Varig237便:航法と通信のミスが生んだ悲劇

https://betocarva.blogspot.com/2010/02/o-voo-254.html

 

 

以下参考としています:

https://pt.wikipedia.org/wiki/Voo_Varig_254

https://www.desastresaereos.net/historia_03_Varig_254_1.htm(画像も出典記載のないのはここからです)

 

以前、日航123便について書きました。この事故は機材の致命的な破壊によるものでしたが、今回は航法と通信のエラーがどのように重大な結果をもたらしたかについて書いてみます。

まずブラジルの地図を掲載

ジェミニくん提供

 

 

今回のフライトは、地図にマークされた諸都市のほかに、ブラジリア、ウベルランジア、インペラトリズにも寄って、南から北へ全行程で8時間20分、大体2500kmの便であり、事故が起きたのはこの最終行程のマラバからベレンまで50分、440kmの区間でした。

*「飛行計画では高度29,000フィート (8,800m、FL290) で48分(Wikipedia)」となっていた。

 

 

上記画像でマラバ(Maraba)までは順調に飛行し。いよいよ最後の行程としてベレン(Belem)へ向け17時45分頃に離陸。

離陸に前もって、機長は水平方向指示器に、地上クルーから提示された数値0270度をインプット。

水平方向指示器

 

 

フツーに離陸し、8分ほど経過したとき、機長はベレンACC(管制拠点)に連絡しようとしたが、あれ、ぜんぜんつながらないじゃん?幸い、ベレン近郊にヴァリグ266便が飛んでいて、そいつとはつながったので、266便経由でベレンACCとコンタクトした。

時間は経過し。ベレンACCは、フツーの周波数ではらちが明かないので、8.855(kHz) の HF (High Frequency)周波数でのコンタクトをRG254便に指示。これでRG266 便をかまなくてもコンタクトできるようになった。

しかし、この時、RG254便はすでにベレンから1000km離れたところまで進路逸脱していたのである。

その後通常のフライト時間が過ぎ。逸脱には全く気が付かなかった機長は、そろそろ着陸だね、と管制に着陸許可を求め。雲より下に降下。

ところが見慣れたベレンの町明かりが全く見えず。

停電か?

この時、管制は管制でRG254がいつまでもベレンに現れず(当時ベレン空港にレーダーはなかった)、RG254 のほうでも眼下の景色が全然ベレンじゃないじゃん?と焦り始めていたのだった。

機長は、眼下にアマゾン川を発見し。あれベレンを通り過ぎたか。川沿いを南下しよう、と機首を南に向けた。

この時点で予定していた飛行時間より30分以上がさらに経過しており。さすがに迷子になってね?と気が付き。

必死になってこれまでの進路とか航空チャートとかを精査した結果、アマゾン川と思っていたのはシングー川で、実はいよいよベレンから遠ざかっていたことに気が付いたのだった。

ともかく、出発地マラバ空港のロケータにコンタクトだ!

主要空港には、「無指向性無線標識(NDB: Non-Directional Beacon)」があり。ロケータという周波数発信装置がこの標識信号を発信しており、これを飛行機側の「ADF(自動方向探知機)」で受信するという仕組みになっています。

要すれば、迷子になった船が、灯台の光を見て、助かった!となるのと同じです。NDB-ADFは光ではなくて音波ですが。

それぞれの空港のロケータはそれぞれ固有の周波数を発信しており。機長以下必死になってマラバのロケータを探したら、意外にも簡単にチューニングできたではないか!

これで助かった、とは実はならず。

残念ながら、このときRG254便は、マラバではなく、マラバから1400kmも南のゴイアニア空港のロケータにチューニングしてしまっていたのです。

あれ、ロケータごとに周波数が違うんじゃないの?なぜかは謎ですが、なんとマラバとゴイアニアは同じ周波数を使用していたのでした。ははは

マラバとゴイアニアの位置関係に注目

 

 

パイロットが間違わないように、同じ周波数ですが並行してモールス信号により発信地識別信号も送信していたけど。

マラバは「MA」、ゴイアニアは「GO」をモールスでトンツーと常に発信しているので、機長が冷静に聞いていれば「あ周波数は同じだけどこれはゴイアニアだね」と気づけたはずですが、この時機長はじめクルーは極限のパニック状態になっており。「トトン、ツーツー」なんてとても悠長に解読できる状態にはなかったらしい。

こうして迷走しているうちに、ついに燃料の尽きる時がやってきた。

熱帯雨林に強行着陸という、やっていはいけないがやるしかなくなった不時着により、木と衝突してシートが外れただので乗客48名の内13名が死亡。機長は奇跡的に無傷だが副操縦士は重症(のちに回復)しました。

以下、情報をジェミニ君に統合してもらいました

「乗員含め54名中40名以上が生き残りました。しかし、そこはベレンから約1,000kmも離れた、人里離れた密林のただ中でした。

墜落場所が不明だったため、大規模な捜索が行われたものの、現場は発見できず。救助を待つのは限界があると考えた生存者のグループ4名は、自力で助けを求めるために数時間ジャングルを歩き続け、ついに小さな農家にたどり着いた。その農場には無線がなかったため、彼らはさらに車で別の農場へ移動。そこで無線技師の協力を得て、サンパウロ州にあるフランカ空港の職員との連絡に成功し、墜落現場の正確な位置を伝えることができました。」

そこからは空軍による食料投下、ヘリコプターによる救出があり。最終的にブラジリアの病院へと搬送された。

 

RG254便が墜落するまでの軌跡

 

何が理由でここまで迷走したのか?

主因が、以下の図に集約されています

RG254便の飛行計画(フライトプラン)https://www.youtube.com/watch?v=zd_wjssZ7mc

 

 

ここで、0270、すなわち270度だねーとフツーそうなると思います。

しかし、実は027度が正しかったのでした。

誤って270度へ向かってしまったRG254。正しくは027度だった

 

 

えつ。。。。

飛行計画では、くどいけど

0270

です。

この表記は、当時の飛行機が採用していた航法装置が関係していたのでした。

問題は、一番右の0である。

この0は、慣性航法装置(INS)を装備した機材すなわち飛行機の航法装置インプット用の数値であり。当時ヴァリグ社ではDC10がこの装置を使っていた。正確に言えば、この0270は、本当は027.0すなわち27度と、さらにINS用の数値(この場合は0)という意味なのである。

事故機であるボーイング737は、上記の通りVORにNDBなのでこの0は関係なく。すなわち027度と判断し装置にインプットすべきだったのであった。

ほとんど90度近い間違いですからねーこの時点で勝負あったということである。

主因と、連鎖的に発生して不時着を不可避にしたエラーを列記していくと次の通り。

◎まず、270ではなく027だったこと

◎HF周波数でしかコンタクトできなかった時点で、間違ってどこか遠くに行ってない?と気が付く余地はあった(気象条件によってラジオのつながりは悪い、というのはフツーに起きますが)

◎事故は自分には起こらない(起こってはならない)という思い込み:機長は進路を間違えたという認識を拒み。川を見たらベレン最寄りの最も発見しやすい大河→アマゾンだと思い込んでしまった。

◎複数のロケータで同じ周波数の謎。GOとMAを区別するのになぜモールスなのか?モールスはとぎれとぎれで判別不能になりがちで、なぜこんなエラーを誘発するようなシステムになっていたのか?この時点でGOだよと気が付けていたら、まだ最寄りの空軍基地に着陸できるだけの燃料はあったらしい。

結局、ヒューマンエラーですが、エラーを呼び込むようなシステムになっていなかったでしょうか。

生存者の救助

https://web.facebook.com/Varig254/photos/a.3250620781688768/3251599114924268/?id=147885535295657&_rdc=1&_rdr#

 

 

日曜パイロットとして、言えることは。。。

「フライトは、すべてVFRを想定して計画すべし」

この事故は「水平位置支持装置」への方角の入力ミスがすべての発端だった。でも、計器飛行じゃなくて有視界飛行だったら。。。。エアラインパイロットになっても、初級練習生の時を思い出して「あの時のセスナ150は全然信頼できないコンパスしかなくて、それこそ10秒おきに地図とコンパス、そして眼下の地面を見比ていたよな。。。」と回想する余裕があったら、離陸後に、日没の方向がなんかおかしくね?と気が付いていたと思うのです。

羽田の追突事故のように一分一秒の差が大惨事につながる中、パイロットや運航関係者は必死に飛行を計実行し。

「270度」といったん思い込んでしまったときに、ともかく機械に打ち込んで機械に任せ、人間は次のプロシージャーに移らねば!というプレッシヤーのなかで、悠長に「270度ってどっちだっけ?」なんて地図を広げる余裕なんてとてもとても。。。というのが実情と思いますが、いまだ人間が機械を使いこなす必要がある(言い換えれば使いこなすことが可能な)時代であり、航空会社も余裕のある運航を切にお願いします。

 

ではでは

 

 

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