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与圧の話

いつぞや、サッカーのW杯予選で「ブラジル対ボリビア」をやっていました。

6対0とか、ブラジルの圧勝と思っていたら、当初は機敏に動いていたブラジルの選手たちが、しだいにふらふらよたよたとくたばっていくのです。

ボリビアの方は終始元気いっぱい。

結局、2対0とか、ブラジルは勝ったけれど、なんか物足りない結果に。

ブラジルの選手は試合後「お前はもう死んでいる」状態になっていました。

高度3000メートル近いラパス市での試合で、富士山の8合目を走り回るのと同じになり。ブラジル選手は酸欠を起こしていたのです。

ボリビア人は、現地人の強みで、血中濃度が高まっていたらしい。

Elenco da Seleção Brasileira 1982


 

 

飛行機でも同じことが起こります。

ぼくが乗っている軽飛行機だと、高い時で7500フィート、すなわち2500メートルくらい。

この程度だと、寒いけれど、呼吸とかはぜんぜんふつーです。

3000メートルを超えると、サッカーみたいな運動をしなくても判断力が鈍り。これ以上の高度は酸素マスクとかが推奨されるらしい。ぼくはそれほど上がったことがないから知らないけど。

でも、パイロット以前に飛行機が悲鳴を上げ始めます。

高度を上げると、飛行機の過給機に十分な酸素がいきわたらず、エンジンの出力が落ちてしまうのです。

こうした状況を逆手にとって、偵察機とかは戦闘機の上がってこれない高度を飛ぶことができるようにしたのが多い。

その好例が「SR-71」。

Pixabay無料画像
 

 

実用高度25,929mと、飛ぶ高度が高すぎて、パイロットも生身だとたちまち窒息したうえ凍死してしまうので、宇宙服みたいな飛行服で保温し、酸素をいきわたらせるなどしています。

https://airandspace.si.edu/multimedia-gallery/08awinterjan2022interview-pressuresuitlivejpg
 

 

 

日本の「百式司令部偵察機」では、別に与圧服があるわけでないのに、酸素マスクと闘魂でアメリカのB29と同じ1万メートル近くまで上がってがんばった。

B29のほうは、やっぱり宇宙服か?

いやいや、半そで半ズボンとかで飛んでいたという記録があります。

なぜだ?B29搭乗員は、メチールでもきめて、狂乱していたのか?

いやいや、ある工夫で、B29の機内は、地上とあまり変わらないように調節されていたのです。

その調整の秘法が「与圧」。

エンジンで空気を圧縮し、なんとか人間の生き延びられる気圧、温度、湿度にしたうえで、畿内に導入しているのです。

地上と同じ1気圧にしようとすると、エンジンの推力が与圧の維持に取られすぎるなどして非効率なので、だいたい0.7気圧から、最近は0.8気圧まで上げることができるようになったらしい。

1万メートルの上空では、温度は―50度、気圧は地上の4分の1なので、いかに強力に与圧されているかということですねーそれでも何とか高度2500メートルくらいの気圧に持って行っているということなので、地上にいるのに比べて相当乾燥し、かつ酸素濃度も70%くらいまで下がってしまい。乗客も、何もしなくてもふらふらし始め、気が付いたら寝ちまってた、というのも多いと思います。

畿内全体を与圧できるようになったのは、戦前にもボーイング307とかあるにはあったが、実態上は戦後になってから。

B29の場合は、操縦区画や、銃手のいる区画に限定して与圧していた。

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https://www.quora.com/Was-the-B-29-pressurized
 

 

https://www.sun-inet.or.jp/~ja2tko/jap/jap.b29/b29no2.html
 

 

ちなみに、日本の百式司令部偵察機のスケルトンはこんなかんじ


もちろん与圧はなし。
 

 

その与圧の経験が戦後の花形マンモス輸送機であるコンステレーションやB377,DC4などに生かされました。

与圧が大量高空輸送にとっていかに重要であり、しかし困難かつセンシブルな先端技術であったか。与圧の失敗がいかに重大な被害をもたらすかというのに、コメット旅客機の連続事故があります。

コメット旅客機(パブリックドメイン)
 

 

 

戦後、「最後のレシプロ旅客機」と言われたボーイング377が、B29譲りの機体とB307 からの集大成である与圧設備で世界の空を制覇していたころ、与圧の技術を会得しつつあった英国が、満を持してコメット旅客機を開発しました。

先進的な後退翼の4発ジェット旅客機で、さしものB377も時代遅れになったか?

がしかし、コメット旅客機に連続して重大な空中分解事故が発生。

乗員も乗客もみんな4んじまうので、原因究明にも苦労し。

それでも、そのうち、与圧が事故の原因であることが明らかになり。

与圧した飛行機というのは、機内の圧力が外気に比べて異常に高くなっており。要すれば風船がぱちん!と破けちゃうみたいな、一歩手前にあるのを、機体の骨組みだ外皮だとかで無理やり抑えこむことになってしまい。

風船に針、と同じとは言わないが似たような感じで、穴が開きでもしたら、そこから亀裂が走り、機体が破裂してしまうことが分かった。

そして、穴が開く重大な原因の一つが「四角い窓」

 

 

つまり、窓の鋭角(角)の部分に圧力が集中して、ひびが入ってしまうのである。

アメリカ側は、四角い窓の危険を知っていたのか?B377では、まるい窓のバージョンが多かった。でもユナイテッド航空などの使用していた機体は四角い窓だし、四角と丸の混合した機体もあり。ボーイングもまだ試行錯誤だったらしく、別にアメリカが英国に与圧の情報を出し惜しみしたから発生した事故ということでもなさそうである。

https://flyawaysimulation.com/images/add-ons/18640/b377-lia-1zip-1-image.jpg
 

 

上部キャビンが角窓。下部キャビンが丸窓の例。
https://www.airliners.net/photo/Ghana-Airways-Nigerian-Airways/Boeing-377-10-34-Stratocruiser/92259/L
 

 

四角窓でも与圧に問題を起こさなかったB377おそるべし。これなら、機銃掃射を食らってハチの巣になっても、空中分解とかはせずに、ユウユウと飛び続けるのではないかと思ったりします。

これは、英国の飛行機がひ弱なのではなくて、アメリカの飛行機がどこかおかしいのです。

与圧はアメリカの得意技ではあるけれど、別に専売特許でもなく。

バトル・オブ・ブリテンの段階で、ドイツは超高空を飛ぶJU86という大型偵察機を開発しており。

高度1万2千メートルという、泣く子も黙る高空性能で、もちろん与圧室を備えていました。でも、乗員は2名のみで、全長17メートル、全幅25メートルという大きな機体(東京を初空襲したB25くらいの大きさ)になんとか2名分の与圧設備を搭載できた。

https://i.pinimg.com/originals/df/31/ce/df31ceee9dd35f3290c06e15dd46bd07.jpg
 

 

ttps://br.pinterest.com/kadyshevks/
 

スピードは時速400キロくらいで、遅くはなかったけれど速くもなく。ディーゼルエンジン搭載とか、なかなか妙味のある機体なのでいつか詳しく書いてみたいですが、そんな与圧装置付きの不思議な飛行機が存在しており、大戦中期にイギリスが高高度型スピットファイアを開発するまでは、1400キロの航続距離を生かして、のこのこと敵地上空に侵入し。

JU86を追っ払った高空型スピットも与圧装置を備え。2重の風防をスライド式ではなくねじ止めにしたりとか、与圧隔壁をコクピットに新設したとか、いろいろ工夫し。実はあまりうまく作動しなかったらしいのですが、英米は電熱服や酸素吸入など進んでいたので、パイロットも、あああ!ちびってあそこが凍っちゃった!壊死だ!なんてならずに済んだらしい。

 

B29を迎撃した日本の屠龍だの雷電だの飛燕だのは、作動するしない以前にそもそも与圧がなく。米英に比べ粗末な飛行服でよくぞ成層圏まで上がれたものと思います。リポビタンDでも飲んで、「ガンバラナクッチャ」と、はっちゃきになって飛んで行ったんでしょうねえ。

ガンバラナクッチャ

 

 

与圧のなかった大戦中の戦闘機でも、米英のは「気密性」がよく、要すればキャノピーを閉めれば寒い外気は100%遮断され、エンジンの熱でそこそこ暖かかったらしいです。

日本機はどうだったでしょうか。なんか「ブラックな職場」という言葉が浮かんできてしまうのは、ぼくだけでしょうか。

ああ無情。。。

ちなみに、ぼくの乗っている軽飛行機は、ぜんぜん気密性がなく、隙間風吹きまくりで、冬は凍えます。。。

小さな飛行機に乗っています
 

 

いまどきの旅客機は、素敵女子のCAさんがにこにこと機内食を配り、映画だなんだと、あたかもお家の居間にいるような感覚にしてお客をけむに巻いていますが、舟板一枚下は地獄じゃなかった、隔壁一枚裏は。。。。なので、理解して乗りましょう。

もちろん、隔壁が破れたりすると、遺族への補償でエアラインはつぶれるし、同型機は一斉に飛行停止とかになってしまうので、絶対隔壁が破れない構造になっているのが現代の飛行機ではあります。

最後はおどかしてしまいました。まあ、隔壁なんてない軽飛行機に比べれば、ジェット旅客機は急減圧とかが起こらないとは言えないけれど、全然大丈夫ですよーと、皆さんの飛行機旅行を無責任にけしかけて、結びといたします。

 

ではでは

Posted by 猫機長
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短距離ランナーがマラソン走者になった話

飛行機マニアなら「スピットファイア」という言葉はご存じと思います。

「英国の戦い」でドイツのメッサーシュミットBf109戦闘機をやっつけてドイツ軍の怒涛の進撃をくいとめ。英国がドイツに占領されずに生き残る上で決定的な貢献をした殊勲の戦闘機です。

Pixabay無料画像
 

 

でも、実は空戦そのものはメッサ―と一進一退だったらしい。

メッサ―を追い払ったように見えて、実はメッサ―の方で燃料切れになり、お家に帰らなきゃ。。。と退散していったので、いかにも「制空権を確保しました」というふうになった。

この当時、ヨーロッパの戦闘機は軒並み航続力が少なく。大陸内で飛んでいるうちは、燃料切れになっても、彼我入り乱れた前線のそこかしこに味方の補給施設もあったので、存分に空戦して、燃料切れになったらそのへんに降りましょう、ですんでいた。

太平洋のぽつねんとした島々を飛んでいた零戦とかとえらい違いですねーちなみに、零戦乗りが一番ほめるのが格闘性能でもスピードでもなく「安心していって帰ることのできる航続力」だったそうです。

零戦の偉大さがここに明確となります。元来、3000キロなんて航続距離を得るためには、燃料積みすぎとなって直線飛行もままならないはずなのに、満タンでも米英の新鋭機と互角に格闘するという狂った戦闘機になっています。要すればマラソンランナーなのに短距離選手の瞬発力も併せ持つバケモノでした。(バケモノになれた悲しい理由はこちら→グラマンと零戦)

代わって、スピットやメッサ―は、航続距離は925キロくらいしかなく。そのぶん機体、エンジンに振り分けることができて、これ以上ない俊敏な短距離選手になりました。

さて、英国の戦いではドーバー海峡が大陸と英国の間に横たわっており。直線距離で34キロと、短いようでいてその先は敵地であり。この時押せ押せで英国領空に殴り込んでいたドイツ機は、被弾しようがどうなろうがこの海峡を飛び越えないとそこで終了となってしまうので、勝っていても途中で背を向けて帰るしかなくなり。

スピットの方は文字通り自分の家の庭で戦っていたので、よゆうよゆう!でした。

連合軍戦闘機の行動半径の増加 http://ktymtskz.my.coocan.jp/E/EU5/bomb3.htm
 

 

こうして、防空戦では大活躍したスピットですが、攻める方になるとやっぱりからきしダメになり。長距離爆撃機についていくことができず、戦闘以前にそもそも戦場そのものに到達できずに、丸腰になったB17など爆撃機が大被害を受けることになってしまいました。

でも、戦闘機としての性能は申し分ないので、英国人はいろいろ考え。

「そうだベルリンに行こう」ということになりました。

その距離960キロ。八丈島から「そうだ京都に行こう(806キロ)」というのとまあまあ似たような距離である。

でも、これってスピットの最大航続距離じゃん?ベルリンまでいけないことはないけれど、そこでエンコだよ?

そこはイギリス人で、いろいろやって、航続距離を倍増した、スピットの長距離偵察型を作り上げてしまったのでした。

まずは、重量物を廃棄した。

敵と会っても、正面からドンパチではなく、逃げるが勝ちだ!が任務なので、重たい防弾装置や、機銃などはぜんぶ下ろしてしまった。

この結果、偵察型スピットの風防はすっきりというかのっぺりというかになり。

通常型の風防(上)https://togetter.com/li/1146070 と偵察型(下)https://ammonaitoh.blog.fc2.com/blog-entry-841.html の風防
 

機銃を取っ払ってスペースができた主翼の前縁の先っちょから胴体との接合まで全部燃料タンクを増設した。

機銃がなくなってすっきりした主翼前縁 http://blog.livedoor.jp/hyamagu3/archives/52270196.html
 

 

 

これだけで航続距離は倍増し、2254キロまで伸ばすことができたらしい。零戦の3350キロよりまだ少ないけれど。。。

それでも気が済まず、主翼下胴体中央に半月型の増設タンクを設置。

https://www.webmodelers.com/202308Kotobuki.html
 

 

一方、無理やり航続距離を倍以上にしたため、油温や油圧がやばくならね?とオイルタンク容量も増大しなければならなくなった。

この結果、スマートな曲線を描いていた機首下部のラインが、なんかぼっこりしたさえないデザインになってしまった。

https://ammonaitoh.blog.fc2.com/blog-entry-841.html
 

 

さらに、重量のバランスをとるためか微妙に尾部を延長し、垂直尾翼の形もへんなとんがり気味のかんじに変更。

https://majo44.sakura.ne.jp/planes/spit9/10.html
 

 

のっぺりした風防とあいまって、なんかスピットにしてはぼてっとした、痩せてるけどやぼったいスタイルになってしまいました。きっとケイト・ベッキンセイルが化粧を落としたらこんな感じになるんだろうなあ。

ケイト・ベッキンセイル https://www.cc9.ne.jp/~yokota/yoko-index.html
 

 

ところで、胴体下面に穴が開いていますが、これはうんちやお◎っこが出るのではなくて、写真機のレンズ穴なのでした。偵察機ですから。。。

https://www.webmodelers.com/202308Kotobuki.html
 

 

ちなみに、この写真を見て、子猫のおしりぽんぽんを思い浮かべるのはぼくだけでしょうか。生後間もない子猫は、まだ腹筋だのが弱すぎて自分でお◎っこやうんちができないので、母猫がなめなめ、あるいは飼い主さんがティッシュでそこをぽんぽん、と刺激して排出促進しなければならないのですよね。。。


 

 

 

もともと戦闘機なので運動性は抜群。でも燃料いっぱいに写真機、丸腰じゃあ、メッサ―相手に心もとないよねー、ということで、どうエンジンをいじったか、高空性能も充実させることができ。

でも、そのままだとパイロットが凍死・窒息死してしまうので、操縦席を与圧式にした。

このため、風防はねじ止めにして、むりやり圧力差で吹き飛ばないようにするなど、パイロットから見れば恐怖でしかない細工がなされ。でも、与圧なしで1万メートルまで上昇し、お◎んちんが凍っちゃうよりましか、と文句は出なかったようです。

こうして完成した偵察型スピットは、ダムバスター作戦のために重要な情報とかをすっぱ抜いて活躍しました。「遠すぎた橋」で有名なマーケットガーデン作戦(連合軍のオランダ奪還)でも情報収集に活躍したらしい。

動画Spitfire over Berlin https://www.youtube.com/watch?v=ljqPi-aVh8M
 

 

メッサ―の長距離型がロンドンまでお使いに、というのはできなかったようで、米英の飛行機がいかに余裕を持って作られていたかを示すエピソードでもありますねー

偵察型スピットは塗装もPRUブルーとかいうふしぎな色に塗られ、空に溶け込むようにして低視認性を達成していたらしい。でも、模型とか見ると、白黒の「インバージョンストライプ」が入っていて、一目で「あ、あそこに飛んでる」とわかっちゃうという、残念な塗装になっています。

与圧も実はあまりうまく作動しなかったが、幸いエンジンの熱がコクピットにつたわり、酸素はともかく、わりかし快適だったという情報もあり。

スピットのくせに遠出ができる不思議な偵察機。イギリスらしい飛行機のお話でした。

 

ではでは

Posted by 猫機長
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Quoraおもしろ回答

Q&Aサイトで、なかなか面白い質問があり、ちょこちょこ回答していたら、短編みたいな形でたまってきたので投稿します。みんなも各回答のリンクにいって、高評価してね!

あなたが最も好きな戦闘機は何でしょうか?理由と共に説明していただけると幸いです。

ttps://www.flickr.com/photos/sdasmarchives/27396772315/
 

https://www.bnamodelworld.com/model-planes-wolfpack-design-wp14808-1:48-usaaf-seversky-p-35a-fighter
 

 

セバスキーP35です。

引っ込み脚なのに、引っ込んでも車輪が半分以上見えている不思議な引っ込み脚。

そんなできそこないの格納で、メインギアが空気抵抗でまくりなのに、尾輪は機内に全面格納というなぞのこだわり。

視界のために空気抵抗を犠牲にした涙滴型風防なのに、一番肝心な真後ろの視界が機体フレームに隠れて全然みえない。斜め後ろは見えるけど。

パイロットの視界を遮るようなフロントガラスの窓枠。

これでも速度競技機として強かったとか、たぶん競技相手が複葉機ばっかりだったのだと思います。

要するに、まるでできそこないにしよう、できそこないにしよう、と努力して作ったみたいで、こいつ合格!いつか、4分の3レプリカを作って、乗ってみたいななんて夢見ています。

でも、この飛行機が本当に好きな理由は、理屈ではなく、とにかく、かわいいいい!からなのです。

ちなみに、太平洋戦争で零戦にボコられまくったが、うまく積乱雲ににげこみ、というか、積乱雲に突っ込んでも分解しないという驚異の強さを発揮し、ハチの巣状態になりながらもなんとか基地に帰り着いたもの多数といううわさの、頼れるやつでもあるそうです。

 

 

日本刀はなぜ一本の刀を両手で握って使うのですか?世界中、たいていは刀(矛)と防御具(盾)のセットではないでしょうか。それともそのセットでは矛盾を生じてしまうので、具合が悪いのですか?

 

以下はお手軽回答です。詳しくはこちら→日本の剣術に盾がない理由

それは日本人の体格が虚弱なので、片手で刀をぶんぶん振り回す力がないからです。

というのはうそです、ごめんなさい。

猫機長とは、こんな人です。20年前の写真
 

 

二刀流とか片手刀法もあります。

ただし、日本の片手技は、攻め勝っておいて一振り、というのが多く、ぶんぶん振り回して勝機をつかむ、というのとはまた違っています。そういった意味では虚弱体質でもなんとか片手で操れると思います。

実は、武士の本分は弓であり、弓と盾は同時に使えないので、盾から肩当に変化し。

https://www.touken-world.jp/tips/11258/
弓を引くとき、この肩当がいい具合に背後を防ぐ盾になった。
 

 

盾を持つかわりに、刀の鎬で敵の打突を受け(ながし)つつ、敵を切り落とす、両手剣術になったと思います。

二刀の場合は、小太刀で受け、大太刀で切るのが多い。ただし、小太刀は盾というスタンスではなく、あくまで敵の刀をこちらから制し、抑えるという役割になっています。

◎剣道などなど

剣道、居合道、弓道:日本武士道から見た成功とは – アーリーリタイア

 

◎剣道などなどの精神的なうらづけ

精神と知能:幸不幸、成功と失敗を分ける分水嶺 – アーリーリタイア

 

 

小型機のレシプロエンジンはどんな燃料を使っているのですか?着火は点火プラグ、それともディーゼルエンジンのような自然着火ですか?

 

鋭い着眼点で、思わず回答。

基本、ガソリンエンジンです。

点火系のトラブルはピストン機の泣きどころで、近年では電子インジェクションだの工夫はあるのですが、自動車と違ってものの数分でなん百メートルと上昇下降する飛行機のエンジンでは、温度、湿度、密度などが激変するため、下手にコンピュータ化されたシステムだと、変化に追随するのが過剰なストレスになり、厳正な整備をしないと故障の原因になったりするらしい。

今日でも軽飛行機のエンジンが「コンチネンタルザウルス」つまり第二次大戦前からあまり変わらないライカミング社やコンチネンタル社製が主流なのは、ローテクのほうがかえって故障しないとかがあったりするのです。

https://pvd.ajpest.shop/index.php?main_page=product_info&products_id=35427
中島エアロスバル。エンジンはライカミングです。
 

 

ディーゼルエンジンだと、燃料そのものの圧縮と高温化で爆発するので、点火系は不要なところから、これを航空エンジン化する試みもあったのですが、いまいちメジャー化できていないらしい。

ブラジルではアルコールエンジンもありますが、ちょっと高い高度へ上がると、大気密度と温度の変化に敏感なアルコールがたちまち揮発してエンストになっちゃう(ガソリンに比べてアルコールは化学変化が著しい)ので、基本地上十数メートルで肥料や農薬を散布する農業機に使われています。ブラジルは世界有数のサトウキビ生産国であり、広大なサトウキビ農場で使う分には、いくらでも安くサトウキビからアルコールが生成できるので、その意味ではなかなか便利らしい。(*追記。別に高度変ってもどうってことないよ?という情報あり。でも。その情報源もやっぱり農業機パイロットだったりして。。。)

電気モーターは。。。。あまり故障の予兆も見せず、突然壊れたり、なおしたつもりなのに思わぬ再発が起きる電気機器の残念な特性と、雨の中に入ればモーターは冷水のシャワーを浴びる感じになるし。。。。なので、ぼくとしてはあまり信用できないで、います。

やっぱり軽飛行機のエンジンは、空冷の水平対向、キャブレターじゃなきゃ。。。むかしのスバルみたいなエンジンが最良ですね

元祖空冷。かぶと虫のエンジン
 

 

◎飛行機の点火系についてはこちら

自家製麺の極意:恐るべしマグネトー‐アーリーリタイア

 

◎悪魔の液体ガソリンについてはこちら

燃料タンク給油口破損。悪魔の液体ガソリンと闘う – アーリーリタイア

 

◎殺虫剤の効かないサソリやタランチュラには、ガソリンをかけてあげましょう。

田舎暮らしつづき。サソリや雨漏りその後‐アーリーリタイア

 

 

ポルトガルは大部分をスペインに囲まれているので、ポルトガル人は第二言語としてスペイン語を学ぶことが普通なのですか?

 

こういう質問をしてはいけません。

ポルトガルは、建国当時から、スペインにいじめられまくり。一時はスペインに併合されたりもしながら(そのいきさつがいかにもポルトガル的な「ばっかだなあ」という感じなのですが、ここでは省略)、なんとか独立を回復し。ブラジルを搾取したりして経済活性化のためがんばりましたが、スペインにくらべればただの屑だったので、イギリスに魂を売って生き延びました。

ということから、ポルトガル人は自国のアイデンテティとして、ポルトガル語を必死に守り抜こうとしています。ポルトガル人がポルトガル語にかける、鬼気迫る情念には、たじろぐものがあります

https://periclesvilela.blogspot.com/2017/04/foi-deus-amalia-rodrigues-n-1715.html
 

 

ブラジルのように、ロシア人もウクラナイ人もどんどん混じり込み、結果ポルトガル人が聞いたら何を言っているのわからないブラジル・ポルトガル語は、ポルトガル人から見れば屑の言語であり、ポルトガル語と認めてやらん、となっているらしい。

*アフリカ人のポルトガル語は、ポルトガル人もびっくりのポルトガル語です。パーフェクトなポルトガル語を話さないとポルトガル人が人間扱いしてくれなかったらしい。ポルトガルが植民地にいかに苛烈な統治をおこなったかと思います。

*ブラジルは植民地じゃなかったの?そういう時代もあったことになっていますが、ブラジル人はあまりにあほアホ(あるいは頭が良すぎる)なため、統治することができなかったというのが実情です。

脱線しすぎました。

ポルトガル人にとって、スペイン語は、ポルトガル語を退化させた屑の言語なので、別に勉強しないでも話せます。

というわけで、ポルトガル人の第二言語は、ポルトガル語です。

あれ?

第一言語は、イギリス英語です。

日本人の第一言語がアメリカ英語なのといきさつは似ていると思います。さいわい、ポルトガルは、イギリスに原爆を落とされたり、占領されたことはありませんが。

最後に。。。。

この屑回答を読んで、ふざけんな―!通報だー!とわめいている人(特にポルトガル人)はいませんよね?そういう人は 、ぜひブラジルに来てみんなでサンバを踊りましょう(踊れない人は、サンバを踊る素敵女子たちと交流しましょう)。ポルトガル人も、ウクライナ人も、日本人も、ロシア人も、みんなともだちです。

めでたしめでたし

◎ブラジル生活

都会の風物詩 – アーリーリタイア

田舎暮らしつづき。サソリや雨漏りその後 – アーリーリタイア

サンパウロ買い出し紀行 – アーリーリタイア サンパウロ買い出し紀行

家電王の農場に着陸 – アーリーリタイア

 

ではでは。

Posted by 猫機長
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空飛ぶスバルのお話

最近「空飛ぶクルマ」が話題になっています。

マイカーあるいはタクシーを拾うような感覚で、お手軽にいつでもどこでも、というなかなかおつな発想で、いろいろ試験車?試験機?など開発しているらしいが、とあるやばい理由によって実現は困難かもしれません。

https://www.bibian.co.jp/product.php?id=p763745338
 

 

やばい理由についてはこちら→「空飛ぶクルマ」

20ヘクタールも超えればもう大規模農家という、田んぼも建物も人間もひしめき合う日本では、車もおしくらまんじゅうですが、アメリカとかに行けば、フツーに「見渡す限り大平原」というのがあったりします。

それだけ集落と集落の間の物理的距離が開いており。隣町と言っても車で数十分、なんていうのもフツーにあったりします。

というわけで、マンハッタンの摩天楼とかではともかく、アラスカまではいかなくとも、カナダとの国境地帯とかでは車なんて遅すぎる、自家用機でなくちゃ。。。。という場所もいっぱいあるのです。

要すれば二束三文で買った中古の軽飛行機を乗り回すという世界が存在しているのである。

この場合、空飛ぶクルマ、というか、クルマのように使いまわす飛行機というか、結局同じ気もしますが、特に北米では軽飛行機が重要な市民の脚となっています。

そういった、自動車のように親しみ深い軽飛行機たちの代表が「セスナ」

セスナというのは、英語で軽飛行機のこと、ではなくて、セスナという飛行機製造会社の名前なのです。

セスナ 172  Pixabay無料画像
 

そのセスナは、第2次大戦で発展したレシプロエンジン機の技術をもとに、2人乗りから6人乗りの軽飛行機をじゃんじゃん売りさばいて、文字通り「軽飛行機の代名詞」になりました。

でも、セスナだけではなく。世界各国で小さな軽飛行機を製造するようになり。

アメリカではパイパー社がセスナ社と双璧とでも言いましょうか、元祖軽飛行機でセスナよりさらにいにしえの「カブ」その発展形の「スーパーカブ」そのまたさらに発展して「チェロキー」とか「アパッチ」とかヒット作を生み出しました。

チェロキー Pixabay無料
 

 

安くてお手軽、という路線をカブに取られたビーチクラフト社は、逆に高級志向で「ボナンザ」「クイーンエア」「キングエア」なんて王侯貴族の名前をつけた飛行機で有名になり。

ボナンザ Piaxabay無料画像
 

戦後の一時期、マイカー代わりに平和な空をガンガン飛ぼうぜーという、なかなか希望にあふれた時期があったのです。

日本では折から高度成長期に入っており。スズキフロンテとか三菱500、ホンダ360とかが元気いっぱい走り回っていた。

フロンテ https://gazoo.com/feature/gazoo-museum/meisha/rr/19/05/22/
 

 

そんな時代の少年たちが、「アメリカのセスナとかかっこいいよねー」と憧れ「日本にもセスナみたいのがあったらいいのになー」と夢見ていたら、なんとその夢は実現したのでした。

高度成長期の日本はよかったね!

日本人が作った、セスナみたいな軽飛行機は、1965年に初飛行しました。

その名も「エアロスバル」。

https://www.s40otoko.com/wp-content/uploads/2018/08/1.jpg
 

 

 

富士重工です。スバル360という世紀の名車と共に、なんと軽飛行機も誕生させていたのでした。

「これが日本のコンパクト・プレーンです」みたいな感じで生まれたエアロスバルすなわち富士FA200は、諸国の軽飛行機に比べてもそん色ない傑作機となり。次の特徴を持っていました。

◎運動性:宙返りだろうが何だろうがお手の物で、アクロバット機としての対空類別(認可)も取得している。

◎主翼をセミ・インテグラルタンクにすることで、軽飛行機としては驚異の航続距離(1000キロくらい)を達成。

あれ、どこかで聞いたことがあるぞ?

零戦か?と思った人は、惜しいけれど違うのでした。

 

特徴続きます

◎小さくて軽いくせに安定性も優れており、しかも上記の通り運動性もいいといった、一種矛盾する性能を両方持っているといったなかなかおつな飛行機だった。この辺は、安定性はいいけれど、とろくて。。。というセスナに勝っていたと思います。さらに言えば、敏捷に動いてくれるけれど、なかなかまっすぐ飛んでくれないというカブ(そしてLSA一般)に比べても、とても素直で乗りやすかったらしい。

ここまでは操縦面での特徴ですが、機体とかハード面でいうと

◎スライド式のキャノピーにして、乗員の乗り降りをらくちんにした。

https://www.wikiwand.com/ja/FA-200

 

 

◎主翼水平尾翼はテーパーをかけない直線形にして生産性を高めた(もっと言えばぶつけちゃったときの修理も楽にした)◎舵面とか部分的に波板を使ったり、構造材の形状や組み合わせを工夫するなりして、堅牢かつ軽量な機体に仕上がった。◎凝っているのが「スロッテッド・フラップ」の採用で、フツーのフラップに比べて気流の流れがよくなり、着陸性能の向上に貢献した。

飛行機のフラップ5種【プレーン、スプリット、スロテッド、ファウラー、スロテッドファウラー】

 

 

一方、高性能へのこだわりが不利に働いた点として

◎キャビンを流線形に絞り込んだため、後部座席が窮屈になり。積載可能な荷物が限られてしまった

という、お客を乗せてなんぼのエアタクシーや遊覧事業とかには不向きの機体になってしまったのでした。軽飛行機としてはかなりの弱点ですよね。。。。

一方、飛行学校における訓練機としてはなかなか優秀だったそうで、全日本空輸、航空大学校などそうそうたる組織で活躍した。

世が世なら、「舞い上がれ」の舞ちゃんも、シーラスとかボナンザではなくてエアロスバルに乗っていたかもしれないのですねー

Wikipediaによれば「西ドイツ・イギリス・オーストラリア・南アフリカ・ギリシャと言った海外に輸出した」とあり、世界水準を超えた傑作機であったことがうかがえます。あれアメリカ輸出はなかったっけ?

国内、輸出合わせ296機を販売。生産は1986年まで続きました。

商売としてはいまいちですが、日本の飛行機の優秀さを世界にしめした事例と思います。

さて、上記でも書いた「くるくるよく回り、操縦しやすい」という特性ですが、それってもしかしてこれじゃね?

隼 https://joefig.exblog.jp/21754159/
 

 

まさにその通りで、そもそも富士重工というのは、中島飛行機が戦後解散した(GHQに解散させられた)後を受け継いで生まれたメーカーであり、占領軍による航空機製造禁止で、しかたなく自動車を生産していたら、そっちが本業になっていたという会社だったのでした。ははは

というわけで、マニアから見れば、エアロスバルの姿かたちってそのまま隼じゃん?とわかると思います

隼(上)https://soyuyo.main.jp/ki43d/ki43-3.html
とエアロスバル(下)https://flyteam.jp/aircraft/fuji/fa-200-aero-subaru/photo?filtertype=airport&filtercode=ryugasaki-airfield
 

 

一方、よく間違われるのが「エアロスバルはスバル製の水平対向エンジンを積んでいた」で、確かに水平対向ですが、アメリカのライカミング製のエンジンを積んでいたのでした。ざんねん

機体製造のノウハウは弾圧を逃れてなんとか継承できたが、エンジンとなると戦後のブランクは越えがたかった、ということなのでしょうねえ。

最後に、この投稿でしか見ることのできない特ダネを入手しましたので、このブログの読者の皆様だけに、秘密で暴露だ!

なんと、富士重工は、三菱向けにライセンス生産の図面を提供していたというのです。

この生産が実現した場合の「エアロミツビシ」がどんなになったかという想像図を掲載するのでした

 

 

 

もちろんおおうそですよー

*零戦のキャノピーはこちらからお借りしました→https://freeway.main.jp/yusyukan/gazou/zero/IMG_7346-ed1-900-600.jpg

 

おあとがよろしいようで。このへんで打ち止め。

ではでは。。。

 

Posted by 猫機長
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プロペラとジェット:輸送機の秘密

最初は鳥をまねて羽ばたき機を作ろうとしていた人類が、推力と揚力を分離することに気がついた時、飛行機の発明が具体的に可能になりました。

鳥の場合は、羽ばたく過程で巧みに羽毛や翼の角度を変化させて、推力と揚力をすべて翼で得ていますが、人間の作る翼では、少なくとも黎明期ではそんなおつなまねは不可能であり。

なんとか揚力だけでも、、、という翼は作ることができた。

でも、推力がないので、リリエンタールみたいにグライダーしか作ることができず。

リリエンタールのグライダー https://www.mozaweb.com/ja/Extra-3D-_-4053
 

しかし、折よく軽いガソリンエンジンが発明され。当時の流体力学ですでに実用化されていたスクリューの理論を応用したか、プロペラもしゃもじみたいなのから次第に本格的なものに発達しました。

黎明期のプロペラ (14Bis)https://lh3.googleusercontent.com/proxy/kTUExKr95XwdInR3Ql90XMA-w20AnamWnajJuvGjRMTRRwYAQLSlXdomjp6jQwhLd8C9fshzAmh-MXrfLgLNTnk8-ABMfgFQ4p72JMcgyAL8gbIc1kDeh7dj5EKPq_fgwsPCp0QPwlJqfgnW9utLTw
 

こうして、黎明期の1906年から第二次大戦直後の1946年まで、実に40年の長きにわたってプロペラが飛行機の推力を担う事実上唯一の装置として活躍。この記事を書いているのが2024年ですから、ざっと飛行機の歴史120年の3分の一の時代がプロペラ機の時代だったといえますねー

さて、サントスヂュモンの14Bisで、何とか地上を離れてまっすぐ飛行できたよ!だった飛行機が、P51では高度1万メートルを時速700キロでかっ飛ばすようになり。

でも、課題が発生。

推力を出すにはプロペラを速く回したい。でも速すぎると、プロペラ先端の速度がマッハを超えてしまい、衝撃波が発生して急に効率が落ちてしまう現象が明らかになり。

プロペラ機では時速700キロが限界だということがわかってきた。

そこで、プロペラ以外の推力発生方法、すなわち「噴進式」のエンジンを各国が血眼になって開発した結果、例によってドイツが世界初のジェット戦闘機を生みだしました。

アメリカ人がダンスを踊り狂って楽しんでいるとき、必死になってジェット機を開発したドイツ人。
かわいそうに。。。(PIXABAY無料画像)

 

その成果はソ連人やアメリカ人にさらわれ、現代ではジェット旅客機の全盛時代になっています。

速度性能、高空性能に優れるジェットエンジンは、乱気流の少ない一万メートル以上の空を高速で飛ぶのに適しており、きょうび戦闘機からジャンボジェット、さらには小さなビジネスジェットまでその名の通りジェット機。かわいそうな貧乏人が乗る軽飛行機を除いて、あらゆる飛行機がすべてジェット機である。

とは、なっていなかったりします。

ぼくは貧乏人なので、プロペラ軽飛行機に乗っています
 

 

というか、いまだプロペラ機ばかりの部門というか機種というのも複数あったりするのです。

その最たるものが「輸送機」

もちろんジェット輸送機もある。その一例が日本の川崎C1です。

C1。なぜ日本の飛行機は運動性能にこだわるのだろうか?https://www.busnoru.jp/tour/airshow/aircraft/c1.html
 

1973年から運用開始。1983年までがんばり、後継機とバトンタッチしました(まだ飛んでいるのもある)。

さてその後継機ですが、国産では作れず(技術というより経費の問題だったらしい。この辺はWikipediaなどご参照)、アメリカのC130Hが導入になった。

C130 https://www.busnoru.jp/tour/airshow/aircraft/c130.html
 

プロペラ機じゃん?退化か?

いやいや、決して黒い霧がその辺を覆っただの、政治的ななんとかではなく、技術的に妥当な理由でジェット機からプロペラ機になったのです。

その決め手は「離着陸性能」

ジェットエンジンは、はっきり言って離陸滑走での加速がとろすぎる。

ふだんプロペラ軽飛行機で離陸するときは、せいぜい170メートルもあればふわりとエアボーンしますが、ボーイング737になると1660メートルだそうで、じっさい乗客として737だのエアバスに乗ったとき、とろとろと走り出し、なんか一向にスピードが出ないまま、左右に尻を振りながらどんどん窓の外の滑走路が過ぎ去ってゆき。オーバーランか?の恐怖の一瞬に、やっとぎゅーんと機首上げして、ガタガタガタ、ブルブルブルと乱気流出しまくりながらエアボーンと、毎回おののいています。

軽飛行機とジェット旅客機を比較してどうする?

という人に、プロペラ機のC130は1091メートル。C1は600メートルで離陸できるらしいが、重さが違いすぎる(C1の離陸重量40トンに比べてC130は70トン。737はやっぱり70トン)ので、比較対象にはしませんでした。

C1みたいに、STOL性能を工夫すれば、離陸距離を短くすることができることはできるが、ジェット機では特有のさらにやばい課題が発生し。

それが「FOD」

foreign object debris、すなわち「滑走路上の異物」。石ころや砂塵、インスタントラーメンの袋とか、要すればタービンに損傷を与えうるすべての物質の総称です。意外と火山灰がジェットエンジンに重大な故障をもたらすらしい。

FODスイーパー(上)https://www.airport-technology.com/sponsored/preventing-fod-top-measures-for-keeping-airport-operating-areas-safe-and-fully-operational/
スイーパーに名たまった異物(下)https://airportimprovement.com/article/prevention-figures-prominently-fod-program-memphis-int-l
 

 

C1の場合は、不整地着陸はできないことはないが、近隣国への配慮もあり日本国内つまり舗装された滑走路での使用が前提との理解で、最近開発されたC2ジェット輸送機も、非整地着陸するのか?できるのか?とか話題になっています。つまりはFODについても、C1はふつーのジェット機と同じくらいの耐性ですんだが、平和維持活動だので海外に出ていくことになるとそうもいかなくなり。

道なき道に着陸、とまではいかなくとも、実際のところ途上国の得体の知れない滑走路に強行着陸を余儀なくされる場面が増えてくると、やっぱりプロペラ機でないと。。。というのがあるのかと「推定いたします」。ははは

ジェットエンジンなんて一種の掃除機ですからねー地ならしした程度で土がむき出しの滑走路で何回も離着陸したら、たちまちエンジンにガタが来てしまいそうな気がします。

コンテナを吸い込んでしまった例 https://blog.bianch.com.br/entenda-os-riscos-do-fod/
 

 

プロペラにとっても砂塵などの粒子は大敵ですが、ジェットに比べれば数段ましである。

 

 

輸送機と共に、プロペラ機の方がいいじゃね、というのが「飛行艇」

こちらもやはり離水、着水性能が関わり。

離陸の場合、飛行機が受ける抵抗は主に主車輪が地面に引っ張られる力ですが、言い換えれば、主車輪という複数の「ころ」で摩擦は極限まで軽減されており。前車輪(補助輪)については、滑走途上から機首上げで摩擦・抵抗を軽減できるし、そうしないと脆弱な補助輪は「ぽき」とか折れちゃうので、飛行機の主な重量、摩擦を引き受けるのは主車輪となっています。

これが飛行艇の場合、機体の腹全体がざんぶと水の中ですから、離水の時の抵抗は離陸と比べ物にならず。水というものは、機体との接地面において粘着して「のり」みたいになってしまうそうで、飛行艇などの下面胴体は段差をつけたりして、一刻も早く水から放そうという構造になっています。

ステップの一例amazon.co.jp/スペシャルホビー-SH72162-72-ショート-サンダーランドMk-Ⅴ/dp/B07R682D3P
 

 

こうなると、やはり離陸時(超低速・低速時)の加速に優れるプロペラの方がよい。

さらに、水の飛沫というのは恐ろしい打撃を機体に与えるもので、ジェットエンジンが飛沫を吸い込んだら大変になってしまう。

プロペラも飛沫の打撃でひんまがっちゃった、あわてて停止だ、ということもあるようですが、やっぱりジェットエンジンよりましということらしい。

 

 

もうひとつプロペラ機に適しているのが「哨戒機」

こちらは、潜水艦を追い払うのがお仕事であり、そのためには、いかに長時間、潜水艦の相手をできる速度で滞空し、どれだけ広い範囲をカバーできるかが重要となり。

やはり燃料効率のいいプロペラ機のほうがぐあいがよかった。ということで、哨戒機大国の日本では、4発プロペラのP1哨戒機が一時期は100機近く飛んでいたらしい。

P3C哨戒機。https://www.khi.co.jp/mobility/aero/aircraft/p_3c.html
 

 

よかった、と過去形にしたのは、きょうび日本ではP2というジェット機、アメリカではボーイング747を改修したP8哨戒機に代替されつつあるからです。これは、ジェット機だとフツーの旅客機の飛ぶ航空路を使用でき、最速で哨戒区域に到達できることや、ジェットエンジンでも低速巡行の能力が向上したなどがあるらしい。輸送機も同様の理由でジェット化しつつあるようですね。

 

一方、離れ島だのの設備の整わない小さな空港に降りる飛行機は、輸送機、旅客機とわずいまだにプロペラ機も健在です。

やっぱり飛行機はプロペラ機じゃなきゃ。。。
https://slideplayer.com.br/slide/5058944/#google_vignette
 

 

ではでは。。。

 

 

 

 

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YS11のお話

1952年。サンフランシスコ講和条約で、再び独立国となった日本は、それまでGHQつまりアメリカに禁止されていたもろもろの行いができるようになり。竹刀競技から剣道にもどったり、「紅白音楽試合」が「紅白歌合戦」になったりしました。そこかしこに自由に日の丸を掲げることができるようになり、鉄道からも「連合軍専用客車」がなくなった。

撓競技。https://www.vrticmazavalpovo.hr/goods/488266299.phtml
 

 

そんななかで、当時の人々が思いついたのが「そうだ飛行機を作ろう」

折から朝鮮動乱で日本の産業界は奇跡の復活をとげつつあり。

米軍のジープやトランジスタラジオの修理などから始まり、1955年にはT33だのF86だのと言った当時の再先端の飛行機をライセンス生産するまでになっていた。

日本の国内輸送で飛行機が復活し始め。日ぺり航空だのいろいろな航空会社がGHQの肝いりで生まれ、アメリカ人パイロットから少しづつ日本人パイロットへの転換も始まり。

でも、使っている飛行機はDC3とかコンベアとか、外国機のお仕着せであり、なんか身の丈に合わない洋服を着せられているみたいな感じだった。

日本でもそろそろ双発輸送機作ることができなくね?

Wikipediaによれば「商品サイクルの長い輸送機の開発生産に取り組ませることで、その産業基盤を安定させ」「国内線の航空輸送を外国機に頼らず、さらに海外に輸出して、日本の国際収支(外貨獲得)に貢献する」ために、国産機を開発しようじゃん、ということになりました。

と言って、ことはそう簡単でもなく。

B29の例が雄弁に物語るように、戦後の旅客機は、長距離戦略爆撃で培われた高高度における与圧などの技術や、ひっきりになしに空港に離着陸する無数の旅客機をさばく航空管制など、要するに戦中、一式陸攻ののぞき窓から海面の波の光を見て進路を確定した(カンで決めた)というのとは別世界になっており。

それでも、零戦の生みの親である堀越さんとか、飛燕の土井さん、二式大型飛行艇の菊原さん、航研長距離期機の木村さん、すなわち「5人のサムライ」が寄ってたかって何とか設計図を作り上げた。

当時の代表作「七人の侍」。時代ですねえ http://toichiwriter.blog.fc2.com/blog-entry-59.html
 

 

さすがにエンジンの自作はあきらめ、イギリス製のターボプロップを採用。ぱっと見は何となく星型エンジンちっくでかっこよかったのですが、性能がちょっと。。。。ということが後になって課題になってきます。

http://komakikiti.seesaa.net/article/473829284.html
 

 

当初は横列5席のシートにしたかったが、それだと大きくなりすぎて日本の地方空港に着陸できないじゃん、と横4列に縮小したとか、いかにも日本的な理由で大きさとかが決定されてゆき。

それでもちゃんと気象レーダーや無線機も積んで、でも機内の収容棚は電車の網棚か?というなかなかおつな機体となってゆき。

https://trafficnews.jp/photo/101644
 

 

このクラスの輸送機は、コンベアやDC3と言った低翼型、フレンドシップや後年のATRみたいな高翼型が混在していますが、「水に浮くから」という理由で低翼にしたのはいかにも島国ですねー

*もちろん、整備性とか他にも理由があります

操縦席の風防は、バードストライクなどを考慮して、なるべく面積を小さくしたいが、小さすぎると視界が悪くなってしまう。というわけでDC3などではかなり切り立った感じになっていますが、こんにちの787とかでは、機首と段差がないくらい寝かせた感じに変化しています。これはガラス関連の技術が進化して、衝撃に強いだけでなく、曲面に整形しても視界がゆがまなくなったとか、雨の時にワイパーなしでも水滴を吹き飛ばせるようになったというのもあるらしい。

上:DC3(https://www.flightaware.com/photos/view/886716-78c9601ede151919592a6afe0d45e400beb84c88/all/sort/date/page/1/size/fullsize)と
下:787(https://www.flickr.com/photos/vstpic/32848668268)の機首
 

 

YS11は、当初は787ちっくのものを考えたが、ガラス面の重量が大きくなりすぎたらしく。でも傾斜自体は変えたくなかった(DC3みたいな切り立ったのにはしたくなかった)ので、風防の角度はそのまま位置を少し後退させてみたが、今度はパイロットの頭に天井が迫るような窮屈なものになってしまい。

_pdf (jst.go.jp)
 

 

 

結局、当初案よりも風防を切り立つように変えて、天井の高さも確保し。みなさんおなじみの、のぼーとしたYS11の面がまえができました。

のぼーというのは、737等の絞り込まれたナセルや風防に比べると大味ですね、という意味ですが、人力操縦式だったYS11は、操縦桿のストロークを大きくとる必要があり、スペース確保のために計器盤を前方に押しやる必要が生じたため、シュッと絞り込んだ機首にできず、のぼーと膨らんだのになってしまいました。

YS11。https://cv880jet.exblog.jp/6532443/
 

 

737. https://www.istockphoto.com/br/foto/boeing-737-nariz-close-up-gm138066160-19060235
 

 

あと、ターボプロップの宿命かもしれんが、主翼前縁と主脚との距離が長くなりすぎて、着陸の時にエンジンナセルをへし折ろうとする荷重が8G以上になってしまい、エンジン支持架の設計にも苦労したらしい。

_pdf (jst.go.jp)
 

 

1962年8月に初飛行。でも「空力特性が悪いため、横方向への安定不足は特に深刻で、プロペラ後流によって右方向へ異常な力が働き、全ての舵も効きが悪く、操縦性は最悪の癖を抱え、試験中にきりもみを起こして墜落の危機に直面することもあった(Wikipedia)」というさんざんなことに。

主翼の上反角をいじってみようということになり。4度ちょっとから6度ちょっとに増加させるため、主翼の付け根に切り込みを入れ、くさびたいなのをつけ足すという、模型飛行機か?みたいな改修をしたら、安定するようになったそうです。このへんは「五人の侍」はじめ戦中からの技術知識や決断力が生きていたのですねー

陸攻乗りをもしのぐカンがあったのかもしれん。

ターボプロップの長大なプロペラは、プロペラ後流などの悪さも最悪で、こちらは「三味線バチ」という整流フィレットをエンジンナセル後部に張り出すことで解決。

三味線バチ https://x.com/aeromuseum3416/status/1798988266810888571/photo/3
 

 

主翼と胴体のつなぎ目でもやばい乱気流が発生していることがわかり、この部分のフィレットを大型化した。紫電の「干しバナナ」みたいにならないで済んだようですが

紫電の「干しバナナ」https://sigdesig.hatenablog.com/entry/2020/11/27/173142
 

 

ちょっと脱線ですが、巨大すぎるプロペラでやばいことになったF4Uは、右主翼に三角形の突起(スポイラー)をつけ、失速しそうになったらこのスポイラーが乱気流を発して尾翼をたたき、パイロットに知らせるという工夫で事故が減ったらしい(https://nakagawa.gr.jp/wp-content/uploads/2021/01/p-tantei1909.pdf)。

F4U https://www.heraldnet.com/life/spoiler-alert-corsairs-contraption-solved-lift-loss-problem/
 

 

いろいろあってなんとか就航できたYS11。世界中で姿が見られるようになりました。

輸出第1号はフィリピン行きで、戦後賠償の一環だったというところが時代を感じさせます。アメリカやブラジル、ギリシャへも輸出され、総生産数は182機に達しました。

商業的には赤字になってしまいましたが、日本の旅客機が7カ国15社で運行に至ったという意味では例を見ない大成功と思います。

パイロットから見たYS11は。。。。残念ながらあまり芳しい評価は得られず。

操縦系統が重く、えいやー!とねじり鉢巻きで操縦していたといううわさもあり。乗務員や乗客にとっても居住性が悪く、騒音、振動がすごかった。

快適さはともかく、パイロットにとって冷や汗だったのが「上昇力がない」ことだったらしい。

いくらエンジンをぶん回しても全然上昇力が足らず。離陸途中でそのへんのビルのアンテナをひっかけそうになったとかいううわさも。

でも、これって機体ではなく、エンジンが問題なのですよね。。。。

もっとがんがんパワーが出て、ぐんぐん上昇できるエンジンを装着していたら。。。と思うと残念です。

一方、翼の主桁にくさびを入れるだのという荒療治をやった後は、なかなか安定して、その意味では乗りやすい機体だったらしい。

YS11の特性がよいほうに出たのが「自衛隊」。

「戦後初の旅客機だ、絶対に落ちない飛行機を作れ」と、とにかく頑丈に作られたYS11は、代わりに重くなってしまい。上記のいろいろな弊害のもととなってしまいましたが、見方を変えれば軍用機には向いているということで、輸送機、電子戦訓練機、電子偵察機、電子情報収集機、飛行試験機として、さらには海上保安庁でも長距離捜索救難機となって大活躍しました。

 

プロペラ軸が、主翼上面よりもさらに上になった、不思議なエンジン配置のYS11(プロペラ軸と主翼上面が同じくらい、というのならよくある)は、もしかしてホンダジェットの出現を予言していたのかもしれませんね。

主翼下面にプロペラ軸を合わせたバイカウント旅客機http://hikokikumo.net/His-Civ-Viscount-000.htm
 

 

主翼上面よりさらに上に離れたプロペラ軸のYS11。https://www.sankei.com/article/20240420-4WBZJXJWB5L6PHYH5GGQWBQYKY/
 

 

ではでは

Posted by 猫機長
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操縦かんのお話

映画をみていると、悪いナチの戦闘機に襲われたB17爆撃機とか、やっぱり悪いゼロ戦に襲われたドーントレス爆撃機とか、果ては単に乱気流に巻き込まれた旅客機とか、きりもみや急降下にはいってしまい、それをパイロットが、両手で操縦かんを力の限り、ふんぬおー!とひっぱって、地面や海面すれすれで回復。。。というシーンを皆さん飽きるほどご覧になっていると思います。

というわけで、飛行機の操縦というのは操縦かんでするのななー?はいその通りです。

セスナの操縦かんはこんなかんじ

パブリックドメイン
 

 

インベーダーゲームのお人形さんみたいなやつが操縦輪です。

スペースインベーダー。https://hirocher.cocolog-nifty.com/holiday/2008/04/post_4169.html
 

 

このお人形さんの両手を握る感じで、ほいさー!と押し込んだり、ふんぬおー!と引っ張ったりして操縦します。

お人形さんじゃなかった操縦輪は、計器盤から生えているコラム(ほうきの柄みたいな棒)からワイヤーで昇降舵につながっており。

C*Uとは何か その1(技術的解説) | 彗星 (salamann.com)
 

 

前に押し込めば機首が下を向き、後ろに引っ張れば機首が上向くようになっているのでした。

よし、これならパイロットが心臓まひで4んじまっても、かわって操縦できるぞ!

ピッチ制御ならできますねーでもそれだけでは飛行機はちゃんと飛んでくれないのでした。

3次元空間で飛ぶ飛行機は、2次元空間の自動車と違い、ピッチと共にロールというものを制御する必要があり。

これは要すれば横転するか、あるいはしないで水平に飛ぶかということである。カーブを切る時には、横転気味にする必要があります。

このロールを行うのが、お人形さんすなわち操縦輪で、「輪」という名前でよく分かると思います。

この操縦輪をぐるっと右に回せば、飛行機は右に傾き。左も同様です。

ロールは「補助翼」というものを使います。こちらもほうきの柄とつながったワイヤで動かします。

 

C*Uとは何か その2 (横の制御則) | 彗星 (salamann.com)
 

 

映画だと、操縦輪をまっすぐ、ふんぬおー!と引っ張るだけで回復していますが、操縦輪をしっかり中立にしておかないと、きりもみという恐ろしいことになってしまいます。

よしよし、これでパイロットが4んじまっても、かわりに操縦できるぞ!

いやいやもう一つあるんですよ。

それが、機首を右に振るか、左に振るか、まっすぐ保つかという、「ヨー軸の制御」です。

これは操縦かんではなくて、ペダルで制御します。

ぼくが乗っている軽飛行機「こよーて」のペダル
 

 

ペダルもケーブルで方向舵につながっています。

右のペダルをぐっと踏み込めば機首は右を向き。左も同様です。

C*Uとは何か その2 (横の制御則) | 彗星 (salamann.com)
 

 

ちなみに、ピッチ、ロール、ヨーの3軸は下の図みたいな感じです。

http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2001/00367/contents/00006.htm
 

 

この3軸の制御ができるようになり、パイロットが4んじまっても、あなたが代わって操縦できるようになりました。めでたしめでたし

覚えておいて絶対損はないですよーこのブログの読者の多くは旅行大好きな素敵女子によって占められていますが、皆さんが乗る旅客機が酔っ払いみたいな動きをし始め、CAさんたちがべそをかいて騒ぎだしたときは、たぶんパイロットは4んじまっているので、あなたが代って操縦してあげてくださいね。

操縦輪にもいろいろな形があり。

セスナ140 https://www.aopa.org/news-and-media/all-news/2022/july/pilot/from-the-editor-staying-sharp
 

 

セスナ150 https://www.aopa.org/news-and-media/all-news/2023/april/pilot/the-best-150-on-earth
 

 

セスナ172 https://www.flyingmag.com/cessna-172-still-relevant/
 

 

セスナ140のヨーク(操縦輪)なんて、アートですよねー

一方、操縦輪ではなく、操縦かん(スティック)という、床から生えている棒で制御するのもあり。

スポーツ機とか、昔の戦闘機などが多用しています。

零戦の操縦かん https://jpgazowork.blogspot.com/2021/03/10000-222340.html
 

 

こちらは、操縦かんを前に倒して機首下げ、後ろに倒して機首上げ。左に倒せば左にロールし、右も同様です。

へんなのに、スピットファイアーの操縦かんがあり。

https://www.airliners.net/photo/UK-Air-Force/Supermarine-356-Spitfire-F22/1526234/L
 

 

べつにこれでシャボン玉を作ろうというのではなく。ふんぬおー!と両手で引っ張る時に、両手でこのわっかを握ることができるように、ということらしい。

スピットファイアだけではなく、第1次大戦のキャメル複葉戦闘機などからすでにこのかたちの操縦かんだったらしい。

キャメルのは三角形でした https://www.pinterest.jp/pin/407083253805236196/
 

 

でも、イギリスだけで、ほかの国にはこうゆうのは見当たらず。イギリス人の手とか関節はどこかねじれているのかもしれません。

今どきの軽飛行機(LSA)でも操縦かん(スティック)形式のが多く。

こよーてもスティックです

コヨーテのスティック
 

飛行機の操縦装置は、デュアルといって、機長、副操縦士それぞれに並列に計2組、つまり操縦かん(操縦輪)も2つ、というのが普通ですが、操縦席の真ん中に一本だけというのもあり。こちらは、だいたい先端がY字型になっており、機長(左席)が操縦するときはY字の左のグリップで、副操縦士の場合は右のグリップで、となるらしい。

https://www.pilotmix.com/bravo-700
 

 

いずれにしても、飛行機の操縦かんは、操縦輪(ヨーク)形式と操縦かん(スティック)形式に大別されるのです。

それぞれ特徴がありますが、ヨーク式のやつは大きな旅客機や輸送機など、えいや!と大きくメリハリのついた動きで、舵の効きはじめを確実に捉え、効いてきて惰性がついてきたら、これまたえいや!と中立に大きくもどす、というような動作に向いているらしい。747は操縦したことはないので、また聞きですけど。

ぼくの乗っているような軽飛行機では、ちょっとした横風でたちまち機体が木の葉のように揺れてしまうので、機敏な操縦かんの操作で対処する必要があり。また、ちょっと動かすだけできびきびと姿勢を制御できるので、やっぱり軽飛行機はスティックだね!と思っています。

一方、セスナなど小型機でもヨーク形式が多いのには理由があって、操縦を習うには縦の制御(ピッチ)と横転(ロール)をそれぞれしっかり体感するのが大切ですが、ヨーク形式であればヨークをそれぞれ押し込む、回す、とわかりやすく分割して操作できるので学びやすいし、そもそも軽飛行機の製造目的の一つに練習機としての利用があり。ゆくゆくジェット旅客機(ヨーク式)のパイロットを目指すというケースでとても重要なのであった。

ただ、床から生えているスティック式の操縦かんを両ひざの間で操作、というのはセクシーに感じる女性もいるらしく。デートなどの遊覧飛行では、スティックの方がいいかも?ただ、離陸前の昇降舵チェックつまりスティックを限界まで倒そうとすると、だいたい隣の女性がおなかに抱えているハンドバッグにぶつかって、あああごめんどけてね?となってしまうのであった。

ヨーク式だったらこれは防げるんですけどねー

いいとこどりをしようとしたのか?セスナ162があり。

https://youcanfly.aopa.org/flying-clubs/flying-club-newsletter/2017/november/19/aircraft-spotlight
 

 

こちらは、計器盤から生えているけれど、操縦輪ではなくてスティックになっています。

ピッチとローの分割や、繊細な操作の双方ができるのではないかな?乗ってみたい飛行機です。

 

今どきの飛行機では、サイドスティックなどというのもあり。エアバスや軍用機などで多用されているようですが、なんか電線で舵面操作しているみたいで、フライトシムと同じになってしまい、飛行機の挙動を文字通りスティックとラダーで感じることができなくなっちゃうんじゃね?と思います。

グラスコクピットにサイドスティックのセスナ400。今どきの飛行機はつまんないですねえ
PR-TEP - Cessna LC41-550FG Corvalis TT
 

 

その点ボーイングはがんこに操縦輪を継承しており。こういくことを書くぼくも新大陸(アメリカ大陸)の飛行機乗りなのかもしれません。ヨーロッパでLSAなど飛ばしている人たちがどう感じているか、知っていたらコメントなど頂ければ幸いです。

飛行機の操縦には、操縦かんの他にラダー(ペダル)も重要ですが、3000字を超えたので別の記事にします。

最後に、自衛隊教官の見事な操縦桿さばきを掲載。12:12からご覧ください

これで、人間ウオッシュレットとかがなければいいんですけど https://www.youtube.com/watch?v=c4j8gkIbJUo&t=1074s
 

 

ではでは。。。

Posted by 猫機長
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零戦はコピーだった:真実かデマか? (イギリス機も関与?零戦の真実)

第二次大戦で、アメリカやイギリスの飛行機をバタバタと撃墜し、有名になった零戦。当時から現在まで、日本人がそんなすごい飛行機作れるわけないじゃん?アメリカかイギリスの飛行機のコピーだよ!という意見が存在しています。

そして、なんとつい最近、「零戦は、とあるイギリス機のコピーであることが濃厚となった」という情報が飛び込んできたので、スクープします。

この情報においては、一見日本機特有とみなされる特色が、実はイギリスの某機にそっくりだったことが明らかに。

その特色とは

その①操縦席

零戦の操縦席は、欧米と比べて、機首よりで、後方の視界も大きく開けています。

F4Uと比べると一目瞭然ですが、F4Uの場合、コクピットがぐっと後ろ、そして機体に埋没したファストバックなので、視界もへったくれもなくなってしまい。着陸が危険な飛行機になってしまいました。

https://warbirdsnews.com/aviation-museum-news/planes-fame-air-museums-f4u-1a-corsair-combat-veteran.html
 

 

その逆が零戦。

https://www.sankei.com/photo/story/news/160127/sty1601270013-n1.html
 

 

なぜこうなるのかというと、これは傾向であって絶対というのではないのですが、欧米の戦闘機は、まずは操縦席を防弾装置で囲って、その前などの胴体に燃料タンクを格納し、被弾面積が大きい翼内タンクはなるべく避けたためです。

F4Uと零戦の燃料タンク配置
コルセアはhttp://seafurry.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/wwf4ff4uf6f-db2.html
零戦はhttp://seafurry.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/ww-612d.html
 

 

その➁運動性

上記の通り、欧米では、まず「落ちない飛行機」つまり頑丈で防弾も十分、武装も強力。速度と高空性能を重視したので、必然的に重く鈍重になり。運動性は二の次になってしまいました。零戦のように、複葉機にも迫る旋回性能というのは欧米の飛行機にはなかなかなく。

複葉機はアクロバットに優れた性能を持っており。今日でもピッツ・スペシャルなどが生産されています。(PIXABAY無料画像)
 

この①②の特性は、長く欧米で議論の的となり。

確かに防弾装備もなく、骨組みもきゃしゃで軽く作れば軽快な飛行機にはなるが、零戦ほどに洗練された運動性は、なかなか生み出せない。エンジン馬力が小さい日本の飛行機では、どこか空力設計で秘密があるはずだ。。。。。

そんな議論が続く中、とある吉日、ひょっこり、この空力デザインを決定的に洗練させた零戦のとある部分が解明され。

その場所、デザインとは。。。

「でっぱり(こぶ)」です。

なんだそりゃ?

零戦の前部風防からカウルまでのラインに注目。

機銃の上にかぶさって張り出し、風防にめり込むようになっています。


 

 

これがF4Fになると、機銃は翼内のみで、前部風防もでっぱりなんてなく、すっきりしています。

The Grumman F4F Wildcat was a Rugged, Lethal Tool for the U.S. Navy


 

 

この不思議なでっぱりについての最新情報が発見され。

「零戦の高性能は、このでっぱりによって気流が見事に整えられ、速度や空戦性能に貢献したことで達成された」

そして、

「このでっぱりは、英国のとある戦闘機からコピーしたのである」

という衝撃の情報が!

さて、その知られざる英国戦闘機とは

「ソッピース・キャメル」

https://www.aeroclip.com.br/p-9308761-Sopwith-Camel-172-%23-12447—ACADEMY
 

 

複葉戦闘機だよ?

風防そのものがないじゃん?

どこがでっぱりじゃい?

いやいやちゃんとでっぱりがあるんですよ。

https://www.fiverivers.com/amap402.html
 

 

https://www.airforce.gov.au/community/visit-and-learn/heritage-centres/raaf-base-amberley-heritage-centre
 

https://www.cgtrader.com/3d-models/aircraft/historic-aircraft/sopwith-camel-ww1-airplane
 

 

https://www.raafamberleyheritage.gov.au/aircraft/sopwith-camel/
 

 

当時の他の戦闘機は、機体にどんと機銃を置いただけで、銃把だのなんだの突起物が乱流をだしまくっており。

スパッドXIII
http://www.wwi-models.org/IM/USA/laskodi-spad.html
 

 

フォッカーDVII
Machine Gun & Fokker D.VII
 

 


 

 

フォッカーDRI

 

 

そこにすっぽり流線形の覆いをかぶせたため、その恐るべき効果として

「この覆いによって気流が乱されまくり、上方に偏向されたため、かえってパイロットに風が当たらなくなった」

そうです。ははは

さて、ここまで読んだみなさん。零戦がキャメルのコピーだ!というのは全くのデマであり、ウケ狙い、読者を呼び込むための単なるネタだということがご理解できたと思います。

というか、まさかコピーだ!と思ってしまう素敵女子とかがいないように、念のため明記しておくのでした。

ははは

あああごめんなさい!

 

 

ただ、キャメルの「プロペラ、エンジン、パイロット、搭載火器、燃料を機体の前方1.8m以内に集中させた(https://hobbycom.jp/workshop/library/weapon_sora/56.html)」というのは、なんとなく日本機ちっくであり。もしかして堀越さんとかが参考にしたかも?

風立ちぬ」の堀越さんhttps://www.ghibli.jp/works/kazetachinu/
 

 

零戦が絶対にキャメルのコピーではないという証明があります。

それは「操縦のしやすさ」

キャメルも零戦も、格闘性能が著しく高かったのですが、しかし、どうやってその性能を達成したか、については全く逆のアプローチであり。

キャメルの場合、ロータリーエンジンのトルクを利用して、その御しがたい横転のクセを逆に御することのできる優秀なパイロットを要求した。

Wikipediaからの引用ですが

「エンジンの強いジャイロ効果がキャメルの操縦性を独特なものにして、新人パイロットには難しいものであり、着陸時の事故が多かった」

すげー暴れ馬になってしまったキャメルの動画を発見。本物か?レプリカか?

 

 

「意図的に不安定にされており、いつも真直ぐ飛ぶためにパイロットは常に調整する必要があったが、これによって比類ない機敏さを与えられたキャメルは、第一次大戦中に全軍通じての最多撃墜数を記録した戦闘機となった」

「アメリカ軍も使用したが、操縦の難しさゆえに事故を起こすパイロットが後を絶たず「パイロット・キラー」と呼ばれた。実際、意図せぬ機首上げ・機首下げをすることも多く、結果として墜落事故が多発」

以上引用終わり

エンジン自体がプロペラと一緒に回転するロータリーエンジン

 

 

零戦の場合はその逆で、戦闘機のくせにとても安定しており、操縦がしやすかった。つまり、パイロットの操作に素直、という特性が、神業の空戦技術を持つ老練なパイロットと一体になって戦争初期の大戦果が可能になった。

でも、零戦のこの操縦性は、残念ながら、先の大戦においては欠点として作用してしまったと思っています。

操縦がしやすいために、航法、通信、気象といった基本、そしてマニューバ、シザーズといった高等技術をぜんぜん学べていない、あまり飛行時間のない練習生でも、何とか一人で離着陸ができてしまった。

それは、たいして操縦できない少年飛行兵でも、とにかく離陸できればいい。あとは敵に突っ込め、という特攻にいくらでも起用できることを意味し。

これは零戦のみでなく、隼など日本機に共通した特性で、もし、零戦等がキャメル並みに操縦のしにくい飛行機だったら、そもそも離陸できないし、特攻も技術的にできなくなり、若者たちの命もかなりの数が助かったのではないかと思っています。

 

いやいや今回はデマそのものになってしまいましたが、こういった記事で、みなさんが飛行機に興味を持っていただける一助になれば、大変幸いです。

なお、スヌーピーが犬小屋に乗っかってドイツの複葉機などと戦うシーンがありますが、スヌーピーにとってこの犬小屋はキャメル(のつもり)なのだそうです。

スヌーピーの撃墜王!(フライング・エース!) | おたまの夢の種 (ameblo.jp)
 

 

ではでは

Posted by 猫機長
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ビジネスジェットに見る主翼桁の「功罪」

ジェネラルアビエーション、すなわちエアラインや軍用機を除いた商業機(エアタクシーなど)や軽飛行機の世界での花形が、セスナのサイテーションをはじめとしたビジネスジェットです。

ジェネアビの最先端を切るビジネスジェットを見ていると、現在の航空技術の究極を見ることができ。マニアならずともなかなか面白い飛行機情報が得られると思います。

ビジネスジェットの生産にしのぎを削っている各社は、顧客に魅力的な飛行機を作るため最大限の努力を行っています。そこから、重要な特徴が見えてきました。

その名も「主翼」

特に「主翼のつなぎ目」が必殺技になっているらしい。

そもそも、ビジネスジェットの根本として「どれだけ快適に一定数の乗客を運べるか」があり。

エアラインみたいに、とにかく無数の乗客をすし詰めだ!文句があるなら地上の係員に言え!なんて通勤電車一歩手前とは一線を画した、空飛ぶ一流ホテルであり。中東の石油王とかが、トップモデルの彼女を乗せて、ほかほかのエスカルゴとひえひえのシャンペンなんかを飲み食いしながら優華に行幸するための飛行機であるビジネスジェットは、客室空間の快適さが売れ行きを左右すると言っても過言ではなく。

もちろん、石油王だの金持ちになればなるほどドケチになりますから、豪華さはロールスロイスでも、運航経費はかぶと虫より安いぞ!でないと見向きもしてくれません。

世界の名車かぶと虫
 

 

というわけで、ともかく「安くてリッチな」客室スペースが第一優先であり。この結果、「段ボール肉まん」ではない「本物の肉まん」というハイレベルの飛行機だぞ!という程度はすまず、顧客の要請によって「豚まん」「肉(牛)まん」、イスラム教徒だけどもそれほどではない顧客には「肉まんに見せかけた豚まん」みたいな飛行機を作る必要があるのでした。

ううむなんだかわからなくなってきたぞ?要するに、単発ピストンの2人乗り軽飛行機みたいに「ドアは閉めてもすきま風」とは真逆の世界という事はご理解いただけたと思います。

夏はそこそこ涼しいですが、冬は殺人的な寒さになるため、
ユニクロのももひきが必須です。
 

 

そんなビジネスジェットの旅とはどんなかなーというのが「PHENIX JET」という国際オペレータ―のホームページに乗っていたので、抜粋します。以下、

写真含め「https://www.phenixjet.com/jp/business-jet/」からの抜粋です。

◎機内を独り占め。ラグジュアリーで快適な旅を

ファーストクラスを超越したラグジュアリーな機内空間において、従来の民間便では味わえなかった快適な時間を過ごすことができ。機内で高速Wi-Fiを用いた動画視聴や電話も可能となっています。

フライトの最中には、客室乗務員が用意したベッドで眠ったり、シアタールームでゆっくりとくつろぐなど、友人や家族とも充実した時間を過ごすことができます。

 

 

◎お好きな料理をお選びください

お料理の種類からお酒の銘柄に至るまで、メニューはすべてお客様のご希望に沿ったものとなり。有名なシェフとも提携し、様々なお食事をお客様にお楽しみいただけます。

以上で引用終わり。

 

さて。

ここでプライベートジェットの設計者を悩ます重大な問題が出てきてしまいました。

スピードを出し、燃料消費を少なくするためには、なるべく胴体を細くしたい。

でも、細い胴体だと、胴体の直径をすべて使い切ってもお客さんが窮屈に感じてしまいます。

というわけで、エアバスよりは細いけれど、金持ちが窮屈に感じないくらいには太い、というところで妥協しなければならなかった。

しかし、今度は安全性の壁にぶつかり。

乗客がその辺の貧乏人だったら、墜落して4んじまったとしても、中国人に依頼して事故現場を埋めてもらうだけで済みますが、石油王だと、生命保険だなんだの、要すれば賠償で飛行機メーカーもたちまち破産なので、絶対に落ちない安全な飛行機を作らなければならない。

要すれば、十分な強度を持った主翼と、壊れないエンジンが必須となり。

エンジンについてはなかなかいいのがあるので、ここではあえて深堀する必要もありませんが、問題は主翼である。

初期のサイテーションの画像を見ると、このへんの胴体と主翼の結合など、天才的な、美しい処理がなされていることに気が付きます。

主翼と胴体の流れるような結合と、主翼直下の流れるような直線的な胴体に注目。
 

 

パイロットに親切な大型の風防
 

 

気になる室内はこんなかんじ
 

 

さて、セスナはサイテーション500で大ヒットを飛ばし。

でも、そのうち競合各社も肉薄してきたため、なんとか差別化を図りたくなり。

ここでセスナ社は悪魔のささやきを聞いてしまった。

それは

「居住スペースと主翼の主桁を分離すればいいじゃん」

航空を飛ぶビジネスジェットの居住空間は、与圧する必要があります。

というわけで、安全な与圧(安い与圧)のために、胴体断面は円形にしていた。

https://private-jet.aero/userfls/editor/large/826_cessna-citation-501-1.jpg
 

 

 

上の図を見るとわかる通り、主翼桁は胴体を貫通しており、実はその分居住スペースが少なくなることは避けられず。

 

しかし、ここで悪魔の声を聞いてしまったセスナ社。

サイテーションIIIシリーズを皮切りに、ぼこんと胴体の下に主翼桁を突き出した、なんともぶきっちょな飛行機になってしまいました。

https://www.aircharterservice.com.au/aircraft-guide/private/cessnaaircraftcompany-usa/cessnacitationx
 

 

 

主翼が胴体の下に飛び出し、ひねたネズミみたいになってしまったサイテーションX https://getoutlines.com/blueprints/17975/cessna-citation-x-blueprints
 

 

初期の小さなサイテーションは、隼や飛燕、零戦みたいな、空力的に洗練された繊細なデザインだったのに、大型化されるに従ってぶきっちょな腹の出たアヒルみたいになってしまったのが悔やまれます。

胴体と主翼のかねあいについては、他のメーカーも努力してはいた。

例えば、「ハンザジェット」

https://ameblo.jp/ae31x/entry-11457500211.html
 

 

前進翼にすることで、主翼桁を客席の後ろに持って行った。

特殊な主翼ながら、そのせいで事故になったとかいう話は聞きませんが、それでも胴体断面中央に主翼桁、というのはやはり居住性からしては不利だったらしく、胴体後部のエンジン、T型尾翼という特殊な配置がこの機以前、以後と広く採用されて特殊でなくなったのに比べて、前進翼はこの飛行機が最後になったらしい。

一方、最初から居住性なんてどうでもいいや、空力を優先しましょう、という潔いのもあり。

すみませんビジネスジェットではありませんが、「TU104」というのがあり。

https://www.airliners.net/photo/Aeroflot/Tupolev-TU-104A/0168122/L
 

 

主翼を胴体中央に突き刺したため、ものの見事に客席に段差が付き。主翼、アエロフロートマーク上の窓の配置に注目。

 

 

も一つ雑学。機首がガラス張りになっていますが、これは爆撃手ではなく、航法員のためののぞき窓です。

広大なソ連を網羅できるレーダー網がなかった当時、この窓から航法員が地図とにらめっこして進路を確認・計測していたらしい。

 

 

ビジネスジェットではこういう例はないの?ありません。

だって、小さなビジネスジェットでこれをやったら、客室がなくなっちゃいますよね。。。

さて、逆の意味で潔いのに「ホンダジェット」があり。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/76/7/76_7_751/_pdf
 

 

こちらは、最初から主翼桁を胴体から出っ張った形で設計しており。

https://global.honda/jp/news/2014/c140628.html
 

 

カモノハシのように広がってくびれた機首や、それにしても出っ張りすぎじゃね?みたいな主翼と胴体の接合部など、どうも違和感を感じてしまうのはぼくだけでしょうか?エンジン配置などとともに、最新の空力設計、というのはわかるのですけど。。。

やっぱりサイテーションIみたいな、シンプルなのがいいなあ、と思っています。皆さんはいかがでしょうか。

https://aeromagazine.uol.com.br/artigo/cessna-500-citation-i-o-inicio-de-uma-era.html
 

ではでは。。。

 

Posted by 猫機長
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トリムのお話

みなさんは、車を運転していて、あれれまっすぐ走ってくれないなとか、カーブで外側に膨らみそうになっちゃった、とかあったと思います。

飛行機も同じで、ふらふらしないでまっすぐに飛ぶというのは、実はなかなか難しかったりします。

飛行機がまっすぐ飛ぶには「静的安定性」と「動的安定性」が関わり。いずれも重要です。

飛行機の場合、横の安定性と縦の安定性があるのですが、ここでは縦の安定性で説明します。

一見は百聞にしかずで。。。。

「Aerodinâmica e Teoria de Voo」Jorge  M.Homa著 より
 

この図は、前下方からちょっとした突風をうけたときの飛行機の挙動について示しています。

①静的に安定のある場合は、機首を上下に振りながらも直進をしようとします。

②静的にニュートラルの場合は、機首が上がったらそのままの姿勢で上昇しようとします。

③静的に不安定の場合は、さらに機首上げを増そうとして、ついには失速に至ります。

というわけで、「よい飛行機」の一つの条件は、静的に安定していることです。

でも、それは十分条件ではなく。今度は動的安定性が関わってきます。

静的に安定した飛行機で

④動的に安定していれば、上下のふり幅を次第に減少させて直進に戻ります。

⑤動的にニュートラルだと、いつまでも同じふり幅で機首を上げ下げしながら飛んでいくことになります。

⑥動的に不安定だと、ふり幅が無限に大きくなっていき、やっぱり失速に至ります。

というわけで、「ほんとに良い飛行機」は動的・静的に十分な安定性を持っている必要があります。

 

優秀な安定性をもった傑作機の一つに「シュトルヒ」があります。

https://www.ms-plus.com/smp/43060
 

 

あれ、第二次大戦の飛行機じゃん?猫機長は操縦してもいないのに、なんでわかるの?

三面図を見れば、一目瞭然なのです。

fieseler fi 156 storch – BlueprintBox.com – Free Plans and Blueprints of Cars, Trailers, Ships, Airplanes, Jets, Scifi and more…
 

 

ななふしというかトンボというか、高翼で細長い機体の端っこに、広く離れた間隔で設置された主翼と尾翼。つまり、尾翼による安定が得やすいスタイルになっている。

 

その逆にピッツがあり。

Pin auf aircraft (pinterest.com)
 

 

すん詰まりの胴体に、主翼と尾翼がたいした間隔もなく設置されています。

見るからに安定性が悪そうですが、じっさいめちゃくちゃ悪いそうです。

 

なぜそんな安定性のない飛行機を作るのか?

ピッツは、曲技機と言って、宙返りだのきりもみだの、狂った挙動をするための飛行機であり。安定性のある飛行機では、そんなまねはできないというか、できてもとろくて使いものにならなくなるからでした。ははは

 

その代わり、よほど熟練したパイロットでないと直進はおろか離着陸まで困難になってしまい。

似て非なる、というケースに、ソ連のI16があります。

polikarpov i 16 – BlueprintBox.com – Free Plans and Blueprints of Cars, Trailers, Ships, Airplanes, Jets, Scifi and more…
 

 

主翼と尾翼がくっついちゃってるじゃん。。。。

この場合は、別に曲技(格闘)を行うために安定性をわざと犠牲にした、というのではなく。たいして馬力のないエンジンで、とにかくスピードを出したかったために、エンジンに対する機体の比重を無理やり小さくしたらこうなった。

しかしそのたくらみは成功し。解放風防の旧式機のくせに、低空ではドイツのメッサーシュミット戦闘機と互角に格闘したそうです。あれ格闘だっけ?

 

その逆にエアロコマンダー680があり。

https://www.jetphotos.com/aircraft/Aero%20Commander%20680
 

 

https://www.aircraft-reports.com/aero-commander-680-t-v-w-aircraft-maintenance-manual-1963/
 

 

ちょっと機首が長いけれど、高翼でうんと重心を低くして安定を確保しているらしい。

こちらは、もともとは爆撃機だそうで、とにかくどこまでもまっすぐ飛んでいくという、安定性が「売り」の飛行機。

その安定性によって、航空測量、航空写真の撮影用として大いに重宝されたそうです。

 

上記で分かるように、だいたい戦闘機は、わざと安定性を悪くして、その分機敏にしたようなのが多く。

でも、格闘性能とは関係ないところで、安定性がなくなっちゃった、という残念なのも存在しています。

例えばP51

Pixabay無料画像
 

 

P51は、スピードだの格闘性能だの自体は、実は最先端でもなく。でも、大きな爆撃機を援護して遠いドイツまで飛んでいく航続距離があったために、連合国勝利の決定打となり。世界の最高傑作とみなされるようになりました。

ところが、そもそも小さな単発機で、大型爆撃機、つまりは長距離輸送機にくっついていくというのは無理な相談であり。

その無理を通したため、へんなところに増加タンクを設置する羽目になってしまいました。

基本、燃料タンクは、空力重心と一致させて、ガソリンが下向きにかける重力と、翼による上向きの揚力が重心付近でうまく相殺するように設置します。

さらに、欧米ではなるべく胴体内に収めて翼内や操縦席を避け(囲むようになっちゃうけど)という努力がうかがえるのですが、P51の場合、日本機か?みたいに、ゴージャスに操縦席から翼にかけて大きなタンクが設置されており。

それでも足りなかったらしく、後部胴体にも大きなタンクが増設されてしまったのでした。

http://www.wwiiaircraftperformance.org/mustang/P-51D-manual-5april44.pdf
 

 

この結果、増設タンクが満タンのうちは、後部に重心の偏りができて、空戦以前にフツーの飛行にも細心の注意が必要になってしまったらしい。

 

F4ジェット戦闘機も同様で、長大な背中に分割して設置されたタンクが、燃料消費に従って急激な重心の変化をもたらし。飛行特性が大きく変わってしまったらしい。この特性を制御できないとF4乗りとしては失格みたいな、なかなか気難しい飛行機だったそうです。

f-4cd_overview.jpg (650×241) (watergeek.eu)
 

 

脱線してしまいましたが、ふつう飛行機は、操縦かんを放していても自然にまっすぐ飛んでいけるくらいの静的・動的安定性をもつよう作られており。

しかし、ここでもう一つ大きな課題が。

飛行機は、空気の中を飛んでおり、飛行機を取り囲む空気自体が、上昇気流だの下降気流だのと言って常時動いているので、その気流・気団の中で水平飛行していると思っていても、例えばサーマルの中にいれば、知らないうちに対地高度は上がっていってしまいます。

そうゆうときは、操縦かんを押し気味にして、機首下げ、下降の姿勢だけど地上からの高度は一定、まっすぐだよ!というふうにします。

でも、そのばあいずっと操縦かんを押していなければならず。

ここでトリムの出番です。

あー本題までが長かった。

機首を上向き、下向きにする動きつまりピッチの操作は、水平尾翼で行います。

そこで、ちょっと機首が下向きになる位置に水平尾翼をセットしてうごかないようにすれば、操縦かんから手を放しても飛んでいけます。

このために、タブというものが発明され。

左右の水平尾翼は連動しているので、タブは右翼だけです。
 

 

このタブが上向きになれば、昇降舵には下向きの揚力が発生して、手で操縦かんを押さなくても、昇降舵は下向きに作動します。

昇降舵が上向きになれば、水平尾翼には上向きの揚力が発生し、飛行機は尻を上げ、機首をさげます。

 

この結果、操縦かんから手を放していても自然に飛行機は下降していき。この降下率をサーマルの上昇率に合わせれば、飛行機はまっすぐ飛んでいくのでした。

トリムタブの原理。
Aircraft Trim Tabs – Know To This Aeronautical Airplane Engineering Knowledge
 

 

トリムは、別に水平飛行だけではなく、上昇や下降でも便利です。

例えば、下の写真では、機首上げ13度くらいかな?に保つようにセットして、ぐんぐん上昇しています。

 

 

この写真みたいに、トリムがぴたりとあって、手を放していても、目指すピッチで操縦かんがぴたりと静止、なんてできたときは気分がいいですねー

ぼくの乗っているLSA(軽飛行機)は、水平尾翼のトリムは電動式です。セスナなどでは、古典的な、お皿みたいなのをくるくる、というのも健在です。

トリムのスイッチと表示灯
 

 

セスナのトリムホイールhttps://ameblo.jp/taxi283/entry-12167705300.html
 

 

今日の記事は、垂直面での操作に特化したお話ですが、水平面でも、方向舵にタブがあるのが普通です。ぼくの軽飛行機の場合は、こちらは紙飛行機と同じ固定式で、飛行前に地上で調整します。安定というか、Pファクターやトルクを打ち消す作用が主ですが、これはまた別の記事にしています。

そして、さらには横転という、機軸に従った動きがあるのですが、これに関連する補助翼については、軽飛行機ではタブのないのも多いし、また別の機会の投稿とさせていただきます。

 

ではでは

Posted by 猫機長