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短編集:ガソリンタンクに穴が開いたほか

◎予防注射

こないだ、インフルエンザの予防接種を受けることになり。

COVIDの時の状況。今回もまあ似たような感じ
 

 

待っていたら意外に早くぼくの番も来て、3人ぐらいの看護師さんが陣取っている一室に呼び込まれ。

そのうちの一人が、なんかのカルテに「名前を書いてね」。でもまごまごしていたら、何か察したように「身分証明書を出してくれたら、書かなくてもいいですよ」。

「非識字者」と思われてしまったようです。

ブラジリアのど真ん中でそんなに非識字者がいるのか?

もう一人が注射器を出し「ちゃんと新しい注射器で、薬も入っていますよ」

へいへい信じます。どうぞ

ぶすりと注射も終わりの時に、不用意にぼくからその看護師さんに一言いってしまいました。

「この注射は強毒性鳥インフルエンザにも効くんだよね?」

その時、三人の看護師が恐怖の表情に凍り付くのを見てしまったのです。

 

一瞬の静寂の後、看護師さんは

「と、鳥インフルエンザは人間どうしでは感染しないんですよ。だから安全なんですよ。デング熱にも武田のワクチンがあるんですよ?」

なんか脈絡のない、私に対してというよりは、看護師さんたち自身みずから安心しようとしているような、へんな会話で終わってしまったのでした。

じゃあね、ばいばい、と素知らぬ顔で帰ってきましたが。。。。

実は、それ以前に、ブラジルの感染症の大家と話す機会があり(ペルナンブコ大の感染症教授とはまた別の人です)。

最近、感染症関連の学会で、レファレンスとなる諸機関の医師や学究が「表の議題」の陰で「世界的な鳥インフルエンザ拡散への情報交換」を行っているらしい。

渡り鳥が世界中を回遊というか飛翔するにあたって、ウイルスも伝播、変異しまくりで、現代の医学で対応できない状況に陥っているかも?という事態となりつつあり。これが「人間にうつり、変異して人から人に感染するようになったら、COVIDなんて比較にならない大惨事になるぞ」という懸念が生まれているというのです。

コロナ禍における医療崩壊(中国)。https://www.bbc.com/japanese/64170779
 

 

というのはもちろん面白おかしく脚色したよいこの創作童話なのでした。

ただ、この投稿を読んでいる皆さんに、絶対安心だよ!とはいえず。

◎渡り鳥による拡散と変異化は事実起きており、先端の研究者間で懸念を持って検討されているというのはほんとらしく、

◎一方、非識字者に「ただの風邪」の予防注射をぶすぶす打っているような末端の医療従事者が知らされている内容ではなく。「恐怖の表情」とかは単に思い違いで、看護師さんたちは「また、ろくにインフルエンザの知識もない、脳みその足りないくそじじいがきやがったか」とうまく流していただけだったのかもしれん。

ははは

でも、強毒鳥インフルは実在しているらしいので、皆さんがそのへんで捕まえてきたニワトリを首ちょんばするときは、めんどくさがらずに後でちゃんと手を洗いましょう。

*鳥インフルワクチンはまだ存在しません

 

 

◎教皇の信仰心

ブラジル元大統領のジルマおばちゃんが、このほど4んじまったローマ教皇の葬儀に参加のためヴァチカンを訪問。

ジルマ(元)大統領。出展g1.globo.com
 

南米、特にブラジルやアルゼンチンは、南欧とカトリック人口を二分する大勢力であり(フィリピンとかにもいっぱいいるけど)、ブラジルの元組長じゃなかった元大統領がヴァチカンを訪問するというのはカトリック世界ではなかなかの大事件なのです。

といっても、日本人のみなさまはピンとこないと思います。

たとえて言えば、統◎教会の教主?の葬儀に安◎首相さんが参列するようなものなのである。

いよいよこんがらかったか?これ以上はお察しください。(ご参考:【17日公開】安倍晋三氏と旧統一教会幹部が並ぶ写真 関係に迫る [旧統一教会問題]:朝日新聞)

 

さて、南米の檀家総代みたいなジルマおばちゃんは、ヴァチカンでリポーターに取り囲まれ。世界は総代ばあちゃんの発言に注目した。

最初のうちは、法王は差別と戦い平和に貢献した、みたいな、共産主義者がよく使うフレーズをまたしても、ぐらいだったのですが、何を思ったか、突如

「最も深遠な意味で宗教的な法王でした」

えつ?

*原文はこちら”Ele foi um papa religioso no sentido mais profundo “, declarou.

https://www.jornaldacidadeonline.com.br/noticias/69419/no-vaticano-dilma-consegue-passar-novo-vexame-veja-o-video

 

うああああー?

暴言とは言いません。

でも、たとえは悪いですが、プーチンが「キムジュンイルは、最も深遠な意味での凶悪犯罪者です」と言っているみたいになってしまい。

山◎組組長も真っ青の、プーチンみたいな極悪人の発言なら、至高のクズが究極のクズを称えているんだねーと、ふつーに納得と思いますが、何を狂ったかジウマ?

クズの共産主義者に信仰(宗教)の何がわかる!よりによって法王になんという言い草だ!とブラジルのメディアは、この発言に一斉に大バッシング!

とはなりませんでした。

ジルマの知能指数から考えて、特に深遠な意味を持たない、カエルがげこげこ鳴くのとおんなじです、ということで、一瞬スクープにはなったがそのまま立ち消えになったのでした。

ははは

ジルマさん(イメージ図)
 

 

◎ガソリンタンクに穴があいちゃった

ポルシェ356Aレプリカのお話です。

 

 

軽飛行機「コヨーテ」のタンクに穴が開いたときのお話はこちら→悪魔の液体ガソリン

20年近く乗ってきたポル公。10年前くらいか?なんかコクピットというか車内にガソリンのにおいが充満するようになってしまい。

気が付いたら、ガソリンタンクの底に微妙な亀裂が入ったらしく、トランクルーム内にガソリンがだだ洩れになっていました。

その時はタンクそのものを交換。それ自体はそんなに大手術ではなかったのですが。。。

一週間くらいしてから、ガソリンタンクは満タンなのにガス欠でエンジンストップという症状が頻発するようになり。

必死になって色々調べたら、問題はガソリンポンプとかエンジンの方ではなくて、タンク内からガソリンを吸い上げる管に不具合が生じていた。

ガソリンタンク。中央の丸いふたみたいなのに注目。

 

 

この蓋の中には管が通っています。
Boia Tanque Combustível Brasilia após 1978 Modelo Horasa com Pescador
 

 

要すれば、この管でガソリンを吸い上げているのですが、ガソリンが消費されるに従い空気圧によりタンクがぺっこんとへこんで管をふさいでしまっていたのでした。

管の方は、下の図のように先端を斜めに切り込んで、タンクがへっこんでも管の全体をふさがないようにし。

白い俵みたいのに針金がついているのは燃料計のブイです。
Boia Tanque Gasolina Brasilia 78/82 – Sist. Horasa 44l 2620 | Parcelamento sem juros
 

 

それよりさらに重要なのが、給油口にエア抜き穴をあけたこと。実は抜くのではなく、ガソリンが消費される分だけ空気が入っていくことで、ぺっこん、とつぶれることがなくなりました。

エア抜き穴(鋼管)。車体外にホースで導いて、においがこもらないようにしています。
 

 

エア抜き穴をあけるためには、いったんタンクを取り出して、タンク内のガソリン残渣(気化したのも含む)をすべて抜き取っておかないと、ドリルで火花が飛び散ったとたん、ドガガガーン!と爆発してしまうので、爆死しないために、数十分もかけて他の車の排気ガスを送り込み、十分蒸発というか燃焼させる必要があり。

オートバイのタンクに自動車の排気ガスを送り込んでいる例
www.youtube.com/watch?v=egS8DWHrAzs
 

 

ガソリンタンクをいじるというのははてしなくめんどいのである。

それでも、喉もとをすぎて忘れていたら、10年後またあの嫌な臭いで車内が充満するようになってしまい。

もう一日ブルーですよね、今度はどこから漏っているのだろう?

給油口のすぐ後ろに、1センチぐらいの細長い穴が開いていました。錆ですね

 

 

さいわい、今回はタンクの上部であり。走行中はたっぷんたっぷんと飛沫を食らうことはあっても、一日の大部分を過ごす駐車の状態ではガソリンとタンクの直接の接触はない部分なのであった。

これって、パテでふさげば何とかなるんじゃね?

変な溶接とかで爆死したくはないですよね。。。

いろいろあって、結局エポキシ樹脂(凝固剤と樹脂が別々になっていて、両者をぐにぐに混ぜ合わせることでパテになるやつ)でふさいで1週間、今のところガソリン漏れは消え去って、においもしなくなり、安堵しています。

10年とは言わず、2年これで持ってくれれば、と祈っています。。。

 

 

ではでは

 

Posted by 猫機長
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ペダルのお話

こないだ操縦かんのお話をしたとき、飛行機の操縦にはペダルも重要、と書きました。その記事ではスペースがなくなっちゃったので、改めてこちらでペダルについて書きたいと思います。

ぼくが乗っている軽飛行機「こよーて」のペダル
 

 

飛行機の操縦は「手と足」というふうに言われます。

手の方は操縦かんで補助翼と昇降舵。足はペダルで方向舵を動かします。

手足が調和するといい感じで均整の取れたカーブを切ることができます。

補助翼 http://blog.livedoor.jp/sac1195/archives/489548.html
 

 

昇降舵C*Uとは何か その1(技術的解説) | 彗星 (salamann.com)
 

 

方向舵 C*Uとは何か その2 (横の制御則) | 彗星 (salamann.com)
 

 

ターンコーディネーター(旋回釣合計)という計器があって、黒いボールが真ん中にあればいい具合に曲がっているということになります。

ターンコーディネーター
 

 

これが、ペダルを踏みすぎると、カーブの外側へ尻を振り出しながら曲がっていく感じになり、機体へのいらぬ負荷や、失速しやすくなるなどあり。ターンコーディネーターでは、ボールがカーブの外側に出ちゃいます。

これをスキッドと言います。 「飛行機操縦のABC」イカロス出版
 

 

 

一方、踏み足りないと、今度は機首をカーブの外側に向けながら、横滑りしていくようなカーブになり。スキッドと同じく避けるべきカーブとなります。ターンコーディネーターのボールはカーブの内側に行ってしまいます。

これをスリップと言います。 「飛行機操縦のABC」イカロス出版
 

 

スキッドやスリップは、ターンコーディネーターをみていないとなかなか気づかず。気づいたときは、コーディネタ―の玉ころを中心位置にけりこむようにべダル操作をすると修正できます。

また、操縦かんを倒しすぎたり、倒し足りなかったりするとやはりボールは中心から逃げちゃうので、操縦かんの場合は玉ころを中心に引っ張る感じで修正しますが、ふつーは30度旋回なら30度に人工水平儀のマークがぴたりと止まるよう操縦かんを操作して、玉ころの微修正はペダル操作で行っています。

20度旋回の例。人工水平儀の中央上黄色い三角のインジケーターが20度の白線で止まっています。玉ころは取り忘れた、というか玉ころを入れると地平線がみえなくなっちゃうので入れていませんが、まあまあ中央で維持していたと理解。
 

 

と思ったら、玉ころのある写真も発見。こちらは同じ20度でも左旋回。ちょっと上昇気味、それにつられて速力が落ち気味です。なかなかむずかしいですねえ
 

 

あと、上の写真で重要なのが人工水平儀の左横にある昇降計で、下降・上昇率0に維持します。つい上昇しちゃうと失速の危険が出るし、下降すると今度は速度がイエロー域に入っちゃうので、気を使います。

ドリフトやスリップは必ずしも悪、というのでもなく。飛行機の特性によりけりで、ぼくの乗っているコヨーテ(Rans Super Coyote)では、むしろぐいーんと尻を大きく振り出してカーブ内側に機首を切り込んでいくような旋回が好まれる傾向にあり。

また、高度取りすぎ、迅速に下降したいという場合に、フォワードスリップと言って、機首を左右どちらかに振り、操縦かんは機首と逆の方向に倒す、というのがあり。

意識的に操縦かんとペダルをディスコーディネートして、横滑り状態を作り出すのです。

滑走路の着陸経路に入ったけれど、高度高すぎ、という場合に多用されるテクニックで、黎明期の、フラップがなく、軽すぎてぜんぜん下降してくれないパイパーカブとかはこれができないと乗れないらしい。

パイパーカブのフォワードスリップ


 

 

あえて滑走路の延長線から機首を外したうえ、ふだんはやってはならない、ペダルとは逆方向への操縦かんの操作なので、実はなかなか怖くてできないですが、慣れてくればある程度なにげにできるようになるのでした。カブ乗りはぜんぜんなにげにやるらしい。

ぼくの乗っているコヨーテもあまり変わらず。フラップはついているけれど、フォワードスリップで高度調整というのはときたまあり。操縦席目線でのフォワードスリップを掲載します。


 

 

上の操縦席からの動画で、1:28でようそろー、と機首を中心線に戻していますが、場合によっては滑走路の真上まで来て初めて戻す場合もあり。

いずれにしろ、接地の時には機首は滑走路に正対していないとギアにいらぬ負担をかけるので要注意です。

さて、着地して減速だ!まっすぐ走らせるためには、三輪車と同じように前輪を操作しますが、三輪車と軽飛行機一般の違いは、前輪の操作をペダルで行うところにあります。これもペダルを右に踏めば機首が右を向くように作動し、左も同様です。

大きな旅客機では、ペダルではなくステアリングホイールで操作するのもあります。

YS11。機長側操縦かんの左横にあるステアリングホイールに注目。
http://www.airliners.net/photo/Interisland-Airlines/NAMC-YS-11/2228083
 

 

ちなみに、正式にはステアリングではなく、テイラーと呼ぶそうです。

一方、今どきの高性能自家用機には、テイラーもなく、ペダルと前輪が連動していないものもあります。

RV9A  https://www.kitplanes.com/jim-wright-rv-9a/
 

 

写真は「空のムスタング」RV9ですが、スピードを出すために、前輪は小さく、よわっちい支柱一本で支えられています。この前輪は自由にぐるぐると回転するようになっているところがミソで、こうしたケースではペダルで曲がりたい方のブレーキを踏むと、そちらの方のメインギアを支点に、前輪は慣性でぐりんと向きを変えて旋回します。

このやり方は黎明期の尾輪式飛行機でも採用されており。

巨大なB17を地上でまっすぐ走らすのは大変だったであろうと思います。。。。

尾輪式のB17 https://aventurasnahistoria.com.br/noticias/almanaque/b17-o-mais-importante-bombardeiro-aliado-da-segunda-guerra.phtml
と、前輪式になったB29 https://www.b29doc.com/b-29-doc-to-bring-its-history-restored-tour-to-newport-news-va/
 

 

B29もRV9と同じで、前輪を制御するステアリングシステムはなく、左右のエンジン推力と左右のブレーキで旋回したそうです(出典:https://www.quora.com/Why-did-the-B-29-have-no-nosewheel-steering)。

ここで、飛行機のペダルの特色がもう一つ明確になるのでした。

すなわち、飛行機にはアクセルペダルはないが、左右のペダルは両方ともブレーキペダル兼用なのだった。

2つブレーキペダルがあるの?

左右のペダルはそれぞれ左右のメインギアにつながっており、別々に作動させることができるようになっているのでした。

同じペダルですが、つま先で上の矢印の部分を踏み込むと赤線の軸でブレーキが作動。
下の矢印を肉球の部分で踏み込むと緑線の軸で方向舵と前輪が作動します。
 

 

ということで、上に書いたように、ステアリングのない機種ではブレーキで機首を制動し。

でも、やっぱりぼくの乗っている「こよーて」みたいに、すなおにペダルと前輪がつながっている方が全然操作しやすいですよねー

コヨーテのペダルから前輪支柱に伸びる制御機構
 

 

なぜ最新の高性能機が、よりによって脆弱で制御できない前輪にしているかというと、それは飛行機にとって車輪や支柱といった降着装置が、性能低下の元凶となる空気抵抗や重量増加を生むじゃま者だからなのです。

高性能になればなるほど、滑走路も舗装されたまともなのを想定しており、パイロットにもきちんとフレアして前輪にほとんど負担をかけない着陸の技量を要求し。

RVともなれば、飛行機が乗り手を選ぶ世界です。ムスタングというよりフェラーリですねえ。

ムスタング https://fukuokacj.jp/%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B0+68
とフェラーリ https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17267411
 

 

ぼくみたいな貧乏人が乗る飛行機で、ロクな長さもない滑走路、場合によっては草だろうが土だろうが、道なき道に着陸するような場合は、前輪もがっちり強化したのが多い。

一つの究極がParadiseで、なんと前輪にぶっといショックアブソーバーを装備しています。

これは、練習生がどっかーん!という着陸をしても耐えられるようにという設計なのです。こういうところで名機というのがわかるのですよねー

Paradise
 

 

Paradiseの前車輪。アルミ色のぶっといアブソーバーに注目。
 

 

ここまでで3000字越え。とりあえず終わりにします。

ではでは。。。

 

 

Posted by 猫機長
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チーズはどこへも消えません➁

以前「チーズはどこへ消えた」という本について、「チーズ」の面から考察した記事を書きました。今回は「迷路」をお題に書いてみます。

その前に、この本のおさらい。前回記事でご存じの方は、「ここから新しい内容だよ!」の記載まで飛ばしてください。

Wikipediaでは

「『チーズはどこへ消えた?』(英語原題:Who Moved My Cheese?)は、アメリカ合衆国の医学博士・心理学者であるスペンサー・ジョンソン(英語版)が著した童話、ビジネス書。1998年にアメリカで出版され、2019年時点で2800万部を超えるベストセラーとなっている。」

あれ童話だったっけ?こんな「童話」を読んだ子供はアダルトチルドレンになってしまうのでは?

かんじんのSinopseすなわち内容の概要がWikipediaには載っておらず。むりやり要約しちゃえ!ということで以下の通りとなりました。

(参考:【要約】『チーズはどこへ消えた?』のあらすじ【20代向けの名著】 | 小売オタク)

◎登場人物は、小人の「ヘム」と「ホー」、そしてネズミの「スニッフ」と「スカリー」です。

◎この2人と2匹が迷路にあるチーズを探していると「チーズステーションC」で大量のチーズを発見。幸せな日々を過ごしていた。

◎ところが、ある日チーズは消滅してしまった。

◎ネズミどもは本能のおもむくまま別の場所にチーズを探しに行き。しかし人間どもは泣き言や繰り言をのべるばかりで「ステーションC」から離れることができず。

◎ヘムが「何もしないでこのままステーションCにいるべき。チーズはいつかは戻ってくるはずだ!」とだだをこねる一方、ホーは「とっとと身を危険にさらして新たなチーズステーションを探検に行くべきだ!」と見境もなくわめき。

◎引きこもりのヘムを残し、ホーはサンゴヘビや猛獣、政治家やB29と出くわす危機を無視して、闇くもに迷路に飛び込んでいった。

◎ところが、起業家(経産省、経団連)の加護があったホーは、いくらブラックな探検を強いられても生き延び。「俺は不死身のホーだああああ!」と、ついに新しいチーズを見つけることができたのでした。

めでたしめでたし

元ネタはこちら。ゴールデンカムイ
https://www.suruga-ya.jp/product/detail/892141554
 

 

ではなく、これ以上なく「めでたくなしめでたくなし」という終わり方になってしまっています。

 

ここから新しい内容だよ!

さて、前回は「チーズ」という、目標そのものについて記載しました。

でも、目標到達のためには「経路」があるわけで。この本では「迷路」で象徴されています。

さてこの迷路ですが、会社、社会と、それらが構成する常識であったりということらしい。

「チーズはどこへ消えた」を批判する人たちの論点では、権力とか指導層が自分の都合のよいように迷路を作り。要所要所にチーズを置いて、労働者というか社畜というかを必死に走り回り競争するよう仕向け、指導者側の利益になるよう誘導している、というものです。

この見解については、ぼくとしては全く同意するのでした。ははは

一寸先は闇の恐怖に満ちた迷路。

「進むも死、止まるも死」ではないけれど、「スカリー(恐怖)」で反射的(本能的)に迷路を走り回り、あてもなくチーズを探すように調教された社畜たち。

一部はチーズにありつきますが、その他の大多数は途中で力尽き。電車に飛び込んだり、過労死したり、うつで病院行きなどになり、消えて行きます。

要すれば、チーズにたどり着いた者しか生き残っていない(たどり着けなかった者は消え去る)ので、あたかもみんながチーズにたどり着けるみたいな錯覚を生み。実はブラックな真相が隠されてしまうのです。

権力の使い捨てにされる消耗品から、どうやって脱出するのか?

「社畜同士で団結して、迷路自体をぶちこわせー!」

という意見が複数出ています。「ついでに、迷路を作った権力者とその取り巻きを、片端から捕まえて、機関銃でハチの巣にしてしまえー!」

怒涛の大革命だ!

収容所群島 ソルジェニーツイン
YMCA-Press – Cover of the first edition of the Gulag Archipelago, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=112605369による
 

 

たしかに気持ちはわかりますが、ぼくはこうした考え方には賛成しません。

こういうのは共産主義者の考え方だからです。

ここでいう共産主義者というのは、実は共産主義者のことではなく。

共産主義の教義というか論理というかの中から、都合のいい部分を抜き出して大衆を扇動し。大革命を起こしたうえで、革命前も真っ青な恐怖政治を打ち立てる独裁政府とその構成員のことを言います。

例えばスターリンとそのギャングですが、プロレタリア革命と言って市民、農民をだまし、挙句の果てにはご存じの通りロシア全体に「収容所群島」をぶったててツアー政治も真っ青の独裁政権を作ってしまいました。

念のため、プロレタリアというのはもともとは都市の無産階級のことであり、それをレーンだったかトロッキーだったか?が、「農村の人もプロレタリアということにしましょう」と、著しく革命分子の分母を大きくすることに成功するなど、この時点で実は共産主義の定義などどうでもよくなってしまっていた。その後のスターリニズムの台頭においては、推して知るべし。

*このへん詳しくは以下ご参照

https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/2920527/011_p020.pdf

レーニンの農業・農民理論をいかに評価するか

https://www.textiletoursofparis.com/blog/the-origins-of-haute-couture-from-opera-to-le-sentier
 

 

さて、こうした共産主義者たちが「資本主義の迷路」をぶち壊したとき、だれが生産体制を回復するのか。

「迷路」が機能していた時は、迷路なりに産業があり、食品、工業製品、要すれば生活必需品が営々と生産されていた。

迷路をぶち壊すということは、電力、水力と言ったエネルギーインフラを含め、物理的ににぶち壊さないとしても、その活動を麻痺させ、機能できなくしてしまうのである。

フランス革命の場合は、王族、貴族の首をちょん切り、その経済基盤をぶち壊し分割して革命分子に分け与えたが、ブルジョア革命であり、いわばブルジョアの首が入れかわっただけ、と言ったらフランス人に怒られそうですが、国家としての生産基盤は損なわれずに済んだ。

ロシア革命はじめ共産主義革命の場合、「敵性身分」が根こそぎぶち殺されてしまい、生産基盤の経営ができた人材がラーゲリでブタの糞にまみれて4んじまったため、要すれば生産再開ができなくなってしまった。

革命政府でもそれに気が付き。NEPとかなんとかがんばったり、ホロドモールでウクライナから身の毛のよだつ略奪をするとか「工夫」したけれど、ついには共産政権そのものが瓦解してしまいました。

唯一元気なのが中国ですが、これは「資本主義の迷路」をいよいよ魑魅魍魎の迷路に仕立て直す中国人の恐ろしい金儲けの才能によるものであり、ぶち壊すどころかいよいよ堅固にしてしまっているのである。

何を言いたいのかというと、「迷路」をぶち壊すのは、そのあとどうするのかという恐ろしい火種を同時に含むことから、得策ではありませんよ、ということです。

どうすればいいのか。

別にそんな難しいことではありません。

鳥になればいいのです。

というか、「鳥の目を持てばいいのです」

地上にはいつくばっているから、目の前の壁の後ろに、どんな恐ろしい怪物が潜んでいるかわからない迷路になってしまうのです。

地上から見た迷路https://mirai-chiiku-labo.com/programming-meiro/
 

 

上空から見た迷路 https://karaezadrenaline.com/le-parc-aventure/le-parc-en-images/
 

 

上空から見れば、どこが行き止まりで、どこにへんな怪獣がいるか。そして、どことどこにどれだけのチーズがあるか、というのが一目瞭然なのです。

自家用機で空を飛ぶようになって、地上から見た視点とは別の視点を知ることができました。

そういった非日常の時間を持つと、日常の場面でも客観的な判断ができるようになった、と思っています。

突然抽象的になるなごるあ!はいはい、具体的なお話に戻ります。

要するに、迷路の中、外かかわらず、地上という2次元の同じ土俵にいるより、3次元つまり上空から俯瞰するような視点が得られれば絶対的なアドバンテージですよーと言いたいのです。

ここでの同じ次元というのは、「労働しないと生活できない」という次元のことです。無産階級のままでいるから、生産手段を持った屑のブルジョアに社畜としてこき使われてしまうのです。

では、迷路のどこに富があり、この富をどう使いこなすかを俯瞰視点で把握するにはどうするのか?

というわけで、結論はやっぱり、楽しくてためになるHP「アーリーリタイア・軽飛行機で空を飛ぶ」の「Aviation」をご覧いただければとなります。

 

 

3000字を超えました。

ではでは

Posted by 猫機長
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車のブレーキが壊れた!そのときどうする?

1982年製のVWベース356レプリカに乗っています。
今回は旧車に乗っているといろいろありますねえ、というお話です。

怪車356「ポルシェ」

その①ブレーキがきかなくなっちゃった
とある吉日。田舎の飛行場からブラジリア市内の自宅に戻っている途中、なんか急にハンドルが左にとられるぞ?
最初は、ときどきという感じだったのですが、時の経過につれて持続的かつものすごい力で左旋回しようとするようになり。
あいにく土曜の午後で、かつ、となりに素敵女子を乗せていたこともあり、途中でストップとかもやらないほうがいいね、とむりやり30キロ、35分くらいの道のりをそのままつっぱしっちゃいました。
なんとかアパートへたどり着いたはいいが、いざバックで車庫入れしようとすると、ゔおおーん、とアクセルを踏んでも万力のように車輪が地面に貼りついて、動けないじゃん?さてはパンクか?
でも、タイヤはぜんぜんつぶれたりしていないのですよねー
この時点で、ベアリングかブレーキだな、とめぼしはついたのですが、前輪なのか後輪なのか、もしギアボックスと連結している部分だったらどうしよう、なんて眠れない一夜を過ごす羽目になってしまったのでした。いずれにしろ、いったん車軸の機構を冷やさないとどこが悪いのかわかりませんからねー
さて翌朝。素敵女子はまだぐーぐー寝ていましたが、日の出ちょっと後のすがすがしい空気のなかで、タイヤと車輪を点検してみると、左前輪のホイールキャップからブレーキオイルがにじみ出ているのを発見。

 

ふふんこれだな、と車に乗り込み、ちょっとだけ車庫から前進してみました。
すると、まるで昨日がウソのように軽快にころがり。
でも、ブレーキを踏んだとたん、「すかっ」とペダルが抜けてしまい。慌ててハンドブレーキで止めたのでした。ははは

ハンドブレーキ
 

 

どうやら左前輪のブレーキシューが押し付けられたままロックしてしまい、一晩で冷却されて元に戻ったものの、加熱時にブレーキオイルが漏れだしてしまったらしい。
一方、昨日の段階では、車をまっすぐ走らせるために無理やりハンドルを右に45度くらい倒しこんだりとかしていたので、ステアリングがやられなかったか?アパート敷地内の誘導路を走ってみることに。
幸いステアリングは無事のようである。一方、ブレーキは踏み込むとちょっと効き始めたか?くらいの時にすかっと抜けちゃうので、「効きはじめ」の段階で止まれるような、要すれば人の歩くくらいの速度しかだせず。
その日は日曜だったのでそのまま放置。
月曜朝、まだだれも道を走っていない早朝にエンジンスタート。そろそろとアパートの敷地を抜け出し。修理屋までの6キロくらい?を走っていきました。
この時点でステアリングは問題なし。でもブレーキは全く効かなくなってしまい。

 

 

しゃあないので最大でも時速50キロ、サードギア(ふつーはトップ)でゔいゔい言わせながら走りました。こうすれば、アクセルを放すだけでエンジンの方が車輪(実質はクラッチ)を減速してくれるのである。
みなさんが教習所でならったエンジンブレーキですねー
だいたい時速50キロで通常走行。はるか先に信号が黄色になっていたら、アクセルを放してエンブレで30キロぐらいまで減速、そこでゔいいいん!とダブルクラッチでセカンドにつなぎ、またエンブレで20キロ、10キロ、と減速。ここでもう一回ゔいいいん!とダブルクラッチでファーストにつないでもいいのですが、べつにカーレースでもないので、時速4キロくらいか?まで落ちたら、クラッチを踏んでエンストを防ぐとともに、ハンドブレーキを引いて止めちゃうのでした。こうすれば、ちょうど信号機が赤になったときに、横断歩道の目の前でぴたりと止めることができるのである。
結局、ハンドブレーキは1回使っただけで無事に修理工場に着きました。
マニュアルシフトの車はいいですねえ。トルコン車(オートマ車)だったら、ダブルクラッチなんておつなまねはできないので、レッカー車確定でした。ははは

ブレーキキャリパーを分解してピストンを交換。
 

 

ダブルクラッチってなに?
一昔前のバスの運ちゃんがいつもやっていたあれです、といってもわかりにくいと思うので、図解で説明します。
まず、ポルシェのペダル配置はこんな感じ

 

 

ここからダブルクラッチの説明です。
① ふつーに走行している状態。アクセルのみを踏んでいます。
② アクセルを放し、クラッチを踏み込んで(1回目)ギアを放し
③ ニュートラルポジションで、クラッチペダルを放し、アクセルをぐっと踏み込む。
ここがポイントです。この時エンジンとクラッチがつながっており、アクセルを踏んだ分だけゔいいいーん!とぶんまわります。
④ ここでクラッチを踏み込み(2回目)、ギアをつなぎます。
こうすることでトップ→サード→セカンドとギアダウンして歯車の大きさの違うギアにつないでも、ゔいいいーん!と回転数を上げておいたので、うまくギアとエンジンの回転数がかみ合い、すぱっとクラッチがつながるのでした。

2回クラッチを踏むので、ダブルクラッチというのです。
上の例は、トラックやバスなどにギアのシンクロ装置がなかったころ、運ちゃんが盛んにやっていましたよねーひところのレースカーでもブレーキの摩耗を極力防ぐためにパイロットじゃなかったレーサーが多用していました。ただレーサーのはもっと繊細かつヒールアンドトウ(トウアンドトウもある)といったエンジン回転数を維持するための技術と併用したので、ふつーの人にはとてもできない狂ったまねになっています。

 

 

もっとわかりやすい例はこちら

4:04から4:11に注目

 

 

かぶと虫など旧車乗りは、シンクロ装置保全のため、バスの運ちゃんみたいな古典的なダブルクラッチを普段から、という人も多く。

VWのトランスミッションシンクロ歯車
https://produto.mercadolivre.com.br/MLB-1627505565-kit-anel-sincronizador-1-2-3-4-marchas-kombi-fusca-vw-_JM
 

 

ぼくもその一人ですが、ブレーキが抜けたぞ!というときも役立つ重要な技術なのでした。
結局修理屋ではブレーキシューの交換とオイルの交換。その後1週間くらいか、念のため右側車軸のピボット1個とステアリングバーの接続ピボットを交換しました。

交換した部品たち
 

 

その➁パンク3連発
以前の記事で、4年ぶりか?タイヤ交換したことを書きました。
ところが、4か月も立たないうちにパンクが続発。
要するに、タイヤチューブが不良品だったということですが、きょうびチューブレスタイヤが主流で、まともなタイヤチューブはもはや市場に出回っていないという事実が判明。

何度もパッチを宛てて修理したチューブ
 

 

一方、4か月間の使用によって、タイヤ自体はうまくホイールになじんでいることがわかり。
意を決して、最後にパンクした左後輪はチューブレスにしてみました。
この場合、他のタイヤは空気圧26Psiのところ、チューブレスにしたのは32Psiにする必要があり。
このままではパンクはしなくてもタイヤの方減りや方向安定性など懸念されるところ、一週間走ってチューブレスでも問題なかったので、右後輪も思い切ってチューブレス、32Psiに変更。
いまのところ、前の2輪はチューブ入り、後ろはチューブレスで走っています。

チューブレスの場合は専用のエアバルブが必要で、見つけるのに苦労しました
 

 

その③エンジンヘッドのねじが暴発
とある吉日。朝起きて車庫に行ったら、エンジン下部からオイルがだだ洩れになっており。
漏れる場所から、やばいぜ!トランスミッションか?と懸念したのですが、修理屋で、単にシリンダーヘッドとヘッドカバーを密封するガスケットが破断して、オイル漏れをしていただけとのことでした。

シリンダーヘッドhttps://shopping.flat4.co.jp/products/detail/9665
 

 

シリンダーヘッドカバーとガスケットhttps://auctions.yahoo.co.jp/closedsearch/closedsearch/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%96%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%BC%20%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88/2084016833/
 

 

ご参考まで、エンジン分解図https://www.facebook.com/motortownautoparts
 

でも、実はそれだけではなく、エンジンヘッドとシリンダー・エンジンブロックを接続・固定している8個のナットの一つが緩んで暴発、ヘッドカバー内でころころ転がっていたよ!ということでした。

① から④のうちどれかが外れていたらしい。https://2img.net/h/lh6.ggpht.com/_v8vsBvAegDk/TSvhThAIwiI/AAAAAAAAASk/HLqHAGhUaL0/sequencia-de-aperto-inicial-das-porcas-do-cabecote.jpg
 

今どきのエンジンだったら。。。空冷VWの原始的エンジンでよかったです。。。

VWエンジン
 

 
ではでは

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バッファローは大陸の動物だった

*この記事の「冬戦争」関連情報は、主に以下が出展となっています。

冬戦争における空中戦 – HiSoUR Art Culture Histoire

 

バッファロー戦闘機、といえば、マニアのみなさんは「かわいそうなやられ役」とすぐピンとくることでしょう。

引っ込み脚に密閉式風防と、設計当時は先進的だったのですが、実際の使用場面では隼や零戦に、なすすべもなくバタバタ落とされた、という事実があります。

同じビヤ樽体形のグラマンF4Fが善戦したのに比べいかにも情けないというかかわいそうなバッファロー。

バッファロー(左)とF4F(右)
F2A Buffalo, or F4F Wildcat? | Sticking with the Midway sche… | Flickr
 

 

当時の一線機だったP39、P40といった陸上機が、零戦との巴戦はやめて戦闘爆撃機(地上襲撃機)として前線に継続・活躍したのにくらべても、バッファローはいいところがなく。ひっこめー!と退場させられてしまった。

ところが、そんなバッファローが大活躍した戦場があるのです。

それが「冬戦争」そしてその後の「継続戦争」

バッファローの前に、これらの戦争の説明が必要と思います。

第2次大戦は、横暴なドイツがかわいそうなポーランドに怒涛の進撃を開始したのが始まりとされており。それは一面で正しいのですが、実は同じくしてロシアもポーランドに血も涙もない侵略を行いました。

ソ連は、連合国側のくせに「独ソ不可侵条約」を結び、ポーランドを分割。英仏がまごまごしている間に魔の手を近隣諸国に伸ばし。1939年11月にフィンランドに侵攻を開始しました。

これが「冬戦争」である。

どこかのウクライナ戦争みたいなソ連の行いに、西側諸国というか米英仏は驚き。ウクライナじゃなかったフィンランドに精一杯の武器供与を行いました。

あれフィンランドって枢軸国じゃなかったの?

ソ連が見境なく近隣国家を蹂躙するので、蹂躙されたフィンランドはソ連の味方であるはずの連合国から支援を受けたというわけである。

というか、フィンランドを「枢軸国」というのも実は疑わしくて、必死になってソ連と戦っているうちに枢軸国にされちゃった、というのが実態と思います。

Finland Winter War Map
 

 

さて、怒涛のソ連侵攻を食い止め、フィンランドはよく戦った。

戦いぶりが、やっぱりウクライナに似ており。航空戦においても、いろいろな国から急遽いろんな飛行機の供与(あるいは貸与?)を受けて、何とか乗り切った。

以下の数字はいずれも推定ですが、「冬戦争」の間に、ソ連側は700機近い損害を被り。ということはそれよりずっと多い飛行機を飛ばしていたのに対し、フィンランド側は215機が使用できました、なんて情報があり。4倍近い?という恐ろしい戦力差だった。

それでも、いろいろな飛行機をかき集めて215機で戦い、見事ソ連空軍を撃退したのである。

フィンランド機の内訳は

ブリストルブルドッグIV(15機)、

フォッカーD.XXI(41機)

ブラックバーンリポン(15機)

ブリストルブレニム爆撃機(18機)

フィアットG.50戦闘機(10機)

グロスターグラディエーター(30機)

モラーヌソルニエMS406戦闘機(30機)

ブリュースター・バッファロー(44機)

ホーカーハリケーン(12機)

枢軸側のイタリア機が入っているのがお笑い。

笑い事ではないのが、「冬戦争」がこじれた結果の「継続戦争」で、ドイツからメッサーシュミットBf109 の供与を受けています。なお、冬戦争は独ソ戦前なのでフィンランド単独、「継続戦争」は独ソ戦たけなわの時期に勃発した戦争です。

どこで読んだかは忘れたのですが、フィンランド人の偽らざる実感として、「継続戦争において、確かにドイツから武器の供与も受けはしたが、実態は、ドイツと同じ戦線において、ドイツと同じ敵と戦っていたというだけであり、決してドイツのフィロゾフィーなどに無条件に賛同していたわけではない」ということだそうです。

「継続戦争」後半にもなるとソ連が猛然と戦力を盛り返して敵も味方もみなぶち殺す「絶滅戦争」のキバをむき出しにし。フィンランドもたまらず涙の講和でなんとか全土を占領されることを逃れました。

この際のソ連の講和条件の一つが「フィンランド戦線で戦っているドイツ軍をフィンランド軍が攻撃し、これを追い出すこと」というこれまた血も涙もない要求であり。でも、その辺はドイツもフィンランドも大人の対応で、いちおうソ連に向けてドンパチはみせながらも、なるべく無傷でドイツ軍が母国に戻れるように立ち回ったらしい。

さて、共産主義者による占領を逃れるうえで決定的な活躍をした飛行機の中にバッファローがあった。「冬戦争」の間はバッファローがんばり。「継続戦争」からは、Bf109と共闘した。

 

F2A-1 Buffalo Model B-239 | Finnish Air Force
 

 

冬戦争、継続戦争時のバッファローとBf109
Finnish Brewster Buffalo and ME 109G – WWII Fighter Planes
 

 

あれ、カギ十字じゃん?

これも、フィンランド人いわく、もともとは「幸運の青い十字(ハカリスティ(Hakaristi)」ということでフィンランドに根差したシンボルであり(発祥はスェーデンだそうです)。これをドイツ人が借用して、独自のフィロゾフィーで使ったのだ、ということだそうです。

さて、バッファローです。

上記の通り、「冬戦争」で絶望的ともいえる戦力差を盛り返した。

フィンランド空軍は、雑多な戦闘機の寄せ集めでしたが、その中でもバッファローは「真珠」と称賛される活躍だったそうである。

その理由について列挙します。最後のはちょっと拍子抜けかもしれんが。

◎気候上の問題

太平洋戦線は、ヨーロッパ人から見れば灼熱地獄であり。「夏はきんちょーだねー」のものすごい酷暑、さらにものすごい湿気が立ち込め、西洋人の作った機械は故障が頻発したらしい。バッファローやスピットファイアなど、オーバーヒート多発でそもそもの基本性能が発揮できなかった。これがフィンランドに行けば、なんか寒いね、くらいでかえってエンジンに優しい気候という感じだったらしい。

◎陸上機としての運用と、魔改造

酷暑の太平洋で日本機動部隊と対決するのが主任務の艦上戦闘機のくせに、暑さでくたばったヘタレなバッファロー。これがヨーロッパ大陸での陸上戦闘機としての活動になると、着艦フックだの救命いかだだのは下ろしてかなり身軽になれた(真正の陸上戦闘機と比べてもほとんどハンデを解消できた)。また、輸入の途上でいったんスゥエーデンへはこばれ、SAAB社の工場で照準機とかの独自の艤装がなされた。どこまで魔改造になっていたか?は不明ですが、性能向上には役立っていたとおもいます。

ちなみに、皆さんご存じNOKIA社がバッファローの魔改造に手を出していたというか、資金援助していたらしく。フィンランドのバッファローは「NOKIA」とスポンサーの広告をしっかりペイントしていたのでした。

「使えないビア樽」戦闘機が「空の真珠」に!? 評価一変 フィンランドでF2A「バッファロー」はなぜ活躍できたのか – (2) | 乗りものニュース
 

 

◎相手に恵まれた

こうして無敵の陸上戦闘機に生まれ変わったバッファローは、ソ連のミグやラボ―チキン新鋭戦闘機をさんざんに打ち破った、というわけではなく。

Bf109とも互角に戦った新鋭ヤク9戦闘機
YAKOVLEV Yak‐9D FIGHTER
 

 

実は戦果の大多数が爆撃機とか一世代前のI15, I16だった。

「冬戦争」当時のソ連側の飛行機は

戦闘機

I-15複葉戦闘機(チャイカ-「カモメ」)

I-16単葉戦闘機

爆撃機

DB-3双発長距離爆撃機

SB-2双発高速爆撃機

TB- 3 4発重爆撃機

というわけで「ワンショットライター」とはいかずともそれに近い旧式爆撃機や、格下のチャイカとかばかりだったので、要すればふつーに勝てる相手に勝った、というだけだったのだった。ははは

I15 チャイカ POLIKARPOV I-153″CHAIKA”FIGHTER
 

 

ただしその勝ち方は尋常ではなく。キルレシオでは1対21、すなわちバッファローが一機やられるごとにソ連機は21機撃墜という恐ろしいスコアを達成しています。

「NOKIA」なんてふざけた広告をはっつけた飛行機に、バタバタ落とされるソ連機。

痛快ですねえ。はははははは

*ロシア人のみなさんごめんなさい。プーチンがぶち56されたら、もっとロシアにも好意的な記事が書けるようになると思います。

いずれにしろ、フィンランド人にとってバッファローは救世主であり。空戦でやられて、ソ連占領地の奥深くに落っこちちゃった!のを、フィンランド軍が決死の回収作戦で取り返したりなどしたらしい。

「継続戦争」になって、本当に新鋭のソ連戦闘機が飛んでくるようになると、バッファローもBf109に応援してもらうようになりました。

バッファローとBf109が仲良くロシアをやっつける、というのはなかなか美しい構図ですねえ。ウクライナでも。。。なんて脱線しそうになってきたので、終わりにします。


 

 

ではでは。。。。

Posted by 猫機長
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高度計を信じよう

こないだその辺を飛んでいたら、管制官のお姉さんからお𠮟りが。

いわく「チャーリーモード受信不能。トランスポンダ-チェックせよ」

小さな飛行機で飛んでいます
 

 

へいへい、とトランスポンダーのIDENTボタンを押してチェックしたのですが、どうもこちらの高度が管制まで届いていないようで、何度かチェックの後、やっと

「Cモード受信。レーダーコンタクト確認」と、無罪放免になりました。

なんか暗号文みたいになってしまったので、説明します。

C(チャーリー)モードというのは、ぼくの操縦している軽飛行機に搭載された機位発信装置すなわちトランスポンダーと連動した高度エンコーダーによって機体の飛行高度が管制に発信されている通信作動形態(モード)の意味です。

ますます意味不明か?

要すれば管制のお姉さんは、この高度エンコーダーから発信されるぼくの機の高度情報が受け取れておらん、機材チェックせよ、と言っていたのでした。

そこで、こちらはトランスポンダーのIDENTボタンを押して、送信チェックを実行。こうすると、管制官が見ているスクリーン上で、ぼくの飛行機を表す光の点が、ぴかぴか!と点滅し、トランスポンダー異常なし、ということを明示するのでした。

計器盤の中央に鎮座しているトランスポンダー。STBY、ALT、IDENTのボタンに注目。
 

 

ただし、IDENT実行には、まずSTAND BY – ALT – IDENTと順序立てて複数のボタンを押す必要があるとか、いったんIDENTを押すと管制官の画面で8秒だったか12秒だったかぴかぴかとまぶしく点滅して、ほかの機の光の点滅が見えなくなっちゃうとかあり。「まちがってIDENT押しちゃった」とかやると管制から烈火のごとく怒られるので皆さんが飛行機を操縦するときはご注意くださいね。

 

さて、管制がCモード受信できん、という場合、たいていは気象状況によって電波が切れぎれになっちゃうというのが多いはずだが、万一こちらの機器が故障していた、だったらやばいので、着陸したら早速トランスポンダーとアンテナをチェックしました。

そしたら、なんとアンテナがごみや錆で真っ黒けになっていることを発見!これでよく発信・受信できていたなとびっくり。

アンテナ。管制のお姉さんごめんなさい
 

さっそくガシガシとこすって錆とかはとったのですが、勢い余ってアルミ?のメッキもはがしてしまい。なんかプラスチックみたいな白い地肌が出てきちゃった!

そこで、いつも機体の年次検査をお願いしている兄ちゃんに連絡。週日でぼくは町から出られないけれど、お兄ちゃんに格納庫のカギを渡し、郊外の飛行クラブまで出張修理へいってもらい。機体からアンテナを外し、点検してもらいました。

この結果

「アンテナ自体は全然問題ない。ただアンテナとCモード送受信機の接続部分で機体に干渉していたのでちゃんと絶縁しといた」

さらには「メッキが剥がれて、アンテナ本体の真鍮だっけ?がむき出しなのは問題ない」ということで、70ドルの出費を抑えることができたのは安堵。

新品のアンテナ。これで70ドルですから、やってらんないですねー
https://www.aerian.com.br/antena-transponder-dme-conector-bnc-ted-104-12
 

 

その後は、トランスポンダー画面のCモード送受信シグナルもちゃんと点滅するようになり、いい感じに作動しています。

画面に表示されている「ALT」の下に、「R」のシグナルが点滅し、高度情報を管制に送信していることがわかります。
 

 

これだけだったらめでたしめでたしなのですが、修理屋のお兄ちゃんの心無い一言で、夜も眠れない、恐ろしい懸念が発生してしまったのでした。

その一言とは

「トランスポンダーの高度表示の誤差がでかすぎたから、調整しておいたよ」

と、まあこれだけならよかったのですが

「ちゃんと(機体を駐機してある)飛行クラブの標高にあわせといたからね」

の一言がぐさりと突き刺さったのでした。

標高にあわせた?うああああー?

というのも、トランスポンダーの表示すべき高度というのは、標高とかではなく、標準大気圧1013hPaに合わせたものでなければならないからなのです。

標高に合わせなければならないのは高度計で、離陸前にかならず「QNHセッティング」を行います。

QNHというのは「海抜高度規制値」のことです。

気圧は毎日変わりますが、飛行場の標高は一定しているので、例えばぼくのホームベースであるSDCB飛行場では、離陸前に「3200フィート」にダイヤルを合わせます。その時高度計の気圧表示窓に現れる気圧がその日の気圧ということである。QNHは飛行場近辺の低空を飛ぶときは特に大切です。

海抜3160フィートの飛行場にて。左がQNHセッティング。「コールスマン窓(黄色い枠内)」表示の大気圧1023hPa。これがQNE(右)になると、気圧を国際標準の1013hPaに合わせるので、高度は300フィート近く低い2920フィートになってしまいました。
 

 

一方、トランスポンダーはあくまでQNEセッテイングでなければならないのである。

QNEとは「国際標準大気規制値」。

広いようで狭い空では、いろんな場所から飛んできた飛行機が同じ空域に交じりあい。たとえば羽田から飛んできた飛行機とブラジリアで離陸した飛行機がブラジリア上空でかち合った場合、ブラジリアの気圧に基づいた高度計セッティングと、羽田の気圧に基づいたセッティングでは同じ高度でも明らかに高度計の針は違う高さを指してしまい。ニアミスなどの原因となるので、「じゃあ一定の気圧を決めてみんなこの気圧で高度計を調整しましょう」としたのがQNEです。そして、その気圧は国際標準大気1013hPaとなっています。

ふつう、みんなQNHで離陸し、ある一定の高さまで行ったらQNEに変更します。ちなみに、QNEでの高度の呼び方は、7500フィートとは言わずFL075(FLはフライトレベル)となります。

QNHとQNEの差
https://www.linkedin.com/posts/airlifter_qnh-qne-and-qfe-are-altimeter-settings-activity-7093040410830274560-PiU5
 

 

 

要すれば、トランスポンダーの表示はあくまでQNE(標準気圧、1013hPa)に基づいたものでは無ければならないのに、修理屋の兄ちゃんが不用意に「標高に合わせた」なんていうから、こいつQNEとQNHを勘違いしたんじゃね?

という恐ろしい疑惑が生まれてしまったのでした。

その日は水曜だったか?木金は一日中ブルー。土曜日早速飛行場へ飛んで行って、ちゃんとトランスポンダーのFL(フライトレベル)表示が1013で調整となっているか確認しました。

確認自体はしごく簡単で、高度計のほうの気圧を1013にして、そこで示される高度がトランスポンダーのFL表示と合致していればOkということなのである。

その結果は、写真のごとく

 

 

高度計3040フィートのところ、トランスポンダーのFL30と、ばっちり合致でした。

あーよかった

*この確認方法では、高度計がしっかり調整されている必要があります。念のため

FLの調整がちゃんとなされていないと、罰金(恐ろしい金額です)以前に、本当にエアトラフィックを混乱させてしまうので、間違ってもこの調整でQNHとQNEを取り違えるなんてあってはならないのである。

ただ、このチェックは問題なく正しい数値が出るだろうというあてはあった。

というのも、トランスポンダーへ情報発信する高度エンコーダーは、そもそも標準気圧に基づいた数値(高度)しか示さないようになっているからである。

一抹の不安として、このエンコーダーが出す数値に誤差が生まれていて、それを修理屋の兄ちゃんが下手にいじってさらに拡大してしまった、ということを恐れていました。

結論から言えば、お兄ちゃんは「標準気圧に基づいた標高に調整した」という、下線の部分をはしょってしまったということなのですね。。。

「標高」という言葉は「標準気圧」という言葉が前提になっているのかもしれませんが。

というわけで、終わりよければすべてよし、と強引に終わるのでした。

ははは

ではでは

 

Posted by 猫機長
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チーズはどこへも消えません

啓発本、と言われる類の中でも、一世を風靡し、現在でも有名なのに「チーズはどこへ消えた」というのがあります。

Wikipediaでは

「『チーズはどこへ消えた?』(英語原題:Who Moved My Cheese?)は、アメリカ合衆国の医学博士・心理学者であるスペンサー・ジョンソン(英語版)が著した童話、ビジネス書。1998年にアメリカで出版され、2019年時点で2800万部を超えるベストセラーとなっている。」

あれ童話だったっけ?こんな「童話」を読んだ子供はアダルトチルドレンになってしまうのでは?

かんじんのSinopseすなわち内容の概要がWikipediaには載っておらず。むりやり要約しちゃえ!ということで以下の通りとなりました。

(参考:【要約】『チーズはどこへ消えた?』のあらすじ【20代向けの名著】 | 小売オタク)
チーズのある静物(Still Life with Cheese ) ギョーム・ロマン・フエース
https://www.meisterdrucke.jp/fine-art-prints/Guillaume-Romain-Fouace/67876/%E3%83%81%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E9%9D%99%E7%89%A9.html
 

 

◎登場人物は、小人の「ヘム」と「ホー」、そしてネズミの「スニッフ」と「スカリー」です。

◎この2人と2匹が迷路にあるチーズを探していると「チーズステーションC」で大量のチーズを発見。幸せな日々を過ごしていた。

◎ところが、ある日チーズは消滅してしまった。

◎ネズミどもは本能のおもむくまま別の場所にチーズを探しに行き。しかし人間どもは泣き言や繰り言をのべるばかりで「ステーションC」から離れることができず。

◎ヘムが「何もしないでこのままステーションCにいるべき。チーズはいつかは戻ってくるはずだ!」とだだをこねる一方、ホーは「とっとと身を危険にさらして新たなチーズステーションを探検に行くべきだ!」と見境もなくわめき。

◎引きこもりのヘムを残し、ホーはサンゴヘビや猛獣、政治家やB29と出くわす危機を無視して、闇くもに迷路に飛び込んでいった。

◎ところが、企業家(経産省、経団連)の加護があったホーは、いくらブラックな探検を強いられても生き延び。「俺は不死身のホーだああああ!」と、ついに新しいチーズを見つけることができたのでした。

めでたしめでたし

元ネタはこちら。ゴールデンカムイ
https://www.suruga-ya.jp/product/detail/892141554
 

 

ではなく、これ以上なく「めでたくなしめでたくなし」という終わり方になってしまっています。

いったい、この「童話」で、世の指導層は、しがないサラリーマンのあなたに何を求めようとしているのか?

上記参考リンクから、以下そのまま抜粋します。

「迷路で旅をするうちに、ホーはいくつかのことを学びました。

変化は起きる→チーズはつねに持っていかれ、消える

変化を予期せよ→チーズが消えることに備えよ

変化にすばやく適応すること→古いチーズを諦めればそれだけ早く新しいチーズを楽しむことができる。

変化できないのは恐怖があるからだ→迷路の中には何があるかわからない。

ホーは自分を変えて、新しくチーズステーションNにたどり着きました。チーズステーションNには、新しいたくさんのチーズがありました。

そこには、すでにネズミのスニッフとスカリーがいました。2匹はすでにチーズを食べて満腹の様子でした。

こうしてホーは自分を変え、迷路の中で学び、新しいチーズを掴み取ることができました。」

 

上記から、いよいよこの本が、いかに読者の魂を抜き去り、単なる家畜になるよう誘導しているかということが明らかになります。

チーズが何を象徴しているかについては、ここでは「収入」、「生活の保障」をひっくるめて「お金」としておきます。

チーズのある静物、1615年 (Still Life with Cheese, c.1615 ) ヴァン・ダイク
https://www.meisterdrucke.jp/fine-art-prints/Floris-Claesz.-van-Dyck/394017/%E3%83%81%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E9%9D%99%E7%89%A9%E3%80%811615%E5%B9%B4.html
 

 

この本のエッセンス部分である「チーズ」を「お金」に替えたうえで、説明を加えるとこうなるのでした。

変化は起きる→お金はつねに持っていかれ、消える
変化を予期せよ→お金が消えることに備えよ

◇なるほど、お金というものはなくなってしまうものであり、消えることをあらかじめ覚悟せよ、ということですか。ふーん。

 

変化にすばやく適応すること→古いお金を諦めればそれだけ早く新しいお金を楽しむことができる。

◇要するに、今あるお金に執着するな。あきらめろ。そうすれば新らしい収入が得られるぞ、と言いたいのでしょうか。人口オーナスの今日、「新しいチーズ」が発見できる保証が、どこにあるのでしょうか。さらに言えば、変化に素早く適応しろ、と突き放しておきながら、どうすれば適応できるかということには触れていない、恐ろしく無責任な誘導になっています。

 

変化できないのは恐怖があるからだ→迷路の中には何があるかわからない。

◇当たり前です。自分も家族も危険にさらすような生活の変化に、抵抗もなく飛び込んでいく「12歳の幼稚な子供」になれ、ということなのでしょうか。

 

そして、この本の極めつけの本質が、以下で明示されています。

ホーは自分を変えて、新しくお金ステーションNにたどり着きました。ステーションNには、新しいたくさんのお金がありました。そこには、すでにネズミのスニッフとスカリーがいました。2匹はすでに「チーズを食べて」満腹の様子でした。

◇すべてお前が悪い。お前が変化して「ステーションN」に順応できなければ餓死だ。4んじまえ、ということです。

 

どんな変化をすればたどり着けるか、というお手本が「すでにネズミのスニッフとスカリーがいました」ですからねー

要するに、この本のメッセージは、

「思考能力を捨てろ。うだうだ能書きをたれずに本能的に「チーズを探す」ネズミ畜生になれ」

ということなのです。

パン、チーズ、ワイン、プレッツェルのある静物(Still Life with bread, cheese, wine and pretzels )Osias the Elder Beert https://www.meisterdrucke.jp/fine-art-prints/Osias-the-Elder-Beert/72287/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%80%81%E3%83%81%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%80%81%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%80%81%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%84%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E9%9D%99%E7%89%A9.html
 

 

「予期せよ」とか「適応する」とか、いかにもかっこいいことを書いていますが、「どんなクライテリアで」「どのようなリスクを計算して」「どのような成果を見越して」といった思考・計画の部分を見事に消し去って、ネズミ畜生のように見境なく走り回れ、とけしかけているに過ぎないように思ってしまうのは私だけでしょうか。

ホーのように、やみくもに新しいステーションを探すことで、必ずステーションが見つかる、という保証があれば、この本も多少はあなたの役に立つことでしょう。

しかし、ステーションを見つけるための具体的な手掛かりは提示せずに「お前が変われ」ということに終始するこの本の意図としてどんなものが隠されているのか。

あなたが、変化に変化を重ね、汗みどろになって新しいステーションを探す労働をしているとき、その労働の成果をかすめ取っている組織などがないでしょうか。

この本は、あなたが新たなステーションを探し当てようが、あるいは探し当てることができないまま哀れな過労死を迎えようが、必死になって労働することのみが人生だということを刷り込もうとしていないでしょうか。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fminne.com%2Fitems%2F30333665&psig=AOvVaw2vAV3OqgTnPNmpy0O5AhLX&ust=1735831164845000&source=images&cd=vfe&opi=89978449&ved=0CBcQjhxqFwoTCNDb55rp1IoDFQAAAAAdAAAAABAE
 

いよいよ核心です。

この本が、あなたを「ネズミ車をひたすら回すような」絶望的な労働に落としいれることを正当化する本だとわかったうえで、あなたが穏やかに、質素に生きていくうえで必要な量のチーズ(お金)を、会社だの雇用主だのにかすめ取られないで確保するためには、どうしたらよいのでしょうか。

結論は「ヘムに学べ」です。

もちろん、ただのニートではいけません。

「チーズの本質を理解し、チーズを使いこなすニート」になる必要があります。

「本質」といっても、そんなに崇高とか深遠なものではありません。

「チーズはどこへも消えません」ということを理解していればいいのです。

別に質量保存の法則について説明したいわけではありません。「金は天下の回りもの」だと言いたいのです。

ステーションCで、ありあまるチーズを発見したとき、バカみたいにむしゃむしゃ食ってしまうのが間違いなのである。

有り余っているわけですよね?ネズミのように何も考えずに食うのではなく。債権に変えて利食いするなり、株だろうがリートだろうが、不労所得を生む資産にとっとと変えて、幸せな配当生活をすればよいのです。

「労働しなければチーズは得られない」から「チーズがチーズを生んでくれる」ように、あなたが変化するのではなくて、所得の方で変化、進化、増加するように計画実行すればいいのです。

「やみくもに迷路を走る」よりずっとましである。

チーズとドライデザート(Cheese and Dry Dessert ) Jacob Foppens van Es
https://www.meisterdrucke.jp/fine-art-prints/Jacob–Foppens-van-Es/103313/%E3%83%81%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%81%A8%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%88.html
 

 

では、どうやって配当だけで生活できる量の「チーズ」を築き上げるのか。

これは、楽しくてためになるサイト「アーリーリタイア・軽飛行機で空を飛ぶ」の特に「Financial」の部分をご精読ください。

3000字越えで終了。

ではでは

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短編集:「愛のジョージ」と「HAIKAI」ほか

その①ヘッドセット修理

とある吉日、雨季のブラジリアにしてはからっと晴れて、久しぶりにそのへんの農場でTGL(タッチアンドゴー)してきました。ここ数週間、雨や霧で飛べないとか、飛べてもせいぜい滑走路の周回程度しかできなったので、まあまあせいせいと飛ぶことができました

現地でも有数の大農場。アスファルトの巨大な飛行場。

 

 

まあまあ、というのは、離陸前にちょっとやばくないけどやばいかも、というのが発生し。

いつもどおり、機体、エンジンと、プリフライトチェックは順調に行っていたのですが。。。

ラジオをオンにして、「えェラジオのテスト中。えへらへらへらー」とやったところ、あれ、片耳しか聞こえないじゃん?

もうフライトプランの離陸5分前くらいで、エンジンもガンガン回しているのに、あせりましたねえ。

スケルチ(マイク感度)調整とかやったのですがぜんぜんだめ。ヘッドセットからのコードを機体に接続しているコンセントをぶち抜き、コパイ用のヘッドセットに取り替えたらちゃんと作動したので、故障は機体側ではなくヘッドセットのスピーカーが死んだのであろうと判断し、その日はそのまま飛びました。

いやいや、ガンガンうなるコクピットの中でヘッドセットを外し、コンセントに抜いたりさしたりとか、うるさくてやってらんなかったですが、でもちゃんと両耳聞こえる状態でないと、大げさではなく多数の人の生死を分ける航空通信ですからねーちょうどソロでの飛行だったので全く問題なくヘッドセット交換できました。

問題のヘッドセット
 

 

さて、帰ってきてからじっくり確認、でもないけど、確かに7年以上の連続使用でもあり、湿気の立ち込めるブラジリアの夏でもあり。いつかは壊れるものが壊れたということで、インターネットで新たなヘッドセットを探してみましたが、なんと古すぎの化石になっていたらしく、どのサイトに行っても見つけることができず。

最新のに取り換えればいいじゃん?そうはしたいのですが、一応機長・コパイと2セット更新しなきゃならないし、値段も2倍どころか3倍、4倍となってしまうのですよねー

しゃあないので、いつも機体の検査をおねがいしているお兄ちゃんに連絡したら「確かに化石で新品はもうないが、部品は持っているから修理は可能である」とのことで、お兄ちゃんのアパートまでもっていって修理してもらいました。

7年の使用で、耳あてとマイクのスポンジがボロボロになっていたので、これらはコパイ分も含めて新品と交換してもらいました。これら消耗品はまだ新品があるらしい。

破れはてて、中から気味の悪い液体というボンドがにじみ出ていました
 

 

修理後はこんな感じ。耳当てがあんなにボロボロになったのは、純正品ではない得体の知れないニセモノだったから、ということで、じゃあちゃんと正規品を、としたら値段が高すぎて手が出ないので、やっぱり並行市場からまあいいじゃん、という模造品にしたのでした。ははは

ヘッドセットから耳当てを外して取り換え。上がダメになった耳当て。下がそれなりの新品。
 

ちゃんと両耳聞こえるようになりました
 

 

 

➁「愛のジョージ」と「HAIKAI」

「愛のジョージ」という名のカフェを発見。ポルトガル語で「Amado Jorge」です。

と言えば、ブラジルに住んだ人はわかると思いますが、Jorge Amado(ポルトガル語読みでジョルジェ・アマード)という文豪がおり。この文豪にあやかった、いわゆる意識高い系のカフェ兼古本屋らしい。

ムヒカそっくりのJorge Amado(パブリックドメイン)
 

 

このJorge Amadoですが、実はブラジル共産党員であり、このカフェも、結局そういう世界の住人が集まる恐るべきアジトではあるのですが、ぼくは小学校の教員のおばさんと一緒に行ったので、要すれば警察とかジエイタイとかとかかわりはないよね?ということで通してくれました。ブラジル空軍とはかかわりあいになっているけど。

街中にぽつんと立っている古本屋
 

 

ちょうどその日、というか夜の8時でしたが、共産主義者たちの集会に出くわし。でもその夜はみんなで詩を発表し合うというそれこそ意識高い系の集まりでした。

詩の内容もアジテーション的なものはなく、なんとなく平安貴族じゃね?みたいなのもあったりして。

マイクの前で歌ったり、詩の発表
 

 

安くてうまい、に近いかものサンドイッチと、謎のジュース
 

 

インテリアや古本コーナー
 

 

そのうち、へんなおっちゃんが登場し。

「俳諧をやります」

補足情報ですが、日本の俳諧とは「主に江戸時代に栄えた日本文学の形式、また、その作品のこと。誹諧とも表記する。正しくは俳諧の連歌あるいは俳諧連歌と呼び、正統の連歌から分岐して、遊戯性を高めた集団文芸であり、発句や連句といった形式の総称である。(Wikipedia)」

この俳諧が、日本人移民からブラジル人に広がり「HAIKAI」としてブラジル文化に定着したのでした。

季語だのなんだのというより、音韻とかがブラジルのソネットともなじみがあるらしいという技術的な部分と、なんでも茶化してやろう!というブラジル人の性格にマッチしたというのが主な理由らしい。

へんなおっちゃんの「HAIKAI」。お題は「マンゴー」

マンゴーは、皆さんご存じとおもいますが、とにかく繊維質で歯の間に挟まるのと、それはともかく、すさまじく黄色い果汁をそこら中にまき散らし、あたり一面を黄色くしてしまうという悪魔の果実です。

 

 

このHAIKAIを日本語に意訳したらこんな感じ(翻訳なので音韻もへったくれもないです。ご了承を)。

手にしたマンゴー

かぶりつく子供

歯に挟まる線維

喜ぶ子供。大口で笑う

黄色い笑い

 

原文はこちら、と言っても、書き取りしたわけでもなく、あくまで記憶です。

Mão com Manga

O menino Chupa

Fibra nos Dentes

Menino Feliz, Largo Sorrizo

Sorrizo Amarelo

 

ここで、「黄色い笑い」というのはブラジルのスラングで「気まずい笑い」という意味である。ここでは、盗み食いを見つけられた子供の「マンゴの-果汁で黄色く染まった口」を「気まずい笑い」とちゃかしているのですね。

 

会場は手を打って大笑い。

 

そんな感じでのんびりの一夜でした。

アフリカ系のおばちゃんと、アフリカ文化オマージュのオブジェ。
 

 

抽象画になり切れない、へんな絵画がいっぱいあった
 

 

③おまけ

今回の記事は字足らずなので、おまけに我が家の猫の写真を数枚。

車庫で、タイヤの上に登るバカネコ。
 

 

コンピュータの操作を邪魔するクズネコ
 

 

酔っ払いネコ
 

 

おそまつさまでした。

ではでは

Posted by 猫機長
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傑作機MU2

これまで何度か戦後の日本機について書いてきました。

その1→YS11

その2→エアロスバル

これらで、YS11はとろくて、とか、エアロスバルは無駄に敏捷すぎて、、、みたいなことを書いた、というか書かざるを得なかったのですが、この記事でやっと文句なく傑作機だ!というのにたどり着きました。

その名も三菱MU2。

当時の画期的なビジネス多用途機であり、「これが日本のコンパクト・プレーンです」みたいな感じで、世界各国で762機というベストセラーになったすてきな飛行機です。

三菱500 https://www.bibian.co.jp/product.php?id=p763745338
 

 

さて、三菱500ではない三菱MU2の外見はこんな感じ

https://www.mu-2aircraft.com/images/History_Veley_0229-web_optimized.jpg
 

 

マニアなら、この写真を見て、なんかフツーに見えて相当斬新なことをしてね?と感づくと思います。

斬新さの特徴を一つ一つ上げていきます。

その1 エンジン

MU2の初飛行は1963年。Wikipediaによれば、初の民生用量産ビジネスジェットは1964年のリアジェット23とのことで、当時はツインコマンチやクイーンエアみたいなプロペラ機が主力だった。

ツインコマンチ https://piperowner.org/pa-30-twin-comanche-ads/
 

 

クイーンエア https://kingairmagazine.com/article/beechcraft-90-years-of-excellence/queen-air-3/
 

 

これら競合機は、皆ピストンエンジンでプロペラを回していた。

当時の小さな地方空港や個人の滑走路に対応して、低速での加速があるプロペラ機とすることは当然として。競合機より性能のいいやつを作りたい三菱は、当時の画期的なイノベーションを導入した。

それが「ターボプロップエンジン」

エンジンの性能を決めるものに、馬力(推力)がありますが、馬力さえあればいいというものでもなく。馬力、重量、大きさの三拍子がそろっていないといいエンジンにはならないのである。

ターボプロップは戦後すぐに生産されていましたが、ビジネス機より大きなコミューター機はともかく、MU2クラスではまだまだピストン機が主流であり。

落ちれば4ぬ飛行機のエンジン。戦中からの「恐竜エンジン」つまりコンチネンタルとかライカミングといった信頼性の立証されている奴で安心したいというのが売る方も買う方も共通ですが、MU2はあえて当時未知数のターボプロップに挑戦した。

この結果、推力は競合機と同じだが、軽いエンジンになった。ターボプロップは、実態はジェットエンジンの中心軸に減速機などをかましてプロペラをつけたようなもので、構造上はピストンエンジンより簡素であり。その分軽く馬力のあるエンジンができた。

レシプロより簡単なのに、なぜ大戦中にターボプロップやジェットがもっと生まれなったかというのは、原理はわかっても、ガスタービンの超高温で溶けちゃったりとかしない素材や、コンプレッサーなどの製造技術の開発に手間取ったからである。

そんな状況で、えいやー!とターボプロップを採用した三菱の先見性恐るべし。

MU2は、エンジンが軽くなった分主翼を小さくでき。競合機と同じ収容力なのにコンパクトな機体にまとめ、レシプロ双発機の1.4倍に達する巡航速度を実現した(jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/13/143/13_143_396/_pdf)。

燃費はレシプロ勢とどっこいどっこいに抑えることができ。速度差が大きなアドバンテージになった。

ターボプロップの導入と並行して、というか影響し合ってMU2の特徴となったのが。。。

 

その2「主翼の配置と形態」

もいちど競合機2機とMU2の写真を見比べると、MU2のみが高翼機であることがわかります。

PA-30 Twin Comanche ADs


 

 

https://mantisserv.com/en/small-props/14/beech-queen-air-b80
 

 

https://www.mu-2aircraft.com/images/History_Veley_0229-web_optimized.jpg
 

 

低翼、高翼といろいろ利点・弱点がありますが、MU2の場合「地面効果」が重要な決定要因となったらしい。

地面効果というのは、着陸時に飛行機が滑走路上に到達したとき、主翼と地面の間の空気が「圧縮」されてクッションみたいになり、飛行機を上空に押しもどそうとする作用です。

せっかく滑走路端で地面ぎりぎりに降りても、地面効果のせいでいつまでも接地できず、余計に滑走路の長さを食ってしまうことがあり。低翼機に顕著で、MU2のような強力なフラップをつけた機体で低翼にすると、地面効果に対処できる昇降舵の設計が複雑・困難になってしまうらしい。

競合機のほうは、すなおに低翼の利点すなわち翼内に主輪を格納するスペースができるとか、高翼にすると天井に主翼桁の分だけ飛び出して頭をぶつけるとかを嫌って、大体が低翼であり、高翼はMU2とエアロコマンダーくらいという、ちょっとまれな配置になりました。

一方、エンジン(プロペラ)と地上のクリアランスを広くとることができるとか、客室からの見晴らしがいいとかも決定の要素に入っていたと理解。

結局はMU2の特徴的な翼により、高翼が妥当となったのだと推理します。わざわざ胴体の側面にバルジ(フェアリング)をぽっこりつけて主脚格納のスペースを作ってまで高翼にするというのは、それなりの利点があったんでしょうねー

機体上面のフェアリング(主翼桁の流線形の覆い)と側面のバルジが特徴的なMU2
https://www.the-blueprints.com/blueprints/modernplanes/modern-m/85701/view/mitsubishi_mu-2j/
 

 

さて翼型ですが、一見おとなしい、微妙にテーパーをかけた直線翼ですが、層流翼を採用し、かつ競合機に比べて小さめなのですよね。つまり、抵抗減、重量減で、いったん飛び上がっちゃえば高速飛行などには適しており、事実後発のターボプロップ機キングエアとかに比べても高速だったらしいのですが、はっきりいって操縦むずかしくなってね?と心配します。

速度も重要だけれど、着陸性能も劣らず大切のところ、MU2はSTOL性能でも競合機を引き離していました。

どうやったの?強力なフラップを装備して、ふだんは高翼面荷重のくせに、特に着陸時は翼がぎゅーんと伸びて大きくなったかのようなエフェクトを可能にしました。

ただ、無理やりフラップで着陸性能を確保しようとしたため、ふつーのように翼の中ほどまでのフラップでは足らず、翼後縁全体に伸びたものすごく長いフラップになってしまい。

それじゃ補助翼はどこに行ったの?つけることができませんでした。ははは

 

そこでMU2の特徴その3:スポイラー

補助翼の代わりに、スポイラーというものを翼の上面に設置しました。

ふつーの翼(上)https://br.pinterest.com/pin/775956210785738173/
とMU2の翼(下)https://siregar3d.com/category/mitsubishi-mu-2/
 

 

グライダーみたいなMU2。補助翼がなくなった分アドバースヨーとかも減少したとのことですが、やっぱり補助翼とスポイラーでは飛行機に与える挙動は違ってしまい。のちのち事故多発、と言って怒られるのであれば、複数の事故を巻き起こす原因になってしまいました。

それでも、MU2がにがてな着陸時の低速飛行や、スポイラーによる操舵レスポンスのずれや遅れを乗りこなせるパイロットたちからは、「ホットロッド」だ!と好まれたそうです。ホットロッドというのは、軽い車体にでかいエンジンを積んだスポーツカーの一種で、爆走できるが安定性は。。。みたいなののことらしい。

ホットロッドhttps://www.dragzine.com/features/car-features/ron-clarks-outrageous-bugzilla-blown-radial-tire-vw-bug/
 

 

MU2はいったんスピードが出ちゃえば安定性もあるし、操縦性もよかったらしい。ただ、旅客機で着陸安定性に難が、というのは痛い失点ですねーこれがなければ1000機以上売れていたかもしれん。小さな翼で、無理やり着陸滑走距離を少なくしようとしたひずみが出てしまったのだと理解。

ベルリン管弦楽団の著名な指揮者カラヤンが、訪日したときに、コンサートもそこそこに「MU2に乗りたい」と三菱の工場に乱入したこともあり。コクピットに乗り込んで、ゼロ戦乗りだぞ!みたいにニタニタしていたのかもしれん。

ドイツ人は、MU2のことを「零戦の三菱が生んだ名機」としてかなり好奇の目と言って悪ければ尊敬のまなざしで見ていたらしい。

日本人に好意的なカラヤン。 https://skawa68.com/2024/08/03/post-62765/
 

 

その4 与圧、その5 尾翼と、その6 チップタンク

MU2は、円形断面の胴体で効率的な与圧(与圧そのものが当時はゴージャスな装備)、翼端チップタンクで翼端渦を整流するなど、クレバーというか危ういというか、その辺は日本人にしかできない繊細なバランスのある飛行機になりました。特に、高翼のくせにT字尾翼ではないふつーの尾翼にして、ディープストールを防いだあたりは三菱くらいしかできないまねかもしれません。ほんらいは、T字尾翼にしないと主翼からの乱流を受けて尾翼が効かなくなっちゃうところ、乱流があたらないうまい位置で設置というのは、地味に見えてなかなか看過できない技術と思います。

主翼からの乱流をうまく避けた尾翼の設置。

jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/13/143/13_143_396/_pdf
 

 

注目は、チップタンクの取り付け位置や整流フィンの設置などで、翼の「上反角効果」を調整していたこと。タンクの位置をぶら下がる感じにしたことで、「横 の飛 行 性についてのパ イ ロッ ト・コメ ン トは 好 評 で あ っ た(外部リンク:Jstage)」とのこと。

 

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1969/22/247/22_247_405/_pdf
 

 

https://www.mu-2aircraft.com/images/History_Veley_0229-web_optimized.jpg
 

 

記事がでかくなりすぎなので、この辺でおわりに。スポイラーはともかく、文句なく名機のMU2でした。

ではでは

 

Posted by 猫機長
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前が見えない➁ 旅客機の風防

 

 

その①についてはこちらをご参照→前が見えない
今回は、旅客機の風防について投稿します。
黎明期の旅客機は、風防なんてなくて吹きさらしで飛んでいましたが、そのうち飛行機のスピードが速くなり、高度も上がったりしていくうえで、すっぽり操縦者を覆う機体と風防に進化しました。

黎明期の旅客機 https://www.ne.jp/asahi/airplane/museum/cl-pln8/DH66.html
 

といっても、最初はユンカース旅客機みたいに、機体には操縦者も覆う天井があるのに、なぜか操縦席だけ大きく天井をぶち抜いて、風防には申し訳程度の透明な板をくっつけたみたいな謎の飛行機も生まれ。

TYO magazine » 世紀をこえ、歴史的航空機が復活!──「ユンカース F13」 (tyo-m.jp)
 

 

Rimowa’s beautiful Junkers F13 flies for the first time | British GQ | British GQ (gq-magazine.co.uk)
 

 

ここまでやるんだったら全部覆えばいいじゃん、ということでハンニバルみたいな感じのが生まれました。
とくちゃんのプラモの部屋・プログ – 楽天ブログ (rakuten.co.jp)https://plaza.rakuten.co.jp/tokuchanplamo/diary/200611110000/
 

 

この当時はガラス・プレキシガラスの曲面加工とかがまだまだ未発達で、風防も窓枠ありすぎみたいなのが多かった。

エアスピードAs6Aエンヴォイ https://i.ytimg.com/vi/0eeUetkIz1o/maxresdefault.jpg
 

 

ちょっと脱線ですが、その後加工が比較的容易になった第二次大戦でも、一部の飛行機は曲面を極力避けて平面のガラスを窓枠で結合していた。

JU88 https://www.ne.jp/asahi/airplane/museum/cl-pln4/290Ju87.html
 

 

零戦 https://onemore01.blog.ss-blog.jp/2015-11-15-1
 

 

東海 パブリックドメイン
 

 

曲面ガラスだと光が乱反射して全然透明にならず。海面下に身をひそめる潜水艦を目視で発見するために作られた東海など、典型的な「曲面ガラス大嫌い」の飛行機になってしまったらしい。
旅客機の場合は、上だの後ろだの下だのを見る必要はなく、ちゃんと離着陸できて前が見えればいいやということで、機首のガラス部分も次第に必要最小限のものに効率化されていった。ドラゴンラピードからエレクトラへの変遷で見て取ることができます。

https://www.mailexperiences.co.uk/de-havilland-dragon-rapide-flight-over-london
 

 

ロッキード エレクトラ https://www.hobbyland.jp/shopdetail/000000103144/
 

 

このへんで、だいたい現在に通じる旅客機の風防のスタンダードが生まれたというか定着し始めました。
スタンダードと言えばDC3。

https://airlegend.fr/aircraft/dc-3/
 

 

まず、流線形の丸い機首。そして、操縦者にすっぽりかぶさる感じで風防と天蓋が設置された。

http://hikokikumo.net/Z-14-Senmonka.htm
 

 

似たようで個性のある旅客機たちの機首と風防はこんな感じ

ボーイング247 https://flightsim.to/file/34658/boeing-247-fast-western-airlines-fwa18
 

 

ビーチクラフト モデル18 https://i.ytimg.com/vi/NjJ05D0YR-c/maxresdefault.jpg
 

https://aviadejavu.ru/Images6/MA/MA95-2/o2-4.jpg
ロッキード スーパーエレクトラ
 

 

三菱MC20旅客機 https://www.ne.jp/asahi/airplane/museum/cl-pln8/MC-20.html
 

 

しかし、雨だろうが雪だろうが既定の路線を飛んでいかなければならない旅客機にとって、「風防に水滴や雪などが吹き付けられて、前が見えなくなってしまう」というやばい問題が生じ。
しょうがないので、せっかくコクピットに守られたパイロットが、風防のサイドウインドーを開けて顔を出し。びしょ濡れになりながら操縦というケースも多々発生してしまいました。
どうしよう。。。。
ワイパーが実用化されたのは第二次大戦くらいかららしい。
連合国勝利の立役者となったDC3が、ワイパーを設置して、雨だろうが雪だろうが元気いっぱい飛び回った。
ちなみに、日本にもDC3のライセンス版である「零式輸送機」がありましたが、こちらにはワイパーはなくて、戦後になってから日本の高空会社が購入した舶来のDC3に「あああこんな便利なものがあったのか!」と大喜びしたといううわさもあり。
まだワイパーのなかった戦前の30年代とかはどうしたのかというと
「風防に逆傾斜をつけた」
ボーイング247が典型的です。
まずは通常型から

https://flightsim.to/file/34658/boeing-247-fast-western-airlines-fwa18
 

 

逆傾斜をつけたのはこちら

https://www.tedwilliamsaviationart.com/profile-art/boeing-propliners/boeing-model-247-united-air-lines.html
 

 

この結果雨や雪が風防に貼りつかなくなって大喜びだったそうです。でも、機体強度だの空気抵抗だのではやはり無理があるらしく、ワイパーにとってかわられて今日にいたっています。

777のワイパー 縦ワイパーと横ワイパー: 風の探検隊 (air-nifty.com)
 

 

飛行機にとってなにより命なのがスピード。
でも、スピードだけでロクに前がみえない、操縦できない、というのでは困るので、パイロットの視界をよくする必要もあり。
結果、風防ガラスの位置や角度が色々と工夫されて、いろいろな旅客機の特徴的なツラがまえというか機首ができてきました。
も一度DC3ですが、やはり世界の名機だけあって、必要なものが必要な大きさと形で、と理解します。

http://hikokikumo.net/Z-14-Senmonka.htm
 

 

DC3の風防は、すとんと切り立った小さめのものが、大きくラウンドした天井にくっついており。重く、あつかいにくいガラスの使用面積を最小にしながら、空気抵抗の増大を抑えています。最新の旅客機では、機首と風防の段差がなくのっぺりとしています。空気抵抗の面ではこの方がいいのでしょうが、斜めにすればするほどガラスの面積も増えるわけで。さらには機体と一緒に曲面に整形しないとかえって空気抵抗増大になってしまいますから、整形しても軽く破損せず、かつ偏光して視界がゆがむということのない、最新技術があって初めて可能になったものと思われます。

https://air.theworldheritage.com/htm/htm_flame/flame_ERJ175.html
 

 

DC3から今日までの過渡期の例でYS11があり。当初のっぺり型を目指したが、やはり段差をつける方がよいということになり。確か3回ほど設計変更して最終的な形が決定された。

_pdf (jst.go.jp)
 

 

すずめや鷹など、鳥の頭はだいたい段差型をしており、個人的にはこれが一番効率的かなーと思うのですが、段差のない「機首一体」のも存在しています。

段差のないのもいる。https://medium.com/@VIVIMETALIUN/especial-tipos-de-tucano-6243f5f99434
 

 

グライダーも一体型が多い。

こういう風防で、乱反射とかないのだろうか?(PIXABAY無料画像)
 

 

とにかくスピードを出したい偵察機で、段差型から一体型に移行したのもあり。でも、「視界の歪みや夜間飛行時の内面乱反射の発生(Wikipedia)」で評判は良くなかったらしい。前期型の最高速度604キロから、段なし風防では630キロに向上したというのですが、エンジン出力も1080HP X2から1500HPX2と劇的に向上していますからねー風防の変更がどこまで役にたったかはなぞと思います

新司偵の初期型(上)http://www.hasegawa-model.co.jp/product/02243/
と後期型(下)http://www.nags-gallery.com/gallery/ki46.htm
 

 

大型機になると、空気抵抗以外の理由で、段差なしの一体型になることもあり。
例えばB29の場合、もちろん空気抵抗もあったが、通常型の機首上部に、というのだと、離着陸時に地面がみえなくなってしまい。B17で相当苦労したのか、B29では降着装置も前輪式にして、その点は離着陸がそうとうやりやすくなったとは思いますが、巨人機できびきびした取り回しの難しいB29だと、機首全体を温室みたいなガラス張りにして、地面を見やすくしたというのはあると理解します。

B29 パブリックドメイン
 

 

B29の着陸 https://www.youtube.com/shorts/zB4_tSsUJWA
 

 

B17やハドソンとか、段差式の機体でも機首はガラス張りにして照準器を置いていた。B29では、操縦席も一緒にしちゃえ!ということだったらしい。
あと、B29の場合は、与圧設備の都合があり。段差式にして照準手と操縦手を離してしまうと、効率が悪くなり設備も複雑になってしまったものと思われます。
他には機体の上部銃座の射角を確保したいというのも聞きます。
「空軍大戦略」でみんなおなじみハインケル爆撃機も、初期型は段差式だった。

初期型 https://www.gettyimages.com.br/fotos/heinkel-he111
 

 

後期型 https://www.gettyimages.com.br/fotos/heinkel-he111
 

 

与圧はないけれど、大体B29と同じ理由で「全視界操縦席」になったものと思われます。
戦後の旅客機全盛時代に戻ると、B29の民生型であるB377が機首と一体の風防になり。照準手の必要はないので、操縦席も前に移動し、ガラスの枚数も減りました。

B377 https://united-states-lines.org/boeing-stratocruiser/
 

 

ところが、ここでパラダイムシフトが。
これまでの飛行機は、とにかくパイロットの目を頼りに飛んでいましたが、戦後になってレーダーが普及し始め。
パイロットの肉眼ではとても見えないなん百キロ先の積乱雲とかを探知できるようになりました。
ただ、レーダーは飛行機の先端に付ける必要があり。というか、そうしないとぜんぜん非効率になってしまうのです。
そこで、軍用、民間問わず、飛行機の先端には「レドーム」がつくことになり。レーダーが格納されているコーン(電波透過性に優れた特殊な塗料で塗られているため、ふつー黒いです)の部分を操縦席の前にして干渉を防ぐ必要が生じた。
こうして、段差つきのコクピットが復活しました。
代表的なのがコンステレーション(ただし初期型はレーダーなかったらしい)

https://www.loughborough-raes.org.uk/ewExternalFiles/120313%20Beneath%20the%20Skin.pdf
 

 

https://www.europeanairshows.co.uk/aviation-anniversaries/july/lockheed-l-1049-super-constellation-first-flight
 

 

その後のDC8とか、ボーイング707,727,737とか、いずれもDC3ちっくな段差つきになっています。特殊な塗料もいろいろな色ができるようになり、現在の旅客機は機首も機体と同じ色ですが、その先端はレドームであり、レーダーが収まっているのです。さらに時代は進み、現在はまた段差のない形に回帰しつつあるようですね。でも、個人的にはやっぱりDC3みたいなメリハリのある段差式の機首がかっこいいと思っています。

 

ではでは

Posted by 猫機長