戦闘機にスクランブルされた!どうする?

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戦闘機にスクランブルされた!どうする?

まず最初に、このお話はパイロット同士の噂話であり、すべて真実というわけではないことをお断りしておきます。

とある南米の国の商業パイロットが、いつものとおり南米ジャングルの上、国境近くでとある商品の輸送をしていた時の事。

ソロで操縦していたセネカ(パイパー社の双発プロペラ機)はとても調子がよく、空もおだやか。ついうとうとしかけて、おっと仕事中だ起きていなきゃ。。。と気を取り直したせつな。

コクピット風防の左から、機首、前方に向かって綺麗な発光体が流れていきます。オレンジの綺麗な条線だな、まるで焼夷弾みたいだ。

えっ?あれ?焼夷弾?

うああああぁー!と反射的にスピードダウン、ギアを降ろしました。

つまり、知らないうちに戦闘機にインターセプトされ、警告射撃を受けていたということで、この次は本当に当てられちゃうので、その前にギアダウン、つまりホールドアップで抵抗しませんという意思表示をしたわけですね。すると、コクピットのとなりにすっと戦闘機が寄ってきて、パイロットのおにいちゃんがこちらに指示を送ってきます。

お兄ちゃんの手(指)に注目。

そこではっと「緊急無線周波数121.50にダイヤルをあわせよ」という指示であるということに気づき、ラジオ周波数を合わせたらすぐお兄ちゃんから無線が入ってきました。

戦闘機:「おっちゃんだめだよ国境を越えてパラグアイに入っちゃってるよ」

おっちゃん:「ごめんごめん、XXXX空港に行こうと思っていたら、道に迷ってこまっていたんだ」

戦闘機:「そういうことなら送って行ってあげるよ」

と親切にXXXX空港じゃなかった国境まで送ってくれたのでした。

この場合は、おっちゃんは自国の周波数で自国内を飛んでいると思っていたら、うたたねして越境してしまい、通信機もパラグアイ空軍の周波数と合わなかったので威嚇射撃されるまで気が付かなった、というなんともとんまなお話でした。戦闘機のお兄ちゃんがおっちゃん側の周波数を使わなった理由はお察しください。多分おっちゃんの国の空軍側も緊急周波数121.50は傍受してぎょっとしたかもしれませんが、とんまなおっちゃんのせいでいちいちめんどい、国境紛争にでもなったらやばいと聞かなかったことにし。両国空軍の大人の対応で一件落着という、まだGPSも普及していない時代の創作童話でした。

というわけで、飛行機乗りにとって周波数はなかなか重要ではあるがめんどいものでもあります。緊急周波数は万国共通ですが、ブラジルのように国土の広い国では、たとえばブラジリア近辺(管制区域CTR内)を出発する時にはブラジリアアプローチの周波数(これがまた複数あり、フライト当日に使われている周波数を確認するのに神経を使ったりします)で離陸し、CTRを離れたらブラジリアコントロール(別の管制組織)の周波数、そして今度は自由周波数(これも一つのものが割り当てられている)、また目的地のコントロールの周波数そしてアプローチ、と次々に周波数を変えていく必要があります(具体的な数字はいたずら防止のため書きません、ご了承を)。

ただし、ラジオというのは飛行機同士の衝突を防ぎ、管制の効いた安全な飛行を可能にする大切な手段なので、よいこのパイロットであるみなさんは事前に飛行経路でどの空域がどの周波数となるのかをしっかり確認し、快適な空の旅を楽しみましょう。なあんて、ではでは。。。

世界の名機パイパーセネカ

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