-lines.org/boeing-stratocruiser/
 

 

ところが、ここでパラダイムシフトが。
これまでの飛行機は、とにかくパイロットの目を頼りに飛んでいましたが、戦後になってレーダーが普及し始め。
パイロットの肉眼ではとても見えないなん百キロ先の積乱雲とかを探知できるようになりました。
ただ、レーダーは飛行機の先端に付ける必要があり。というか、そうしないとぜんぜん非効率になってしまうのです。
そこで、軍用、民間問わず、飛行機の先端には「レドーム」がつくことになり。レーダーが格納されているコーン(電波透過性に優れた特殊な塗料で塗られているため、ふつー黒いです)の部分を操縦席の前にして干渉を防ぐ必要が生じた。
こうして、段差つきのコクピットが復活しました。
代表的なのがコンステレーション(ただし初期型はレーダーなかったらしい)

https://www.loughborough-raes.org.uk/ewExternalFiles/120313%20Beneath%20the%20Skin.pdf
 

 

https://www.europeanairshows.co.uk/aviation-anniversaries/july/lockheed-l-1049-super-constellation-first-flight
 

 

その後のDC8とか、ボーイング707,727,737とか、いずれもDC3ちっくな段差つきになっています。特殊な塗料もいろいろな色ができるようになり、現在の旅客機は機首も機体と同じ色ですが、その先端はレドームであり、レーダーが収まっているのです。さらに時代は進み、現在はまた段差のない形に回帰しつつあるようですね。でも、個人的にはやっぱりDC3みたいなメリハリのある段差式の機首がかっこいいと思っています。

 

ではでは

Posted by 猫機長
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プロペラの話その2

以前「殺人装置プロペラ」というお題で投稿しましたが、今回は、「枚数」をお題に書いてみます。

「プロペラ機」でイラストACの無料画像を検索したら、こんなのが出てきました。

ふつー、プロペラ機そしてプロペラというとこんなイメージなのですよねー

しかし、こうした2枚羽のプロペラというのは、実はそれほどふつーではなかったりします。

*(これから、気分次第で羽、羽根、翅、という言葉が出てきます。ご了承ください)

ではどんなのがあるというと、プロペラ旅客機の代表というべきATRは、6枚だったりします。

https://trafficnews.jp/post/122302
 

US2飛行艇も6枚

https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/206908
 

セスナキャラバンみたいな単発機では5枚

http://www.mt-propellerusa.com/en/mtusa/news.htm
 

じゃあ、きょうび5,6枚がスタンダードなのかというとそうでもなく。

ぼくの乗っている小さな軽飛行機は3枚だったりします。

 

 

ふむふむ、エンジン出力とプロペラの枚数は関係してそうだぞ。。。

でも、そっちのまえに、そもそもプロペラがどうやって飛行機を前進させる推力を生むのかを説明します。

プロペラというのは、要すれば翼である。プロペラをすぱっと真ん中でぶった切ると、その断面は飛行機の主翼そのままだったりします。

【飛行機のプロペラ】断面みたことある?どうしてねじってあるの?


 

 

主翼は、前縁を飛行機の進行方向に向けて、上への揚力を得るのに対し、プロペラは飛行機の進行方向と直角にして、揚力が飛行機を前へ引っ張る推力としてはたらくようにしたものである。

翼が揚力を生む原理 https://www.jsme-fed.org/experiment/2010_2/002.html
 

 

 

ただ問題があり。

プロペラは回転体であり、先端と根本では1回転当たりの周回距離が全く違っている。

皆さんが体育でトラックを周回させられた時、みんなトラックの内側に寄って行くのは、内側のほうが走る距離が少なくて済むからなのでした。あたりまえだけど。

イメージ図 https://www.nikkei.com/article/DGXZZO57951280R30C13A7000000/
 

 

周回距離が全く違うが、一回転にかかる時間は根本だろうが先端だろうがおなじなため、結果根本が回転するスピードと先端が回転するスピードも全く別になってしまい。

下記の図では、根本は129ノットなのに、先端は389ノットと倍以上になっています。

【飛行機のプロペラ】断面みたことある?どうしてねじってあるの?


 

 

ということで、プロペラは根本と先端で迎え角を変化させて(ねじって)均一な揚力を生むようにしてあるのでした。

もいちどプロペラの図。ねじりに注目 https://www.hikouki-pilot.com/prop-twist-reason/
 

 

翼そのものもすごい発明だけど、プロペラって世紀の発明ですよねーどうやったらこんなことが思いつくんだろうか?

この原理を世界で初めて思いついたのはダヴィンチらしい。プロペラというよりスクリューかもしれんが。

ダヴィンチのヘリコプター。天才はちがいますねえ https://urabe-fas.com/pct_3Dcl_heli.html
 

 

さて、プロペラの発明で飛行機に推力を与えることに成功した人間。最初は左右のバランスから必然的に2枚羽になり。

エトリッヒ・タウべとかブレリオとか、みな2枚ブレードでした。

まだ翼のからくりがよくわからず、鳥の真似をしたデザインでごまかしていたエトリッヒ・タウべ。https://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000024832/
 

しかし、ここでも課題が明らかに。

写真は97戦のプロペラですが、ごらんのとおり、片方のプロペラの180度前には別のプロペラがあり。あたりまえだけど。

https://www.webmodelers.com/202403Photo97sen.html
 

 

でも、それは片方のプロペラが作った乱気流の中をもう一方が必然的に通過するということであり、乱気流に乱されてせっかくの推力が。。。となることを意味していた。

じゃあ一枚羽にすればいいじゃん?

ちゃんと一枚羽のプロペラもあったりします。

https://www.quora.com/Why-do-propellers-have-two-three-or-four-blades
 

羽根の反対側はバランスをとるために重しをいれているらしい。ははは

https://www.aopa.org/news-and-media/all-news/2018/november/pilot/singular-sensation
 

 

ちゃんと飛ぶから大したものである。ただ、飛行当日の湿気(湿度)とかの状況によっては、カウンターウエイトの調整をしなければならないなどで、めんどいらしい。

ところが、ウケ狙いではなく、実用上1枚翅のプロペラとしているのがあります。

それが「モータグライダー」

モーターグライダーでも、機首にエンジンとプロペラのある軽飛行機みたいなやつと、胴体内に引っ込み式のプロペラとエンジンを格納する形式のやつがあり。

軽飛行機みたいなやつhttps://flyteam.jp/photo/2385820
 

 

引っ込み式プロペラのグライダー https://www.jetphotos.com/photo/8318664
 

 

上の写真は二枚翅ですが、胴体に格納するスペースの観点から、一枚翅の奴もあるらしい。

https://x.com/shinabamorotomo/status/1373426656983937029
 

 

モーターグライダーみたいな特殊なのはともかく、飛行機の黎明期では、結局は乱流だのなんだのはそれほど影響なく、ふつーに2枚翅がスタンダードになった。

そのうち、エンジンのパワーが向上し、飛行機のスピードが速くなっていくにつれ、推力の主体であるプロペラも長くでかくなっていった。

ここで新たな問題が。

でかいプロペラというのは、すなわち直径の長いプロペラです。

でも、直径が長ければ長いほど、根本はともかく先端の速度はすさまじいものとなり。

プロペラによっては、なんと先端の速度が音速を超えてしまうという現象が起きてしまうことに。

音速を超えると、衝撃波とかが発生して、たちまちかんじんの推力がガタ落ちになってしまうのです。

こまった、どうしよう。。。。

そこで、プロペラの枚数を増やすことに。一枚一枚は短くして、先端でも十分効率的な速度に抑え。

でも、枚数が増えれば、増えた分だけ前のプロペラが作る乱気流で各ブレード(羽根)の効率は落ちてしまい。

要すれば、二枚から3枚翅にしたとしても、単純に1枚分推力が増えるというわけではないということである。

それでも、エンジンが強力になり、というか飛行機自体が単発機でも大きく重くなるにつれ、2枚翅では必要な性能が得られなくなり。次第に翅の枚数は増えていきました。効率が落ちる分はエンジンパワーでぶん回して補うという力技でしのいだ。

同じ飛行機でも、改良されるに従い、プロペラ枚数が増えっていったのもあり。

例えば隼。I型では2枚だったものが、II型以降は3枚になった。

写真上がI型、下がII型
https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/1343/583/html/001.jpg.html
 

 

これがスピットファイアになると、なんと当初の2枚から

https://imodeler.com/2020/02/do-i-really-need-another-spitfire-in-my-collection-oh-yes-or-how-an-old-dream-came-true/
 

英国の戦いでは3枚に

https://imodeler.com/2020/12/airfix-supermarine-spitfire-battle-of-britain-addons-1-72/
 

その後4枚になった。まあこのくらいならよくある

Indestructible Paint Helps To Protect Iconic Aviation


 

 

それでも、まだ気が済まないぞ!5枚翅だ!

https://modelingmadness.com/review/allies/cleaver/gb/tmc14.htm
 

最後には、2重反転プロペラという狂った行いに及びました

https://www.airliners.net/photo/Untitled/Supermarine-389-Spitfire-PR19/776890
 

戦時中に2重反転プロペラの技術を実用化した米英恐るべし。

というか、ここまでくると、プロペラ回転のトルクがものすごく。2重反転にしてそれぞれのトルクを相殺しないと、機首を振ってまともに飛べない飛行機になってしまったらしい。

2重反転プロペラはなかなか妙味のある装置なので、別の機会に書かせていただきます。

日本機の場合は、残念ながらエンジン馬力がそれほどなかったので、最新鋭の誉エンジン搭載でも4枚翅にとどまった。

https://hephaestus.kan-suke.com/hayate02.htm
 

 

*試作機では「震電」みたいな6枚のやつもある

https://natalie.mu/eiga/gallery/news/548974/2188980
 

 

ちなみに零戦は初期の生産から3枚ですが、これは試作当時2枚で飛行したら変な振動があり。3枚にしたらなくなったというのが理由らしい(吉村昭の「零式戦闘機」に書いてあった)。

こうして、エンジンのパワーアップと機体重量の増加に対応して、プロペラの枚数は順次増えていき。現在では8枚翅なんてのも飛んでいます。

枚数が増えるほど、一枚あたりの効率は落ちたとしても全体としてのトルクは上がるらしい、ということで、エアバスの輸送機では、後退翼に8枚プロペラ、といういかにもいまどきな技術のミックスになっています。

https://mail.gisli.mx/?o=solutions-found-for-a400m-engine-problems-aviation-international-news-cc-a9Zx9hA
 

 

https://www.aviationwire.jp/archives/61069
 

トルクは軽飛行機にとってとても重要で、田舎の小さな滑走路で、とにかく短い距離で離発着しなきゃ!というかわいそうな貧乏人の飛行機では3枚翅のが多く。

 

一方、長距離を短時間で飛んで、やれ今日は浜辺でロブスターだ、明日は内陸でバーベキューだ、というハイソサエティーの乗るハイソな軽飛行機は、2枚翅で高速巡航に適したのが多い。

空のフェラーリ、RV9 https://aeropedia.com.au/content/vans-rv-9/
 

 

きょうび、ジェット機が我が物顔で飛んでいますが、やっぱり飛行機はプロペラじゃなきゃ。。。。

3000字を超えました。この辺でおしまい。

ではでは

 

 

Posted by 猫機長
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与圧の話

いつぞや、サッカーのW杯予選で「ブラジル対ボリビア」をやっていました。

6対0とか、ブラジルの圧勝と思っていたら、当初は機敏に動いていたブラジルの選手たちが、しだいにふらふらよたよたとくたばっていくのです。

ボリビアの方は終始元気いっぱい。

結局、2対0とか、ブラジルは勝ったけれど、なんか物足りない結果に。

ブラジルの選手は試合後「お前はもう死んでいる」状態になっていました。

高度3000メートル近いラパス市での試合で、富士山の8合目を走り回るのと同じになり。ブラジル選手は酸欠を起こしていたのです。

ボリビア人は、現地人の強みで、血中濃度が高まっていたらしい。

Elenco da Seleção Brasileira 1982


 

 

飛行機でも同じことが起こります。

ぼくが乗っている軽飛行機だと、高い時で7500フィート、すなわち2500メートルくらい。

この程度だと、寒いけれど、呼吸とかはぜんぜんふつーです。

3000メートルを超えると、サッカーみたいな運動をしなくても判断力が鈍り。これ以上の高度は酸素マスクとかが推奨されるらしい。ぼくはそれほど上がったことがないから知らないけど。

でも、パイロット以前に飛行機が悲鳴を上げ始めます。

高度を上げると、飛行機の過給機に十分な酸素がいきわたらず、エンジンの出力が落ちてしまうのです。

こうした状況を逆手にとって、偵察機とかは戦闘機の上がってこれない高度を飛ぶことができるようにしたのが多い。

その好例が「SR-71」。

Pixabay無料画像
 

 

実用高度25,929mと、飛ぶ高度が高すぎて、パイロットも生身だとたちまち窒息したうえ凍死してしまうので、宇宙服みたいな飛行服で保温し、酸素をいきわたらせるなどしています。

https://airandspace.si.edu/multimedia-gallery/08awinterjan2022interview-pressuresuitlivejpg
 

 

 

日本の「百式司令部偵察機」では、別に与圧服があるわけでないのに、酸素マスクと闘魂でアメリカのB29と同じ1万メートル近くまで上がってがんばった。

B29のほうは、やっぱり宇宙服か?

いやいや、半そで半ズボンとかで飛んでいたという記録があります。

なぜだ?B29搭乗員は、メチールでもきめて、狂乱していたのか?

いやいや、ある工夫で、B29の機内は、地上とあまり変わらないように調節されていたのです。

その調整の秘法が「与圧」。

エンジンで空気を圧縮し、なんとか人間の生き延びられる気圧、温度、湿度にしたうえで、畿内に導入しているのです。

地上と同じ1気圧にしようとすると、エンジンの推力が与圧の維持に取られすぎるなどして非効率なので、だいたい0.7気圧から、最近は0.8気圧まで上げることができるようになったらしい。

1万メートルの上空では、温度は―50度、気圧は地上の4分の1なので、いかに強力に与圧されているかということですねーそれでも何とか高度2500メートルくらいの気圧に持って行っているということなので、地上にいるのに比べて相当乾燥し、かつ酸素濃度も70%くらいまで下がってしまい。乗客も、何もしなくてもふらふらし始め、気が付いたら寝ちまってた、というのも多いと思います。

畿内全体を与圧できるようになったのは、戦前にもボーイング307とかあるにはあったが、実態上は戦後になってから。

B29の場合は、操縦区画や、銃手のいる区画に限定して与圧していた。

Pixabay無料画像
 

 

https://www.quora.com/Was-the-B-29-pressurized
 

 

https://www.sun-inet.or.jp/~ja2tko/jap/jap.b29/b29no2.html
 

 

ちなみに、日本の百式司令部偵察機のスケルトンはこんなかんじ


もちろん与圧はなし。
 

 

その与圧の経験が戦後の花形マンモス輸送機であるコンステレーションやB377,DC4などに生かされました。

与圧が大量高空輸送にとっていかに重要であり、しかし困難かつセンシブルな先端技術であったか。与圧の失敗がいかに重大な被害をもたらすかというのに、コメット旅客機の連続事故があります。

コメット旅客機(パブリックドメイン)
 

 

 

戦後、「最後のレシプロ旅客機」と言われたボーイング377が、B29譲りの機体とB307 からの集大成である与圧設備で世界の空を制覇していたころ、与圧の技術を会得しつつあった英国が、満を持してコメット旅客機を開発しました。

先進的な後退翼の4発ジェット旅客機で、さしものB377も時代遅れになったか?

がしかし、コメット旅客機に連続して重大な空中分解事故が発生。

乗員も乗客もみんな4んじまうので、原因究明にも苦労し。

それでも、そのうち、与圧が事故の原因であることが明らかになり。

与圧した飛行機というのは、機内の圧力が外気に比べて異常に高くなっており。要すれば風船がぱちん!と破けちゃうみたいな、一歩手前にあるのを、機体の骨組みだ外皮だとかで無理やり抑えこむことになってしまい。

風船に針、と同じとは言わないが似たような感じで、穴が開きでもしたら、そこから亀裂が走り、機体が破裂してしまうことが分かった。

そして、穴が開く重大な原因の一つが「四角い窓」

 

 

つまり、窓の鋭角(角)の部分に圧力が集中して、ひびが入ってしまうのである。

アメリカ側は、四角い窓の危険を知っていたのか?B377では、まるい窓のバージョンが多かった。でもユナイテッド航空などの使用していた機体は四角い窓だし、四角と丸の混合した機体もあり。ボーイングもまだ試行錯誤だったらしく、別にアメリカが英国に与圧の情報を出し惜しみしたから発生した事故ということでもなさそうである。

https://flyawaysimulation.com/images/add-ons/18640/b377-lia-1zip-1-image.jpg
 

 

上部キャビンが角窓。下部キャビンが丸窓の例。
https://www.airliners.net/photo/Ghana-Airways-Nigerian-Airways/Boeing-377-10-34-Stratocruiser/92259/L
 

 

四角窓でも与圧に問題を起こさなかったB377おそるべし。これなら、機銃掃射を食らってハチの巣になっても、空中分解とかはせずに、ユウユウと飛び続けるのではないかと思ったりします。

これは、英国の飛行機がひ弱なのではなくて、アメリカの飛行機がどこかおかしいのです。

与圧はアメリカの得意技ではあるけれど、別に専売特許でもなく。

バトル・オブ・ブリテンの段階で、ドイツは超高空を飛ぶJU86という大型偵察機を開発しており。

高度1万2千メートルという、泣く子も黙る高空性能で、もちろん与圧室を備えていました。でも、乗員は2名のみで、全長17メートル、全幅25メートルという大きな機体(東京を初空襲したB25くらいの大きさ)になんとか2名分の与圧設備を搭載できた。

https://i.pinimg.com/originals/df/31/ce/df31ceee9dd35f3290c06e15dd46bd07.jpg
 

 

ttps://br.pinterest.com/kadyshevks/
 

スピードは時速400キロくらいで、遅くはなかったけれど速くもなく。ディーゼルエンジン搭載とか、なかなか妙味のある機体なのでいつか詳しく書いてみたいですが、そんな与圧装置付きの不思議な飛行機が存在しており、大戦中期にイギリスが高高度型スピットファイアを開発するまでは、1400キロの航続距離を生かして、のこのこと敵地上空に侵入し。

JU86を追っ払った高空型スピットも与圧装置を備え。2重の風防をスライド式ではなくねじ止めにしたりとか、与圧隔壁をコクピットに新設したとか、いろいろ工夫し。実はあまりうまく作動しなかったらしいのですが、英米は電熱服や酸素吸入など進んでいたので、パイロットも、あああ!ちびってあそこが凍っちゃった!壊死だ!なんてならずに済んだらしい。

 

B29を迎撃した日本の屠龍だの雷電だの飛燕だのは、作動するしない以前にそもそも与圧がなく。米英に比べ粗末な飛行服でよくぞ成層圏まで上がれたものと思います。リポビタンDでも飲んで、「ガンバラナクッチャ」と、はっちゃきになって飛んで行ったんでしょうねえ。

ガンバラナクッチャ

 

 

与圧のなかった大戦中の戦闘機でも、米英のは「気密性」がよく、要すればキャノピーを閉めれば寒い外気は100%遮断され、エンジンの熱でそこそこ暖かかったらしいです。

日本機はどうだったでしょうか。なんか「ブラックな職場」という言葉が浮かんできてしまうのは、ぼくだけでしょうか。

ああ無情。。。

ちなみに、ぼくの乗っている軽飛行機は、ぜんぜん気密性がなく、隙間風吹きまくりで、冬は凍えます。。。

小さな飛行機に乗っています
 

 

いまどきの旅客機は、素敵女子のCAさんがにこにこと機内食を配り、映画だなんだと、あたかもお家の居間にいるような感覚にしてお客をけむに巻いていますが、舟板一枚下は地獄じゃなかった、隔壁一枚裏は。。。。なので、理解して乗りましょう。

もちろん、隔壁が破れたりすると、遺族への補償でエアラインはつぶれるし、同型機は一斉に飛行停止とかになってしまうので、絶対隔壁が破れない構造になっているのが現代の飛行機ではあります。

最後はおどかしてしまいました。まあ、隔壁なんてない軽飛行機に比べれば、ジェット旅客機は急減圧とかが起こらないとは言えないけれど、全然大丈夫ですよーと、皆さんの飛行機旅行を無責任にけしかけて、結びといたします。

 

ではでは

Posted by 猫機長
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短距離ランナーがマラソン走者になった話

飛行機マニアなら「スピットファイア」という言葉はご存じと思います。

「英国の戦い」でドイツのメッサーシュミットBf109戦闘機をやっつけてドイツ軍の怒涛の進撃をくいとめ。英国がドイツに占領されずに生き残る上で決定的な貢献をした殊勲の戦闘機です。

Pixabay無料画像
 

 

でも、実は空戦そのものはメッサ―と一進一退だったらしい。

メッサ―を追い払ったように見えて、実はメッサ―の方で燃料切れになり、お家に帰らなきゃ。。。と退散していったので、いかにも「制空権を確保しました」というふうになった。

この当時、ヨーロッパの戦闘機は軒並み航続力が少なく。大陸内で飛んでいるうちは、燃料切れになっても、彼我入り乱れた前線のそこかしこに味方の補給施設もあったので、存分に空戦して、燃料切れになったらそのへんに降りましょう、ですんでいた。

太平洋のぽつねんとした島々を飛んでいた零戦とかとえらい違いですねーちなみに、零戦乗りが一番ほめるのが格闘性能でもスピードでもなく「安心していって帰ることのできる航続力」だったそうです。

零戦の偉大さがここに明確となります。元来、3000キロなんて航続距離を得るためには、燃料積みすぎとなって直線飛行もままならないはずなのに、満タンでも米英の新鋭機と互角に格闘するという狂った戦闘機になっています。要すればマラソンランナーなのに短距離選手の瞬発力も併せ持つバケモノでした。(バケモノになれた悲しい理由はこちら→グラマンと零戦)

代わって、スピットやメッサ―は、航続距離は925キロくらいしかなく。そのぶん機体、エンジンに振り分けることができて、これ以上ない俊敏な短距離選手になりました。

さて、英国の戦いではドーバー海峡が大陸と英国の間に横たわっており。直線距離で34キロと、短いようでいてその先は敵地であり。この時押せ押せで英国領空に殴り込んでいたドイツ機は、被弾しようがどうなろうがこの海峡を飛び越えないとそこで終了となってしまうので、勝っていても途中で背を向けて帰るしかなくなり。

スピットの方は文字通り自分の家の庭で戦っていたので、よゆうよゆう!でした。

連合軍戦闘機の行動半径の増加 http://ktymtskz.my.coocan.jp/E/EU5/bomb3.htm
 

 

こうして、防空戦では大活躍したスピットですが、攻める方になるとやっぱりからきしダメになり。長距離爆撃機についていくことができず、戦闘以前にそもそも戦場そのものに到達できずに、丸腰になったB17など爆撃機が大被害を受けることになってしまいました。

でも、戦闘機としての性能は申し分ないので、英国人はいろいろ考え。

「そうだベルリンに行こう」ということになりました。

その距離960キロ。八丈島から「そうだ京都に行こう(806キロ)」というのとまあまあ似たような距離である。

でも、これってスピットの最大航続距離じゃん?ベルリンまでいけないことはないけれど、そこでエンコだよ?

そこはイギリス人で、いろいろやって、航続距離を倍増した、スピットの長距離偵察型を作り上げてしまったのでした。

まずは、重量物を廃棄した。

敵と会っても、正面からドンパチではなく、逃げるが勝ちだ!が任務なので、重たい防弾装置や、機銃などはぜんぶ下ろしてしまった。

この結果、偵察型スピットの風防はすっきりというかのっぺりというかになり。

通常型の風防(上)https://togetter.com/li/1146070 と偵察型(下)https://ammonaitoh.blog.fc2.com/blog-entry-841.html の風防
 

機銃を取っ払ってスペースができた主翼の前縁の先っちょから胴体との接合まで全部燃料タンクを増設した。

機銃がなくなってすっきりした主翼前縁 http://blog.livedoor.jp/hyamagu3/archives/52270196.html
 

 

 

これだけで航続距離は倍増し、2254キロまで伸ばすことができたらしい。零戦の3350キロよりまだ少ないけれど。。。

それでも気が済まず、主翼下胴体中央に半月型の増設タンクを設置。

https://www.webmodelers.com/202308Kotobuki.html
 

 

一方、無理やり航続距離を倍以上にしたため、油温や油圧がやばくならね?とオイルタンク容量も増大しなければならなくなった。

この結果、スマートな曲線を描いていた機首下部のラインが、なんかぼっこりしたさえないデザインになってしまった。

https://ammonaitoh.blog.fc2.com/blog-entry-841.html
 

 

さらに、重量のバランスをとるためか微妙に尾部を延長し、垂直尾翼の形もへんなとんがり気味のかんじに変更。

https://majo44.sakura.ne.jp/planes/spit9/10.html
 

 

のっぺりした風防とあいまって、なんかスピットにしてはぼてっとした、痩せてるけどやぼったいスタイルになってしまいました。きっとケイト・ベッキンセイルが化粧を落としたらこんな感じになるんだろうなあ。

ケイト・ベッキンセイル https://www.cc9.ne.jp/~yokota/yoko-index.html
 

 

ところで、胴体下面に穴が開いていますが、これはうんちやお◎っこが出るのではなくて、写真機のレンズ穴なのでした。偵察機ですから。。。

https://www.webmodelers.com/202308Kotobuki.html
 

 

ちなみに、この写真を見て、子猫のおしりぽんぽんを思い浮かべるのはぼくだけでしょうか。生後間もない子猫は、まだ腹筋だのが弱すぎて自分でお◎っこやうんちができないので、母猫がなめなめ、あるいは飼い主さんがティッシュでそこをぽんぽん、と刺激して排出促進しなければならないのですよね。。。


 

 

 

もともと戦闘機なので運動性は抜群。でも燃料いっぱいに写真機、丸腰じゃあ、メッサ―相手に心もとないよねー、ということで、どうエンジンをいじったか、高空性能も充実させることができ。

でも、そのままだとパイロットが凍死・窒息死してしまうので、操縦席を与圧式にした。

このため、風防はねじ止めにして、むりやり圧力差で吹き飛ばないようにするなど、パイロットから見れば恐怖でしかない細工がなされ。でも、与圧なしで1万メートルまで上昇し、お◎んちんが凍っちゃうよりましか、と文句は出なかったようです。

こうして完成した偵察型スピットは、ダムバスター作戦のために重要な情報とかをすっぱ抜いて活躍しました。「遠すぎた橋」で有名なマーケットガーデン作戦(連合軍のオランダ奪還)でも情報収集に活躍したらしい。

動画Spitfire over Berlin https://www.youtube.com/watch?v=ljqPi-aVh8M
 

 

メッサ―の長距離型がロンドンまでお使いに、というのはできなかったようで、米英の飛行機がいかに余裕を持って作られていたかを示すエピソードでもありますねー

偵察型スピットは塗装もPRUブルーとかいうふしぎな色に塗られ、空に溶け込むようにして低視認性を達成していたらしい。でも、模型とか見ると、白黒の「インバージョンストライプ」が入っていて、一目で「あ、あそこに飛んでる」とわかっちゃうという、残念な塗装になっています。

与圧も実はあまりうまく作動しなかったが、幸いエンジンの熱がコクピットにつたわり、酸素はともかく、わりかし快適だったという情報もあり。

スピットのくせに遠出ができる不思議な偵察機。イギリスらしい飛行機のお話でした。

 

ではでは

Posted by 猫機長
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Quoraおもしろ回答

Q&Aサイトで、なかなか面白い質問があり、ちょこちょこ回答していたら、短編みたいな形でたまってきたので投稿します。みんなも各回答のリンクにいって、高評価してね!

あなたが最も好きな戦闘機は何でしょうか?理由と共に説明していただけると幸いです。

ttps://www.flickr.com/photos/sdasmarchives/27396772315/
 

https://www.bnamodelworld.com/model-planes-wolfpack-design-wp14808-1:48-usaaf-seversky-p-35a-fighter
 

 

セバスキーP35です。

引っ込み脚なのに、引っ込んでも車輪が半分以上見えている不思議な引っ込み脚。

そんなできそこないの格納で、メインギアが空気抵抗でまくりなのに、尾輪は機内に全面格納というなぞのこだわり。

視界のために空気抵抗を犠牲にした涙滴型風防なのに、一番肝心な真後ろの視界が機体フレームに隠れて全然みえない。斜め後ろは見えるけど。

パイロットの視界を遮るようなフロントガラスの窓枠。

これでも速度競技機として強かったとか、たぶん競技相手が複葉機ばっかりだったのだと思います。

要するに、まるでできそこないにしよう、できそこないにしよう、と努力して作ったみたいで、こいつ合格!いつか、4分の3レプリカを作って、乗ってみたいななんて夢見ています。

でも、この飛行機が本当に好きな理由は、理屈ではなく、とにかく、かわいいいい!からなのです。

ちなみに、太平洋戦争で零戦にボコられまくったが、うまく積乱雲ににげこみ、というか、積乱雲に突っ込んでも分解しないという驚異の強さを発揮し、ハチの巣状態になりながらもなんとか基地に帰り着いたもの多数といううわさの、頼れるやつでもあるそうです。

 

 

日本刀はなぜ一本の刀を両手で握って使うのですか?世界中、たいていは刀(矛)と防御具(盾)のセットではないでしょうか。それともそのセットでは矛盾を生じてしまうので、具合が悪いのですか?

 

以下はお手軽回答です。詳しくはこちら→日本の剣術に盾がない理由

それは日本人の体格が虚弱なので、片手で刀をぶんぶん振り回す力がないからです。

というのはうそです、ごめんなさい。

猫機長とは、こんな人です。20年前の写真
 

 

二刀流とか片手刀法もあります。

ただし、日本の片手技は、攻め勝っておいて一振り、というのが多く、ぶんぶん振り回して勝機をつかむ、というのとはまた違っています。そういった意味では虚弱体質でもなんとか片手で操れると思います。

実は、武士の本分は弓であり、弓と盾は同時に使えないので、盾から肩当に変化し。

https://www.touken-world.jp/tips/11258/
弓を引くとき、この肩当がいい具合に背後を防ぐ盾になった。
 

 

盾を持つかわりに、刀の鎬で敵の打突を受け(ながし)つつ、敵を切り落とす、両手剣術になったと思います。

二刀の場合は、小太刀で受け、大太刀で切るのが多い。ただし、小太刀は盾というスタンスではなく、あくまで敵の刀をこちらから制し、抑えるという役割になっています。

◎剣道などなど

剣道、居合道、弓道:日本武士道から見た成功とは – アーリーリタイア

 

◎剣道などなどの精神的なうらづけ

精神と知能:幸不幸、成功と失敗を分ける分水嶺 – アーリーリタイア

 

 

小型機のレシプロエンジンはどんな燃料を使っているのですか?着火は点火プラグ、それともディーゼルエンジンのような自然着火ですか?

 

鋭い着眼点で、思わず回答。

基本、ガソリンエンジンです。

点火系のトラブルはピストン機の泣きどころで、近年では電子インジェクションだの工夫はあるのですが、自動車と違ってものの数分でなん百メートルと上昇下降する飛行機のエンジンでは、温度、湿度、密度などが激変するため、下手にコンピュータ化されたシステムだと、変化に追随するのが過剰なストレスになり、厳正な整備をしないと故障の原因になったりするらしい。

今日でも軽飛行機のエンジンが「コンチネンタルザウルス」つまり第二次大戦前からあまり変わらないライカミング社やコンチネンタル社製が主流なのは、ローテクのほうがかえって故障しないとかがあったりするのです。

https://pvd.ajpest.shop/index.php?main_page=product_info&products_id=35427
中島エアロスバル。エンジンはライカミングです。
 

 

ディーゼルエンジンだと、燃料そのものの圧縮と高温化で爆発するので、点火系は不要なところから、これを航空エンジン化する試みもあったのですが、いまいちメジャー化できていないらしい。

ブラジルではアルコールエンジンもありますが、ちょっと高い高度へ上がると、大気密度と温度の変化に敏感なアルコールがたちまち揮発してエンストになっちゃう(ガソリンに比べてアルコールは化学変化が著しい)ので、基本地上十数メートルで肥料や農薬を散布する農業機に使われています。ブラジルは世界有数のサトウキビ生産国であり、広大なサトウキビ農場で使う分には、いくらでも安くサトウキビからアルコールが生成できるので、その意味ではなかなか便利らしい。(*追記。別に高度変ってもどうってことないよ?という情報あり。でも。その情報源もやっぱり農業機パイロットだったりして。。。)

電気モーターは。。。。あまり故障の予兆も見せず、突然壊れたり、なおしたつもりなのに思わぬ再発が起きる電気機器の残念な特性と、雨の中に入ればモーターは冷水のシャワーを浴びる感じになるし。。。。なので、ぼくとしてはあまり信用できないで、います。

やっぱり軽飛行機のエンジンは、空冷の水平対向、キャブレターじゃなきゃ。。。むかしのスバルみたいなエンジンが最良ですね

元祖空冷。かぶと虫のエンジン
 

 

◎飛行機の点火系についてはこちら

自家製麺の極意:恐るべしマグネトー‐アーリーリタイア

 

◎悪魔の液体ガソリンについてはこちら

燃料タンク給油口破損。悪魔の液体ガソリンと闘う – アーリーリタイア

 

◎殺虫剤の効かないサソリやタランチュラには、ガソリンをかけてあげましょう。

田舎暮らしつづき。サソリや雨漏りその後‐アーリーリタイア

 

 

ポルトガルは大部分をスペインに囲まれているので、ポルトガル人は第二言語としてスペイン語を学ぶことが普通なのですか?

 

こういう質問をしてはいけません。

ポルトガルは、建国当時から、スペインにいじめられまくり。一時はスペインに併合されたりもしながら(そのいきさつがいかにもポルトガル的な「ばっかだなあ」という感じなのですが、ここでは省略)、なんとか独立を回復し。ブラジルを搾取したりして経済活性化のためがんばりましたが、スペインにくらべればただの屑だったので、イギリスに魂を売って生き延びました。

ということから、ポルトガル人は自国のアイデンテティとして、ポルトガル語を必死に守り抜こうとしています。ポルトガル人がポルトガル語にかける、鬼気迫る情念には、たじろぐものがあります

https://periclesvilela.blogspot.com/2017/04/foi-deus-amalia-rodrigues-n-1715.html
 

 

ブラジルのように、ロシア人もウクラナイ人もどんどん混じり込み、結果ポルトガル人が聞いたら何を言っているのわからないブラジル・ポルトガル語は、ポルトガル人から見れば屑の言語であり、ポルトガル語と認めてやらん、となっているらしい。

*アフリカ人のポルトガル語は、ポルトガル人もびっくりのポルトガル語です。パーフェクトなポルトガル語を話さないとポルトガル人が人間扱いしてくれなかったらしい。ポルトガルが植民地にいかに苛烈な統治をおこなったかと思います。

*ブラジルは植民地じゃなかったの?そういう時代もあったことになっていますが、ブラジル人はあまりにあほアホ(あるいは頭が良すぎる)なため、統治することができなかったというのが実情です。

脱線しすぎました。

ポルトガル人にとって、スペイン語は、ポルトガル語を退化させた屑の言語なので、別に勉強しないでも話せます。

というわけで、ポルトガル人の第二言語は、ポルトガル語です。

あれ?

第一言語は、イギリス英語です。

日本人の第一言語がアメリカ英語なのといきさつは似ていると思います。さいわい、ポルトガルは、イギリスに原爆を落とされたり、占領されたことはありませんが。

最後に。。。。

この屑回答を読んで、ふざけんな―!通報だー!とわめいている人(特にポルトガル人)はいませんよね?そういう人は 、ぜひブラジルに来てみんなでサンバを踊りましょう(踊れない人は、サンバを踊る素敵女子たちと交流しましょう)。ポルトガル人も、ウクライナ人も、日本人も、ロシア人も、みんなともだちです。

めでたしめでたし

◎ブラジル生活

都会の風物詩 – アーリーリタイア

田舎暮らしつづき。サソリや雨漏りその後 – アーリーリタイア

サンパウロ買い出し紀行 – アーリーリタイア サンパウロ買い出し紀行

家電王の農場に着陸 – アーリーリタイア

 

ではでは。

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空飛ぶスバルのお話

最近「空飛ぶクルマ」が話題になっています。

マイカーあるいはタクシーを拾うような感覚で、お手軽にいつでもどこでも、というなかなかおつな発想で、いろいろ試験車?試験機?など開発しているらしいが、とあるやばい理由によって実現は困難かもしれません。

https://www.bibian.co.jp/product.php?id=p763745338
 

 

やばい理由についてはこちら→「空飛ぶクルマ」

20ヘクタールも超えればもう大規模農家という、田んぼも建物も人間もひしめき合う日本では、車もおしくらまんじゅうですが、アメリカとかに行けば、フツーに「見渡す限り大平原」というのがあったりします。

それだけ集落と集落の間の物理的距離が開いており。隣町と言っても車で数十分、なんていうのもフツーにあったりします。

というわけで、マンハッタンの摩天楼とかではともかく、アラスカまではいかなくとも、カナダとの国境地帯とかでは車なんて遅すぎる、自家用機でなくちゃ。。。。という場所もいっぱいあるのです。

要すれば二束三文で買った中古の軽飛行機を乗り回すという世界が存在しているのである。

この場合、空飛ぶクルマ、というか、クルマのように使いまわす飛行機というか、結局同じ気もしますが、特に北米では軽飛行機が重要な市民の脚となっています。

そういった、自動車のように親しみ深い軽飛行機たちの代表が「セスナ」

セスナというのは、英語で軽飛行機のこと、ではなくて、セスナという飛行機製造会社の名前なのです。

セスナ 172  Pixabay無料画像
 

そのセスナは、第2次大戦で発展したレシプロエンジン機の技術をもとに、2人乗りから6人乗りの軽飛行機をじゃんじゃん売りさばいて、文字通り「軽飛行機の代名詞」になりました。

でも、セスナだけではなく。世界各国で小さな軽飛行機を製造するようになり。

アメリカではパイパー社がセスナ社と双璧とでも言いましょうか、元祖軽飛行機でセスナよりさらにいにしえの「カブ」その発展形の「スーパーカブ」そのまたさらに発展して「チェロキー」とか「アパッチ」とかヒット作を生み出しました。

チェロキー Pixabay無料
 

 

安くてお手軽、という路線をカブに取られたビーチクラフト社は、逆に高級志向で「ボナンザ」「クイーンエア」「キングエア」なんて王侯貴族の名前をつけた飛行機で有名になり。

ボナンザ Piaxabay無料画像
 

戦後の一時期、マイカー代わりに平和な空をガンガン飛ぼうぜーという、なかなか希望にあふれた時期があったのです。

日本では折から高度成長期に入っており。スズキフロンテとか三菱500、ホンダ360とかが元気いっぱい走り回っていた。

フロンテ https://gazoo.com/feature/gazoo-museum/meisha/rr/19/05/22/
 

 

そんな時代の少年たちが、「アメリカのセスナとかかっこいいよねー」と憧れ「日本にもセスナみたいのがあったらいいのになー」と夢見ていたら、なんとその夢は実現したのでした。

高度成長期の日本はよかったね!

日本人が作った、セスナみたいな軽飛行機は、1965年に初飛行しました。

その名も「エアロスバル」。

https://www.s40otoko.com/wp-content/uploads/2018/08/1.jpg
 

 

 

富士重工です。スバル360という世紀の名車と共に、なんと軽飛行機も誕生させていたのでした。

「これが日本のコンパクト・プレーンです」みたいな感じで生まれたエアロスバルすなわち富士FA200は、諸国の軽飛行機に比べてもそん色ない傑作機となり。次の特徴を持っていました。

◎運動性:宙返りだろうが何だろうがお手の物で、アクロバット機としての対空類別(認可)も取得している。

◎主翼をセミ・インテグラルタンクにすることで、軽飛行機としては驚異の航続距離(1000キロくらい)を達成。

あれ、どこかで聞いたことがあるぞ?

零戦か?と思った人は、惜しいけれど違うのでした。

 

特徴続きます

◎小さくて軽いくせに安定性も優れており、しかも上記の通り運動性もいいといった、一種矛盾する性能を両方持っているといったなかなかおつな飛行機だった。この辺は、安定性はいいけれど、とろくて。。。というセスナに勝っていたと思います。さらに言えば、敏捷に動いてくれるけれど、なかなかまっすぐ飛んでくれないというカブ(そしてLSA一般)に比べても、とても素直で乗りやすかったらしい。

ここまでは操縦面での特徴ですが、機体とかハード面でいうと

◎スライド式のキャノピーにして、乗員の乗り降りをらくちんにした。

https://www.wikiwand.com/ja/FA-200

 

 

◎主翼水平尾翼はテーパーをかけない直線形にして生産性を高めた(もっと言えばぶつけちゃったときの修理も楽にした)◎舵面とか部分的に波板を使ったり、構造材の形状や組み合わせを工夫するなりして、堅牢かつ軽量な機体に仕上がった。◎凝っているのが「スロッテッド・フラップ」の採用で、フツーのフラップに比べて気流の流れがよくなり、着陸性能の向上に貢献した。

飛行機のフラップ5種【プレーン、スプリット、スロテッド、ファウラー、スロテッドファウラー】

 

 

一方、高性能へのこだわりが不利に働いた点として

◎キャビンを流線形に絞り込んだため、後部座席が窮屈になり。積載可能な荷物が限られてしまった

という、お客を乗せてなんぼのエアタクシーや遊覧事業とかには不向きの機体になってしまったのでした。軽飛行機としてはかなりの弱点ですよね。。。。

一方、飛行学校における訓練機としてはなかなか優秀だったそうで、全日本空輸、航空大学校などそうそうたる組織で活躍した。

世が世なら、「舞い上がれ」の舞ちゃんも、シーラスとかボナンザではなくてエアロスバルに乗っていたかもしれないのですねー

Wikipediaによれば「西ドイツ・イギリス・オーストラリア・南アフリカ・ギリシャと言った海外に輸出した」とあり、世界水準を超えた傑作機であったことがうかがえます。あれアメリカ輸出はなかったっけ?

国内、輸出合わせ296機を販売。生産は1986年まで続きました。

商売としてはいまいちですが、日本の飛行機の優秀さを世界にしめした事例と思います。

さて、上記でも書いた「くるくるよく回り、操縦しやすい」という特性ですが、それってもしかしてこれじゃね?

隼 https://joefig.exblog.jp/21754159/
 

 

まさにその通りで、そもそも富士重工というのは、中島飛行機が戦後解散した(GHQに解散させられた)後を受け継いで生まれたメーカーであり、占領軍による航空機製造禁止で、しかたなく自動車を生産していたら、そっちが本業になっていたという会社だったのでした。ははは

というわけで、マニアから見れば、エアロスバルの姿かたちってそのまま隼じゃん?とわかると思います

隼(上)https://soyuyo.main.jp/ki43d/ki43-3.html
とエアロスバル(下)https://flyteam.jp/aircraft/fuji/fa-200-aero-subaru/photo?filtertype=airport&filtercode=ryugasaki-airfield
 

 

一方、よく間違われるのが「エアロスバルはスバル製の水平対向エンジンを積んでいた」で、確かに水平対向ですが、アメリカのライカミング製のエンジンを積んでいたのでした。ざんねん

機体製造のノウハウは弾圧を逃れてなんとか継承できたが、エンジンとなると戦後のブランクは越えがたかった、ということなのでしょうねえ。

最後に、この投稿でしか見ることのできない特ダネを入手しましたので、このブログの読者の皆様だけに、秘密で暴露だ!

なんと、富士重工は、三菱向けにライセンス生産の図面を提供していたというのです。

この生産が実現した場合の「エアロミツビシ」がどんなになったかという想像図を掲載するのでした

 

 

 

もちろんおおうそですよー

*零戦のキャノピーはこちらからお借りしました→https://freeway.main.jp/yusyukan/gazou/zero/IMG_7346-ed1-900-600.jpg

 

おあとがよろしいようで。このへんで打ち止め。

ではでは。。。

 

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ガスコレーターのお話

以前「飛行機づくしの短編集」の記事でちょっと書きましたが、飛行機には「ガスコレーター」という部品がついています。

ここでの飛行機は、ピストンエンジンでプロペラを回して飛ぶ軽飛行機のことですが、ほとんどがガソリンエンジンとなっています。ほとんど、というのはディーゼルとか、エタノールとか、最近は電気モーターの飛行機まであるためですが、軽飛行機と言えばガソリンエンジンと思っていただいて間違いないと思います。

ガソリンは、人間が空を飛ぶ夢をかなえるにあたって決定的な重要性を担いました。

もともと、「エンジン」つまり「発動機」という概念は、ジェームズワットが蒸気機関を発明してから一般的となり。

https://ar.europeanwriterstour.com/images-2023/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%88-%E8%92%B8%E6%B0%97%E6%A9%9F%E9%96%A2%E3%81%AE%E7%94%A3%E6%A5%AD%E9%9D%A9%E5%91%BD
 

 

ピストンで往復運動を円運動に変えることを学んだ人間は、まずは外輪やスクリューに応用して、帆がなくても動く船を開発することに成功。

そのうち流体力学とかが進歩して、空気も水と同様、スクリューみたいなやつでかき回せば推進力が得られるんじゃね?と気づき。プロペラに発展しました。

ちょうど気球とかも生まれ始め、こいつにプロペラをつけてぶん回せばどこでも行きたいところに行けるんじゃね?少なくとも、いったん空に上がったが最後、風任せでどこに流されてしまうかわからない、気が付いたら網走番外地の塀の内側に落っこちちゃいました、なんてならずにすむよね?

ところが、ここで大問題が発生。

水上の船ならともかく、飛行船(気球)ともなると「エンジンが重すぎて空に浮かびあがれなくなっちゃう」のでした。ははは

蒸気機関というのはともかく重くて、船や機関車みたいに、重さが苦にならないあるいは安定に貢献するというものの動力となるのは得意ですが、飛行機・飛行船みたいに、とにかく軽くしないと、というのには全く向かず。

これには「外燃機関である」という特性が大きく影響しています。

外燃機関というのは、ピストンと燃焼部分が別々になっている機関のことです。

なんのこっちゃ?

みなさんは、お湯を沸かそうね、とやかんを水で満杯にして、コンロにかけたまま忘れてしまったことはないでしょうか。

やかん


 

 

ぴーぴー!あっしまった!というときには、やかんの口からごうごうと蒸気が噴出して、ふたもぽんぽこ、からから!と吹き飛びそうになっていると思います。

外燃機関というのは、やかんの先にピストンをくっつけて、噴出する蒸気でピストンを上下させる、というものなのです。

蒸気機関車が好例です。

かっこいいD51。動輪を力強く回しています。https://cdn3.railf.jp/img/sq400/2023/08/sq230831_d51-200_08171.jpg
 

 

動輪を回しているのはピストン。でも、写真をよく見ると、大きな機関車なのに、ピストン自体はものすごく小さかったりします。

そして、車体の大部分を占めるのは、円筒形のボイラー室だったりします。

赤い四角がピストン。緑がボイラー。青は炭水車。
https://m.media-amazon.com/images/I/812GgkEb26L._AC_UF894,1000_QL80_.jpg

 

 

要すれば、蒸気機関車の大部分は巨大なやかんであり。このやかんからの蒸気でピストンを動かしています。

そして、やかんすなわちボイラー室を加熱するために、燃焼室(火室)というものがあり。ここで石炭をガンガン燃やして蒸気を作り。ピストンに送り込んでいます。

https://www.tobu-kids.com/train/sl/steam.html
 

 

 

しかし、小さなピストンを動かすために、ボイラー室だけでなく、水タンクあるいは炭水車に水や石炭を満載し、これでもか!ずっしりとお相撲さんみたいになってしまいました。

 

これじゃあ飛行機に使うのは無理だよねー、何とかボイラーだの炭水車などなしで、ピストン自身が自分で動いてくれるようなエンジンができないかなー

できました。その名も「内燃機関」

自動車のピストンが代表的ですが、要すればピストンの頭に燃焼室という小さな部屋がくっついており。ここにとある爆発物を送り込んで点火すると、文字通り大爆発を起こし、すさまじい勢いでピストンを押しこむのでした。

https://www.techeyesonline.com/article/tech-eyes/detail/TechnologyTrends-2205/
 

 

石炭と水で作った蒸気は力が弱すぎ。ピストンを動かすには、すさまじく巨大なボイラー室とかが必要だったのですが、内燃機関の発明で、せいぜいピストンの頭にちょっと「燃焼室」をくっつけたくらいで、蒸気エンジンを凌ぐ爆発的なパワーを得ることができたのでした。

「内燃機関」が実現するためには、石炭と水に代わる燃料、文字通り爆発する恐ろしい物質が必要ですが、折よく石油とその精製物すなわちガソリンが登場し。

つまり、ガソリンエンジンの登場によって、人類はついに飛行機の発動機となるエンジンを獲得したのでした。

小型軽量のガソリンエンジンは、まずは飛行船の動力となり。

エッフェル塔を周回して、おおお!ちゃんと操縦可能な飛行物体が存在するんだ!とパリの人たちを驚かしたりしました。

サントス・ヂュモンの飛行船「No.6」http://fandavion.free.fr/Dumont%20Airship.htm
 

 

「No.6」のエンジンhttp://www.blemya.com/2011/05/inventions-of-santosdumont-to-first.html
 

 

 

 

そのうち「空気より重い航空機」つまり飛行機の動力として採用され、というか、ガソリンエンジンの採用により「空気より重くても離陸できる物体」が生まれ。

最初はカタパルトとか、ずるっこでごまかしていましたが、そのうちちゃんと自力で飛べるまともな飛行機が生まれ。

その後の大躍進で、今日の大航空時代に至っています。

しかし、ガソリンエンジンには恐ろしい泣き所があり。

その名も「ガソリン」

要すれば、ガソリンエンジンは、ちゃんとガソリンが供給されていれば強力なパワーをいつまででも発生させることができますが(冷却機とかも必要)、何らかの理由で異物が混じったりするとたちまちエンストだ!

飛行機の場合、悪ければ墜落、良くてそのへんに不時着になってしまいます。

こまったことに、ちょっと夜霧のなかで駐機したまま一夜を明かした飛行機など、知らないうちにガソリンタンクの中に水が混じっちゃったりということがあり。

燃料タンクの中の状態は目視することはできません。といって、タンクの中に水が混じっている状態で離陸しちゃうと、いつかどこかでその水はエンジンに吸い込まれ。

それでも、1,2滴くらいなら、ばす!ばす!とエンジンが止まりそうになるくらいで回復するらしい。

ぼくがまだ飛行練習生だった頃、鬼教官と一緒に離陸して、あれ急にエンジンパワーがなくなったぞ?ということがあり。

無意識にスロットルを押し込もうとするのを制し、鬼教官は逆にスロットルを引いてエンジン回転を落とし、機首を下げ。いわく

「これは水が混じった時の症状だ。無理に回転を上げようとするとエンストするぞ。回転を落とし、ガソリン供給が少量でも回るようにして、ともかくエンストを避けろ。機首下げすれば当分は飛行維持できる」

ということで、その日は「ドレン」をしていなかったかも?と教官ともども反省でした。

ドレンというのは、飛行に先立って飛行機から少量のガソリンを抜きとって、一緒に水などの異物も除去するプロシージャ―のことです。

水や異物はガソリンより比重が重く。下へ下へと移動していく(落ちていく)ので、結局飛行機の燃料配管の一番下の部分に滞留します。

そこで、その部分に最初から小さなフィルタ―を設置しておき。飛行前に、このフィルターにたまった異物や水を排出してしまうことで、安全な離陸を可能にしています。

このフィルター、正確にはストレーナーが、すなわち「ガスコレーター」なのでした。

機首下面、排気管の右後ろ、前輪支柱の前に見えるのがガスコレーター
 

 

 

 

離陸の前に、このガスコレーターから突き出ている円筒計の弁から、透明な容器に少量のガソリンを抜き取り(ドレンし)。太陽にかざして、水とかがたまっていないか確認しています。

ガスコレーターのしくみ
https://www.aopa.org/news-and-media/all-news/2015/july/flight-training-magazine/how-it-works
 

 

ただ、何回も開け閉めしているうちに、摩耗してガソリンが漏れてくるようになっちゃったので、弁の部分を交換しました。

交換前は、ねじ式の蛇口みたいなやつでしたが、もっと一般的なばねで押し上げる奴になりました。
 

 

ガスコレーターは、ストレーナー(篩)であるとともに、重力を利用してガソリンと異物を分ける装置ですが、もっとエンジンの近くに、別にガソリンフィルターを付けて用心しています。

ではでは

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プロペラとジェット:輸送機の秘密

最初は鳥をまねて羽ばたき機を作ろうとしていた人類が、推力と揚力を分離することに気がついた時、飛行機の発明が具体的に可能になりました。

鳥の場合は、羽ばたく過程で巧みに羽毛や翼の角度を変化させて、推力と揚力をすべて翼で得ていますが、人間の作る翼では、少なくとも黎明期ではそんなおつなまねは不可能であり。

なんとか揚力だけでも、、、という翼は作ることができた。

でも、推力がないので、リリエンタールみたいにグライダーしか作ることができず。

リリエンタールのグライダー https://www.mozaweb.com/ja/Extra-3D-_-4053
 

しかし、折よく軽いガソリンエンジンが発明され。当時の流体力学ですでに実用化されていたスクリューの理論を応用したか、プロペラもしゃもじみたいなのから次第に本格的なものに発達しました。

黎明期のプロペラ (14Bis)https://lh3.googleusercontent.com/proxy/kTUExKr95XwdInR3Ql90XMA-w20AnamWnajJuvGjRMTRRwYAQLSlXdomjp6jQwhLd8C9fshzAmh-MXrfLgLNTnk8-ABMfgFQ4p72JMcgyAL8gbIc1kDeh7dj5EKPq_fgwsPCp0QPwlJqfgnW9utLTw
 

こうして、黎明期の1906年から第二次大戦直後の1946年まで、実に40年の長きにわたってプロペラが飛行機の推力を担う事実上唯一の装置として活躍。この記事を書いているのが2024年ですから、ざっと飛行機の歴史120年の3分の一の時代がプロペラ機の時代だったといえますねー

さて、サントスヂュモンの14Bisで、何とか地上を離れてまっすぐ飛行できたよ!だった飛行機が、P51では高度1万メートルを時速700キロでかっ飛ばすようになり。

でも、課題が発生。

推力を出すにはプロペラを速く回したい。でも速すぎると、プロペラ先端の速度がマッハを超えてしまい、衝撃波が発生して急に効率が落ちてしまう現象が明らかになり。

プロペラ機では時速700キロが限界だということがわかってきた。

そこで、プロペラ以外の推力発生方法、すなわち「噴進式」のエンジンを各国が血眼になって開発した結果、例によってドイツが世界初のジェット戦闘機を生みだしました。

アメリカ人がダンスを踊り狂って楽しんでいるとき、必死になってジェット機を開発したドイツ人。
かわいそうに。。。(PIXABAY無料画像)

 

その成果はソ連人やアメリカ人にさらわれ、現代ではジェット旅客機の全盛時代になっています。

速度性能、高空性能に優れるジェットエンジンは、乱気流の少ない一万メートル以上の空を高速で飛ぶのに適しており、きょうび戦闘機からジャンボジェット、さらには小さなビジネスジェットまでその名の通りジェット機。かわいそうな貧乏人が乗る軽飛行機を除いて、あらゆる飛行機がすべてジェット機である。

とは、なっていなかったりします。

ぼくは貧乏人なので、プロペラ軽飛行機に乗っています
 

 

というか、いまだプロペラ機ばかりの部門というか機種というのも複数あったりするのです。

その最たるものが「輸送機」

もちろんジェット輸送機もある。その一例が日本の川崎C1です。

C1。なぜ日本の飛行機は運動性能にこだわるのだろうか?https://www.busnoru.jp/tour/airshow/aircraft/c1.html
 

1973年から運用開始。1983年までがんばり、後継機とバトンタッチしました(まだ飛んでいるのもある)。

さてその後継機ですが、国産では作れず(技術というより経費の問題だったらしい。この辺はWikipediaなどご参照)、アメリカのC130Hが導入になった。

C130 https://www.busnoru.jp/tour/airshow/aircraft/c130.html
 

プロペラ機じゃん?退化か?

いやいや、決して黒い霧がその辺を覆っただの、政治的ななんとかではなく、技術的に妥当な理由でジェット機からプロペラ機になったのです。

その決め手は「離着陸性能」

ジェットエンジンは、はっきり言って離陸滑走での加速がとろすぎる。

ふだんプロペラ軽飛行機で離陸するときは、せいぜい170メートルもあればふわりとエアボーンしますが、ボーイング737になると1660メートルだそうで、じっさい乗客として737だのエアバスに乗ったとき、とろとろと走り出し、なんか一向にスピードが出ないまま、左右に尻を振りながらどんどん窓の外の滑走路が過ぎ去ってゆき。オーバーランか?の恐怖の一瞬に、やっとぎゅーんと機首上げして、ガタガタガタ、ブルブルブルと乱気流出しまくりながらエアボーンと、毎回おののいています。

軽飛行機とジェット旅客機を比較してどうする?

という人に、プロペラ機のC130は1091メートル。C1は600メートルで離陸できるらしいが、重さが違いすぎる(C1の離陸重量40トンに比べてC130は70トン。737はやっぱり70トン)ので、比較対象にはしませんでした。

C1みたいに、STOL性能を工夫すれば、離陸距離を短くすることができることはできるが、ジェット機では特有のさらにやばい課題が発生し。

それが「FOD」

foreign object debris、すなわち「滑走路上の異物」。石ころや砂塵、インスタントラーメンの袋とか、要すればタービンに損傷を与えうるすべての物質の総称です。意外と火山灰がジェットエンジンに重大な故障をもたらすらしい。

FODスイーパー(上)https://www.airport-technology.com/sponsored/preventing-fod-top-measures-for-keeping-airport-operating-areas-safe-and-fully-operational/
スイーパーに名たまった異物(下)https://airportimprovement.com/article/prevention-figures-prominently-fod-program-memphis-int-l
 

 

C1の場合は、不整地着陸はできないことはないが、近隣国への配慮もあり日本国内つまり舗装された滑走路での使用が前提との理解で、最近開発されたC2ジェット輸送機も、非整地着陸するのか?できるのか?とか話題になっています。つまりはFODについても、C1はふつーのジェット機と同じくらいの耐性ですんだが、平和維持活動だので海外に出ていくことになるとそうもいかなくなり。

道なき道に着陸、とまではいかなくとも、実際のところ途上国の得体の知れない滑走路に強行着陸を余儀なくされる場面が増えてくると、やっぱりプロペラ機でないと。。。というのがあるのかと「推定いたします」。ははは

ジェットエンジンなんて一種の掃除機ですからねー地ならしした程度で土がむき出しの滑走路で何回も離着陸したら、たちまちエンジンにガタが来てしまいそうな気がします。

コンテナを吸い込んでしまった例 https://blog.bianch.com.br/entenda-os-riscos-do-fod/
 

 

プロペラにとっても砂塵などの粒子は大敵ですが、ジェットに比べれば数段ましである。

 

 

輸送機と共に、プロペラ機の方がいいじゃね、というのが「飛行艇」

こちらもやはり離水、着水性能が関わり。

離陸の場合、飛行機が受ける抵抗は主に主車輪が地面に引っ張られる力ですが、言い換えれば、主車輪という複数の「ころ」で摩擦は極限まで軽減されており。前車輪(補助輪)については、滑走途上から機首上げで摩擦・抵抗を軽減できるし、そうしないと脆弱な補助輪は「ぽき」とか折れちゃうので、飛行機の主な重量、摩擦を引き受けるのは主車輪となっています。

これが飛行艇の場合、機体の腹全体がざんぶと水の中ですから、離水の時の抵抗は離陸と比べ物にならず。水というものは、機体との接地面において粘着して「のり」みたいになってしまうそうで、飛行艇などの下面胴体は段差をつけたりして、一刻も早く水から放そうという構造になっています。

ステップの一例amazon.co.jp/スペシャルホビー-SH72162-72-ショート-サンダーランドMk-Ⅴ/dp/B07R682D3P
 

 

こうなると、やはり離陸時(超低速・低速時)の加速に優れるプロペラの方がよい。

さらに、水の飛沫というのは恐ろしい打撃を機体に与えるもので、ジェットエンジンが飛沫を吸い込んだら大変になってしまう。

プロペラも飛沫の打撃でひんまがっちゃった、あわてて停止だ、ということもあるようですが、やっぱりジェットエンジンよりましということらしい。

 

 

もうひとつプロペラ機に適しているのが「哨戒機」

こちらは、潜水艦を追い払うのがお仕事であり、そのためには、いかに長時間、潜水艦の相手をできる速度で滞空し、どれだけ広い範囲をカバーできるかが重要となり。

やはり燃料効率のいいプロペラ機のほうがぐあいがよかった。ということで、哨戒機大国の日本では、4発プロペラのP1哨戒機が一時期は100機近く飛んでいたらしい。

P3C哨戒機。https://www.khi.co.jp/mobility/aero/aircraft/p_3c.html
 

 

よかった、と過去形にしたのは、きょうび日本ではP2というジェット機、アメリカではボーイング747を改修したP8哨戒機に代替されつつあるからです。これは、ジェット機だとフツーの旅客機の飛ぶ航空路を使用でき、最速で哨戒区域に到達できることや、ジェットエンジンでも低速巡行の能力が向上したなどがあるらしい。輸送機も同様の理由でジェット化しつつあるようですね。

 

一方、離れ島だのの設備の整わない小さな空港に降りる飛行機は、輸送機、旅客機とわずいまだにプロペラ機も健在です。

やっぱり飛行機はプロペラ機じゃなきゃ。。。
https://slideplayer.com.br/slide/5058944/#google_vignette
 

 

ではでは。。。

 

 

 

 

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