啓発本、と言われる類の中でも、一世を風靡し、現在でも有名なのに「チーズはどこへ消えた」というのがあります。
Wikipediaでは
「『チーズはどこへ消えた?』(英語原題:Who Moved My Cheese?)は、アメリカ合衆国の医学博士・心理学者であるスペンサー・ジョンソン(英語版)が著した童話、ビジネス書。1998年にアメリカで出版され、2019年時点で2800万部を超えるベストセラーとなっている。」
あれ童話だったっけ?こんな「童話」を読んだ子供はアダルトチルドレンになってしまうのでは?
かんじんのSinopseすなわち内容の概要がWikipediaには載っておらず。むりやり要約しちゃえ!ということで以下の通りとなりました。
(参考:【要約】『チーズはどこへ消えた?』のあらすじ【20代向けの名著】 | 小売オタク)
チーズのある静物(Still Life with Cheese ) ギョーム・ロマン・フエース
◎登場人物は、小人の「ヘム」と「ホー」、そしてネズミの「スニッフ」と「スカリー」です。
◎この2人と2匹が迷路にあるチーズを探していると「チーズステーションC」で大量のチーズを発見。幸せな日々を過ごしていた。
◎ところが、ある日チーズは消滅してしまった。
◎ネズミどもは本能のおもむくまま別の場所にチーズを探しに行き。しかし人間どもは泣き言や繰り言をのべるばかりで「ステーションC」から離れることができず。
◎ヘムが「何もしないでこのままステーションCにいるべき。チーズはいつかは戻ってくるはずだ!」とだだをこねる一方、ホーは「とっとと身を危険にさらして新たなチーズステーションを探検に行くべきだ!」と見境もなくわめき。
◎引きこもりのヘムを残し、ホーはサンゴヘビや猛獣、政治家やB29と出くわす危機を無視して、闇くもに迷路に飛び込んでいった。
◎ところが、企業家(経産省、経団連)の加護があったホーは、いくらブラックな探検を強いられても生き延び。「俺は不死身のホーだああああ!」と、ついに新しいチーズを見つけることができたのでした。
めでたしめでたし
元ネタはこちら。ゴールデンカムイ
https://www.suruga-ya.jp/product/detail/892141554
ではなく、これ以上なく「めでたくなしめでたくなし」という終わり方になってしまっています。
いったい、この「童話」で、世の指導層は、しがないサラリーマンのあなたに何を求めようとしているのか?
上記参考リンクから、以下そのまま抜粋します。
「迷路で旅をするうちに、ホーはいくつかのことを学びました。
変化は起きる→チーズはつねに持っていかれ、消える
変化を予期せよ→チーズが消えることに備えよ
変化にすばやく適応すること→古いチーズを諦めればそれだけ早く新しいチーズを楽しむことができる。
変化できないのは恐怖があるからだ→迷路の中には何があるかわからない。
ホーは自分を変えて、新しくチーズステーションNにたどり着きました。チーズステーションNには、新しいたくさんのチーズがありました。
そこには、すでにネズミのスニッフとスカリーがいました。2匹はすでにチーズを食べて満腹の様子でした。
こうしてホーは自分を変え、迷路の中で学び、新しいチーズを掴み取ることができました。」
上記から、いよいよこの本が、いかに読者の魂を抜き去り、単なる家畜になるよう誘導しているかということが明らかになります。
チーズが何を象徴しているかについては、ここでは「収入」、「生活の保障」をひっくるめて「お金」としておきます。
チーズのある静物、1615年 (Still Life with Cheese, c.1615 ) ヴァン・ダイク
この本のエッセンス部分である「チーズ」を「お金」に替えたうえで、説明を加えるとこうなるのでした。
- 変化は起きる→お金はつねに持っていかれ、消える
- 変化を予期せよ→お金が消えることに備えよ
◇なるほど、お金というものはなくなってしまうものであり、消えることをあらかじめ覚悟せよ、ということですか。ふーん。
- 変化にすばやく適応すること→古いお金を諦めればそれだけ早く新しいお金を楽しむことができる。
◇要するに、今あるお金に執着するな。あきらめろ。そうすれば新らしい収入が得られるぞ、と言いたいのでしょうか。人口オーナスの今日、「新しいチーズ」が発見できる保証が、どこにあるのでしょうか。さらに言えば、変化に素早く適応しろ、と突き放しておきながら、どうすれば適応できるかということには触れていない、恐ろしく無責任な誘導になっています。
- 変化できないのは恐怖があるからだ→迷路の中には何があるかわからない。
◇当たり前です。自分も家族も危険にさらすような生活の変化に、抵抗もなく飛び込んでいく「12歳の幼稚な子供」になれ、ということなのでしょうか。
そして、この本の極めつけの本質が、以下で明示されています。
- ホーは自分を変えて、新しくお金ステーションNにたどり着きました。ステーションNには、新しいたくさんのお金がありました。そこには、すでにネズミのスニッフとスカリーがいました。2匹はすでに「チーズを食べて」満腹の様子でした。
◇すべてお前が悪い。お前が変化して「ステーションN」に順応できなければ餓死だ。4んじまえ、ということです。
どんな変化をすればたどり着けるか、というお手本が「すでにネズミのスニッフとスカリーがいました」ですからねー
要するに、この本のメッセージは、
「思考能力を捨てろ。うだうだ能書きをたれずに本能的に「チーズを探す」ネズミ畜生になれ」
ということなのです。
パン、チーズ、ワイン、プレッツェルのある静物(Still Life with bread, cheese, wine and pretzels )Osias the Elder Beert https://www.meisterdrucke.jp/fine-art-prints/Osias-the-Elder-Beert/72287/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%80%81%E3%83%81%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%80%81%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%80%81%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%84%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E9%9D%99%E7%89%A9.html
「予期せよ」とか「適応する」とか、いかにもかっこいいことを書いていますが、「どんなクライテリアで」「どのようなリスクを計算して」「どのような成果を見越して」といった思考・計画の部分を見事に消し去って、ネズミ畜生のように見境なく走り回れ、とけしかけているに過ぎないように思ってしまうのは私だけでしょうか。
ホーのように、やみくもに新しいステーションを探すことで、必ずステーションが見つかる、という保証があれば、この本も多少はあなたの役に立つことでしょう。
しかし、ステーションを見つけるための具体的な手掛かりは提示せずに「お前が変われ」ということに終始するこの本の意図としてどんなものが隠されているのか。
あなたが、変化に変化を重ね、汗みどろになって新しいステーションを探す労働をしているとき、その労働の成果をかすめ取っている組織などがないでしょうか。
この本は、あなたが新たなステーションを探し当てようが、あるいは探し当てることができないまま哀れな過労死を迎えようが、必死になって労働することのみが人生だということを刷り込もうとしていないでしょうか。
いよいよ核心です。
この本が、あなたを「ネズミ車をひたすら回すような」絶望的な労働に落としいれることを正当化する本だとわかったうえで、あなたが穏やかに、質素に生きていくうえで必要な量のチーズ(お金)を、会社だの雇用主だのにかすめ取られないで確保するためには、どうしたらよいのでしょうか。
結論は「ヘムに学べ」です。
もちろん、ただのニートではいけません。
「チーズの本質を理解し、チーズを使いこなすニート」になる必要があります。
「本質」といっても、そんなに崇高とか深遠なものではありません。
「チーズはどこへも消えません」ということを理解していればいいのです。
別に質量保存の法則について説明したいわけではありません。「金は天下の回りもの」だと言いたいのです。
ステーションCで、ありあまるチーズを発見したとき、バカみたいにむしゃむしゃ食ってしまうのが間違いなのである。
有り余っているわけですよね?ネズミのように何も考えずに食うのではなく。債権に変えて利食いするなり、株だろうがリートだろうが、不労所得を生む資産にとっとと変えて、幸せな配当生活をすればよいのです。
「労働しなければチーズは得られない」から「チーズがチーズを生んでくれる」ように、あなたが変化するのではなくて、所得の方で変化、進化、増加するように計画実行すればいいのです。
「やみくもに迷路を走る」よりずっとましである。
チーズとドライデザート(Cheese and Dry Dessert ) Jacob Foppens van Es
では、どうやって配当だけで生活できる量の「チーズ」を築き上げるのか。
これは、楽しくてためになるサイト「アーリーリタイア・軽飛行機で空を飛ぶ」の特に「Financial」の部分をご精読ください。
3000字越えで終了。
ではでは
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