恐怖の航空健康診断
人間生きているといろいろな目にあい。
ぼくはレクリエーションパイロット(Piloto Aerodesportivo)というカテゴリーの免許を持っていますが、年1回の健康証明ライセンス(CMA)更新が義務付けられており。
といって、レクリエーションパイロットの健康証明種目は、エアラインパイロットだの空軍パイロットだのにくらべればぜんぜんゆるゆる、楽勝だぜー!なので、毎年CMA更新専門の、空軍に指定されたクリニックに行ってのんびり再検査しています。
飛行機関係者は朝が早いけれど、クリニックは朝7時30分から業務開始。でも採血は7時からやっているよ、ということで、早めに行ったら6時45分前ころに着いちゃった!でも受付のお姉さんは、どうぞおはいり、と時間前なのに入れてくれました。
さすがにまだ誰もいないクリニックの受付。
7時きっかりかさらにその前か?どきどき素敵女子の看護師さんに呼ばれ。あっという間に採血がおわり
採血の後には、ジュースとかビスケットが無料で食べられるようになっていた
しかし、その間にも空軍への申請書類とかを書かされ、なかなか忙しく。せっかくのジュースも飲む暇がなかったので、お持ち帰りして、ぼくのとあるガールフレンド(15歳)にあげることにしました。
15歳のガールフレンド
この申請書類がなかなか厄介で、「自殺願望はあるか?」「お前は麻薬常習者か?」みたいな(あくまで「みたいな」ですよ)お決まりの質問もあれば、突然「本日までの飛行時間を記入せよ」とかいう項目が出てきたりとか、トラップ満載、不合格にしてやるぞという悪意に満ちた恐ろしい書類であり。
飛行時間まで覚えてるかい!いい加減に1080時間と書いたら、受付のお姉さんから、去年の時に1081時間と書いており、これじゃ不合格だよ!と教えてもらい、しょうがないので民間航空局連動のデジタルフライトログとかから拾い出して書き直すなど、なかなか大変であった。
formulario-de-antecedentes-medicos.pdf
そうこうしているうち、別の素敵女子に、とある密室に連れ込まれてしまい。
あっという間に半裸にされたあげく、タコの吸盤みたいな変なのを体中に張り付けられ。そこから今度は末期患者みたいに電線が張られてしまい。
要すれば心電図でした。いやいや吸盤やバッドが冷たくてくすぐったくて、まいりました。
その後、いったん待合室で待っておれ、ということになり。
待合室。ここでもコーヒーとチーズパンが。
この時点では、ちらほらと他のパイロットとかも来院し始めており。待合室もにぎやかになり始めていたのでした。
今度は眼科医によばれ。ちょっと緊張。
でもふつーに片眼をふさいで、この列を読みなさい、みたいなかんじであり、あとは色覚異常検査で、こちらはすいすいといけました。
色覚異常検査
https://yokoyama-ganka.jp/color-test/
上の画像で「38」が読めない人は落ちます。なあんて。ははは
航空健康証明は、1級から4級まであり。僕みたいな一番ゆるゆるの4級受診者は、お医者さんのほうでもリラックスして対応していました。
これが後ろに100人,200人の乗客を乗せる1級とかだと、パイロットも医者も相当プレッシャーがかかるものと思います。
2人乗りの、ちいさな飛行機に乗っています。
この後、最後は総合医というのか内科医というのかとざっくばらんにインタビュー。医者から見ても、別に逆噴射だの急降下だので多数の人56しをやる危険性のない軽飛行機パイロット相手なので、ちゃんとフツーに、特に空港エアトラフィックに迷惑をかけないよね?という部分はお互いに再確認したうえで、壁に貼ってあるCITABRIAの写真をみて、あああお医者さんはCITABRIAのパイロットだったの?みたいな雑談もしたりしました(といってこう言った雑談でも危険人物かどうかとか実は検査されてたりして)。
ということで無罪放免。この時点ですでに正午を超えていました。
世界の名機CITABRIA New Aircraft, American Champion Citabria – AV8 Flight School
昨日は10時間の絶食だったので、これでラマダン明けだぜー!とクリニック近くの日本食品店で焼きそばだの日本そばだの納豆だのを買い込み。
その日の夜は、ビールを痛飲、ぎらぎらと油の光る焼きそばで食い倒れたのでした。
というか、食い倒れのその瞬間、ぴこぽーん!とスマホが鳴り。
不吉なものを感じて、つい手に取ると、クリニックからの連絡が。
「オマエのトリグリセライドが異常値の533になっている。このままでは不合格だ」
という強迫メッセージが入っていました。
せっかくの酔いも吹き飛び。
そもそもトリグリセライドってなんだ?
中性脂肪のことらしい。
しかしですね、去年は192で、低くはないにしても今年突然533なんて、ありうるのか?
クリニックのほうでも「もう一度どっか別の検査施設で再検査してこい。それまで書類は保留で、とっとと再検査しないとぴーめんだぞ!」と連絡してきていました。
ちゃんと10時間の絶食を守ったのに?その日は1日ブルー
翌日は土曜でしたが、24時間営業の検査施設があったので、そこでLIPIDIOGRAMだけ再検査してもらいました。
検査結果は月曜には出るよーということだったのですが、ここまでの異常値が出るということは、なんか変な病気でもあるのか、とか心配ですよねーとともに、もし再検査でも異常値が出て、ライセンス更新期限までに間に合わなくなったらどうしよう?
ともかく、異常値再発の場合は、1週間開けて期限ぎりぎり最後の抵抗でもう一回再検査だ!そのためには断酒、砂糖絶ち、パン絶ち、ラーメン絶ち、なんて餓死に追い込まれそうだが、ビール代わりとしてガス入りミネラルウオーター買いまくったりとか、必死になって右往左往したのだった。
一昨日土曜の再検査の結果は今日月曜の18時以降、のはずだったが、検査機関のHPに、朝9時には結果が出ていました。
トリグリセライドの数値は「110」
どへへへ―去年の192より低いじゃん?
すかさずクリニックに送り。なんと40分後には無事空軍からの更新が通知されたのでした。
あーよかった
2027年2月14日まで更新されたCMA(更新申請は2026年1月30日、承認は2月2日)
アメリカはじめ世界との連携があり、世界基準で迅速なブラジル空軍に感謝。
今回の教訓というか、みなさんが今後航空身体検査を突破されるうえでのポイントは次の通り。
◎中性脂肪(トリグリセライド)の数値の乱高下は、医学的に見て「よくあること」らしい。
◎1日の中で数百単位で変動することは珍しくない。「昨日は500だったが今日は100」というのは、臨床現場では驚くようなことではない」そうである。
といって、「500」と出てしまえば、それは「更新不可能。ぴーめんだ!」という死刑宣告ですからねーちなみに「ぴーめん」とは「パイロット免除」という意味で、自衛隊だけでなくあらゆるパイロットに対しての呪いのことばです。
どうすれば回避できたか?
◎結局「10時間絶食」を信じた私がばかでした、ということらしい。10時間どころか、前日の食事が「直撃」するらしく。検査前24時間以内にアルコールや高カロリーな食事を摂取すると、数値は跳ね上がる危険があるので、航空身体検査の48時間前からアルコールを控え、揚げ物やラーメン、焼きそばなどの高脂質・高炭水化物の食事を避けるようにしたほうが安全ということである。僕は医者ではないので、すべて「らしい」とにごしていますが。
といって、今回の「110」の前日も、この記事の通り「ビールに焼きそばでぶっ倒れ」ていだんですよねーまあ今回は肝臓が決死の解毒というか分解というかしてくれ、血液に脂肪が流出?放出?せずに助かったのだと思います。
いやいや油断しきって看護師さんのお姉さんにこなをかけていたら、思わぬ地雷を踏んでしまいました。人生油断も隙もないですねえ。
「再度の再検査」に備えて、一晩一本の計算で買い込んだガス入りミネラルウオーター。一本開けた時点で正常値が確定し、安堵しました。
ではでは