いろいろな航法

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いろいろな航法

さて、こよーてのような小さなEXPERIMENTAL機でも、2時間飛べば東京~名古屋間くらいの距離は移動しています。意外と早く長距離を移動するため、ちょっとした航法の誤差で知らないうちに目的地から大きくずれてしまう懸念があります。そこで、いろいろな航法で正確を期そうとしています。

◎地文航法

飛行機発祥から続く航法の基本の基本です。地上の目標物をもって機位を知り、目的地まで飛んでいく航法です。道路、タワー構造物、川、湖、貯水池などが良い指標になります。以下、ホームベースSDCB飛行場から140㌔くらい、イチキーラの滝まで飛んで行った時の地図と実際の見え方について記載してみます。まずは地図から


左がまっさら、右が航路を書き込んだ地図。丸数字がそれぞれ下記の写真に該当。


①「日立の樹」。実は地図上では書いておらず。ちょうど飛行制限地区の端に位置しており、一本だけ巨木?で目立ちやすいので指標にしています。


②次は、左側に湖がある道路の分岐点。まっさらな地図だと小さく湖が書いてある(3323・高度のFt表示に隠れています)のがわかりやすいと思います。


③大きな湖の左端に到着(Lagoa Formosa)。帰りは右端を通ります。


④そしてメサ大地の終わるところに到着。機首に向かった大地の切れ込みが地図にも書いてあるのをご確認ください。


⑤右旋回。崖に沿って滝に向かいます


⑥イチキーラの滝。落差は168メートルあり、ブラジルにおいてアクセス可能な滝の中では最も高く、全国でも2番目の高さを誇る(https://ja.wikipedia.org/)とのこと。


⑦さっきのLagoa FormosaとPlanaltina de Goias市を右に見て帰路に。このあと「日立の木」を経由してSDCB飛行場に着陸しました

という感じです。雲に気を付けて、雲上飛行は避けるようにしましょう。

◎推測航法

出発地を基点として、進んだ方向、速度、経過時間を基にして現在位置を推測するというもの。と言って、速度一つとっても(C4)飛行機の速度計が示すのは大気中における飛行機のスピードであって、大気そのものも風という形で地上を動いているので、向かい風の場合は、風の速度だけ対地速度は低くなり、追い風はその逆。そしてふつうは多かれ少なかれ横風成分が出てくるので、機首を修正するなどして実際の対地速度はさらに変化してしまうなど、おおざっぱにしかわからない。それでも太平洋を長距離飛行した零戦や陸攻はこの推測と、下記天測(六分儀)、そして時間によって変わる波頭の反射光をもとに正確にラバウル―ガダルカナルを往復したという神業を発揮していたらしい。

◎天測航法

地文航法では指標を地上に求めていましたが、これを星や太陽と言った天体でやってみよう、というのが天測です。基本は「航空用六分儀」であり、B17などが透明の「天測ドーム」を備え、航法員がここから六分儀で観測していた。科学技術が進み、潜望鏡みたいな形で望遠鏡・カメラのみ機体から突き出し、本体でもある程度自動観測ができるようになったらしい。


ロッキード・コンステレーション旅客機の天測装置。https://www.youtube.com/watch?v=vnrgKjjf6pc

ちなみに、ぼくの飛行機の場合は「GNSS」という秘密兵器があり、六分儀のお世話にならずにすんでいます。

◎電波航法

地上の後方支援施設から送られてくる電波情報を機体の計器がキャッチして、機位を確認修正する方法。ADF,VOR,NDBなど意味不明の三文字熟語じゃなかった記号をもついろいろなインジケータに従って飛ぶ方法です。すいませんぼくは計器飛行免許は持っておらず有視界の地文航法一本やりなので、概念しか説明できません。一例として、さっきのコンステレーションの電波航法計器を掲載します。


赤い針と青い針が重なるように調節するらしいhttps://www.youtube.com/watch?v=vnrgKjjf6pc

電波航法のもう一つの武器がレーダーです。これは飛行機側のレーダーもあれば、地上からレーダーでその辺を飛んでいる飛行機を把握し「ドアホがフライトプランもなしに飛びやがってどうおとしまつけるんじゃごるあ!」なんて管制官が軽飛行機をいじめる時に使われることもあります。なお、ぼくはよいこなので必ずフライトプランを作成したうえで、離陸20分前には管制当局(APP)に電話してトランスポンダ番号をもらってから飛んでいます。えっへん。


コンステレーションのレーダー。ふだんは引出しの中に格納してあり、必要な時だけ引っ張り出して使っていたらしい。https://www.youtube.com/watch?v=vnrgKjjf6pc

そして電波航法の決定版、さっきでてきたGNSS。これはほかならぬGPSで、基本は自動車のカーナビと一緒です。ただし、いろいろな空港の名称(SDCB,SIQE,SBBR,SWFRなど)や、有視界飛行・計器飛行のポイント(SOBRADINHO2,LAGOA2,TORRE ENGENHO,COGNOほか)、そして空域(ATZ,CTRほか)が地図上に入り乱れて出てくるので、事前に航空地図でしっかり把握しておく必要があります(把握していればむしろとても使いやすい)。また、目指す飛行場のデータ(緯度と経度)をぶち込んで記憶させておくと、現在の飛行位置から目的地までの距離、推測飛行時間、そして機位からの方角などが一覧で表示されるので、管制官から「IDEAL(理想機軸)方角と、到着予想時間を応答せよ」なんて突然質問されてもこの一覧表でなんとか「IDEALXX度、機軸左に3度偏流修正中、SBCN空港到着予想時刻グリニジ時間XX:XX時」なんて即答することができます。目的地をぶち込むのを忘れていたときは、あせらず「正確な数値を算出する。待機願う」とあたかも計算しているように待たせておいて 早速GPSの一覧で呼び込み、出てきた数値を管制に報告しましょう。管制がこういう質問をするのはいじわるではなく(いじわるの時もある)近辺に旅客機などが飛んでいて干渉するかどうか知りたい、という場合が多いのでなるべく正確に親切な回答をするようにしましょう。


画面中央、白黒画面のGPS


左が地図の画面。右が進路、高度等の飛行情報画面。Bearingが向かうべき針路(IDEAL)。Trackが機首の向いている方向(Heading,Proa)。Turnで138度左に旋回すれば向かうべき針路に合致します、と読みます。


日立の木

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