ポルシェ356A:悲劇のエンジン修理

Tags:

 

 

ポルシェと言ってもかぶと虫ベースのレプリカです。

レプリカですが、エンジンはVW空冷水平対向の1600CCで、オリジナルの1500CCよりも強力だったりするのでした。

オリジナルのポルシェ356A エンジン

https://www.pinterest.com/pin/641059328179641682/

 

 

ぼくのにせものレプリカに乗っている正真正銘のVWエンジン

 

 

ぱっと見は、オリジナルもレプリカも同じじゃね?実はキャブレターとか、微妙に差はあるのですが、要は同じです。と聞いて怒ったポルシェオーナは、356が本物のポルシェだよ!もちろん911以降も本物ですけど、と今一度認識を新たにしましょう。

 

 

さて。

最後にオーバーホールしてから10年ちかくですかねー大事にだいじに乗ってきたのですが、オイル漏れがひどくなってしまい。ガレージの床がぎとぎとになってきてしまったので、意を決してガスケットやシーリングを交換することに。

https://carroslokoscarros.blogspot.com/2013/05/pecas-do-fusca.html

 

 

縦や斜めにピストンがついているふつーの自動車と違って、水平にピストンがついているVWのエンジンは、エンジンヘッド、気筒、エンジンブロックと、どうしてもオイル漏れのポイントが多くなってしまい。上記の画像のように、それぞれ分割してガスケットなどを交換するというなかなかめんどうな作業が必要なのであった。

 

 

ところが、エンジンをばらしてみると、ぎゃあああー!マニホールドから給気口にかけて、煤でほとんど詰まってるじゃん!

上がすすで真っ黒の状態。中と下がレストアして戻ってきた状態。

 

 

確かに、全然加速がないなーとは感じていたのですが、これでよく回っていてくれたものです。

下の写真でお分かりと思いますが、フツーに作動していたピストンと、オイル漏れによる真っ黒な煤で埋まったピストンがくっきり分かれ。

 

 

もともとそうとう使い込まれたエンジンヘッドに、気筒(シリンダー)がうまく密着するようOリングをかませていたところ、このリングが、ぴし!と折れてしまい、ここからオイルが入り込んで焦げまくっていたのでした。

 

 

いやいや早朝から初めて1日で済まそうと軽く考えていたら、たいへんなことになってしまい。なくなくエンジンは専門のレストア業者へ運び込んで、1週間くらいか?かかって戻ってきました。

クラッチも交換しました

 

 

さて、ここまでいじると、あんのじょういろいろと「初期不良」が起きてしまい。

クラッチがぜんぜん切れなくなった、なんて一見関係なさそうなのから、加速が全然滑らかにならず、がんがんがん!とキチガイのように振動して、車がこわれそうになってしまうとか、ディストリビューターをバキュームアドバンス付きのものに取り替えなきゃならなくなるなど、時間もかかればお金も飛んで行き、泣きました

それでも、なんとかいい感じで動くようになったじゃん、とぼくもメカニックのおっちゃんも安堵し、やっと普段の日常にもどったねーと安心したのですが。。。。

2日もするとエンジンから異音がするようになってしまいました。

幸い、ガラガラ、ガンガンという、要すればシャフトがやられたとかバルブがぶつかっているとかいうのではなく、加速だのなんだのという性能面ではふつーなのですが、特にパワーオンの時に変な「ぴりぴりぴりぴり」という音が出るようになってしまい。

まだエンジンが温まっていないくらいの時はいいのですが、というか、逆に、あったまったぞ、ぎゅーんとパワーオンだ!というときにはじまってしまい。ふつーだったら「ちきちきちきちき」と小気味いい「サウンド」になるはずが、耳を覆いたくなるような大音声で「ぴりぴりぴりぴり」と、いやいや周りの車や人に対して恥ずかしいのなんの。

 

ふと気が付き、マフラー専門の工場に持っていきました。

工場のあんちゃんも、一目見て、これはマフラーが中で腐食してがらんどうになってるよ、ということで、ふんぱつして新しいのに取り替えました。

 

 

こよーて(僕の乗っている軽飛行機)の場合は、マフラーを補修(実際はほとんど作り直したけど)して解決したので、ポル公も、と思っていたのですが。。。。

軽飛行機の場合は、マフラー補修で見違えるほどよくなりました。

 

 

結局、全然解決せず。

要すれば、一番恐れていた「シリンダー周りからの圧縮漏れ」であると結論付けざるを得ず。

だって、まさにシリンダー、エンジンヘッド、ブロックをレストアしたばっかりなのに、そのヘッドにヒビでも入ってしまったのか?

いよいよ泣きました

しかし、工場に行ったら、意外な診断が。

「要するに、この前いじったシリンダ一式は全然破損しておらん」

問題は、これら一式を接合する、スタッドという棹みたいな部品があるのですが、これがエンジンブロックから抜け落ちかかっており、隙間を生んでしまっていたということなのでした。

四角いエンジンブロックと、猫のひげみたいなのがスタッドです

 

 

 

本当は新しいエンジンブロックにきっちりスタッドをねじ込みたいのですが、値段の他に、よそから取り寄せたブロックがどこまで信頼できるかがあり。

今使っているブロックは、確か1969年製の年代物だけれど、肝心のクランクシャフトとの連結部分とかはまだ使用可能であり。

結局、現在のブロックのねじ穴の部分を削り込んで新たなねじを切り込み。切り込んだ分だけ穴の直径が拡大してしまうので、「軸鞘(スリーブ)」という一種のグローブを埋め込み(ねじ込み)、そのうえでスタッドをねじ込みなおす、ということになりました。

 

軸鞘

https://produto.mercadolivre.com.br/MLB-1188780661-30-bucha-prisioneiro-carcaca-motor-fusca-kombi-10x14x26-_JM

 

 

その結果が以下の通り

各スタッドとブロックの接合部に丸く軸鞘の加工跡が残っていることに注目

 

 

この結果、みごと「ぴりぴりぴり」の空気音はなくなり。今度こそ本当に安心できたのでした。

さて、そもそもの修理の発端となったオイル漏れは?

いまのところまったくなし。いつまでこの状態が続くか?

 

 

水平対向エンジンの宿命である微妙なにじみは避けられないと思い、オイル受け用のカーペットを買っておいたのですが、今のところうれしい誤算となっています。よかったね。

蛇足。写真撮影を邪魔するバカネコ

 

ではでは

Tags:

コメントを残す

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。