プロペラの話
重要な推力装置ですが、ジャイロ効果、Pファクター、トルクなどいろいろあり、尾翼が利かない低速時にエンジン全開でぶん回すと回転の反対側(ふつうは左側)に機首が振られてしまいます。離陸時はこれを見越して右ペダルをぐっと踏み込んで直進維持します。こよーて君のような80馬力エンジンのちっちゃなプロペラでもかなりふみこむぞ!なのですが、F4U戦闘機になると「2000馬力、ペラ直径4m、逆カモメ翼」という「空母に降りる飛行機には絶対やってはいけない3点セット」に「操縦席から前が見えない不親切設計」のおまけつきで、「低速で安定できない、着地寸前でめちゃくちゃ機首が振られる」という空母どころか陸上の着陸さえ恐ろしい飛行機になってしまったそうです。こよーて君は「両手を広げたはばくらいの直径の3枚ペラ」で低速時の安定性抜群。ただ巡航速度など空中性能が低くなっちゃいますが。可変ピッチプロペラ機はどの速度でも最適に調節できますが、これもスロットル等との兼ね合いで操縦が難しいそうです。
上記3点セットですが、ペラと馬力がデカければPファクターで機首を直進させるのが困難、ということはお分かりいただけたと思います(近年では単発ターボプロップ機がおなじ癖があるあらしい)。残る1点の逆カモメ翼ですが、これは直進している限り問題ないが、着陸時の失速寸前、機首上げ、という場面では、ひん曲がった翼に斜めに気流が当たってしまい、乱気流あるいは下向きの揚力まで発生してしまう、ということだったらしい。というわけで、F4Uはパイロットに操縦しやすくなるよう、尾輪の支柱を長くして機首上げを少なくし、風防をバブルキャノピーにして操縦席の位置を上にあげ、視界をよくするなどの努力をしましたが、それでも「後家製造機」の汚名はぬぐいきれなかったようです。こうした危険は当時の設計技術では予知できなかったということなのですね。。。
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