フライトプラン

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フライトプラン

操縦練習生の時代に「まず操縦。それから航法。最後に管制」と教えられました。つまり、無事に離陸し、計器チェックや気象に応じて飛行機を動かし、機位機速の安定ができて初めて航空地図と眼下の地形をチェックし、目指す目的地の到着時間や経路を確認。そしてこれができたら管制にコンタクトして航空安全を確保、と順を追ってやること。全部いっぺんにやろうとするとどれもできなくなって事故るぞ!ということなのですね。

でも、免許をもらってソロで飛ぶようになると、操縦の前にさらにめんどうなステップがあることに気づきます。それが、飛行計画すなわちフライトプランの作成です。

フライトプランは、正式と略式があり。どちらも効力は同じですが、それぞれ特徴があります。

正式フライトプラン

まず、片道40海里(だいたい80㌔)以上飛ぶ場合は、正式でないと受理されません。というわけで、実際はほとんど正式プランばっかりになります。一方、その辺を飛んで元の飛行場に戻ってくる(1)ような場合(1点飛行、ローカルフライト)は、記入項目が少ない略式の方がめんどくさくなくていいです。一時期は正式プランは管制料金を取られましたが、2019年1月の段階では正式・略式ともに料金免除です(正式の場合で国際空港などに行くケースは別)。

で、どんな項目を記入しなければならないというのかというと

要求される項目とぼくの場合の記入例

機体識別コード: PU-A◎C

飛行規則: 有視界飛行 (V)

飛行種類: 一般(いわゆるジェネアビ)(G)

機体種類:Experimental(試験機)ULAC _COYOTE_(CHARLIE OSCAR YANKEE OSCAR TANGO ECHO)

機体乱気流種類: 軽

通信機器: ラジオとGPS。VG/C (VHF GPS/CHARLIE)

出発地飛行場: SDCB空港

車輪止めOFF時刻(実際は離陸時間): 11:30Z(これは世界標準時なので、現地時間は8:30)

対地速度: 88ノット(だいたい時速160キロくらい)

フライトレベル: 065(だいたい地上6500フィート、2200メートルくらい)

経路: 直行DCT (DIRETO)

目的地飛行場: SBGO(ゴイアニア空港)

飛行時間: 1:10´

代替飛行場: SWUZ(ルジアニア空港。気候などの関係で目的地に行けない場合ここに降ります)

着陸速度種類: A (一番とろい、という意味です。ははは)

非常通信装置:E (ELT(B8)のこと)

ライフジャケット:なし(洋上・水上飛行の場合は装備義務付け)

救命ボート:なし (あるわけないじゃん、ははは。でも、洋上飛行をする大型機では義務付けられるケースもあるらしい。)

航続可能時間: 6Hs 乗員: 01 (ソロフライト) 機体の主要な色:白

機長: ぼくの名前を書きます 民間飛行士番号COD ANAC:XXXXXXX(ひみつ)

と書いてなんとかフィニッシユ。でも帰りのプラン(ゴイアニア空港からぼくの拠点飛行場まで)も書く必要があり。普通は行き・帰り両方提出して許可されてから飛行しますが、今回の例のように大きな飛行場でAISルームがある場合は、行きだけ提出しておいて、帰りは向うで作ることもあります。

ちなみに、AISルームというのは空港の中にあるパイロット支援のための部屋で、フライトプラン受理、作成支援、気象情報提供などを行っています。滑走路に隣接しているケースが多く、一般の旅客の人からはアクセスできないのが普通ですが、出発・到着ターミナルに設置されていることもある。AISルームは黄色に黒で「C」と書いた看板があり、どこに位置しているかの標識になっています。

マナウス空港のAISルーム。中のようすは「軍事機密だからだめ!」

と撮影禁止されてしまいました。

略式プランのいいところは、省略されて提出しなくていい情報があること。例えば、ELT(非常時用発信機)(B8)設置したが登録が終わっていない段階では、「非常通信機器」の項目記載が免除される略式プランで救われました。でも「略式」だろうが「正式」だろうが承認の権限は空軍側にあり。プラン提出時にAISルーム側から確認してくることあり。いじの悪いやつだと

AIS「非常通信機器の種類を教えて」

ぼく「ないよ」

AIS「ないで済むかゴるあ!罰金だぞー!」

ぼく「なにが罰金じゃゴるあ!略式プランでそんな項目ねえだろがしばき倒すぞゴるあああ!」

AIS「なにがしばきたおすじゃ!略式だろうが何だろうが聞くのはこっちの権限じゃい!ELTなしで飛ぶ気がゴるあ!」

ぼく「ちゃんと機体に設置しとるわい!お前らの役所仕事でいつまでも登録できないから、あるのにないということにされとるんじやー!どういうおとしまえつけるんじゃゴるあああああ!」

AIS「ふふふふふ。。。。。そんなこと、ぼく知らないよ。。。。」

なんて結局パイロット側が割を食う可能性あり。

ただ、ブラジルのAISは物のわかった親切な人も多く、実際のケースでは優しいおねえさん(といっても空軍軍曹です)がアテンドし

AIS「非常通信機器の種類を教えて」

ぼく「ないよ」

AIS「略式プランだから強制しないけど、安全のためにゆくゆくは設置してね」

ぼく「実は飛行機には装備しているけどA●AC(某民間航空局)の登録がとろくて。。。次のフライトプランでは使用可能にしたいんだけど。ごめんね」

AIS「当面は、空軍の登録が終わっていれば設置だけでも非常通信機器ありでOKだがら、A●ACがとろかったら次からは”ELTあり”でいいわよ」

ぼく「ありがとう。いつか一緒に空の散歩をしようよ」

AIS「ふふふふ。。。。(以下はひみつ)」

なんて心暖まる会話になったりすることもあります。

電話でのフライトプラン提出だとこういう不確定要素がありますが、最近はインターネットで提出する方法もあり。これはITシステムが相手なので、デフォーで入っていないことは要求してこない一方、承認まで時間がかかったり、意味不明の理由(バグ?)で書き直しさせられたりなど、結局AISに電話して解決、ということもたびたびあったりします。めんどいな。。。。

略式フライトプラン

インターネットで提出した略式プラン。このケースはシステムが「一点飛行」を認識できずエラーにされてしまい、AISルームに電話して解決しました。とほほ。。。

ながくなりました、ではでは。。。

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