短編集:干しバナナとバックミラー

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◎バナナ

みなさん、干しバナナはお好きでしょうか。


https://escoladereceitas.com/como-fazer-doce-de-banana-caseiro-de-cortar-5-receitas-incriveis/

 

 

日本ではなじみが薄いかもしれませんが、ブラジルではめちゃくちゃあまーく加工したお菓子として、なかなかポピュラーだったりします。

でも、今回は、食べ物ではなく、戦闘機の「干しバナナ」についてのお話です。


水上戦闘機「強風」https://www.tamiya.com/japan/products/61036/index.html

 

 

第2次大戦。日本とアメリカにまたがる広大な太平洋が戦場となり。南洋の無数の島々に戦闘機を配備する必要に迫られた日本。

でも、ブルドーザーで瞬く間に滑走路を建設してしまうアメリカと違って、工兵がもっこを担いで。。。という日本では、遠洋の小さな島に滑走路なんて夢のまた夢でした。

苦肉の策として「零戦にフロートを付けて、波打ち際に着水できるようにしてしまえ」とやったら、意外にうまくいき。

巨大なフロートなのに、米英の戦闘機を見事追い払って、島々への空襲を防ぎました。

そのうち、零戦を無理やり水上機にするんじゃなくて、最初から水上戦闘機で設計したのを作ろう、ということになり。

そこでできたのが「強風」です。

零戦の水上機型と比べて、効率化が随所に現れています。


https://www.imgmsplus.com/item/36000/36970.jpg

 

 

写真は、上が零戦(二式水戦)、下が強風です。

両者の最大の違いは、零戦が低翼といって、機体の下部に翼を設置しているのに比べて、強風の方は中翼と言って、機体のまんなかに、団子に串を刺したみたいにしているところです。

もともと陸上機の零戦は、低翼にすることで主脚(着陸装置)を格納する必要があった。強風は、最初から水上機なので、そんな配慮は必要なく。空気抵抗が一番少なく、スピードが出しやすい中翼を採用出来ました。

これがアメリカになると、中翼大好きで、陸上機にも採用しています。


https://aerocorner.com/aircraft/grumman-f4f-wildcat/

 

 

上の写真はF4Fの例で、翼からだととても地面に届かないので、胴体に降着装置を格納することで、なんとか対応しています。

空気抵抗削減のほかに、中翼が低翼に比べて有利なもう一つの点に、「フィレットが不要」というのがあります。

フィレット、日本語で整流覆いとは、翼と胴体の取り付け角が鋭角(90度以下)になった場合、翼をもごうとする乱気流が発生するのを防ぐしかけであり。グラマンのように取り付け角が90度以上の場合は、そもそも必要がないのです。こうしてグラマンは資材、工程、労働などの劇的な節約に成功しました。


図はF6Fですが、F4Fも同様です。

 

 


ハリケーン戦闘機のフィレット後端。https://www.webmodelers.com/201905Ogawa.html

 

 

というわけで、強風もフィレットなしだぜーと大喜びで作ったのですが。。。。

試作機で、離水、フラップ格納だ!のとたんに、びりびりびりびりー!と水平尾翼が大振動を起こしちゃった!

危うく空中分解寸前で緊急着水。

なぜだ?

層流翼」のせいでした。

層流翼は、当時最新の技術革新で、フツーの翼に比べてスピードが出せる翼型なのですが、失速特性に難があることが明らかになり始め。

強風の場合、翼と胴体の付け根で、「翼根失速」という現象により乱気流が発生し、それが尾翼を叩きまくっていたのでした。いやーあぶないあぶない。

せっかく中翼にしたのに、フツーの翼型と違って、層流翼では乱気流が発生しちゃうことが判明してしまい。

結局、これを防ぐために、零戦もびっくりの巨大なフィレットを取り付けるという、残念な結果になってしまったのでした。

そして、この巨大なフィレットについたあだ名が「干しバナナ」だったのでした。ははは


翼の付け根から、日の丸マークまで伸びる巨大なフィレット。

https://hobbycom.jp/my/1f4755c0c4/photo/products/138193

 

 

ちなみに、「強風」を陸上機に改修したのが「紫電」(写真上。中低翼)、そして「紫電改」(写真下。低翼)ですが、やっぱり翼根後縁の乱気流は防げなかったようで、どちらも「おばけフィレット」になっています。


https://sigdesig.hatenablog.com/entry/2020/11/27/173142

 

 

紫電そして紫電改も世界水準を超えた傑作機なのに、これも層流翼のP51が、最小限のすっきりしたフィレットなのにくらべて、こうゆうところで米英との差がみえちゃうんですねえ。かなしいな


P51。Pixabay無料画像

 

 

◎バックミラー

「強風」にあってグラマンにないものがフィレットですが、今度はスピットファイアにあって零戦にないもののお話です。

それが「バックミラー」。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12261719707

 

 

上の写真で、風防上部についているのが丸いバックミラーです。

第二次大戦初期、戦闘機のスタンダードとして「ファストバック」という姿になっています。これは、キャノピー後方と胴体を一体化して空気抵抗の削減を図ったものです。


https://onemore01.c.blog.ss-blog.jp/_images/blog/_18f/onemore01/E4BA94E5BC8FE688A6-0a020.jpg

 

 

画像上が、ファストバック型風防。下が水滴型風防です。

さて、理屈上はともかく、実際戦闘に入ってみると、後ろの見えないファストバックでは、敵に食いつかれたら最後、というか、食いつかれても気づけずに撃墜されちゃった!というのが続出し。

やっぱり後ろが見えなくちゃ困るよねー、と慌ててバックミラーを付けたのでした。


http://majo44.sakura.ne.jp/planes/spitVtrop/04.html

 

 

ドイツの場合は、もっと潔く、空気抵抗でまくりのバックミラーを装着。


https://www.bild.bundesarchiv.de/cross-search/search/_1523207131/

 

 


https://www.quora.com/How-useful-were-rear-view-mirrors-on-World-War-Two-fighter-planes-like-the-Supermarine-Spitfire-and-Hawker-Hurricane

 

ァストバックもへったくれもなくなってしまったのでした。

というわけで、大戦も後半になってくると、だんだん水滴型が主流になっていった。


https://onemore01.blog.ss-blog.jp/2016-10-07-1

水滴型風防のスピットファイア。スピットらしくないなあ。。。

 

 

なお、水滴型でもバックミラーを付けていたのもあり。爆撃機で、パイロットの後ろにも乗員が、という場合には有用だったのかも?しれません。


JU87急降下爆撃機の例 https://www.worldwarphotos.info/gallery/germany/aircrafts-2/junkers-ju87-stuka/junkers-ju-87-pilot-and-cockpit/

 

 


JU87 スツーカ https://hobby.dengeki.com/news/1417545/

 

 

ところで、バックミラーが本当に役に立ったのか?いろいろ意見があり。みなさんご存じミリオタサイト:http://www.warbirds.jp/ansq/1/A2000756.htmlや、なんでも質問箱Quoraからの情報では

「小さなバックミラーで、遠くから忍び寄る敵機なんて見えない。見えた時には近寄りすぎていてもう退避できない」

「バックミラーが振動してみえたもんじゃなかった」

なんて批判的なのもあれば

無駄な装備だなどといわれながらも、誰も取り外さなかった。装備されていない機には、パイロットやクルーが自ら取り付けた」

なんてのもあり。

現実としては、味方同士の編隊飛行に便利だったのかもしれません。

以下、Quoraからの画像です。


こんな見え方らしい

https://www.quora.com/How-useful-were-rear-view-mirrors-on-World-War-Two-fighter-planes-like-the-Supermarine-Spitfire-and-Hawker-Hurricane

 

 


「数マイルほど速度性能が落ちた」そうです。

https://qph.cf2.quoracdn.net/main-qimg-f1e77b6788a2d98aa77d44f7ba58b581-lq

 

 


角型のバックミラーもあった。

https://qph.cf2.quoracdn.net/main-qimg-878a1f9e7a1489a3fa3352bb3ed3c811-lq

 

 

バックミラーはあっても使い物にならない、という事もあり。

たとえば、かぶと虫の場合、バックミラーは運転手側だけだったりします。


世界の名車かぶと虫

 

 

なぜかというと、車体が丸すぎて、バックミラーを使っても、車体しか映らなくなってしまうのでした。

運転席側でも、なんとかまるい車体をすかして後ろの道路が見えるように調整しています。


左ハンドル。運転手側です

 

 

後期型のかぶと虫で、助手席側にバックミラーが付いているのもありますが、あまり過信しないで、ルックバックで直接安全を確認したほうがいいと思います。

ポルシェの場合は、へんな幌を付けたので、ルックバックにも死角が生まれてしまい。何とか助手席側のバックミラーで後方確認ですが、せいぜい気休めにしかならないので、ルームミラーと併用し、安全確保につとめています。カメラモニタリングにしようかな。。。。


かわゆい356レプリカ

 

 

助手席がわのバックミラー。何も見えなかったりして

 

 

スピットみたいな丸いバックミラーをぼくの軽飛行機にもつけたらかっこいいなーなんて思うのですが、ばき!なんて折れて尾翼に当たったら大変だし。

でも、離陸前の暖機運転で、垂直水平尾翼のチェックをするにはとても有益だし。燃費に影響が出ないようなら、つけてみたいと思っています。


ちいさな飛行機に乗っています

ではでは。

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