よくめんかじゅうのお話

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翼面荷重。主翼の1㎡あたりでどのくらいの重さを支えているか。飛行機の性能を決する重要なファクターの一つです。

この数値が大きければ大きいほど、重くて翼が小さい飛行機。いったん離陸しちゃえばスピードが出せたりとか高性能だけど、よっぽど整備された長いながーい滑走路(3000mくらい)がないと離着陸できずにこけちゃいます、という要注意な飛行機のことです。

ジェット旅客機とかがこの類に入ります。


要注意な旅客機

 

 

軽飛行機になると翼面荷重も低く、河原桟敷とか原っぱでもなんとか離着陸できちゃう。でも、肝心の飛行性能がからきし、となってしまいます。

低い翼面荷重は、小さな飛行機には決死的な重要性を持っていて、たとえばぼくの乗っている「こよーて(Rans Super Coyote)」の場合、低翼面荷重により、離着陸滑走距離を150m~200mに抑えることができ。

上空でエンストだ!となっても、なんとかサッカー場に不時着できるか?になっています。


サッカー場の大きさ。出典はhttps://www.jleague.jp/

 

 

いろいろな飛行機のいろいろな翼面荷重を探索してみます。

以下、Wikipediaの表(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BF%BC%E9%9D%A2%E8%8D%B7%E9%87%8D#%E9%96%A2%E9%80%A3%E9%A0%85%E7%9B%AE)をもとに、こよーてとその競合機種に絞って加えたり削除したりしました。

機種 年度 分類 翼面荷重kg/m2
(あるいは換算値)
すずめ 12万年前から現役 鳥類 2.7
Flying Ace競技機 2014 紙飛行機 0.92
こよーて(Rans Super Coyote) 1997 マイクロ・ライト機 32.5
ASK 21 1990 グライダー 33
ニューポール 17 1916 戦闘機 38
イカルス C42 1997 マイクロ・ライト機 38
セスナ 152 1978 軽飛行機 51
零戦 1940 戦闘機 107
グラマンF6F 1943 戦闘機 186
エアバスA380 2007 旅客機 663

 

◎すずめ

鳥といってもぴんきりで、カモメみたいなやたら細長い翼もあれば、スズメみたいに短くて丸っこい翼もある。

PIXABAY無料画像

 

 

スズメの翼面積は0.009㎡。体重は0.024㎏で、翼面荷重は2.7
kg/m2になりました。

鳥たちの翼面荷重は、1~20くらいまで幅広いそうですから、とても低い部類に入ります。

スズメの翼は短く羽ばたきやすく。瞬時の方向転換など、機敏な機動が可能とのこと。鳥の中の零戦かもしれん。

◎紙飛行機

こちらは競技機(折り紙飛行機じゃないよ)のデータ、3500㎎/3800㎟で、0.92㎎/㎟→0.92kg/m2になりました。(1mが1,000mmですから1m^2は1,000,000mm^2になります。同様に1kgが1000gであり1,000,000mgになります。)

トンボの翼面荷重0.26㎎/㎟=0.26kg/m2なので、鳥と昆虫の間くらいになりますねーやっぱり、飛行時の気候状況により大きく飛行が制限されちゃいそうな気がしますが、いかがなものでしょうか?この辺が、低翼面荷重の落とし穴なんですよねー


敬愛するブロ友「さとちゃん」さんの「二式芭蕉 Mitinoku」。

とてもおしゃれで、チャーミングですね

出典:https://ameblo.jp/taimama-55/entry-12792970403.html

 

 

◎ニューポール17

第1次大戦時のフランス複葉戦闘機。


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クラッシックカーみたいな趣のあるデザインですね。フランスパンにワイン、芸術の国フランスらしいおしゃれな飛行機。


わくわく

 

 

でも、主翼の桁構造がぜい弱で「飛行中に分解する不都合な傾向を持っていた(Wikipedia)」そうです。ははは

180馬力と、ぼくの乗っているこよーてより100馬力も高い強力なエンジンを持ち。これでこよーてとほとんど変わらない翼面荷重、しかも複葉とくれば、さぞや敏捷にアクロバットをこなしたことと推測されます。

◎こよーてとイカルス

共に「LSA」すなわちライトウエイトスポーツ機のなかまです。

こよーてはLSAの中でも軽量で、上昇、下降がきびきび、ぐわーんと上昇できて楽しいです。


こよーて君。かわいいな

 

 

こよーてはアンティーク、前世紀の化石になりつつありますが、イカルスの方は、いまどきのLSAで、翼面荷重もそれなりに増大している。


https://www.comco-ikarus.de/c42-c-en/?lang=en

 

 

でも、ブラジルではあまり見かけず。ポルトガルあたりでは、飛行学校で親しまれているベストセラーらしい。ということは、翼面荷重を上げることで、機体の安定性を増して、操縦性を素直にしたのかな?イカルスで飛んだことのある人は、ぜひ教えてくださいね。

ブラジルの「ザ・練習機」と言えばParadise P1ですが、翼面荷重は機重600 kg、翼面積12.6 m2すなわち47kg/m2で、さらに増大しています。ぼくはParadiseで練習し、免許を取ったのですが、やんちゃなこよーてと、どっしり安定のParadiseの違いが、翼面荷重の差にあったのかも?


Paradise

https://www.airliners.net/photo/Untitled/Paradise-P1/2699381

 

 

◎ASK21

アスクなんていうからわからなかったけれど、「Alexander Schleicher」すなわち、泣く子も黙るシュライヒャー滑空機のことでした。


https://www.alexander-schleicher.de/en/flugzeuge/ask-21-b/

 

 

グライダーのくせにこよーてより翼面荷重の高いシュライヒャーですが、エンジンもないくせに、最高時速280キロと、こよーての192キロより速かったのでした。

滑空だけを考えたら、翼面荷重が低い方がよさそうですが、世界屈指のグライダーともなると、滑空速度を上げたいとか、その他諸元が合わさってこの数値になるんでしょうねえ。


ドイツの食卓。ハイル!ハイル!

https://hitoria-juvey-ucchiyi.hatenablog.com/entry/2020/07/19/000148

 

エンジンのない飛行機というような狂った乗り物にのるやつらの気がしれん。

なんて言いながら、いつかはグライダーの免許も取りたいと思っています。

 

◎セスナ

セスナの翼面荷重51 kg/m2、こよーては32.5kg/m2。機重はそれぞれ757 kg 470Kgと、いずれもセスナがこよーての1.6倍となっています。

セスナ
http://1.bp.blogspot.com/_uRX1wGVlxMw/SxWocQAMnWI/AAAAAAAABAc/vWN6ysv9Qhw/s1600/PT-BKU.jpg

 

 

何を意味するのかというと、セスナの着陸アプロ―チが60ノット(時速111 km/h)なのに比べて、こよーては43ノット(時速80km/h)と、20ノット近い差が生じています。

これが、この記事の最後の項目「翼面荷重が飛行の安全に及ぼす影響」に、如実に影響しているらしい。

というのも、セスナからLSA(こよーてのなかま)に乗り換えてきた人たちが言うには、「セスナはとても着陸がしやすいが、LSAは毎回ひやひやもので、命が縮む」だそうです。

あれ着陸速度が高い方が着陸しやすいの?その秘密については、この記事をぜひ最後までお読みください。

着陸のしやすいセスナ、うらやましいなー

 

◎グラマンと零戦

この2機は、いろいろな文献やサイトで比較されつくされているので、あくまで翼面荷重でさらっと触れるくらいにします。


https://www.papeldeparede.etc.br/fotos/papel-de-parede_aviao-antigos/

 

 

零戦の翼面荷重が107 kg/m2、F6Fが186 kg/m2。

これはやっぱりグラマンの数値が大きいという事なのでしょうねーちなみにスピットファイアは158,Bf109でも173と、一撃離脱の陸上機メッサ―より高かったりして。(翼面荷重 – Wikipedia

それでいてなにげに空母から発着していたと言いますから、これは、飛行機単体というより、カタパルト装備かつ堅牢な甲板を持つ正規空母を多数配備できたアメリカの総合的な開発力の勝利ですね。。。。

グラマンは、機体重量も零戦の倍となっており。それでも零戦と互角の巴戦を行えたのは、やっぱり零戦の倍の馬力のエンジンがあったから。

デブデブのブタ野郎グラマンが、栄養失調の零戦を力任せにタコ殴りしたという事なのでしょうか。

結局は食い物のちがいですねえ。。。。


Pixabay

 

 

◎エアバスA380

翼面荷重663kg/m2です。こよーての32.5kg/m2に比べて、20倍です。

こんなに重い飛行機が飛ぶことを許されていいのでしょうか。飛んでるけど



エアバス。

ボルドーとブルゴーニュ、リースリング、シェリーにビーフィーターまで混ざった、

恐ろしい「魔法のポーション」です。

 

 

冗談ではなく、こうした巨人機を安全に滑走路に降ろすために、降着装置と高揚力装置に惜しみなく投資がなされています。

特に恐るべきはフラップ。こちらに詳しく書いたので、お読みください→フラップの話

鈍重な巨人機とちがって、低翼面荷重の軽飛行機は、これまでの記載のとおり、挙動がやんちゃになります。

これは、ちょっとした気流の変化を敏感につかんで敏捷に動けるという意味です。

でも、それは気流が穏やかな時に、飛行機自らの舵面で気流をつかむという時の話で、ちょっとした乱気流で、たちまち機体がすさまじく揺さぶられてしまい。高度があるときは、すかさずスロットルを絞って速度を落とせば安全ですが、着陸時、滑走路上で舵が効かない低速になったときが危ない。着陸速度時速256km/hのエアバスA380にとって、時速37km/h(20ノット)の突風はまだ誤差の範囲内ですが、着陸速度時速80キロのこよーてにとっては、その半分に近いスピードの突風にあおられるわけで、向かい風なら浮かび上がってしまうし、追い風なら、地面にたたきつけらてしまうという事です(ちなみに、旅客機の横風制限は38ノット、時速80km/hくらいらしい)。

小さな飛行機はつらいよ。。。。

 

ではでは

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