ポーポイズ・死のダイブ

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ポーポイズ・死のダイブ

前回(Blog9.)は金融投資における「イルカ運動(フリッパー技法)」について書きましたが、今回は飛行機の着陸時における恐ろしい現象についてです。

その名も「ポーポイズ現象」。Porpoiseというのは英語で「ネズミイルカ」のことです。

着陸(AviationA.7)の時は、零戦乗りのいう「地上3寸(9センチ)で失速させろ」のとおり、なるべく失速状態かつ地表近くで機首上げ体制のまま接地する必要があり。ところが滑走路上で乱気流が吹いているときなど、そううまくいかない場合もあります。

乱気流の状況では、通常より「ちょっと早い」速度で接地する必要がありますが、荒れ狂う気流の中で「ちょっと」は実は変動してしまい。これが「かなり早い」になってしまったとき、また地表近くにいたつもりが瞬間の上昇気流で持ち上げられちゃった!という次の瞬間が危ない。

つまり、普通より高いところからどしんと落ちてしまうため、その勢いで地面に跳ね返されてまた浮いてしまうとともに、スピードが高いために揚力が働いてしまい①イルカが海中から水面上にはねあがるように、ぼよーんと空高くはねあがってしまう。しかし「かなり早くても」失速域にあることは変わりなく、そのまま失速(AviationA.5)に入り②今度はイルカが空中から海面に突っ込むように機首から地面に衝突してしまう。①②を繰り返すうちにバウンドはますます激しくなり、最後は前輪を折ってでんぐりがえる、となってしまいます。

軽飛行機の場合は、ふつうは前輪をひん曲げるくらいですむのですが、大型機の場合はFEDEX80便の事故など、大事故につながるケースが多いらしい。

小型機の場合、ポーポイズだ!と気づいたら、とにかくエンジン全開で着陸復行すること。そして周回している間に気を落ち着けて、次の着陸では速力を極力落とし、地表近くでのランドアップ(機首上げ)を徹底して、接地したが最後飛びあがる揚力がない状態で着陸する。この場合、落着気味でどしん!となってもしょうがないですね。本当の落着だと今度は主車輪を壊しちゃいますけど。。。。長い滑走路の場合、無理に通常の接地点で降ろそうとせず、たとえ滑走路の半分を過ぎようとも乱気流がすむのを待って接地するほうが良いともアドバイスをもらいました。

それでも固い滑走路のある陸上では風を考慮するだけですむのですが、飛行艇のように水面に離発着する飛行機の場合、そもそも水面が「やわらかい?」ので、ちょっとしたうねり、あるいはパワー増減などの影響で迎角が変わってしまいポーポイジングに入ってしまう。二式飛行艇のような巨人機では離水の時にも起きてしまい、大型機だけに操縦による俊敏な修正ができないため、何度もポーポイズで機体が真っ二つみたいな事故を経験した結果、波がどう荒れ狂おうと迎角を5度に保てば何とかなることが判明し、そのために機首に物差しみたいな突起物を付けて「物差しの一点と水平線がいつも一致するよう」滑走するようにしたら事故は無くなったそうです(でもそれは神業みたいな操縦で、ぼくはとてもできません、ははは)。「飛行艇パイロットの回想 -横浜から南太平洋へ-http://www.aero.or.jp/web-koku-to-bunka/2011.05.31koshida.htm」というサイトに詳しく乗っており、飛行機の世界でとても重要な情報だとおもうので共有させていただきます。

ちなみに、ぼくがのっているコヨーテという軽飛行機は機体の重量が290キロ、失速速度が32ノット(時速60キロ)なので、乾季の烈風で瞬間風速30ノットなんて日は飛行中止。ハンガーの中に隠れています。これがエアバスA380になると重量276,800キロ(コヨーテの100倍!?)、着陸速度は138ノット(時速256キロ)なので「15ノットの風」の影響がこの2機でどう違ってくるかお察しください。小さい飛行機はつらいよ。。。

ポーポイズ現象

むちゃくちゃな飛行機の着陸

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