空飛ぶクルマ:パイロット目線から見た課題と可能性

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コロナ禍でステイホームの世の中でも、なぜか道路の渋滞は続き。ドライバーたちから「車ごと空に飛びあがって渋滞なんて飛び越せて行けたらなあ」なんて声が聞こえてきます。

一方、自動運転、電気自動車、シェアカーなどの到来近し!と、脅威におののく大手自動車産業界も、これまでからのパラダイムシフトが必要になっており。

その結果、かどうか「空飛ぶクルマ」が2020年代にも実現するぞ!という勢いになっています。

こんな感じになるらしい。


https://tabi-labo.com/281449/aeromobil-flying-car

 

ううむ?このトビウオみたいなやつは、地上では主翼をハエみたいにたたみ、飛ぶときは尻尾のプロペラで推進するらしい。

でも、はっきり言って、かなり不合理、非効率、悪いけどどんなにうまく作っても出来損ない必至だと思います。

がんらい自動車と飛行機は全く別の乗り物であって、空を飛ぶなら写真のクルマのような大きな前車輪そしてステアリング機構、サスペンションとかはただの余計な重量物です。写真のように尾翼がほとんど地面に接しており、比較的小さな後輪では、地面の石ころやらなんやらが尾翼に当たって、へたしたら、ぱっと見は気が付かないけれど空中の安定を損なうようなひん曲がりを生んじゃうかもしれない。

要するに飛行機としても自動車としても中途半端になってしまうのである。

ううむ自動車ファンで、「僕のクルマに翼を付けて飛ぶぞー」とか夢見ている人たち、ごめんなさい。。。。

でも、効率度外視で「フォルクスワーゲンで空を飛んでやる」と、かぶと虫に翼とプロペラを付けて本当に飛んだ人がいたそうです。そうゆう「鳥人間コンテスト」的なやつは「いいね!」と思います。


ぼくもVWかぶと虫に乗っています

 

脱線しました。

「空飛ぶクルマ」は、米国連邦航空局(FAA)が試験飛行を許可しており、航法・管制関連の法整備も進んでいるらしい。

つまり、世界の主要国家が未来の移動手段として認めているということである。

ぼくなりに、どんな「クルマ」なら実現可能か考えてみました。


こんな感じ

 

基本は「有人ドローン」です。手動操縦想定です。

上の図では、車庫から出て離陸するまでの、地上での取り回しのため、ダクテッドファンは垂直にしてます。

地上では通行人がいるので、プロペラみたいな殺人装置は不可。ジェットエンジンもゴミやネコを吸い込んじゃうのでだめ。残る選択がダクトでした。「扇風機みたいに覆ったプロペラ」でもいいかもしれん。

車輪は、車庫から離陸地点(道路のどこか)まで、のこのこ移動するためのものなので、思い切って大きめのを1輪。大きめなのは、空港と違い一般道路はめちゃくちゃ凹凸があるため。

1輪だけだとこけちゃうので、補助輪を左右に付けてます。ハリアー戦闘機みたいな感じ。


ハリアー戦闘機

出展:https://www.jiji.com/jc/d4?p=vtl207-DNSC8705770&d=d4_mili

 

この一輪の取り付けで、地上高を稼ぎ、石ころとかでファンを傷つける可能性を低くしています。

そして、この一輪が、空中でも超重要な働きをするのです。それは後で書きます。

で、車庫から出た「ドローンくん」は、ダクトファンを上向きにして空に浮かび上がり。


こんな感じ

 

さて、ここで「空飛ぶクルマ」が実現できるかどうかの最大の課題というか危機に直面してしまいます。

それは「空中衝突」

70年代のサンパウロ市の情況はこんな感じ


 

同じことが、2030年代の東京の上空で起きたら?

空には道路がありません。中央分離帯も、信号機も何にもなーい空域で、多数の「空飛ぶクルマ」がおしくらまんじゅうだ!となったらどうなるか。

地上では、進行方向は前後左右だけです。左右と進行方向は道路で明確に制限されるので、基本は前を見ていれば衝突を防げる。

空の場合は、制限するものがなにもないうえに上下の運動が加わるので、一台の「ドローンくん」が移動するベクター(方向)は、文字通り「無限」です。

さらに、空の乗り物はスピードが速いと相場が決まっている。二台の「ドローンくん」が、それぞれ真正面から同高度を反航で飛んでいたとして、それぞれ時速150キロだったら、相対速度は時速300キロ、つまり秒速83メートルです。

晴れた空でも、830メートルの距離でゴマ粒みたいな相手を発見し、適切な回避操作を10秒内にできるかと言われると、なかなかできないと思います。

空を飛んでいて「あ航空機だ」とわかるゴマ粒を同高度で発見したときは恐怖の一瞬で、そのゴマ粒が直進しているのかカーブしているのか、上昇しているのか下降か、はたまたこちらに向かってきているのか遠ざかっているかを判断するのは難しく、はっきり言って何秒もかかります。いいかげんな判断で回避操作しようとすると、相手の方も混乱して、かえってニアミスや衝突の可能性を高くしてしまいます。

というわけで、空を飛ぶときはフライトプランの事前提出と離陸後の管制との交信が必須になっているのです。

上記のケースでも、ちゃんとフライトプランを提示していれば、管制が両機をレーダでとらえていて、ぼくの方には「(前方)12時より反航の小型機あり、100フィート上昇せよ」と、目視できるちょっと前には教えてくれるので「了解」と素直に上がっていけば、その間に、管制は向うの機体に「猫機長機が12時よりあと2分で交差する。100フィート下降せよ」と教え、相手の機が「はいはーい」と答えているのが航空無線でちゃんと聞こえ。あとは1,2分で200フィート下にその小型機がぼくの下をくぐっていくのを安全に目視できる。200フィートなんてたかだか60メートルですから、相手が低翼機だった場合は(ぼくは高翼機)、すれちがいざまに笑顔で手を振っているパイロットが見えたりします。


高翼機(左)は下がよく見え、低翼機(右)は上がよく見えます。

 

鼠算式に増えていく「ドローンくん」をどうやってさばくのか?「ドローンくん」だっていちいちフライトプランなんて提出できないし、だいいち管制がパンクしちゃいます。

というわけで、「ドローンくん」のための「線路」が、少なくとも大都会では必須になると思います。都会を出れば線路も終了。そこからは自由に飛び立て!なあんて


こんな感じ。画家への道は遠い

 

上のイメージ図では、線路というよりモノレールみたいな誘導路になっています。地上の移動に使った一輪を、誘導路に差し込んで、レール上を滑走していくイメージです。

誘導路の利点は、衝突防止の注意を上下左右の3次元から前後の2方向のみに減少させるだけではなくて、日々刻々と変わる気候による、乱気流だのなんだのを食らっても、誘導輪が誘導路にがっちりホールドしてくれるところ。

せいぜい自動車程度の大きさ(そして重さは自動車の半分以下)しかない「ドローンくん」では、ちょっとした突風でも、わあああー!と木の葉落としみたいになり。誘導路で紐付けていれば、紐のきれた風船みたいに制御不能にならずにすみます。

というわけで、実は航空技術より土木技術がネックかもしれません。鉄道の高架とかよりははるかに高く、願わくはビルの谷間の乱気流を受けないために、高層ビルの頂上よりちょっと上くらい、高層ビルの屋根から支柱が伸びるくらいでいいかもしれんが、要するにそうゆう高さで、乱気流にあっても地震の時のビルみたいにゆーらゆーらと柔軟にぶれるくらいのしなやかでかつ堅固な構造物が必要となるためです。

ここまで読んで、あれ?誘導路なんてフィジカルに作らなくても、レーダー制御とかできるんじゃね?「ドローンくん」各個体にもレーダーを付けて、自動的に衝突回避できないの?と疑問に思った人もいると思います。

正直、その通りと思います。技術的には。

でも、ぼくが「ドローンくん」に乗るとしたら、ぼく自身の手足と目で操縦系統を操り、有視界飛行するやつじゃないと乗らないと思います。コンピュータとか電子制御で作動する、すべて機械任せでは、素敵女子を隣に載せてランデブーなんてとても怖くてできません。

といって「オリラジのあっちゃん」中田敦彦さんによれば、そう遠くない未来に「昔の自動車は自動運転がなくて、みんな自分で運転してたんだって!そんな危険なことが良くできたねー」が常識になる日が来るらしいですけど。

最後に、1900年頃のフランスで、2030年にはこうなるぞ!という「未来図」が描かれていたので、掲載します。いい線いってるじゃん。。。。


ではでは。。。

 

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