功過格:資本主義アニマル中国人の神髄

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功過格:資本主義アニマル中国人の神髄

以前「因果応報」についての記事SpiritualS.2.で、いいことをしても報われるとは限らない、と書きました。

つまり、善はそれ自体が善であり、善の数値や報酬を計算する必要はないという意味なのですが、これとは違う考えで「功過格」(こうかかく)があります。

「功過格」は「自分の行ったことは必ず自分に帰ってくる」という考えで、細かく「やるべきこと」「やるべきでないこと」を分けて、例えば万引きしたらマイナスX点、でも自殺しようとしている人を引き留めたらプラスY点で、マイナスとプラスを差し引いてプラスになるようにしましょう、みたいないかにも計算能力の高い中国人らしい考えです。

功過格表(抜粋、オリジナルはもっと多数の項目に分かれています)

功 (善  行) 過 (悪  行)
1人の者の命を救う 100 1人の者を死に至らしめる 100
1人の女性の貞節を守らせる 100 1人の女性の節操を失わせる 100
1人の身寄りのない人を養う 50 1つの婚姻を破談にする 50
1人の浮浪者を助ける 50 1人の者を浮浪者にする 50
1人の非行者を教導する 30 1人の者を中傷誹謗する 30
1人の冤罪者を救う 30 1人の個人的な事情を暴いて妨害する 30
1人の能力ある者を推挙する 10 1人の行為の思わしくない者を推薦する 10
1人の重病人を快復させる手伝いをする 10 生き物を殺す道具を1つ所持する 10
1人の者の訴訟を諭して止めさせる 公序良俗を乱す文書を1つ作る
人々に健康増進の方法を1つ伝える 1人の傷病人が助けを求めても救済しない
1つの誹謗を受けても抗弁しない 1人の者の悪口を言って傷付ける
1人の善行を褒める 1人の業績を無にしてしまう
1つの不仲を丸く収める 1人の者に争うように唆す
1人の失態や汚点をカバーする 1人の者の過失を言い広める
饗宴に招かれても応じないこと1回 小さい虫を1匹殺す

 

といって功過格を作った人そして行動のよりどころにしている人が利己主義的な狡猾な人というわけではなく、数字で換算できないと気が済まないのだとおもいます。中国人にとって「すべてを数値化する」のがいかに絶対的な意味を持つのかを示すものに、つぎの寓話(神話?)があります。

「むかしむかしの中国(宋代?)に、袁(えん)というにいちゃんがいました。にいちゃんは毎日自分の善行、悪行(SpiritualS.6)を「貸借対照表」みたいな表にまとめて、今日は悪行ばかり、とほほ。。。と真剣に努力していました。そして毎晩天帝(中国のゴッド)に「ものすごく多くの善業をさせて下さい、なむなむ。。。」とお祈りしていました。(

。(出展では「善事一万条」となっていましたが、よくわからない数値なので「ものすごく多く」にしちゃいました、ははは)

で、ある夜お祈りのあとぽけっとしていると、たちどころに五色の雲に乗った冠や衣装も輝くインテリ然とした人が現れ、「にいちゃん、糧(りょう)を一単位減ずるんだよ」と謎の言葉を残して、また雲に乗って帰っていった。とゆうところで目が覚め、なんちゅう夢じゃ、とびっくりしたのでした。

糧ってなんじゃ?一単位?減ずる?とちんぷんかんぷんだったので、何でも知っているという、とあるお坊さんに相談することにしました。

お坊さんいわく「にいちゃん、仕事は何だい」。にいちゃん答えて「県知事だよ」。お坊さん「なら簡単だ。にいちゃんが取り立ている税金を1単位低くすればいいんだよ」

 

そこで、にいちゃんは税金の根拠となる畑の大きさの計算方法を変えて、それまでより1単位小さくなるように改正しました。計算上は小さくなった畑、そこからとれる収穫量も計算上少なくなり、これにかかる税金も少なくなるというわけです。畑自体の本当の大きさは変わりませんから実際の収穫量もかわらず、生産者は実勢と計算の差だけ得をすることになったということです。

もちろん生産者は大喜びで、にいちゃんの治める県はますます豊かになり幸せなひとびとであふれましたとさ。めでたしめでたし。」

このにいちゃんすなわち袁了凡(えんりょうぼん)が使っていた「善悪の貸し借り対照表(1.2b)」が功過格表だったそうで、この表をそもそも作ったのが雲谷禅師(うんこくぜんし)というお坊さんで、にいちゃんに与えたとのことだそうです。しかし、魂のアセンションにかかわることまでもバランスシートにしないと気が済まない中国人。共産主義でちょうどよいかもしれません

。これが大っぴらに「資本主義だあああ!」といいだしたらどんな野獣の経済体制になってしまうのか。。。

バランスシート(貸借対照表)の一例

資産(+) 負債(-)と資産
流動資産

現金預金    50

受取手形   100

短期貸付金   50

 

固定資産

建物・構築物 100

土地     100

 

計400

流動負債

支払手形    100

短期借入金    50

 

 

 

固定負債

長期借入金   100

 

 

純資産

資本金     150

 

負債+資産計 400

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