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スパッツ考

実は飛んでいるよりも地上で駐機している時間の方が圧倒的に多い軽飛行機。重要な装備に、ランディングギア(以後、ギアと呼称)があります。

滑走や、着地の衝撃を吸収するために強度が必要となりますが、一方で離陸してしまえば、単なる重量物となってしまうため、軽飛行機のギアはバネのように弾力を持たせた鋼製の棒が頼りなげに伸びているだけだったりします。

こんなかんじ

https://abpic.co.uk/pictures/model/Rans%20S-6%20Coyote%20II

 

 

実際頼りないので、着陸には気を使います→「着陸の奥義」ご参照。

上の写真のとおり、ギアは、小さいように見えてなかなか大きな空気抵抗の発生源となっています。なんとなく、皆さんが学校で使っていた下敷きを三つ風にかざしている感じになってしまい。いくら機体そのものを細い流線形にしても、操縦席ではパイロットほとんど身動きが取れないほどなのに、いくらスロットルを入れてもスピ―ドが出ず、燃料消費ばかりが多くなるという、残念な飛行機になってしまいます。

引っ込み式にすればいいじゃん?

実際引っ込み式の軽飛行機も存在するのですが、ぼくは「引っ込み式はダメ!ゼッタイ!」派です。

引っ込み式のギアを持つLSA軽飛行機(Fascination)

https://www.aircraftdc.de/en/products/repair/98-d4-fascination.html

 

 

なぜかというと、軽飛行機なんて、操縦も管制(通信)も航法も全部ひとりでやらなければならないところに、やれ積乱雲にまきこれそうになっただの、晴れていれば晴天乱気流(以前の単なるサーマル)だの、ふぎゃぎゃーともみくちゃにされながら、一方で管制からは「旅客機のそばに寄るな、しっしっ!」とさらに積乱雲がいっぱいのところに追いやられ。どうせ1年に数回は命からがら(たとえですよ)何とかホームベースの滑走路に帰り着いた、なんてさんざんなフライトの発生を避け得ず。

そんな時、やっといつもの慣れた滑走路で着陸動作、うまく「滑走路上数センチで失速」滑り込むようにギアが着地、と思ったら、あれ、全然着地せず、変に尻(機体)が落ち込んだぞ!うああ?

次の瞬間、ものの見事に「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ、ぎりぎりぎりぎりー」と胴体着陸してしまったことに気づき。

へんに引っ込み式の飛行機なんかに乗るから、ギアの出し忘れとかいう事故を誘発してしまうのである。

空自の超ベテランでも「出し忘れ」をしてしまうらしい。

写真の出典は→ http://komatsuairfield.web.fc2.com/page165.html

出し忘れのいきさつはこちら→ http://komatsuairfield.web.fc2.com/page182.html

 

 

胴着なんてしてしまうと、機体の腹にあたる部分の外板交換程度ではすまず。

胴着一瞬前に、しまった!と気づいて咄嗟にエンジンを切れば、運よくプロペラを地面に当てないで済むケースもありますが、ちょっとでもかすってしまうと、プロペラ軸がやられ、クランクシャフトや周辺のベアリングなどがだめになってしまい。パイパーカブなど、往年の尾輪式飛行機では、プロップヒットを前提に木製のプロペラにして、ペラはぶち折れるがエンジンシャフトには影響が出ないように、というのもありますが、現在のカーボン製高性能プロペラだと、ペラもですがエンジンの方が先にやられてしまいます。

そこに機体の修理を含めたら、新品の機体を買う方が安くなってしまうばかりか、見えないどこかでフレームに歪み出ていたら。。。。なんていつまでも懸念が残る状況になってしまいます。

パイパーJ3カブの木製プロペラ

http://pics.woodenpropeller.com/J3.html

 

 

「舞い上がれ」の福原遥ちゃんみたいに、エアラインパイロットの訓練用となるボナンザ機とかはともかく、日曜パイロットがそのへんを飛び回るような軽飛行機の場合、引っ込み脚なんていらないのでした。ははは

といって、ギアがにょきっと突き出ていれば、残念な抵抗の発生源になってしまうわけで。

そこで考え出されたのが「スパッツ」という整流覆いです。

スパッツと聞いて素敵女子の、どきどき!を思い浮かべた人はいないでしょうか。

冷え取り用だそうです。

https://tshop.r10s.jp/silkparty/cabinet/silk_op/touroku3/spats_s3.jpg?fitin=720%3A720

 

 

そっちの◎っちなほうではなくて、第二次大戦で米軍が使っていたような、脚絆(きゃはん)のことです。おえええー

フランス軍のスパッツ

user:VIGNERON – 投稿者自身による著作物, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20261424による

 

 

要すれば、スパッツみたいにギアにかぶせた整流覆いということである。

こういった覆いをかぶせることで、空気抵抗を9割がた減らせる、という事で、固定脚の飛行機には必須の装備となっていたのでした。

円形断面は、流線形断面の10倍の空気抵抗を生み、乱流も発生させる

(出展:https://pigeon-poppo.com/pressure-drag/)

 

 

スパッツをかぶせた状態(写真右後ろ)と、タイヤむき出しの状態。

 

 

スパッツと言っても、いろいろな軽飛行機でいろいろな形状があり。

まずは、ぼくの乗っているRANS SUPER COYOTEから。

 

なんか角ばってて、あまり抵抗低減に役立っていなさそうだなあ。。。。無いよりはいいけど。

次はPARADISE P1

 

 

上の写真は最新型で、下の写真のに比べてスパッツ後部が延長されています。

いずれにしろ、ヨーロッパ的な繊細な形状。

Paradise の開発者の一人である鬼教官いわく、スパッツ前縁がとんがりすぎ。もっと丸くする必要があるとのこと。

なお、P1のすごいところは、スパッツよりも、その上の支柱にごっついショックアブソーバーがあることで、かなりの衝撃でもふわっと吸収してくれます。

Flyer/Paradise RV9

 

もともとVANSというアメリカの会社から、ブラジルのFlyer社とParadise社がそれぞれライセンス制作しているもの。なんとなく、中島製と三菱製の零戦の違いみたいに、微妙にそれぞれ違っています。写真のは鬼教官がからんでいるParadise製です。

文句ない流線形!最新空力理論が取り入れられた完成形ですねーこの飛行機は、飛行機が乗り手を選ぶ、スーパーカーみたいなところがあり。ノーズギアの支柱そして車輪自身もメインギアに比べて小さく軽量になっています。

PARADISE P1が、練習生の落着に耐えられる作りになっているのに比べ、こちらはパイロットにパーフェクトな着陸を強いることで、スピードなどのハイスペックとバーターしており。そもそも翼面荷重が高くて短い不整地などでは着陸しにくく、ノーズギアの支柱をひん曲げる事故が多発しているといううわさも。

超富裕層向けのRV9は別として、ヨーロッパちっくに繊細なスパッツにこだわるP1と、なんかくっつけとけばいいやのアメリカンなCOYOTEなど、なかなか個性がありますねーしかし世界でもっともハイスペックなスパッツを作ったのは、なんと日本だったりします。

その好例が「97式戦闘機」

https://m.media-amazon.com/images/I/6114aChqJZL._AC_SL1500_.jpg

 

 

1936年10月に初飛行。1932年3月に初飛行のP26に比べて、洗練が確認できると思います。

https://www.nationalmuseum.af.mil/Visit/Museum-Exhibits/Fact-Sheets/Display/Article/198089/boeing-p-26a/

 

 

これはP26の方がいい加減すぎるというのもありますけどねー

なぜこうなるのかというと、エンジンの違いです。

例えば、グラマンF6Fは2000馬力ですが、零戦は1000馬力ちょっとしかなく。日本は、とにかく空気抵抗を減らすしかなった、というのが実態だった。

じゃあ、97戦と同世代のグラマンF3F(1935年3月初飛行)は、どんなキテレツなスパッツだったかなーというと

パブリックドメイン

 

 

引っ込み脚だった。

複葉の艦上機(つまり低速の飛行機)で、引っ込み脚なんて必要ねえだろごるあ!

でも、アメリカは、この当時からすでに単葉全金属戦闘機の先駆けとなる引っ込み脚の戦闘機をじゃんじゃん作って、技術革新に備えていたのです。

日本では97戦や96艦戦で、とにかく当座の高性能を達成するために血道を上げていたのに比べて、アメリカは、固定脚なんてどうせすぐなくなる。スパッツなんてテキトーでいいから、その分引っ込み脚の勉強をしとこうぜー、という事だったのだと思います。

この差がゆくゆくはF6Fと零戦の差にもつながってゆき。日米戦の勝敗は、物量とかの前に、こうした先見の明や、人権を最優先とする精神の優越によって、開戦前から決まっていた、と考えるのはぼくだけでしょうか。

最後に、戦前では世界1の性能だった97戦のスパッツですが、現代の最新技術で作られたRV9のスパッツと、正面から見比べてみましょう。

97戦 http://ktymtskz.my.coocan.jp/J/JP/abu5.htm

 

 

RV9

 

 

97戦がとにかく細く、なのに比べて、RV9の方は見事な円形、砲弾型になっています。

 

 

ぱっと見は97戦の方が投影面積が少なくて有利に見えますが、ところがどっこい、飛行機というのはまっすぐ飛んでいるようで、実際は斜めに風が当たることも多く。

97戦のように平べったい、うちわみたいのだと、横風に対し抵抗になってしまいます。砲弾型だと、どこからでもうまく風が流れてくれる。

当時の設計ではわからなかった実情もあり。設計時に見える細部にこだわるより、将来を見据えた進取性のほうが重要であると考察して、結びといたします。

ではでは。。。

Posted by 猫機長
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よくめんかじゅうのお話

翼面荷重。主翼の1㎡あたりでどのくらいの重さを支えているか。飛行機の性能を決する重要なファクターの一つです。

この数値が大きければ大きいほど、重くて翼が小さい飛行機。いったん離陸しちゃえばスピードが出せたりとか高性能だけど、よっぽど整備された長いながーい滑走路(3000mくらい)がないと離着陸できずにこけちゃいます、という要注意な飛行機のことです。

ジェット旅客機とかがこの類に入ります。

要注意な旅客機

 

 

軽飛行機になると翼面荷重も低く、河原桟敷とか原っぱでもなんとか離着陸できちゃう。でも、肝心の飛行性能がからきし、となってしまいます。

低い翼面荷重は、小さな飛行機には決死的な重要性を持っていて、たとえばぼくの乗っている「こよーて(Rans Super Coyote)」の場合、低翼面荷重により、離着陸滑走距離を150m~200mに抑えることができ。

上空でエンストだ!となっても、なんとかサッカー場に不時着できるか?になっています。

サッカー場の大きさ。出典はhttps://www.jleague.jp/

 

 

いろいろな飛行機のいろいろな翼面荷重を探索してみます。

以下、Wikipediaの表(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BF%BC%E9%9D%A2%E8%8D%B7%E9%87%8D#%E9%96%A2%E9%80%A3%E9%A0%85%E7%9B%AE)をもとに、こよーてとその競合機種に絞って加えたり削除したりしました。

機種
年度
分類
翼面荷重kg/m2
(あるいは換算値)

すずめ
12万年前から現役
鳥類
2.7

Flying Ace等競技機
2014
紙飛行機
0.92

こよーて(Rans Super Coyote)
1997
マイクロ・ライト機
32.5

ASK 21
1990
グライダー
33

ニューポール 17
1916
戦闘機
38

イカルス C42
1997
マイクロ・ライト機
38

セスナ 152
1978
軽飛行機
51

零戦
1940
戦闘機
107

グラマンF6F
1943
戦闘機
186

エアバスA380
2007
旅客機
663

 

◎すずめ

鳥といってもぴんきりで、カモメみたいなやたら細長い翼もあれば、スズメみたいに短くて丸っこい翼もある。

PIXABAY無料画像

 

 

スズメの翼面積は0.009㎡。体重は0.024㎏で、翼面荷重は2.7
kg/m2になりました。

鳥たちの翼面荷重は、1~20くらいまで幅広いそうですから、とても低い部類に入ります。

スズメの翼は短く羽ばたきやすく。瞬時の方向転換など、機敏な機動が可能とのこと。鳥の中の零戦かもしれん。

◎紙飛行機

こちらは競技機(折り紙飛行機じゃないよ)のデータ、3500㎎/3800㎟で、0.92㎎/㎟→0.92kg/m2になりました。(1mが1,000mmですから1m^2は1,000,000mm^2になります。同様に1kgが1000gであり1,000,000mgになります。)

トンボの翼面荷重が0.26㎎/㎟=0.26kg/m2なので、鳥と昆虫の間くらいになりますねーやっぱり、飛行時の気候状況により大きく飛行が制限されちゃいそうな気がしますが、いかがなものでしょうか?この辺が、低翼面荷重の落とし穴なんですよねー

敬愛するブロ友「さとちゃん」さんの「二式芭蕉 Mitinoku」。

とてもおしゃれで、チャーミングですね

出典:https://ameblo.jp/taimama-55/entry-12792970403.html

 

 

◎ニューポール17

第1次大戦時のフランス複葉戦闘機。

PIXABAY無料画像

 

 

クラッシックカーみたいな趣のあるデザインですね。フランスパンにワイン、芸術の国フランスらしいおしゃれな飛行機。

わくわく

 

 

でも、主翼の桁構造がぜい弱で「飛行中に分解する不都合な傾向を持っていた(Wikipedia)」そうです。ははは

180馬力と、ぼくの乗っているこよーてより100馬力も高い強力なエンジンを持ち。これでこよーてとほとんど変わらない翼面荷重、しかも複葉とくれば、さぞや敏捷にアクロバットをこなしたことと推測されます。

◎こよーてとイカルス

共に「LSA」すなわちライトウエイトスポーツ機のなかまです。

こよーてはLSAの中でも軽量で、上昇、下降がきびきび、ぐわーんと上昇できて楽しいです。

こよーて君。かわいいな

 

 

こよーてはアンティーク、前世紀の化石になりつつありますが、イカルスの方は、いまどきのLSAで、翼面荷重もそれなりに増大している。

C42 C

 

 

でも、ブラジルではあまり見かけず。ポルトガルあたりでは、飛行学校で親しまれているベストセラーらしい。ということは、翼面荷重を上げることで、機体の安定性を増して、操縦性を素直にしたのかな?イカルスで飛んだことのある人は、ぜひ教えてくださいね。

ブラジルの「ザ・練習機」と言えばParadise P1ですが、翼面荷重は機重600 kg、翼面積12.6 m2すなわち47kg/m2で、さらに増大しています。ぼくはParadiseで練習し、免許を取ったのですが、やんちゃなこよーてと、どっしり安定のParadiseの違いが、翼面荷重の差にあったのかも?

Paradise
https://www.airliners.net/photo/Untitled/Paradise-P1/2699381
 

 

◎ASK21

アスクなんていうからわからなかったけれど、「Alexander Schleicher」すなわち、泣く子も黙るシュライヒャー滑空機のことでした。

ASK 21 B

 

 

グライダーのくせにこよーてより翼面荷重の高いシュライヒャーですが、エンジンもないくせに、最高時速280キロと、こよーての192キロより速かったのでした。

滑空だけを考えたら、翼面荷重が低い方がよさそうですが、世界屈指のグライダーともなると、滑空速度を上げたいとか、その他諸元が合わさってこの数値になるんでしょうねえ。

ドイツの食卓。ハイル!ハイル!


 

エンジンのない飛行機というような狂った乗り物にのるやつらの気がしれん。

なんて言いながら、いつかはグライダーの免許も取りたいと思っています。

 

◎セスナ

セスナの翼面荷重51 kg/m2、こよーては32.5kg/m2。機重はそれぞれ757 kg 470Kgと、いずれもセスナがこよーての1.6倍となっています。

セスナ
http://1.bp.blogspot.com/_uRX1wGVlxMw/SxWocQAMnWI/AAAAAAAABAc/vWN6ysv9Qhw/s1600/PT-BKU.jpg
 

 

何を意味するのかというと、セスナの着陸アプロ―チが60ノット(時速111 km/h)なのに比べて、こよーては43ノット(時速80km/h)と、20ノット近い差が生じています。

これが、この記事の最後の項目「翼面荷重が飛行の安全に及ぼす影響」に、如実に影響しているらしい。

というのも、セスナからLSA(こよーてのなかま)に乗り換えてきた人たちが言うには、「セスナはとても着陸がしやすいが、LSAは毎回ひやひやもので、命が縮む」だそうです。

あれ着陸速度が高い方が着陸しやすいの?その秘密については、この記事をぜひ最後までお読みください。

着陸のしやすいセスナ、うらやましいなー

 

◎グラマンと零戦

この2機は、いろいろな文献やサイトで比較されつくされているので、あくまで翼面荷重でさらっと触れるくらいにします。

Avião – Antigos

 

 

零戦の翼面荷重が107 kg/m2、F6Fが186 kg/m2。

これはやっぱりグラマンの数値が大きいという事なのでしょうねーちなみにスピットファイアは158,Bf109でも173と、一撃離脱の陸上機メッサ―より高かったりして。(翼面荷重 – Wikipedia)

それでいてなにげに空母から発着していたと言いますから、これは、飛行機単体というより、カタパルト装備かつ堅牢な甲板を持つ正規空母を多数配備できたアメリカの総合的な開発力の勝利ですね。。。。

グラマンは、機体重量も零戦の倍となっており。それでも零戦と互角の巴戦を行えたのは、やっぱり零戦の倍の馬力のエンジンがあったから。

デブデブのブタ野郎グラマンが、栄養失調の零戦を力任せにタコ殴りしたという事なのでしょうか。

結局は食い物のちがいですねえ。。。。

Pixabay

 

 

◎エアバスA380

翼面荷重663kg/m2です。こよーての32.5kg/m2に比べて、20倍です。

こんなに重い飛行機が飛ぶことを許されていいのでしょうか。飛んでるけど

エアバス。

ボルドーとブルゴーニュ、リースリング、シェリーにビーフィーターまで混ざった、

恐ろしい「魔法のポーション」です。

 

 

冗談ではなく、こうした巨人機を安全に滑走路に降ろすために、降着装置と高揚力装置に惜しみなく投資がなされています。

特に恐るべきはフラップ。こちらに詳しく書いたので、お読みください→フラップの話

鈍重な巨人機とちがって、低翼面荷重の軽飛行機は、これまでの記載のとおり、挙動がやんちゃになります。

これは、ちょっとした気流の変化を敏感につかんで敏捷に動けるという意味です。

でも、それは気流が穏やかな時に、飛行機自らの舵面で気流をつかむという時の話で、ちょっとした乱気流で、たちまち機体がすさまじく揺さぶられてしまい。高度があるときは、すかさずスロットルを絞って速度を落とせば安全ですが、着陸時、滑走路上で舵が効かない低速になったときが危ない。着陸速度時速256km/hのエアバスA380にとって、時速37km/h(20ノット)の突風はまだ誤差の範囲内ですが、着陸速度時速80キロのこよーてにとっては、その半分に近いスピードの突風にあおられるわけで、向かい風なら浮かび上がってしまうし、追い風なら、地面にたたきつけらてしまうという事です(ちなみに、旅客機の横風制限は38ノット、時速80km/hくらいらしい)。

小さな飛行機はつらいよ。。。。

 

ではでは

Posted by 猫機長
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LSAの世界

ええええ!猫機長はらりっているの?LSDのことなんて書いて、BANされちゃうよ?

と思ったみなさん。

「LSA の世界」であって「LSDの世界」ではありません。

ちなみに、LSDすなわち「リゼルグ酸ジエチルアミド」は、Wikipediaによれば「LSD服用者はトリップにより、固定された強い感情反応や思考の歪曲(被害妄想や自分が発狂したまま戻れないという不安等)」を引き起こす恐ろしい物質だそうです。

ぼくは使ったことがないからわからないけれど。。。

で、LSAです。

「ライト・スポーツ・エアクラフト」のことです。

日本語で言えば軽飛行機(軽量スポーツ航空機)。

でも、別にもったいぶって記号にしているのではなく。きょうび、軽飛行機といってもいろあるので、LSAというカテゴリーが新設されました。

ちょっと昔は、軽飛行機といっても、「コードロン・シムーン」とか「メッサーシュミットBf108」とか、オーソドックスな牽引式単葉機によって占められていたのですが、戦後航空技術が洗練されるに従い、鋼管フレームでお手軽につなぎ合わせたFOXとか、なんと無尾翼機まで出てきてしまいました。

シムーン http://www.dlcutawaymodels.com/wp-content/uploads/2017/02/simoun-1.mae-1–567×260.jpg

 

 

Bf108(109じゃないよ)https://m.media-amazon.com/images/I/51i7SVGUu8L.jpg

 

 

元祖ウルトラライト

 

 

動力付きハンググライダー (Pixabay無料画像)

 

 

この当時、つまり1980年代くらいまでだったら、ちゃんと飛行機の格好をしているのは軽飛行機(実機)、ライトフライヤー(凧)みたいなのはウルトラライトプレーン(ULP)、としてすみ分けられ。

実機(セスナ150。Pixabay無料画像)

 

 

ウルトラライトプレーン http://www.aero.or.jp/web-koku-to-bunka/2014_08_fujita/2014_08_fujita.html

 

 

実機の場合は、フツーの空港とかに降りて、旅客機とまじって管制を受けて飛ぶので、ちゃんと免許を取りましょう、と「PP(プライベートパイロット)免許」が必要となり。ULPのほうは、スピードも出ないし、もっと田舎の滑走路で、滑走路の周りを飛んで楽しみましょう、ということで、確か無免許でも飛べたらしい。

ところが、90年代から現在に至って、ULPがぐんぐん進化を遂げ。

セスナのエンジンは、だいたいライカミングとかコンチネンタルとか、第二次大戦時からの実績のある安心設計のエンジンで飛んでいますが、「コンチネンタルザウルス」と呼ばれる通り、要すれば旧式のエンジンであることは否めず。

例えば、4気筒のコンチネンタル O-200-Aの場合、重さが77キロ、出力は100馬力。このエンジンを積んだセスナ150は、空虚重量(empty weight)500キロ、巡航速度時速198キロとなっています。

一方、今どきの新型ULPは、エンジンも自由に発展させ。高回転でなめらかに回し、部分的に水冷を取り入れたハイブリッドな冷却装置で効率化を図り。

例として、やっぱり4気筒のROTAX912の場合は、重さは60キロ、出力は101馬力に達しています。このエンジンを積んだParadise P1は、空虚重量340キロ、巡航速度時速185キロです。

「コンチネンタルザウルス」と「ロータックス」では、出力は同じだが、後者の方が17キロ軽く。そして、セスナ150とParadiseP1の比較では、空虚重量が500キロ-340キロで、160キロの差が出ていたのでした。

つまり、在来の技術を踏破したセスナ150と、新技術で軽く作ったParadiseP1は、性能ではそん色がないということである。

こうなると、どっちが実機で、どっちがULPか、が分からなくなってしまい。

セスナ
http://1.bp.blogspot.com/_uRX1wGVlxMw/SxWocQAMnWI/AAAAAAAABAc/vWN6ysv9Qhw/s1600/PT-BKU.jpg

 

 

Paradise

https://www.airliners.net/photo/Untitled/Paradise-P1/2699381

 

 

こうした技術の進歩に適応するために、軽飛行機の世界に「LSA」という分類が生まれました。

セスナの場合は、昔ながらの技術と素材で、昔ながらの審査基準に合格したので「実機→軽飛行機」としてカテゴライズされ、

ParadiseP1のほうは、昔ながらの審査基準による審査は受けていないけれど、それを承知したうえで飛行が許された「試験機(Experimental機)→LSA」の扱いとなっています。

性能はほとんど同じで、飛ぶ空域も同じなので、両者とも免許が必要です。内容はだいたい同じですが、セスナの方は昔ながらのPP、Paradiseの方は「レジャーパイロット(エアスポーツパイロット)」という、それぞれ別のライセンスになっています。確かにPPの方は夜間飛行とかもっと必修科目が多いですが、日曜パイロットで、わざわざ夜間飛行だの計器飛行だのなんてしないし。

ちなみに、エアラインパイロット、コマーシャルパイロットと言って、その他にもうじゃうじゃ多数の種類の免許があります。でも本稿の主題ではないので、省略します。

というわけで、欧米では新技術を駆使したLSA全盛の時代に入ろうとしています。

地の果てブラジルのブラジリアにある、田舎の小さな飛行クラブや、その近所でもLSAがいっぱいとなっており。

以下、こんなのが飛んでます、というのをちょっと紹介します。

◎ペリカン

LSAの草分け的存在。エンジンに比べて機体が重いのか?小さな飛行場だと離陸はひやひやするけれど、その分上がっちゃえば安定しているらしい。翼はアルミ合金製。胴体後部はコンポジット。巡航速度:時速177キロ

 

 

◎Paradise

どこまでも真っ直ぐに飛んでいく安定性を持った、LSAらしからぬLSAの決定版。多少操舵輪を回したりペダルを踏んだくらいではまっすぐ飛び続けようとするので、エイヤーと気合を入れた操作が必要ですが、3舵の効きがしっかりしていて、Coordinateされたカーブにおのずから入っていく、えらそーですがすぐれた飛行機です。こういうのは乗ってみないとわからないだろうなー。全金属製、巡航速度時速185キロ。

 

 

◎RV7・RV9

あれこれ実機じゃないの?と思った人は、するどいマニアです。全金属製、ライカミングエンジン130馬力、巡航速度時速264キロで、セスナなんてぶっちぎりの戦闘機みたいなLSA。というか、アメリカでは実機であり、ブラジルでも2019年までだったっけ、に生産された中古品はLSAで登録できるけれど、それ以降の生産品は実機という要注意な飛行機です。

 

 

◎Dynamic

RVとならんで大富豪しか買えないLSA界のスーパーカー。コンポジット製、巡航速度も時速250キロでRVと比べてもそん色なし。ブラジルの法律だと、引っ込み脚はLSA認定してくれないので、固定脚バージョンです。なんとなくグライダーちっくな姿かたちで、失速が「突然前触れもなく落ちるぞ。気をつけろ」といううわさあり。もちろんとても安全ですが。

 

 

◎FOX V7

こちらはもっとウルトラライトちっく、お値段もお手頃のLSA。コンポジット製。キャビンが大きく膨らんだ感じで、中で宴会はできなけれど、それに近いスペースがあるらしい。巡航速度時速180キロ。写真の飛行機の主はかなり遠出をするらしく、オートパイロットを装備するとか言っていました。ちなみに、この記事に出てくるLSAは大体6時間ぐらい飛べる(と思います)。

 

◎こよーて

正式名称はRANS SUPERCOYOTEです。鋼管羽布張りで、前世紀の遺物化しつつあり。Paradiseと正反対、とにかくやんちゃで、まっすぐ飛ばすのが一苦労ですが、例えばParadiseの空虚重量340キロにくらべて、コヨーテの空虚重量は270キロと、LSAの中でも軽量級です。その結果、すごい上昇力だ!なんて主観的ですが、上昇も下降もきびきびと、とても楽しい飛行機です。言ってみれば、空のかぶと虫。ちなみに、VWかぶと虫の重量が780キロですから、こよーてはその半分なのですね。ははは

 

 

コヨーテくんの操縦席からの風景はこんな感じ

 

 

とある家電王の農場へ遊びに行った時の写真はこちら

 

 

 

 
ベースレグからファイナル、そして着陸までの動画はこちら

 

上記を記事にしたのはこちら→「家電王の農場に着陸」

ではでは。。。

Posted by 猫機長
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パイロットとお◎っこのお話

*ひさびさにアメブロでランキング1位に返り咲き。今回は「パイロット」というベタなジャンルでした。たくさんの「いいね!」ありがとうございます。

さて、本題です。

寒い冬の朝。起きがけに、とにかくトイレへ直行だ!用を足してほっと一息、というのは誰でも経験あると思います。

でも、お父さんとかがトイレを占領してしまい。お母さんや娘さんが、必死になってどんどん!トイレの戸を叩き、おとうさん、新聞なんて読んでないで、早くしてー!というシーンもあったりして。

パイロットにとっても、トイレはなかなか重大な課題なのです。

高度1万メートルを飛ぶ旅客機でなくても、2000メートルまでいけば、寒いぞ!離陸前にお◎っこしとけばよかった!なんてなるときもあったりします。

30時間以上連続飛行して大西洋を横断したリンドバーグも、パリに着陸して、熱狂の群衆に放った言葉が、まず「英語話せる人いる?」で、その次が「トイレどこ?」だったそうです。

リンドバーグ。

出典はhttp://blog.livedoor.jp/tenti1121-ijintensaiyuumeijin/archives/1997305.html

 

 

黎明期の飛行機は、乗員が吹きっさらしか、密閉風防だとか言いながらも実はごうごうと隙間風にさらされたりとか、なかなか過酷だったらしい。そんな時代から今日まで、パイロットはどうやってトイレという生理的要求に対応してきたのでしょうか。

①がまんしましょう

第1次大戦とかでは、飛行機の航続距離そのものが短く。例外もあったが2,3時間で燃料が切れて着陸、という状況なので、我慢すれば何とかなった。

めちゃくちゃ吹きさらしの座席。
我慢しなくても、ちょっと背伸びすれば。。。とか。無理か?

https://i.pinimg.com/originals/80/c7/37/80c737dffec0e092e3cbe1bf001b6982.jpg

 

 

➁おまる作戦

第2次大戦の爆撃機になると、6時間くらいは飛ぶようになり。幸い、このころには飛行機も大型化し、エンジンのパワーも強くなったので、トイレとまではいかなくても、おまるは乗せることができたらしい。といって、狭くて丸見えの機内なので、遮断幕(カーテン)かなんかで仕切ることができるようにしたそうである。下の図はイギリスのウエリントン爆撃機の例です。

Public domain

 

 

出展はロバート・ウエスト―ル著「ブラッカムの爆撃機」:ISBN4-00-024632-1

 

 

*ちょっと脱線。ロバート・ウエスト―ルさんは、自分は飛行機を操縦したことはないのに、迫真の記事を書く、恐るべき小説家です。ウエスト―ルさんは、他にも「猫の帰還(ISBN4-19-860911-X)」という優しさいっぱいの「猫本」を書いており。写真の通り「6年生・小学校の教科書に出てくる本」ですが、とても小学生には見せられない、生々しい不倫の描写があったりして、必読です。

ネコ好き必読!です。

 

 

③戦闘機はどうしたか

大きな爆撃機はともかく、一人乗りの戦闘機とかは、スペース以前に、ちょっと操縦をやめておまるにしゃがんで。。。なんてのは無理である。

どうするのかというと、「油紙性のお◎っこ(う◎こ)用紙袋」みたいなのを携行して、ううむ我慢できない、というときに、ズボンのチャックをあけてその袋に。。。という情報あり。

でも、当時のパイロットなんて、うさちゃんルックというか、航空服で着ぐるみ状態なので、チャックをあけてハイ放水、なんてお手軽にできたのでしょうか?確かに、南方作戦では半ズボンにカポック(救命胴衣)なんてのもあったらしいけれど。

下の画像は爆撃機クルーですが、このいでたちなら戦闘機乗りでも服に引っかけずにちゃんと用を足せたと思います。

http://www.aramant.com/chuukou/toha.html

 

 

④パンパース作戦

これがU2偵察機など、超高空で何時間も独りぼっち、という場合は、着ている服もほとんど宇宙服なので、チャックをあけて、なんてやったとたん気圧が急激に下がって、お◎っこどころか、血管の血液が気化して惨死になってしまうらしい。というわけで、地上生活と同じくらいの気圧とかに保った「宇宙服」の中でどうやって、となると、しゃあねえおむつか、といううわさが。。。

U2 偵察機 Public Domain

 

 

U2パイロット

https://www.machinegun-figures.com/im/170112_142842_5fqZJWjM_im.jpg

 

 

それこそ宇宙船と同じに、パイロットスーツの戦略的箇所に掃除機みたいな機器のホースがドッキングして、お◎っこだろうがう◎こだろうが吸い出すという仕掛けにすればいいのに。。。と思うのですが、とてもそういった機器にスペースや重量を割くことはできないらしく。「便意を催さなければどうということはない」と、12時間にもわたる飛行なのに、食べ物は1時間おきにプロテインチューブみたいなやつを一個、ストローで補給、という、なんちゅうブラックな職場じゃ!になっているそうです。超金手当ぐらいは貰っているんでしょうねえ。

森永プロテインゼリー。https://www.morinaga.co.jp/in/jelly/protein15000.html

⑤旅客機のトイレ

さいわい、きょうびの旅客機では、客室の前部と後部、ジャンボなどでは中央部とかにもトイレがたくさんあり。でも、国際線とかで明け方になると、トイレの前にはやっぱり行列ができたりします。

首尾よくトイレに入ったはいいが、折わるく乱気流に突入し。トイレ内の警告灯が「GO BACK TO YOUR SEAT」とびかびか点滅し、アナウンスも「座席に戻りシートベルトを締めて下さい」なんてなるときもあり。

でも、便秘気味だし(下痢の時はもっと悲惨)、とにかく終えてからじゃなきゃ。。。とめちゃくちゃ揺られながら、なんとか用を足し。そのあと席に戻っても、CAさんが怖い顔でこちらをにらんでいたりして。。。。

旅客機のバキューム式トイレ

When are you allowed to pee on a flight?

④旅客機のトイレその2

さて、トイレにたまる排泄物ですが、畿内と機外の気圧差を利用して外に噴出しちゃうのかと思ったらそうではなく。備蓄タンク?みたいなのに溜めておいて、着陸後に汲み取りとしているらしい。

ちなみに、旅客機のおしりに空いている穴は、そこから噴出しているのではなく、APUという発電用エンジン(これもジェットエンジンです。すごいな)の排気ノズル(排気口)だそうです。

APU排気口

https://s.eximg.jp/exnews/feed/Trafficnews/Trafficnews_92485_04c0_1.jpg

 

⑤パイロットの重要な儀式:太刀諸雲の礼について

読んで字のごとく「たちしょうんのれい」と言います。あまり早口で言わないようにしましょう。

小さな軽飛行機で、その辺を一、二時間るんるん飛んできて、ホームベースに着陸。駐機して地面に降り立つのは、充実感のひと時です。

その時、無事に飛行し、着陸できたことを八百万の神々に感謝するために行うのが「太刀諸雲の礼」です。

ぼくのホームベースにはとあるご神木があり。この霊威を戴くために、誘導路もこの木を迂回して、アートな誘導路になっています。

*ご神木ですが、それ以前に、ブラジリア高原における貴重な原生稙種だという事で、切り倒すと環境当局に処刑されます。

ご神木とアートな誘導路

 

 

飛行機から降り、この木の根元で、思い切り放水するのが「太刀諸雲の礼」です。広がる青空に、動かぬ大地。さわやかなそよ風。至福の一瞬ですよね。。。。

でも、なぜか飛行クラブ管理人のお兄ちゃんが、この木の根元をDIY(柵の修繕とか)の作業場にしちゃったので、現在はしかたなくハンガー(格納庫)内のトイレで用を足しています。

小さな飛行機で飛んでいます

 

 

⑥余談その1

上記の戦闘機パイロットですが、やはり高度6000メートルでは気圧差により苦労したらしい。

とある撃墜王の回想録では、ふたをし損ねて液体が風防に飛び散り、ふき取るのにものすごく苦労した、とあります。

もちろん、機内飲料として持ち込んだ「ラムネ」の話です。

ラムネの栓を、一気に抜いちゃったためにシャンペンみたいに噴出してしまったらしい。

いやいや、あの液体のことじゃなくて、あーよかった。

ラムネ。https://bplatz.sansokan.jp/archives/11087

⑦最後は口直し

ということで、ばっちいお話は忘れて、夢の飛行機旅行の画像をどうぞ。

昔はシックで豪華、よかったですねえ。。。

(画像出展はいずれもhttps://buzzap.jp/news/20160801-airplane-food-1950/です。)

-O-

ではでは。

Posted by 猫機長
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ベイルアウトだ!緊急脱出装置のお話

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空を飛ぶものは落っこちる。これはニュートンの法則です。

とんまな小鳥が木の枝への着地に失敗しごっつんこ、あららなんて別の枝につかまってお茶を濁す、なんてこともありますが(一度だけですが確かに見ました)、鳥に比べたらはるかにぶきっちょな飛行機では、墜落はいつも警戒しなければならないリスクとなっています。

これが軍用機になると、気流だ雲だ、という自然現象のみならず、人間様自体がミサイルだなんだと撃ち込んでくるので、墜落なのか撃墜なのか、ともかく落っこちることを前提にした飛行機を作ることが必要になってしまい。

第2次大戦までだったら、飛行士にパラシュートを持たせて、キャノピーを開けて脱出、だったのですが、高度8千メートル、相対速度800キロですさまじいGのかかる無理な飛行をやってへとへとのパイロットでは、のんきに窓を開けて、なんてのもうまくゆかず。脱出時に自分の飛行機の尾翼に衝突して死んじまうパイロットも出てしまい。

こんな感じ。真っ二つ、というよりバラバラ・ミンチ状態になったらしい。

「零戦の操縦」ISBN978-4-7572-1734-8より。

 

 

軍の首脳部にとっては、なかなか由々しき問題となりました。

きょうび、F15の購入には100億円がかかると言われています。そして、そのパイロットの育成には、7億円がかかるそうです。

パイロットの場合始末が悪いのは、レーダーだのエンジンだのと違い、部品を生産ラインに乗せてはいOk、ではなく、航空学生としてまず軍人教育でいじめ、2年後に卒業したらそこで初めて練習機に乗せ、航法、管制、気象、航空法規、航空力学、飛行機整備学、おっとそれから操縦そのもの、と果てしない技能を詰め込み、やっとパイロットとして一人前になったら、まってました!ミサイルの打ち方だ、チャフのまき方だ、と今度は戦争技術を教えなければならず。つまり一人死んじまうと、7億というお金のほかに、次の補充が来るまで、へたすれば何年もまたなきゃ。。。。という事態になってしまいます。

太平洋戦争時、日本はあまりこの点を考えていなかった、というか、多少は考えていたが、でも実はやっぱり全然考えておらず、やれ特攻だなんだとパイロットの命を湯水のように消費してしまい。すでにマリアナ沖海戦の時点で熟練パイロットはほとんど死んじまっており、ひょろひょろふらふらとなんとか飛行機を操るのが精いっぱいの日本の未熟なパイロットは、それまで何度撃墜されても手厚いレスキュー措置で生き延び、一戦また一戦と強くなっていった米軍パイロットにヒヨコのようにひねられ、「マリアナの七面鳥撃ち」になってしまいました。

というわけで、まともな空軍なら「機体は破壊されても必死になって生き残ろうとする」パイロットという便利な部品を見殺しにするわけはなく。海上の空戦なら潜水艦やら飛行艇やらをじゃんじゃん派遣し、陸上の空戦ならレジスタンスを大々的に招集し、落っこちてくるパイロットを回収し、次の空戦の部品として再利用するシステムをしっかり構築しているのでした。

そして、このシステムの中でも最重要と言えるのが「脱出装置」なのでした。

脱出装置には、大きく分けて射出座席と、操縦席全体を射出するモジュール式脱出装置があります。モジュール式のほうがパイロットには優しいのですが、およそ飛行性能、空戦性能とはかけ離れた重い装備・装置になってしまい。機体強度にもかかわってくるし、主体は射出座席になっているようです。

B1爆撃機の射出モジュール。http://4.bp.blogspot.com/-KAeRRSMVPJg/VHSKyzBqY-I/AAAAAAAAGb8/DqkvGZW3mRA/s1600/Lancer.jpg

 

 

射出座席の芽生えは、すでに第2次大戦時のドイツ空軍に見ることができ。

射出座席を装備したドルニエ戦闘機。https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/3e/Dornier_Pfeil2.jpg

 

 

朝鮮動乱のころになると、フツーの装備になったらしい。

でも、初期の射出座席は、ある程度の高度を飛んでいないと、射出はできてもその後のパラシュート開傘の高度がたらず、結局地面に激突して死亡、という事があったらしい。

T-33A入間川墜落事故の例では、エンジントラブルで、落ちるぞ、という時、パイロット2名が必死で民間の家屋を避けるべく操縦しているうちに、パラシュートで脱出しても助からない高度にまで落ちてしまい。それでも、脱出装置はちゃんと作動したぞ!という事実を残し、少しでも整備員の心痛を和らげるために、2名のパイロットはあえて射出し、墜落死という痛ましい事例が発生。

また、別の例では、やはりエンジントラブルで、民家を避けているうちにもはや不時着しかない、というところまで高度を失ってしまい。落着の衝撃でパイロットは死んじまいましたが、これも脱出装置の安全装置は外し、「脱出できなかったのではなくて、しなかったのだ」というメッセージとして整備員をいたわっていたというのもあり。

偉大な練習機T33A。でも、この当時の射出座席はいろいろ限界があった。

パブリックドメイン

 

 

そこで開発されたのが「ゼロ・ゼロ射出機能」。高度ゼロ、速度ゼロでもとにかく射出しちゃえば、座席についているロケットエンジンでパラシュートが開ける高さまで打ち上げ、安全に開傘できる、というものです。

下の写真は、とあるエアショーで、反転ループを行おうとしたところ、規定より200メートル低い高さで開始してしまったため、リカバリーできず、地上に激突だ!の寸前に射出という恐るべき瞬間。まさにゼロ高度での脱出の実例になりました。

パブリックドメイン

 

この例では、パイロットは軽傷で済みましたが、実際にはなかなかそうもいかないことも多いらしい。

射出座席なんて、パイロットを縛り付けたミサイルをぶっ放すのに等しく。射出の瞬間には15Gから20Gの圧力がかかるそうで、「適切な姿勢を取っていないと脊椎を痛める(Wikipedia)」などとありますが、それは鋼の肉体を持つ戦闘機パイロットだからであって、ぼくだったら、適切な姿勢を取っていても脊椎が粉砕され、それ以前に頭蓋骨の中で脳みそがぐちゃっとつぶされて、パラシュートが開くころには死体になっていると思います。

というのも大げさかもしれませんが、じっさい、射出後の後遺症で飛行機に乗れなくなる人も多数いるそうで、「二回射出したら体にダメージがたまって退役」という事も言われているらしい。

射出の時に、ちょっとした姿勢のずれで、足がコクピットの何かにひっかかり、ちぎれちゃったとか、射出に前もってキャノピーが爆薬で吹き飛ばなければならないのに、故障で吹き飛ばず、哀れ射出でキャノピーを粉砕し、一緒に自分の頭も粉砕しちゃったとか、とにかく射出というのはうまくいっても九死に一生、というのがあるあらしい。

この記事を書いていて、民間パイロットでよかったと、胸をなでおろしています。

といって、民間機は、墜落しても脱出できないじゃん?というのも事実です。

そこで、最新の軽飛行機など、墜落だ!という時、機体自体をパラシュートで降下させるなんて機能を持っているのもあります。

この場合は、脊椎がどうだのというのはなく、なにげに安全に降りることができるらしい。

写真出展:PÁRA

 

 

ぼくも単発軽飛行機降りですが、安物の軽飛行機なので、こうした最新装備はついていなかったのでした。ははは

でも、軽飛行機の場合、だいたい墜落の原因はエンジン不調なので、エンジンがストップしても不時着できる原っぱの上を飛ぶようにしています。落っこちてペラをひん曲げたり、ギアを折ったりしても、乗員は無傷で助かる(事例が多い)からです。

というわけで、本当にパラシュートが必要なのは大型の旅客機なんですけどねー、でも金庫のように重いジェット旅客機を支えるパラシュートが作れないのか、作れても採算に合わないのだと思います。

ヘリコプターの場合は、やっぱりローターに絡まっちゃうのだと思います。オートローテーション(ローターが墜落の風圧で風車みたいに回転して落下を減殺し、ソフトランディングを可能にする)に望みをかけたほうが良い、という事なのでしょう。

小さな飛行機に乗っています

 

 

ではでは。。。

Posted by 猫機長
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羽ばたき機のお話

空を飛ぶのは人類発祥からの夢であり。

古今東西の幾多の神話や物語で、翼によって自由に空を飛ぶ天使みたいなのが生まれました。

典型的なのがキリスト教の使徒たち。

受胎告知 ダヴィンチ

 

 

なんかぶきっちょな翼をはやしており。これじゃあ、すずめにぐんぐん追い抜かれ、やーいやーい!ちゅんちゅん!なんていじめられそうですが、そんなことより、大天使ガブリエルは主エホバのメッセンジャーとして、恐るべき知らせをマリア様(画面右側の素敵女子)に伝えようとしています。

「よう姉ちゃん。戸棚に隠してあった僕のあんぱんを盗んで食べちゃっただろう」

というのではなく、もっとまじめな場面ですが、ここでは本題ではないので、こちらの記事に譲ります→日本美術と西洋美術の違い

ギリシャ神話になると、ヘルメスというお兄ちゃんがおり。

足の裏の感覚と「お金をかせぐ限界値を外す」(大嶋信頼)————翼あるサンダルの神 | hermioneのブログ  かるやかな意識のグリッド(の風)にのる (ameblo.jp)

 

 

翼の生えたサンダルでそこかしこを自由に飛び回っていたらしい。

一方、泥棒はするは、素敵女子はかどわかすわの、しょうがない奴でもあり。でも本題ではないのでここでは書きません。

なお、翼の生えた帽子も空を飛ぶのに一役買っているはずなのですが、ぐぐってもサンダルばかりが強調されていました。ふしぎだな

ちょっと脱線して、カップのナイト

 

 

こちらの翼は、空を飛ぶためではなく、遠くから良い知らせをもたらしてくる、というメッセージのシンボルだそうです。

この記事を読んでいるタロット素敵女子で、もっと情報があったらコメントしてね!

占いつながりで、「動物占い」というのがあり。

やってみたら「あなたはペガサスです」と出ました。

皆さんもどうぞ。リンクは→https://www.doubutsu-uranai.com/uranai_12chara.php

 

 

ゆるキャラのイラストだからいいけれど、本当に天馬なんて存在したら、かなり気味の悪い生き物になっていると思います。

パイロット同士の会話で「こないだその辺を飛んでいたら、のらペガサスと衝突しそうになっちゃった。こわいね」とかもあったりして。

さて、いよいよ真打の登場です。

その名も「イカロス」

イカロスは、キリスト教の天使でもなく、ギリシャ神話の英雄でもなく。

ギリシャ神話に登場こそしてきますが、ただの人間。その辺のどこにでもいるクズ野郎でした。ははは

ところが、ひょんなことから、「大空が俺を呼んでいる!」と、鳥の羽根とロウ(蜜ろう)で自作の翼を作り。ロウで自分の背中にくっつけると、おおおおー見事に羽ばたいて大空にまいあがったぞ!という、マンガとしか思えない展開ですが、フクロウのごとく羽ばたいて見事な飛翔をしたらしい。

ふくろうカフェ。かわいいな

長野県初フクロウカフェオープン | ふくろうカフェ楽園のブログ (ameblo.jp)

 

 

でも、これって。。。。

翼を自作して、空を飛んだ。

つまり、飛行機のことですよね。感動した!

こうして、イカロスは、地上でほざいているただの屑から、塵みたいな小さな飛行機(翼)で空をとぶ、世界初のパイロットすなわち「大空の屑」になったのでした。ぼくとは空つながりの屑なかまだったのですね。。。。

イカロスはそのあと墜落し「星になった少年」と化してしまいましたが、さいわい、ぼくはまだその前段階の「大空の屑」です。長生きしたいと願っています。

 

 

さて、ギリシャ神話では、いとも簡単に翼を作り、羽ばたいて飛んでいますが、現実は厳しく。

人力や機械の力で、いくら人間が羽ばたき機を作ってもうまくゆかず。

落胆していたら、「羽ばたかなくてもとべる」というもう一つの方法を発見、というか再発見しました。

コンドル。一回も羽ばたかずに170キロは飛ぶらしい。

 

 

つまり、アホウドリやコンドルが滑空しているのを、まねるほうが現実的だと気が付いた。

この場合、羽ばたいて自分から風を発生させるのではなく、季節風だの、断崖に吹いている風や山岳風だの、要するに自然に吹いている強烈な風を翼にあてて揚力をうみだすという、ちゃっかり屋さんの飛び方を極めることになり。

リリエンタールあたりの世代でグライダーを発明或いは性能向上し。サントスデュモンに至って、翼は揚力、エンジン(プロペラ)で自分から風を作って翼に送風する(実際は飛行機が前進して向い風を作り、翼に当てている)という技術を編み出しました。

この当時から、後付けちっくに、翼の上面と下面の流れの違いで気圧に差がうまれ、その結果翼が持ち上げられる、という揚力の理論が解明されてきた。

リリエンタールによる鳥の翼の研究。

(翼理論の芽生え(リリエンタール、ラングレー、ライト兄弟の飛行)

 

 

リリエンタールのグライダー

https://www.aerobase.jp/aerobase-blog-20201115/

 

 

サントスデュモンの飛行機。おしりにプロペラのついた先尾翼機です。

https://webkits.hoop.la/topic/14-bis-santos-dumond

 

 

というわけで、とにかく飛べるようになったぜ!と現在の飛行機はみな「固定した翼」になっています(ヘリコプターは飛行機とは言えせんので、念のため)。

一方、鳥や昆虫たちは、なぜ羽ばたきで飛べるのか?

最近になり、やっと解明されてきたところに、「翼で空気の渦を作り」その渦による気圧差をうまく利用して空に浮かんでいるという事がわかってきました。

これを、気流の流れが剥離して生まれる「前縁渦」というそうです。

「固定翼」の飛行機では、いかに翼に沿って気流を流すかがポイントで、「剥離」や「渦」なんて呪いのワードであり。失速・墜落一直線の、言っちゃいけない言葉なのに、よりによって、鳥や昆虫たちは、自分から渦を発生させることにより揚力を発生させていたという恐ろしい事実が明らかになってきました。

ただ、この方法で揚力を発生させるためには、すさまじい数の羽ばたきを行わなければならず。スズメで1秒間に17回、ハチドリになると80回は羽ばたいているらしい。

 

 

とても人間の技術で、秒間80回(17回でも)も羽ばたきできるつばさなんて作れないのでした。ははは

一方、オーニソプターと言って、模型の世界では羽ばたき機が実用化され、じっさい飛行場の鳥を追い払うために使われているものもあるそうです。でも、人が乗れる大きさ(重さ)となると、実用化は難しいらしい。

オーニソプター。

 

 

ところが、人類が血のにじむような努力の末に空を飛ぶことができるようになったのに、そんな努力なんて、なにそれおいしいの?と、はるかな古代からそのへんを自由に飛ぼ回ってきた、恐ろしい存在があるのです。

その名も「飛天」

Wikipediaでは「仏教で諸仏の周囲を飛行遊泳し、礼賛する天人。仏像の周囲(側壁や天蓋)に描写されることが多い」となっていますが、航空力学的に言えば、翼がないのに飛んでいるという、レッドカードだ!の約束破り、規則破りの「魔物」です。

メビウスの帯みたいな「はごろも」で揚力を得ているらしい

https://www.bilibili.com/video/BV12y4y1x7uQ/
 

要するに、女性です。

というか、この世の女性たちは、すべて飛天です。このブログを読んでいる素敵女子たちも、空を飛ぶための「羽衣」をどこかにしまい忘れているか、あるいは忘れたふりをしてどこかに隠し持っているのです。

細心の空力理論が解明されるにつれて、鳥や昆虫が羽ばたいて飛ぶ原理も解明、再現できるようになっており。

いがいな近未来に、てんとう虫みたいに翼を伸ばしたりしまったりする「空飛ぶ車」が実用化になるかもしれませんね。

天使のいる風景

 

 

ではでは

Posted by 猫機長
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着陸の奥義。フレアとは

パイロットの格言に「離陸はするもしないが自由だが、着陸は義務だ」というのがあります。

地上にいる限りは、今日はなんか風が強いから離陸はやめよっと、と自在に決めることができますが、いったん上がっちゃったら、天候が急変して烈風逆巻く荒天になろうが、着陸を逃れることはできず。突風にもまれながらの着陸という恐ろしい事態に陥り、木に登って、降りられなくなったネコみたいになっちゃいます。

なさけないなあ

https://mofmo.jp/article/24173

 

 

離陸や上昇は、機軸をまっすぐに保ってエンジンをぶんまわせば、自然にふわふわと上がっていくのに比べて、着陸は、失速間際までスピードを落とし、墜落寸前、スピードが遅すぎて舵も効きにくい状態でよたよたと降りていくので、操縦で最も難しい操作だったりします。うまくいけばふわっと降りますが、突然下降気流などで、どちん!ふぎゃー!なんて時もあります。

「脊髄反射」では反応しきれない、 急な気流の変化で落着しても壊れないよう、特にメインギア(主脚)はびょんびょんたわんで衝撃を吸収するようになってはいますが、ぼくの乗っているような空虚重量280キロの軽飛行機では、脚も極力軽くするために、申し訳程度のバネがあるのみで、パイロットがうまく着地の衝撃を殺さないと、ギアを壊してべそをかきます。

衝撃を殺す奥義が「フレア」。

滑走路に正対して、風の穏やかな日はるんるん♪、乱気流の日はふぎゃぎゃー!ともまれながらも、エンジン操作と操縦かん・ペダルの操作でなんとか「降下率3度」の降下経路を維持して降りていきます。

 

 

ぼくのホームベースでは、降下率、というより昇降計の針が500f/minから1000f/minの間に収まるように降りていきます。

昇降計

接地目標点までそのまま降りていく方法①もあるが、田舎の短い滑走路では、滑走路手前の遮蔽物を過ぎたときにスロットル全閉、一瞬機首下げしてひょいと滑走路端で高度をゼロ近くへ落とします②。

短い滑走路を長く使う秘法

 

 

でも、①であろうがに②であろうが、そのままだと、どちん!と「飛行機を地面にぶつける着地」になってしまいます。

ここで「フレア」の出番です。

基本は、滑走路に飛行機が近づくにしたがって少しづつ操縦かんを引いて機首上げをします。

そのまま操縦かんを引いていくに従い、スピードは落ちるが機首が上がり揚力が増すので、落下率も減少してゆき。滑走路の上を漂う感じになり。

浮力じゃなかった揚力がなくなった瞬間に、メインギアが、きゅん!と着地。

でもまだまだ操縦かんを引くぞー!機首上げのウイリー走行で、さらに機速が落ちてゆきます。まだ機首を上げておくくらいの揚力は残っているためです。

そして操縦かんを腹にくっつくくらい引ききったそのせつな、ふわりと機首が落ちて、とんと着地。というのが一番幸せな着陸です。

こんなふうにうまくいった日は、一日はっぴーです。

滑空とフレアについてうまく表現した図。

https://www.researchgate.net/figure/n-the-final-approach-to-landing-the-pilot-pitches-up-to-arrest-sink-rate-and-land-softly_fig1_48548276

 

 

でも、フツーは、メインギア着地の時点でまだ降下エネルギーが残ってしまっていて、ギア着地と同時に機首を下に振ろうとするので、フレアをぐっと強くして(操縦かんをちょっと早く引いて)ウイリー状態を保つようにします。

こういう着陸もまあまあ満足。パーフェクトじゃないけれど。

でも、あるあるなのが、操縦かんを引くのが間に合わず、主脚と前輪が間を置かずに、ちゅん!ちゅん!と接地する着陸。

前輪式飛行機であればこれでなにも文句はないし、見知らぬ滑走路に着陸する場合は、こういう着陸で前輪での操舵性を確保して、とにかく滑走路上での安定を確保したいケースもあり。

でも、基本は上に書いた「ウイリー着陸」です。これを普段から練習しておかないと、ポーポイジングという恐ろしい現象を引き起こすことがあります。

ポーポイジング、あるいはバウンシングは、接地時に落下エネルギーが残りすぎてしまっており、主脚、前輪がどん!どん!と地面に「ぶつかる」のみでなく、反動で大きく機首が上がっちゃうときがあぶない。ぐっと機首上げ姿勢になっていらぬ揚力が生まれた機体は、ぼよよーんと機首を上にして地面から跳ね返り、でももともとスピードはそれほどでもないので、そのまま失速、機首を下に振って、今度は前輪からどん!とおっこち、またしてもぼよよーん!と跳ね返ります。

始末が悪いのは、跳ね返るごとにこのバウンシングはますますひどくなり、ついには文字通り機首から墜落、前輪を折っちゃうという事態になってしまいます。

 

 

というわけで、運悪く、ポーポイズだ!と気づいたら(2回バウンドしたら)、ともかくエンジン全開だ!揚力を増大させて落下を止める。機体が水平でとまり、まだ滑走路があったらそのままもう一度フレア開始してもいいし、あるいはゴーアラウンド(着陸をあきらめてエンジン全開、上昇)というのもある。

つまり、飛行機が着陸したくないのに、パイロットが無理に接地させようとした時にポーポイズは起きる、ということですね。

言い換えれば、接地するまえに速度や降下などのエネルギーがすべてコンマ0.000Xになっていなければならないということである。

零戦乗りは「滑走路上3寸で失速させろ」と言っていたらしい。

このために必須の操作がフレアです。

かんぺきにフレアができていれば、ぐん、と機首が上に向いた状態でちゅん、と主脚が接地し、そのまま滑走路を滑ってく感じになる。

でも、着陸は毎回風向きや強さ、だけでなく、気温や湿度などでもコンディションは大きく変わってしまうので、パーフェクトな着陸、というのはなかなか至難なのです。

今どきの前輪式飛行機は、エネルギーが残った着地でも、機首を下に振るので、よっぽどでなければそのまま地面をつかんで止まってくれますが、尾輪式は大変で、ちょっとでもエネルギーが残っていたら、メインギア着地と同時に尻が下に振られ、ぼよよーんと機首を上に向けて跳ね上がってしまい。その後は機首から墜落、と即ポーポイズ状態になってしまうらしい。

 

 

そんなこんなで、尾輪式の操縦はとてもシビアです。僕は前輪機乗りだけれど、いつか尾輪式を乗りこなせる本物の飛行機乗りになりたいと思っています。

実際の着陸を録画しました。

ほんとうは上の写真の通り左側の座席にいますが、自撮りなので、動画では反転して右側になっちゃってます。ご了承おねがいします。

 

 
ダウン・ウインド・レグで撮影開始。1:28でフラップ1(カチッと音がしてます)。1:37で第3旋回点の旋回。ベースレグに入り。2:07で第4旋回、ファイナルに侵入。2:50でフラップ2。3:28でくらいで滑走路を長く使うための機首下げ(上記画像の②)、すぐ操縦かんをもどして3:35あたりからフレア開始。3:40から3:41の境目でメインギア接地。そのまま滑走して、3:46あたりでおなかまで操縦かんを引き切りると同時に浮力を失った機首が下がって前輪が接地、となりました。4分の動画はながいぞ!というせっかちな人は、2:50あたりからご視聴ください。ははは

 

 

別にコクピット目線から1分の動画を作っています。別の日の着陸で、上のと微妙に違っており。着陸って、一回一回がアートですよね。。。。

こちらからご視聴ください→ https://www.youtube.com/watch?v=yZcao-SFzXY
 

 

微風の好条件でした。0:03あたりでフラップ2をおろしています。0:36くらいで滑走路を長く使うための機首下げ(上記画像の②).。こちらの動画のほうが大きくできています。0:40あたりからフレア開始。0:46でメインギア接地。そのまま操縦かんを引き続けますが、浮力がなくなり0:50でノーズギア接地。

小型飛行機は失速速度30ノット、接地40ノットくらいのところを、滑走路上は容赦なく10ノットから20ノットの風が吹きまくる日も多く。風にもまれながらというなかなか容易ならざる世界では、あります。

滑走路上の風は20ノットでも、エアバスとか737の着陸速度は150ノットくらいなので、風なんてなんぼのもんじゃーい!らしい。でも、巨大なフラップを広げて、リバースをかけて無理やり停止なんて狂ったまねは、ぼくにはとてもできませんねえ。もちろんそれでぜんぜん安全ですけど。でも、やっぱりブレーキがなくても自然に止まっちゃうLSA軽飛行機のほうがいいなあ、なんて思っています。

こんな飛行機に乗っています

 

Posted by 猫機長
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自家製麺の極意:恐るべしマグネトー

まず、アメブロランキング1位に感謝。今回は「刀」というタグでした。皆様のご訪問に、改めて感謝させていただきます。

あれこんな記事あったっけ?すみません、時事ネタ(安倍首相銃撃と、超円安)が2回続いたので、その前の記事のランキングでした。

ちな先週の記事(超円安)はこんな感じ。

さて、本題です。。。。

一流のラーメン屋さんを見つける一つの指標として「自家製麺」つまり店主自らが文字通り麺を作っているか、があります。

もちろん製麺機を使って作るのですが、外部の製麺会社から買ってくる「仕入れ麺」と一線を画した、その店だけの麺を作れるという利点があり。でも一方でコストはうなぎのぼりなので、出来合いのものより上等な麺を作れなければ元も子もない、というのもあるし、仕入れ麺でも、げきうま!のラーメン屋さんもいっぱいある。

自家製麺で有名になったラーメン屋さんに「ラーメンの鬼」佐野実さんの「志那そばや」があり。かん水だの以前に、小麦粉まで厳選して、「スープとの微妙なバランスを調整できる麺」を作り出して、他の追随を許さない独自のラーメンを生み出し。一説によれば、フランス料理みたいな繊細なラーメンらしい。ぼくは結局「志那そばや」へは行けずじまいでしたけど。

「ラーメンの鬼」を大迫力で表現したのが「―ラーメン人物伝―一杯の魂1」

電子書籍じゃなくて、印刷版を持っています。えっへん

 

 

マイホーム費用まで手を付けて製麺機一式を買ったおっちゃん

 

 

試行錯誤。奥さんに愛想をつかされ始めています。ははは

 

 

しかし、ついに開眼

「自家製麺をやらなかったら絶対わからなかった。ラーメンは奥が深い」

この言葉が本稿のエッセンスです。

 

 

というわけで、記事スタート。

とある吉日。るんるんエンジン始動、暖機運転を始めたその時。

ばすん、とエンジンが止まっちゃいました。

これって燃料系じゃね?というわけで、チョークをいじったり、電気燃料ポンプを作動させたりといろいろやってみたのですが、一向に始動する気配がなく。

通りすがりの飛行機仲間もひやかし応援に加わり。「エンジンがストップした時の音は聞いていた。明らかに燃料系だ」などとまたしても始動しようとしたのですが、やはりうまくゆかず。

僕が飛行練習生のころにいろいろいじめられた教えてもらった鬼教官を呼んできて、見てもらいました

鬼教官(半ズボンのおっさん)が校長かつ事務員の飛行学校。僕のハンガーの3軒裏手にあります

鬼教官いわく「プラグに火花が飛んでおらん」

ガソリン流量以前の話なので、その日はギブアップ。エンジン職人のおっちゃんに見てもらうことになりました。

エンジン覆いを外したところ

 

 

その結果「マグネトーのフライホイールステーターコイルが焼き付いたため、点火系に配電されなくなった」ことが判明。

カタカナばかりですみません、以下説明します。

軽飛行機の点火系はバッテリーではなく、マグネトーという一種の発電機から供給される電気で作動しています。

そのマグネトーは、永久磁石の仕組まれたフライホイールと、その内側のステーターコイルによって構成されており。

フライホイールはエンジンのシャフトと一緒に回転しますが、ステーターはエンジン本体に固定されているので、磁力が発生し、これを電力に転換するのが基本的な仕組みです。

エンジンを裏側から撮影。エンジンシャフト(クランク軸)が見えています。

 

 

フライホイール

 

 

分解図はこんな感じ:https://www.cps-parts.com/catalog/rtxpages/912914magneto.php

 

 

マグネトーは、バッテリーなしでもプラグに電気を供給できる「発電機」なので、バッテリーが上がっちゃってもOkみたいに安心していました。

でも、「発電機」ということは、発電するためのコイルが焼けちゃったら、電気が通らなくなり、今回みたいな故障が起こるということに気がまわらず。

地上試運転で起きてよかったです。というか、上空で起こらないように試運転するのですけど。。。。

これで修理完了か?と思ったら、悲劇は再び。

今度は点火系(点火プラグ)の半分はうまく発火するけれど、残り半分が死んじゃってるぞ?

というわけで、CDI(点火ボックス)を確認したら、2つあるボックスの一つでアース配線が外れちゃっていました。

赤丸の中に見える青い箱がCDI点火ボックス

 

 

アース配線が外れてました

 

 

そんな、最近総点検したばっかりで、ありえねーんじゃね?しかしこのせいでCDIボックスも焼けちゃったのでした。

責任を感じたか?おっちゃんはDucati製のオリジナルを提供してくれました。

色が黒いのがイタリア製純正品。青いのはブラジル製。規格・性能は同じです。

 

 

点火系のトラブルはピストン機の泣きどころで、近年では電子インジェクションだの工夫はあるのですが、自動車と違ってものの数分でなん百メートルと上昇下降する飛行機のエンジンでは、温度、湿度、密度などが激変するため、下手にコンピュータ化されたシステムだと、変化に追随するのが過剰なストレスになり、厳正な整備をしないと故障の原因になったりするらしい。

今日でも軽飛行機のエンジンが「コンチネンタルザウルス」つまり第二次大戦前からあまり変わらないライカミング社やコンチネンタル社製のエンジンが主流だったりするのは、ローテクのほうがかえって故障しないということがあったりするのです。

これがディーゼルエンジンだと、燃料そのものの圧縮と高温化で爆発するので、点火系は不要なところから、これを航空エンジン化する試みもあったのですが、いまいちメジャー化できていないらしい。

ちなみに、ブラジルではアルコールエンジンというのもありますが、これはちょっと高い高度へ上がると、大気密度と温度の変化に敏感なアルコールがたちまち揮発してエンストになっちゃう(ガソリンに比べてアルコールは化学変化が著しい)ので、基本地上十数メートルで肥料や農薬を散布する農業機に使われています。ブラジルは世界有数のサトウキビ生産国であり、広大なサトウキビ農場で使う分には、いくらでも安くサトウキビからアルコールが生成できるので、その意味ではなかなか便利らしい。(*追記。別に高度変ってもどうってことないよ?という情報あり。でも。その情報源もやっぱり農業機パイロットだったりして。。。)

電気モーターは。。。。あまり故障の予兆も見せず、突然壊れたり、なおしたつもりなのに思わぬ再発が起きる電気機器の残念な特性と、雨の中に入ればモーターは冷水のシャワーを浴びる感じになるし。。。。なので、ぼくとしてはあまり信用できないで、います。

やっぱり軽飛行機のエンジンは、空冷の水平対向、キャブレターじゃなきゃ。。。むかしのスバルみたいなエンジンが最良ですね

元祖空冷。かぶと虫のエンジン

 

 

これまでの一連の飛行機整備で実感するのは、教習所で習う知識がいかに表面的か、ということ。パイロット練習生は、みなひととおりエンジン整備についても習うのですが、教室で教科書をめくるだけだと、本当に重要な情報は覚えられない。

パイロット用の飛行機整備教本。でも「畳の上の水練」ということに

後になって気づくのでした。

 

 

例えば

◎「飛行機はマグネトー発電だから、点火系はメンテフリー」みたいな早とちりとか

◎エンジンの振動とエンジンベッドパッキングの関係

◎ガソリンタンクの整備

◎フラップの修理

など、レンタルではない自分の飛行機をいじらないとわからないということを痛感。

結論は。。。

ううむなんかくだらないオチだな。。。

 

 

というわけで、ちゃんちゃん。ご拝読ありがとうございました。

Posted by 猫機長
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新説:零戦の機首はなぜ黒塗りなのか?

世界を代表する戦闘機いろいろ

P51ムスタング Pixabay無料画像

 

 

スピットファイア Pixabay無料画像

 

 

P40ホーク Pixabay無料画像

 

 
P47 Pixabay無料画像

 

 

F4F  Public Domain

 

 

メッサーシュミットBf109

https://stormbirds.files.wordpress.com/2020/11/bf109g-6late-b25-gunpods.jpg?w=1000

 

 

Mc200 Saetta  Public Domain (カウル先端は、むき出しの銅パイプを仕組んで滑油冷却器としているため、無塗装)

 

 

こんな感じで、無塗装の銀色もありますが、大体は機首含め機体全体が迷彩塗装になっています。派手な白帯とかがあるのは、味方識別のためのマークです。

ところが、なぜかゼロ戦だけは、機首がぐるりと黒く塗られており。

https://girlschannel.net/topics/2131246/https://girlschannel.net/topics/2131246/https://girlschannel.net/topics/2131246/

ガールズチャンネル?まあいいや

 

 

この、黒い機首のなぞが、長年にわたり飛行機マニアの間で大論争を巻き起こしてきました。

大体、以下の主張に分かれています

①黒い色は熱を吸収するので、エンジン過熱を防ぐことができる。

②黒い色は光を吸収するので、光の乱反射によるパイロットの視界不良を防ぐことができる

③敵味方識別のために、黒く塗った

④汚れ対策。日本のエンジンはオイル漏れがひどく。カウルを黒く塗っちゃえば目だたないから、という事らしい。

その他、そのほうがかっこいいからとかいう意見も複数あったりしますが、操縦や整備など、もっと切迫したニーズに対応するものではないので、ここではカウントしません。

さて、それぞれの意見を考察すると、それぞれに一長一短があり。

①の場合、零戦がカウリング全体を黒くした理由にはなるのですが、じゃあP51だのP47だのが、ぜんぜん黒くしていないのはなぜ?となります。

②の場合、これも、エンジン全体を黒くする必要なんてないじゃん、コクピット前方の機体上面だけで十分ですよね?というわけで、実際隼とか雷電とかは、機体上面だけが黒色塗装です。

隼の例。ほかにも飛燕だの紫電だの、だいたいみんなこんな感じです。https://www.finemolds.co.jp/FB/FB17-sokumen.jpg

 

 

③味方識別ですが、日本の場合、大体主翼の前縁をオレンジ色に塗ることで対処しており。黒い機首、というのはいまいち説得力がなく。

④これも、零戦だけじゃなくて、他の飛行機でも機首全体を黒くしないと、汚れが目立っちゃうじゃん?隼とかはそんなにオイル漏れがなかったの?ということで、やっぱり説得力が。。。。

というわけで、尽きざる議論の泉となっています。

そこで、この投稿で、パイロット目線から、真の理由はこれだ!という新説をぶち上げるのでした。

「真相はこうだ」

実は簡単で

「光の乱反射によるパイロットの視界不良を防ぐ」すなわち上記の②そのまんまです。

どへー新説でもなんでもないじゃん、でもなんで?

これは、零戦の生い立ちというか、活躍した時代によるものが理由の大きなウエイトを占めているとの理解です。

零戦のビフォーアフターじゃなかった、一世代前の戦闘機、そして一世代後の戦闘機と見比べてみましょう

まずは零戦の先代となる96式艦上戦闘機です。

http://www.nags-gallery.com/gallery/A5M4.htm

 

 

機首の形に注目。カウリングが、シリンダを覆うあたりで最も膨らんでおり、そこから胴体に向かってぎゅっと絞り込まれています。

こういうカウリングを、タウネンドリングというのです。

タウネンドリングの発端は、シリンダむき出しにするよりも、整流覆いを付けたほうが空気抵抗も減り、冷却にも有利だね!と気づいたところから始まり。

当初のタウネンドリングは、たんに一枚の板を輪っかにして、エンジンをぐるっと巻いただけの、なんとなくダクトファンみたいなものでしたが、次第に膨らみ・丸みをおびたものとなり。

初期のタウネンドリング(ダウンエンドリング)

Westland Wallace

https://i.pinimg.com/originals/32/a2/b0/32a2b07da03e2fbd0ffc4a4e67ac4361.jpg

 

https://www.webmodelers.com/202007katoucolumn.html

こげ茶色のタウネンドリングもあったらしい。

 

 

Westland機が一枚板をのり巻きみたいにぐるっとエンジンに一周させただけなのに対し、91戦はタウネンドリング自体を前方からの気流に対して流線形に整形しています。

この整形の過程で、96式艦上戦闘機のように、胴体側はぎゅっと絞ったタウネンドリング、というよりエンジンカウルのはしり、という形状がうまれ。

ところが、この形状では、操縦席に向けての光の乱反射も相当なものになり。

赤色の矢印のように、機首上面だけでなく、水平近くまでの下からであっても乱反射してしまう、というか、むしろ操縦席に乱反射しようとする一種の鏡みたいになってしまい。(画像はこちらを加工させていただきました。http://kurage55.blog60.fc2.com/blog-entry-536.html?sp )

 

 

結局「リングを全部黒く塗るしかなくなった」のだと理解します。

ちなみに、P26とかソードフィッシュとか、タウネンドリングが操縦席より遠く離れている、あるいは操縦席がぐんと上にせりあがって設置されているような場合は、防眩塗装なし或いは上面だけでもOkだったらしい。

ソードフィッシュ

https://img.amiami.jp/images/product/main/163/TOY-SCL2-44324.jpg

 

 

P26 ピーシューター

http://www.fiddlersgreen.net/aircraft/Boeing-P26/IMAGES/Boeing-P-26-Peashooter-Title.jpg

 

 

日本の飛行機は、非力なエンジンをカバーするために極力機体の太さを絞り(操縦席を高くする余裕がない)、また格闘性能のために視界を重視してコクピットをなるべく前に出そうとする傾向があり、防眩塗装が重要になったと思います。

さて零戦になると、タウネンドリングから明らかにカウリングになり、カウリングの絞り込みもなくなった、つまり最も太いところから水平で胴体につながるようになったので、乱反射も減ったけれど、これまでの慣習もあり全部黒く塗りました、というのが真相と理解します。

 

 

ガールズチャンネルの画像から抜粋。上が初期型で、カウルは水平絞り込みなしに抑えられており。下は改良型で、むしろ先細りの紡錘型になっています。

同時期に開発された隼は、先代の97戦ですでに胴と一体化したカウルだったこともあり、カウル全体を黒くしなくてもよくね?と気づいて、上面だけにしました、という事だと思います。

そして、次世代機の雷電はこんな感じ。

https://www.sankei.com/resizer/CIO0sGSF7SHHGD96NrG0c3bRiiI=/730×0/smart/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/RCSGBHO7PFNIJDYCP4427GIJBU.jpg

 

 

雷電は、機体全体が紡錘形で、操縦席から機首に向けてぐっと細くなっていくので、防眩塗装も上面だけでよくなった。

というわけで、カウリング形状変動の過渡期にあった零戦は、旧世代の名残でカウリング全体を黒くしました、という事だとおもいます。

ちなみに、零戦と同世代の99艦爆や97艦攻も、カウリング全体が黒くなっています。パイロット目線から見れば、これらの機体みたいに、カウリングだけでなく操縦席までの機体が大きく黒塗りになっているのが一番親切かなーと思います。

97艦攻の例

http://c2ssdt.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2017/05/11/862_1.jpg

 

 

ただ、黒色塗装は確かに熱を吸収するので、甲板だの飛行場だのに機体を係留・駐機していると、太陽熱で「目玉焼きができちゃう」くらい熱くなってしまったのではないかな?機体が痛むような気がします。

あと、上記で「こげ茶のカウリング」が出てきましたが、どうも零戦、90艦戦、96艦戦や96陸攻あたりは、鮮やかな紺のカウリングがあった気がします(学研の図鑑「飛行機・ロケット」で見た記憶あり)。ところが、ぐぐっても黒いのや、鼠色?みたいなのばっかりなのですよねーでも確かに存在していたと思います、いつかまた見てみたいな。

Youtube では発見。https://www.youtube.com/watch?v=nIRYc-p1J2A

 

 

なお、もっとおたくちっくな議論はこちら(外部リンク)。→ https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=22269&id=39709305

「塗粧」とか「通達」とか、中島製はこうだけど三菱製はああだとか、マニアックすぎて頭がこんがらかりました。

最後に、ぼくが乗っている白い軽飛行機は、機首上面も白ですが、特にまぶしいとかはないですよーという事で追記。

とある大農場の滑走路に着陸

着陸動画はこちら→https://www.youtube.com/watch?v=_v6jWNWwFHI

 

 

こんな飛行機に乗っています

というわけで、今回は思い切り飛行機おたくの投稿でした。ではでは

Posted by 猫機長
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飛行時間800時間到達

まずは、Ameblo公式ランクインに感謝。今回の1位は「三十三間堂」という珍しいタグで、記事は、先週掲載の「不条理演劇とロマン主義的イロニー」でした。見に行ってね!

 

 

さて、本題です。。。

今年初めはいろいろあって全然飛べず。4月になって、気候も穏やかになり、久しぶりにその辺を飛びました。

穏やかな青空が広がる、乾季初めの空

 

 

小さな飛行機で飛んでいます

着陸後、なにげにログブックを記載していたら、知らないうちに飛行時間800時間に達していました。へえー

 

 

800時間というのは、多いのか少ないのか?

コミューター会社のパイロット募集だと「総飛行時間500時間以上(2000時間以上優遇:http://www.sacc.co.jp/saiyou2.html)」などとあり。でも、よく見たらヘリパイロットの募集でした。ははは

はっきりした基準はないらしいが、プロのパイロットは1000時間を越えればベテラン、アマチュアはその半分、という事で、500時間がフツーの飛行機乗りとしての一つの指標かもしれん。

幸い、これまで一度も落っこちることなく飛んでこれたので、ますます安全運転を意識して、のしのしのこのこ、その辺を飛んでいきたいと思っています。

高原の空をのし歩きだ!

 

 

これまでどんなところを飛んできたかというと

赤丸がぼくのホームベース、青丸がブラジリア国際空港、黄色い丸がゴイアニア国際空港。赤い線が一番長距離の飛行で、カルダス・ノーバス国際空港に行きました。直線で片道260キロ、片道2時間くらいかかりました。

カルダス・ノーバス空港での写真をちょっとだけ掲載。詳しくはこちらの記事をご参照→レディオ空港で管制飛行の練習

 

 

ちなみに、近年、航空当局が法律の整備というか整備しようとして実は混乱に陥っており、身に覚えのない違反だの罰金とかが来るのはいやなので、ここ数年は管制空港へは行っていません。かなしいな

というわけで、管制のない地方空港とか農場の滑走路におじゃますることが多く。農場によっては、目を見張るような立派な滑走路もあり。

例えばこちら→家電王の農場に着陸

 

 

上記の航空マップでは、緑色の線です。だいたい片道40分くらい。

さて、ここまで読んだ皆さん。「800時間になるまでに、落っこちそうになったりとか、いろいろあっただろう。書け書けー!いひひひひひ!」

と、意地悪く思っているお兄ちゃんも多いことでしょう。

実は。。。。という事で、いろいろあったのを列挙してみます。

ちゃんと修理していたことは忘れないようにしよう

マグネト―。こいつのせいでデートが。。。。

減速ギアがすりへった、プロペラがとまっちゃうぞ!

布張りあるある

ピトー管

などなど。詳しくはリンク先を見てくださいねー

さて、字数がまだあるので、最近の「飛行場の風物詩」をちらりとお見せします

◎セリエマ(Seriema)

とある吉日、車で自宅を出発、飛行場敷地内にはいったら、柵越しにトリさんが。

保護色になっていて、分かりにくいな。。。。

なかなかほっそりしてかっこいい鳥です。鳴き声はこんな感じ→https://www.youtube.com/watch?v=ha6Wdd8cjm4

 

 

飛んでいるのを見たことがないけど、飛ぶのも得意らしい。蛇をやっつけてくれる益鳥でもある。

◎カピバラ注意

自宅(ブラジリア市内)から飛行場(北西30キロ)までの道すがらに、最近変な道路標識が。

野生動物注意、でした。でも、カピバラって野生ちっくでないなあ。。。

 

 

◎六射六中

早朝にひとっ飛びした後や、雨の日などは、ハンガーで弓道ごっこをしています。

珍しく6射6中したので、さっそく写真を撮って自慢するのでした

このあと、裏手のハンガーに遊びに行き、帰ってきたら、飛行場管理人の飼い犬が寝ていました。

こいつはいいやつです。
 

もう一匹、見張ってないと飛行機のタイヤにお◎っこをする奴がいるので、そいつはハンガーに入れてやらないのでした。

今回は「おち」はなし。

空が好き。パイロットになってよかったと思っています

 

 

ではでは。。。

Posted by 猫機長