旋回

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旋回

ポルシェ356やジャガー、スバル360など、世界に数々ある名車は、それぞれ個性を持っていますが、「走り、曲がり、止まる」すべては地面の上を動く二次元的(水平方向の)動きです。飛行機の場合、これに「上昇、下降」つまり垂直方向の動きが加わります。

紐に結いつけられたテニスボールをぐるぐるぶん回してみます

子供が中国風なのは別記事「Spiritual S1.0の絵を流用したためです

横の力が遠心力として加わり、縦の力が下に引っ張ります。この結果、縦・横が合成して斜め下にボールが引っ張られながらボールが回っていきます。

この絵では紐が合成力の逆方向に働いていますが、紐が切れたらボールは斜め下に飛んでゆき、最後は地面に「墜落」します。

この原理が、飛行機の旋回にも作用しています。

遠心力と重力はボールと同じ。この結果合成力が飛行機を斜め下方向に引っ張ろうとしています。ボールの場合は紐でつなぎ留められていたのですが、飛行機の場合、水平旋回のためには、揚力を斜め上に働かせて、斜め下方向の合成力に拮抗させる必要があります。拮抗せずに揚力が低い場合は、下降旋回となり、揚力が強ければ上昇旋回になります。

でどうやって斜め上の揚力を発生させるのかというと、旋回方向に機体を傾ければよいということである。このため、操縦かんはカーブする方向に倒し、ラダーペダルは曲がりたい方のペダルを踏み込みます。

ちなみに、ラダーだけで曲がろうとすると、機首は曲がりたい方を向くが、斜めになったまま横滑りして直線飛行を続けてしまいます。一方、操縦かんを倒すだけだと機体は斜めに傾いて傾いた方向に滑り落ちて行ってしまいます。こうしたことを避けるために前回のファースト及びセカンドコーディネーションを練習するのです。

具体的な操縦で行ってみましょう。左旋回でやってみます。

まずは、地上に旋回のリファレンスとなる点を探します。例によって畑の真ん中に立っているお家とか、目立つ工場の屋根とかなどなど。そして、その点が飛行機の翼のある一点と重なるように飛んでいきます。ぼくのこよーて君の場合は、指標点が翼の支柱の真ん中で補助支柱が三角になるところのすぐ後ろ、そしてまどから見えなくなるぐらい下になるように持っていきます。

ここでぐんと操縦かんを左に倒すとともに左ラダーをぐっと踏みます。機体が左に傾くと同時に機首が左に振られぎゅーんと指標点が翼の支柱の三角まで上がってきます。三角まで来たらさっと3舵を中立に戻し、旋回を安定させます。

画面中央近く、補助支柱が作る三角形の左延長に小さな白い家を指標にしました

あとは、指標点がこの三角の後ろからあまり動かないように旋回していけば、綺麗な旋回ができます。

指標点は多少動いていいです。動きすぎたらラダーや補助翼で修正しましょう。それよりも①スピードが出すぎていないか。80ノットあるいはそれより低いぐらいでよいです。②上昇、下降しちゃってないか。これは機首が上を向ているか、下をむいちゃったかで逐次修正します。

つまり、旋回時は1.指標からぶれないか、2.スピード計確認、3.上昇計と機首の挙動、を代わる代わる、あるいは同時に見る必要があります。

上段左から昇降時計、人工水平儀、速度計。下左がTurn Coordenator、

時計を挟んで右が高度計。これらをちょくちょく確認(スパイ)します

ただし、高い高度を飛んでのんびり旋回するような場合は、旋回した後に機首が向くべきタワーなりなんなりを遠くに設定し、操縦かんを倒しラダーを踏んで旋回にはいいったらTurn Coordenatorの玉が真ん中になるところでさっと中立に戻し、指標点が機軸(プロペラ軸)に達するちょっと前に今度はまた操縦かんとラダーで旋回を止め直進にもどる、という感じでもっと簡単に行けます。

書いているといかにもめんどくさそうですが、実際はもっと感覚的に簡単に旋回できます。

旋回に慣れてきたら、道路を指標にS時カーブをして横風への対応を学んだり、8の字飛行でカーブと直線の連携・交差を学びます。これらがなんとかできるようになったら、いよいよ着陸を学ぶ日が近づいてきます。なお、へたな特撮映画で、飛行機の編隊がぎこちなく旋回しているシーンがあったりしますが、だいたい自動車みたいに「水平なカーブ」になっちゃっており。バンクをかけて曲がればぐっとリアルになるのになーなんておもいます。ピアノ線の限界でしょうか?

S時カーブ。赤い矢印が風の方向で、バンクを強めたり弱めたりで調整します

8の字飛行。1946年製「飛行機操縦基礎」より(Manobras Elementares de Voo -1946)

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