本当の意味での労働。職人から見た報酬とは

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本当の意味での労働。職人から見た報酬とは

軽飛行機は、50時間ごとにエンジンの定期点検を行います。

自動車と違って、調子がわるいから道端に止めよう、ということはできない飛行機のエンジン。止まったが最後不時着か墜落が待っています。

つまり、エンジンの定期点検はパイロットにとって死活的な重要性があり。点検を請け負うメカニックもただものではない優秀さが要求されます。

ぼくが毎回エンジン点検をお願いしているおっちゃんもただものではなく。他の追随をゆるさない優秀な職人ですが、よくある頑固な職人気質で「炎のラーメン職人」ならぬ「炎のエンジン職人」です。幸い気が合って普段から修理工場で談笑(じつはおっちゃんの昔話を長々と聞くだけです、ははは)したりしており、ぼくに対してはいつも気持ちよく対応いただいています。

さておっちゃんは普段は趣味で古いオートバイのレストアをやっており、気に入る仕事が入れば引き受けます。別にえり好みではなく、これまでよその工場でいい加減な修理をやったエンジンは嫌がり、自分が前回、前々回と手がけてきたのはよろこんで、みたいな感じです。

いったんエンジンを開けると、徹底的にこだわります。頼んでもいない細部を調べ、微妙な部品の消耗状況をかぎ分けます。例えばキャブのブイがちょっと摩耗気味、僕はさっさととっかえようよーというのですが、おっちゃんはいや!使える間は絶対とりかえてやらん!という感じ。つまり自分の納得のいく「作品」になるまでなんでも手間暇をかけるタイプで、はっきり言って儲かっておらん。さて整備のお値段は決して安くはないのですが、「金額よりもお客がそれを喜んで出すかを計っている」つまり、自分の作品をお客がわかってくれているかどうかを計る物差しで修理代を要求しているのですね。ぼくの場合は、その場は言われた通りの金額を払って、2,3回飛んだ後におっちゃんに報告しています。これまでの報告はいつも「おっちゃんの手にかかれば、このエンジンは古くなるほど滑らかに回ってくれる。信じられん、すごいぞ!」です。お世辞ではありません。

こういう労働(3.12)ができる人と知り合いになれてよかったと思います。つまり、世の中は仕事なんか嫌いだけどお金のために働いている、という人がほとんどですが、おっちゃんみたいにエンジンを回すのが好きで、エンジンのことを知らないほにゃららパイロットが払ってくれるお金の量や払い方で自分の作品をわかってもらっているか確認する、ということで労働というより自己表現の世界になっています。飛行機の世界にはほかにフラジャケ職人(AviationE5)とかもおり、なかなかおつな世界では、あります。

 

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