軽飛行機で乾季の高原を飛行
最近、やれ西洋美術史だのやれ不動産投資だの「ふむふむ」と考え込む気難しい記事ばっかりだったので、久しぶりにぽけっと空を飛んだ記事にします。
さて、新型コロナ自粛によって飛行回数が激減しちゃってますが、機材(つまり飛行機、特にエンジン)のメンテとパイロット自身の技量の維持のため、こないだぼくのホームベースから、とある農場の滑走路まで行って帰ってきました。これがコロナ禍とかでなかったら、素敵女子と一緒に観光地(ピレノポリスの記事ご参照)とかにいくんだけどなー。まあいいや。
で、ぼくの自宅のあるブラジリア市内から車で40分の距離にあるホームベースの格納庫に、前日のうちに移動しておき、格納庫内の居住スペースで一泊。
格納庫。左奥の白い部屋が居住スペース。
翌朝6時起床。格納庫内は18度。外気温度は16度くらいかな。。。フライトジャケットがちょうどいい温度です。
飛行機乗りに便利な機能がつまったフラジャケ。
真っ先にピトー管の保護カバーを外します。外さないとどうなるかはこちらの記事→「ピトー管」をどうぞ。
そして、すぐ正副操縦士席の間にあるフラップレバー(ハンドブレーキみたいなやつ)の下にあるメイン燃料コックを開いておきます。
これも駐機中は閉めておき、ガソリンタンクからの圧力がキャブレターにストレスをかけるのを防いでいます。ただし、閉めたまま離陸してしまい、離陸途中でガス欠、落着なんて事故が後を絶たず。ピトー管と燃料計は何より先に!確認するよう自動反射で覚えこむよう努力しています。
ハンガーの戸をあけ放ちます。ううむ開放感がたまらん
8月にしては穏やかそのものの空。木々の葉っぱや、飛行場管理人の家の洗濯物が微動だにせず。
管理人の飼っている犬がのこのこ遊びに来ましたが、おまえなんかかまってやらないよーん、と知らん顔していたら、すねて居なくなりました。
そんなことよりドレンの方が重要です。写真の赤丸の部分がドレン弁で、ここからガソリンを少し抜き取り、水や不純物がないか調べます。
飛行機(Rans Super Coyote,こよーて君と呼んでいます)をハンガーの外に引っ張り出し
いったん居住区内にもどり、電話でAPP(空軍の管制当局)を呼び出します。
昨日のうちに許可をもらっておいたフライトプラン(写真左)の情報を提示して、トランスポンダー番号(管制と通信する際のぼくの飛行機のコード番号となるもの)をもらいます。今日は0433,ということで、チェックリスト(右写真の二―ボードにはりつけてます)にえんぴつで書いておきます。
格納庫の戸締りをして、飛行機にもどります。
おっと、飛行機けん引用アームを外し忘れちゃってた!はずします
これまた、外さないでタキシングしてしまい、地面の凹凸で跳ね上がってプロペラに当たっちゃたら大変!プロペラだけでなくクランクシャフトもやられるので、忘れるのはダメ!絶対!です。(離陸しちゃうと、着陸時に事故は免れないので、くれぐれも皆さんが自家用機で飛ぶ場合はお気を付けください)。
飛行機に乗り込みます。
ピトー管カバーとり外しからここまでで30分。ううむ安物そのものの腕時計だ。
離陸はフライトプランで7時30分、ちょっと時間があるので自撮りしました
本来はコンタクトレンズですが、COVID対策で、めがねです
計器のある風景
写真を撮って遊んでいたら離陸時間が迫り。まず電気ガソリンポンプのボタン(上の写真の中の一つです、ははは)を押して、燃料フィルターとキャブにガソリンを送り込みます。
ぽちっとスイッチを押すと、カタカタカタ、ブルブルブル、チチチチ、ぐぐぐぎゅるぎゅるぎゅる、ぎゅぎゅぎゅぎゅ、とだんだん音がくぐもっていきます。ぎゅぎゅぎゅ、まで行ったらスイッチをオフにします。
2週間に1度と低頻度でしかエンジンを回していないため、キャブなどガソリン蒸発してカラになっちゃうので、こうしてガソリンをあらかじめ送り込んでおきます。やりすぎるとがぶるので注意。こういうちょっとしたあんちょこ?がROTAX4サイクルエンジン全般で活用できるので、覚えておいて下さい(航空エンジンです。バイクの方は?です)。
エンジンスタート。暖機運転開始。
この眺めはやっぱり「COMPOSITIONVIII」ですねーカンディンスキーは飛行機乗りだったかもしれん
なんのこっちゃ?脱線でしたすみません
この時点でのエンジン計器はこんな感じ。
上左から電気系当(電圧計)OK,エンジン回転計2500でOK,左シリンダーヘッド180度下でOK,中左から油圧計ちょっと高いけどまだエンジンが冷えてるからOK、油温計OK,バキュームメータはROTAXエンジンでは使用しない(自動ミクスチャーなので不用。コンチネンタルエンジンとかだったら重要です)ので、そもそも接続されておらず数値0でOK。下段は画面から這い出ちゃいましたが、ラジエター水圧、水温計と、右シリンダーヘッド温度でいずれもOK。
この間、ラジオやGPS,航法灯、着陸灯などもONにします。
いよいよ滑走路エンドに進出。画面右の吹き流しが風速ゼロの穏やかな空を示していることに注目。
エンジン全開、離陸します。
ブラジリア市街を左に見ながら、ぐんぐん上昇していきます。4500フィートでAPP(管制)を呼び出し、飛行許可と飛行高度(FL065)、目的地までの直進許可をもらい、今日の大気密度でのFL065に該当する7200フィートくらいだったかな?まで上がって行きます。
水平飛行に移る直前のエンジン計器。離陸・上昇はエンジンに最も負荷がかかる状態なので、注意します。写真ではおおむね温度関連は高め、油圧は低めですが、ぜんぶ緑色内におさまっておりOK。左に見える0433が飛行前にもらっておいたトランスポンダーコード。FL064↑はまだ上昇してるよ、という表示です。
雲一つない青空をのしのし飛んでいきます。
赤茶けた乾季のブラジル高原
航空図、眼下の地形、GPSで機位確認します。対地速度73.3ノットで速度計の対気速度とほぼ同じ、つまり向かい風など無しの微風であること、目的地滑走路まで14分55秒で到達予定、針路328度のところ、機首が327度なので右に1度修正せよ、などの表示がわかります。
さらに6分くらい飛んで、そろそろ滑走路が見え始めるかな。。。でも全然見えてこないな、とのこのこ飛んでいたら、滑走路直上になってやっと気づきました。ははは
上と下はそっくりに見えますが、180度旋回前後の写真です。よしよし、のら牛とかが滑走路上に歩いていないな。。。。
周回経路を回って、下降していきます。
ここから先より着陸までは、両手両足をフルに使うので写真はなし。ごめんなさい。。。
で、着陸直後の写真。
いいぐあいに滑走路端の3分の一地点で接地、滑走路のまんなかぐらいでストップできました。ちなみにここの滑走路は830メートル、アスファルト舗装ですが、なぜかつるつる滑ってしまい。離着陸とも気をつかいました。この地点からでも離陸できそうですが、奥に木が連なっているので、おとなしく滑走路端(つまり木の根元)までタキシングしてゆき、180度転回して離陸することにしました。
で、離陸。こちら側からは、滑走路前方に全く障害物がないことがわかります。
上昇旋回。離陸から180度旋回した状態。
ぐんぐん上昇していきます。
この区間では気流がとても穏やかで、トリムを合わせたら操縦かんを離したままでまっすぐ上昇できました
副燃料コックを開けて、胴体内タンクに加え翼内タンクも使用。
帰りはFL055まで上昇。計器高度(今日の気圧で計った真正高度)は6000フィートでした。GPSは「マップモード」にして管制とのコンタクトポイント(地点)などがわかるようにしています。
青い湖や白い建物のブラジリアに戻ってきました。市街地の直上は避けて飛んでいます。
ホームベースの滑走路に到着。
朝9時ちょっとに着陸。早くも8月の風が荒れくるい始めており、ノーフラップでちょっと揺られながら接地しました。
吹き流し。15ノットくらいでているかな?
往復で140キロ、エンジンスタートからカットまで1時間44分でした(実際の飛行時間は1時間20分くらい)
最後までお付き合いありがとうございました。ではでは。。。
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