日本の剣術に盾がない理由

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もちろん「置き盾」はあります。ここでは、兵士というか武士が携帯して戦うやつのことです。

日本の前に、西洋はどうかというと

古代ギリシア→ご存じ重装歩兵の主要装備で「盾と槍の隙間無い陣形は、並大抵では突破できず、ペルシア帝国との戦いでは、圧倒的な数の不利を逆転した(wikipedia)」

https://www.hlj.co.jp/product/ITA6024

 

 

古代ローマ→盾は四角い「スクトゥム」に発展し、重要な装備として定着。

https://nl.linkedin.com/pulse/stand-one-monique-g%C3%B6ttgens-hesselink-1e

 

 

ノルマン人→馬に乗ったときに足を守れるよう、丸型から涙滴型に変化。

https://www.ecpalmeirense.com.br/?q=norman-shield-hi-res-stock-photography-and-images-alamy-hh-ylWrl7Cr

 

 

ヨーロッパ騎士→涙滴型の上部を切って水平に。

https://br.pinterest.com/pin/614319205401189264/

 

 

 

この下の部分が丸まってヨーロッパの紋章(エスクード)が生まれました。紋章は識別、儀礼と共にちゃんと実用でも活躍したらしい。

紋章としての盾。ポルトガル・ブラジル・アルガルベス連合王国。王冠、地球儀と盾。https://gandaia.info/reino-unido-de-portugal-brasil-e-algarves-a-coroa-da-costa/

 

 

西洋ではがちがちの金属製鎧が生まれましたが、それでも盾は継続使用されたらしい。

 

中国はどうかというと

団牌(だんぱい)→鬼瓦みたいな模様の付いた丸い盾が広く利用された

https://www.sgss8.net/tpdq/36498586/

 

 

他にも、へんな形の盾がいろいろ使われた。古墳時代の日本とかでも輸入品か模造品かわかりませんが、こうした盾が使われていたらしい。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.taobao.com%2Flist%2Fproduct%2F%25E7%259B%25BE%25E7%2589%258C%25E4%25B8%25AD%25E5%259B%25BD%25E5%258F%25A4%25E4%25BB%25A3.htm&psig=AOvVaw06tStxReD8vCTBzPlFPiZX&ust=1717175140375000&source=images&cd=vfe&opi=89978449&ved=0CBQQjhxqFwoTCIDq0ZvutYYDFQAAAAAdAAAAABAK

 

 

というわけで、古今東西を問わず、盾は重要な武具として使用されてきました。

ところが、中世あたりから日本ではすたれてしまい。

 

なぜか?については百家争鳴ながら決定的な理由が見つからず。この記事で、飛行機乗りかつ剣道体験者の目線から解明してみます。

日本で盾が使われなくなったのには、一つの決定打を補強する数かずの理由があるとの理解。

もちろん「決定打」についてはこの記事の最後までとっておくので、まずは「その他もろもろ」の理由からご覧ください。

1)体格

一番えげつないけれど、一番切実な理由でもあります。

もちろん戦国武将など、大男ぞろいでしょうが、現代の日本人でもお相撲さんやバスケット選手みたいな体格を持っている人は本当に一握りであり。盾を担いでなんてやっていると、戦場に着くまでにばててしまい、合戦どころではなくなってしまったとの理解。

要するに食い物の違いで、霜降り肉みたいなのをありがたがっている状態では、バーベキュー食い放題の相手には勝てないということである。

ちょっと脱線ですが、剣道の日韓戦で、あとすこし日本選手に体格があったら、まっとうな剣道を押し通すじゃなかった貫くうえであんなに苦労しなくて済むのに、と思います。1998年のW杯でオランダが韓国を粉砕したのを見た人は、この意味が分かると思います。

日本の剣道選手でも最精鋭といえるのが機動隊。その機動隊員が一番嫌がる訓練が「盾を持って走る」ことだそうです。ポリカーボネート性の、軽量化しぬいた盾でも、警察剣道の猛者がばててしまうという、恐ろしい装備が盾であり、日本人にはとてもとても、、、というのが正直なところだった。

要すれば、日本人と西洋人の対格差は、P47と隼のエンジン馬力の差くらいはあったということで、P47はいくらでも防弾装備できたが、隼は。。。。でも、申し訳程度ながらちゃんと防弾装置を持っていた隼はえらいと思います。

栄養失調(隼:https://www.super-hobby.pt/zdjecia/9/8/0/1145_rn.jpg )と相撲取り(P47:https://www.super-hobby.pt/zdjecia/9/8/0/1145_rn.jpg)の対決。

 

 

相撲取りを圧倒するデブ野郎

https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2019/05/26/kiji/20190526s00005000412000c.html

 

 

結論として、トランプ級のデブ男にとっては大したことない盾の重さも、セーラー服おじさんでは持ち上げることもできない恐ろしいデッドウエイトとなってしまうということです。

セーラー服おじさん https://autoslide.jp/entertainment-an-honoka-2022/

 

 

 

2)戦術

戦国武将なんてトランプもびっくりのがいっぱいいたじゃね?なんで盾を使わないのか?

日本の戦術は「弓が主体」だからです。

よく、日本の武士は馬上から刀をふるうから盾を持てなかった、という意見がありますが、上記のとおり西洋では騎馬でも盾をつかうし、そのために盾も進化したりしました。手綱にぎれねえじゃん、という問いにも、別に手綱握らないまま馬にのりました、というケースもあり。

飛行機の場合でも、ちゃんとトリムを取れば、操縦かんから手を放しても飛んでゆけるのである。

西洋における中世の合戦を伝えるものに「ジョスト」があり。写真では手綱は握っているようですが、巨大な槍と共に盾もちゃんと主要装備として使っているのでした。

https://www.hevercastle.co.uk/wp-content/uploads/2021/08/ODX_Hever_Castle_Jousting_19-scaled.jpeg

 

 

日本で盾が使われなくなったのは、「手綱は握らなくても馬は走ってくれるが、両手でなければ弓は引けない」からです。

ちなみに、「大袖」を盾だよ、という人もおり、反対もしませんが、やっぱりぼくとしては「盾的な鎧のパーツ」と思います。

鎧というのは、後頭部や背中、脛など、尋常な一対一の勝負では切ってこない、集団戦の乱戦における背後からの打撃に備えるためのものであり。弓を引いたときに、両肩の大袖がいい具合に背中を守る、ということだったとの理解です。

もちろん、両手で弓を扱っているとき、盾は持てませんよね。。。。

大袖。 https://www.touken-world.jp/tips/51739/

 

 

3)日本で盾がすたれた本当の理由

といって、盾という重要なシールドを手放すというのは勇気がいると思います。

日本武士は主君のために死ぬのが任務だ!だから防御のための盾は持たないんだ!という人がおり。外人さんとかが感動していますが、ぼくはこの説には同意しません。それだったら、甲冑なんか着ないで、自分から進んでそれこそ「肉盾」になればいいだけの話ですから。

要するに、戦のプロである日本武士が、これなら盾は持たなくても大丈夫だね!と安心する何かがあったということである。

源平の騎馬武者が弓を引く都合上「大袖」で我慢したのはともかく、その後専門の弓隊、のちには鉄砲隊におおかた弓は譲って当世具足に発展しても、盾は復活しませんでした。

 

その理由は?

「真相はこうだ」。

秘密の名は「鎬(しのぎ)」

 

「鎬」の存在によって、日本武士は存分に両手で刀を振りまわすことができ、盾という防御に片手を奪われずに済むようになったのです。

 

鎬というのは、刀の側面にそそり立つ稜線のようなものです。

https://www.touken-world.jp/difficult-word/shinogijihiromedeshinogitakai/

 

 

切り合いになったとき、相手が降り下ろしてくる刀の鎬に、自分の方の鎬を擦り込んで「切り落とす」ことで、相手の刀は軌道がそれ、自分の刀が相手に「入る」のです。これは相手が突いてこようが、下から切り上げてこようが同じです。

つまり、鎬が盾と同様に相手の打ちをそらし、同時に空いた相手の中心をこちらの刀が切る。

日本刀操法の根本が切り落としにある、と言うのは、とある高段者が書いた本に載っており、事実との理解です。

でも、有識者の受け売りではなくて、ぼく自身これは納得、というのがあるのです。

それが「二刀」

ぼくは「逆二刀上下太刀」で、左手で大刀を上段に、右手で小刀を中段に構えています。

この小太刀が、相手の出てくる太刀を押さえる。と同時に大刀が相手の面を打つ。

 

 

一刀の場合は小刀の役目を鎬が受け持つことになります。

鎬で切り落として打つなんて、実は範士八段の先生でないとできない神業ですけど。

ところが、大太刀と小太刀に分かれて役割分担させれば、ぼくみたいなぶきっちょな初心者でも、何とか相手の太刀を押さえて打つ、というのができるのがふしぎです。残念ながら、小太刀を相手の太刀にぶつける、という感じになってしまい、鎬ですりおろす、には程遠いですけど。

というわけで、一刀を極めたい人は、いつかどこかの段階で二刀をやってみることをお勧めします。片手打ちなので、力任せのくそ握りでは竹刀が回ってくれません。また、利き手の小太刀で、相手の太刀を押さえるということを覚えることができ。

ぼくの習った二刀は、基本「二刀同時打ち」です。二刀流にもいろいろあるので、ご留意いただければ幸いなりです。

ちなみに、古流のすごい先生が「バックラー」という西洋の小さな盾を試しているという興味深い動画があるので掲載しておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=lLEy8JO-7Hw

 

 

バックラーの動きは、なんとなく二刀ちっくですが、だいたい受けのみで終わるか、受け、打ちの二動作になっており。小太刀で積極的に「相手の太刀を打ち」、同時に(くどいけど)大太刀で「相手の体を打つ」の方がいいと思います。

 

最後は剣道愛好家でないと意味不明か?

どうせ日本で盾が発達しなかった理由を「こうです」なんて断言は誰にもできないので、思い切り我流の発言ですが、何かの啓発になれば、幸せこの上ありません。

 

ではでは。。。

 

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