カルロスゴーン65歳。ビジネスオーナーの最後。

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カルロスゴーン65歳。ビジネスオーナーの最後。

日産中興の祖(だった?)ゴーンさん。ブラジルに生まれ、ハイパーインフレ時代のミシュラン南米事業部立て直しに成功し、北米事業部のCEOを務めた後にルノーの上席社長へ華麗な転身。日産との提携により日本に乗り込み、日産のCEOに。日産リバイバルプランを発表し、大幅なリストラを断行。3年後には最終損益3414億円の黒字を達成し、トヨタの2835億円を追い越して日本いちいいいー!さらには三菱自動車の株式34%も購入するなど日本の自動車会を牛耳るドンになりました。

まさに「天下一大物伝」というか、「なれあい禁止・なあなあはダメ!絶対!」の欧米式のビジネスモデルを導入して日産のV字回復を可能とした稀代のビジネスオーナ―に。

で完結していればよかったのだけれど。。。

「金品商品取引法違反」で逮捕されちゃいました。自分の報酬を実際より少なく見せかけたという容疑がかけられ、さらには会社の資金を着服したという疑惑も発生したりして、保釈からさらに再逮捕になってしまい。マクロン大統領と安部さんの話し合いがあったか?再保釈された機会に見事日本を脱出しレバノンへ。大英雄として迎えられているらしい。

その脱出がまた傑作で、元グリーンベレー(米軍特殊部隊)のつわものの協力で「楽器の箱に隠れて」出国したそうな。


The Asahi Shimbunコレクションより

さて、世界有数の大企業を渡り歩き、報酬もはんぱなかったはずなのに、なんで「着服」だのなんだのをやる必要があるんだ?ゴーンシンパによれば、これはリストラなどで恨みを買い、うまく罪状をでっちあげられてダメにされたんだ!という意見もあり、また、「日本の検察・警察・司法は推定有罪としか言えない対応を行っている!中世暗黒時代も真っ青な一方的・強圧的な司法だ!」というかなり鋭いツッコミが欧米からなされ、ゴーンさんの脱出を妥当とする空気さえあるのですが、オランダで設立した「ルノー日産」合弁会社関連で使用されるべき資金の一部がなぜかブラジルとレバノンのゴーンさん自宅に化けていたなど、どこまで本当かはともかく、こうした騒ぎを引き起こす行動をしたということは否めないと思います(でもそれが犯罪かどうかは少なくとも今のところ不明)。

せっかく業界を制覇し、資産もうなるほどになったのに、なぜ自分からぶち壊してしまったのか?なんとなく豊臣秀吉を思い浮かべてしまします。

秀吉さんの場合はゴーンさんよりもっと貧しいお百姓さんからのスタートでしたが、海賊だろうがお百姓だろうが味方につけて目指す成果を達成してしまう「多文化体制のクロスマネジメント」で、一夜城とか、高松城の水攻めとか、頭の固い武士であれば「卑怯だ!そんないくさがあるか!」みたいな、言い換えればあっと驚くアイデアを駆使して関白まで上り詰めました。

でも朝鮮出兵とか百害あって一利なしのことをやってしまい。豊臣家滅亡になってしまいました。

ゴーンさんももうかるビジネスを作って繁栄へ一直線!だったのに?なぜ、最後は破滅への道を歩んでしまったのでしょうか。

結局、成金にはなれても資本家には進化できなかったということなのでしょう。

成金の人は、24時間利益を追い求め。リストラだろうが水攻めだろうが普通の人ではできないような奇想天外な荒業を次々と繰り出して頂点まで上り詰めますが、その過程でいつの間にか「事業達成のために荒業も辞さず」から「荒業をやることこそが人生だ」になってしまい、事業達成後も空回りしてしまう。あげく「あれ、警察から犯罪者にされちゃった。そんなつもりはないのに(ゴーンさん)」「朝鮮の人から悪魔呼ばわりされちゃった。そんなつもりないのに(秀吉さん)」となってしまうのだとおもいます。

目的と手段の区別がつかなくなり、手段におぼれて破滅してしまうのです。

成金から破滅してしまう人と、資本家として継続できる人の違い。目的と手段の区別がつかなくなってしまう理由は、どこにあるのでしょうか。

それは、ずばり!「自己遡及性があるかどうか」です。

詳しくは別記事(食われる側の倫理)に書いていますが、要するに破滅する人は自分自身についての意識(自覚)がないのです。ソクラテス(ベーシックインカム)は「自分は自分が無知であることを知っている(十牛図」といいましたが、ゴーンさんは「無知であるかどうか以前に自分というものを把握(哲学的に考察)する気がない」。秀吉さんは「ものすごくつよい自我があり、この自我こそが爆発的な成功の原動力」ながら「一方で自我の発生源である自己(人格)が確立しておらず、常に外部からの賞賛を浴びていないと安心できない」「そのためにとどまるところを知らない膨張(権力・富の集中)をやめることができない」という残念な「生涯現役(労働所得と不労所得)」タイプで、ゴーンさんに至っては、膨脹は法の一線を越えて塀の内側へ落ちてしまいました。

昆虫をつかまえると、脚をバタバタさせることあり。しかし、「つかまえるということの反射でバタバタさせている」だけであって、脳に大脳皮質がない昆虫は「つかまえられた、やばいぞ、逃げろ」という思考活動をしているわけではありません。逃げようとしますが、これは思考の結果ではなく本能により動いているだけです。

成金の人も、本能的にお金儲けをしているだけで、お金もうけをしている自分はだれ?なぜお金もうけをしているの?その結果どうしたいの?という自分自身に対する問いかけつまり「自己遡及」がないので、お金という「神の手」につかまれたバッタのごとく死ぬまでもがもがと手足をばたつかせ、最後は「神の手」で握りつぶされてしまうのです。

というわけで、ビジネスなりで一定の成功(4%ルール)を納めたら、しゃかりきに努力している自分からいったん幽体離脱(とにかく飛んでみようして客観的に自分を見つめなおし(本物の富裕層とは新たな自分(第1図)さがしの旅を考えてみるのもよいかもしれません。

すごいえらそうになってしまいました。ゴーンさんはレバノンでたい焼きが食べたいな、なんて思っているかもしれません。ラーメンもたいやきもあるブラジルに来ればいいのにね。(その前に服役が必要になるか?)


東京の四谷にある「わかば」のたい焼き

ではでは。。。

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