株とリート

Tags:

株とリート

どこがどう違うのか。株式投資と投資信託はぜんぜんちがうじゃないかー!という定義の話ではなく、投資家の立場から、利益を生む有用な武器としてのそれぞれの特色について記載します。

まず「現実世界と投資家をつなぐ窓」という点では双方同じです。コカ・コーラの株を買うのは、現実世界でコーラやファンタがますます売られ、利益が配当に還元されることを狙っています。HGBS11(ブラジルにあるショッピングセンターのリート)を買うのは、ショッピングセンターがどんどん売り上げを増して、やはり利益が配当に還元されることを狙っています。つまり、投資家はコカ・コーラやHGBSに投資することでこれらの組織が実業で利益を上げるための資金を文字通り提供しているのです。

ここに、両者の最大の違いも隠されています。株の場合、対象とする現実世界は無数の種類にわたっています。東電であればエネルギー部門。トヨタ株は自動車産業、というぐあいです。リートは「不動産投資信託」という名前が示す通り、対象は不動産。特に家賃です。

株は製造業、化学、薬品、石油、食品、鉄鋼などそれぞれの産業に対応した銘柄が存在する。一方リートは不動産に特化し、不動産の経済サイクルに依存している。

 

リートの収益のからくりは「①投資家は不動産投資法人を通じて運用会社に出資し」「②運用会社はリートの理念・目的に従ってリートを構築、運用し」「③その運用益の90%(日本の場合)を投資家に配当として還元する」となっています。具体的には①投資家は証券会社を通じるなどして市場でリートの証券(株)を購入。②運用会社は該当するリートを運用。たとえは上記HGBSの場合、この銘柄に含まれる複数のショッピングセンターの運営をモニタリングし、利益確保に努める。場合によっては、新たなショッピングセンターにおける運営権の入手や、思わしくないショッピングセンターについては売却するなどもあるが、基本はポートフォリオ内にある複数のショッピングセンターにおける家賃を確保するよう運営する。そして③家賃は配当へ転換し証券会社を通じて投資家の口座に振り込まれる。

株の場合も証券会社を通じての取引ですが、リートの方が「投資信託」であるぶん関係する組織が増え(投資法人、運用会社のほかにも多数あり)ややこしいかもしれません。ただし、市場を通じて購入・売却し、証券会社管理を通じて配当を受け取るという投資家から見た実利面では同じです。

もう一つ不労所得構築の面で重要な違いは、リートの場合上記のとおり利益の90%超を分配することが事実上決まっており、それは定期的に配当を得られることを意味しています。ブラジルのリートやアメリカのUSREITなど配当は毎月のもの多数あり、月給と同じ感覚で(元本取り崩しなしで)不労所得が自動的に銀行口座に振り込まれ、毎月の所得構築に重要な武器となっています。

*注意!日本の毎月分配型ファンドで、利益が出ようが出まいが一定の金額を分配するというのがあり、実は利益が出ないことがおおく、実質は投資対象事業の資本を取り崩して配当する「タコ足配当」が生じ、気が付いたら事業は資金ゼロになり消滅、というのもありましたが、ここでのリートは「利益の95%(ブラジルの場合)」なので、利益の出ない月は原則分配する義務はなく、元本は保護されます。

さてここでもう一つ重要な「元本の保護」が出てきました。実は株とリートの最も大きな差はここにあるかもしれません。

株の場合、元本つまり事業体が将来存続し発展してゆくかは全くの未知数です。例えば、アナログ時計を作っていた会社は、デジタル時計の出現で絶滅の危機に瀕してしまいました。カメラ業界も似たようなことがあり。

リートの場合、不動産業界が発展してゆく限り元本はインフレなどから保護され増加してゆきます。ただ日本の場合、人口減少により不動産の価値は減少してゆく一方の傾向あり、高金利国・資源国、特に「人口ボーナス期にある国(1.8)」への投資が重要です。新興国が怖い人はUSREITで少額から挑戦してみましょう。僕はオールブラジルリートで年利率6~7%達成しています。

*もう一度注意!株にしろリートにしろ市場投資であり、定期貯金のような元本保証はありません。僕の投資しているブラジルでは実体経済に合わせて元本の市場価格が年間20%近く上がったり下がったりします。安心できないですが、元本が上下しても事業さえ順調にいっていれば配当(家賃)は維持されるので、へたな債券より安全だったりします。個人的見解ですが。ちなみに、1999年に1口100レアルだったリートSHPHは2019年に900レアルを突破しました。ブラジル中央銀行のデータでは同期間のインフレ(IGPM指標)は305%、405レアルなので、1口当たり900-405=495レアルの元本増加になりました。ざっくりですが20年で4倍、5年で倍、1年あたりインフレ抜きで20%の増加ですね。(参考リンク:https://www3.bcb.gov.br/CALCIDADAO/publico/corrigirPorIndice.do?method=corrigirPorIndice

なお、元本そのものの増減については別の記事(1.6)にしています。

ポイント要約すると

  1. リートと株は、配当が得られること、証券会社を通じて市場への投資をすることで金融市場変動のリスクはある(元本保証はない)。この点は同じ。
  2. 株は、どの企業の株を買うのかでその後の利益が大きく分かれ、かつ一定しない。リートは銘柄による変動はあるにしても不動産業界全体の動きに従って規則性や展望が得られる(ただし日本は不動産事情が悪化しており、市場規模が段違いで成熟し安定性のあるUS-REITや人口ボ―ナスの国のリートに投資するなど工夫が重要)
  3. 上記のとおり産業熟成した国(日本は減退)、人口ボーナスの国の不動産産業はインフレを超えて拡大する傾向にあり、これらのリートを買えば元本をインフレから守ることができる。株はまったく未知数(普通はインフレに勝つ)
  4. リートの場合、毎月分配型あり。リタイヤ後の毎月の支出のカバーに最適(ただしブラジルの場合です、ははは)。

 

上記から、僕の場合はリートと債券に分散しています。

元本の話が出てきたところで、元本そのものの増加で資産拡大を狙うキャピタルゲイン投資について、次回で説明します。ではでは。。。。

Tags:

コメントを残す

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。