世界を代表する戦闘機いろいろ
P51ムスタング Pixabay無料画像
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F4F Public Domain
メッサーシュミットBf109
https://stormbirds.files.wordpress.com/2020/11/bf109g-6late-b25-gunpods.jpg?w=1000
Mc200 Saetta Public Domain (カウル先端は、むき出しの銅パイプを仕組んで滑油冷却器としているため、無塗装)
こんな感じで、無塗装の銀色もありますが、大体は機首含め機体全体が迷彩塗装になっています。派手な白帯とかがあるのは、味方識別のためのマークです。
ところが、なぜかゼロ戦だけは、機首がぐるりと黒く塗られており。
ガールズチャンネル?まあいいや
この、黒い機首のなぞが、長年にわたり飛行機マニアの間で大論争を巻き起こしてきました。
大体、以下の主張に分かれています
①黒い色は熱を吸収するので、エンジン過熱を防ぐことができる。
②黒い色は光を吸収するので、光の乱反射によるパイロットの視界不良を防ぐことができる
③敵味方識別のために、黒く塗った
④汚れ対策。日本のエンジンはオイル漏れがひどく。カウルを黒く塗っちゃえば目だたないから、という事らしい。
その他、そのほうがかっこいいからとかいう意見も複数あったりしますが、操縦や整備など、もっと切迫したニーズに対応するものではないので、ここではカウントしません。
さて、それぞれの意見を考察すると、それぞれに一長一短があり。
①の場合、零戦がカウリング全体を黒くした理由にはなるのですが、じゃあP51だのP47だのが、ぜんぜん黒くしていないのはなぜ?となります。
②の場合、これも、エンジン全体を黒くする必要なんてないじゃん、コクピット前方の機体上面だけで十分ですよね?というわけで、実際隼とか雷電とかは、機体上面だけが黒色塗装です。
隼の例。ほかにも飛燕だの紫電だの、だいたいみんなこんな感じです。https://www.finemolds.co.jp/FB/FB17-sokumen.jpg
③味方識別ですが、日本の場合、大体主翼の前縁をオレンジ色に塗ることで対処しており。黒い機首、というのはいまいち説得力がなく。
④これも、零戦だけじゃなくて、他の飛行機でも機首全体を黒くしないと、汚れが目立っちゃうじゃん?隼とかはそんなにオイル漏れがなかったの?ということで、やっぱり説得力が。。。。
というわけで、尽きざる議論の泉となっています。
そこで、この投稿で、パイロット目線から、真の理由はこれだ!という新説をぶち上げるのでした。
「真相はこうだ」
実は簡単で
「光の乱反射によるパイロットの視界不良を防ぐ」すなわち上記の②そのまんまです。
どへー新説でもなんでもないじゃん、でもなんで?
これは、零戦の生い立ちというか、活躍した時代によるものが理由の大きなウエイトを占めているとの理解です。
零戦のビフォーアフターじゃなかった、一世代前の戦闘機、そして一世代後の戦闘機と見比べてみましょう
まずは零戦の先代となる96式艦上戦闘機です。
http://www.nags-gallery.com/gallery/A5M4.htm
機首の形に注目。カウリングが、シリンダを覆うあたりで最も膨らんでおり、そこから胴体に向かってぎゅっと絞り込まれています。
こういうカウリングを、タウネンドリングというのです。
タウネンドリングの発端は、シリンダむき出しにするよりも、整流覆いを付けたほうが空気抵抗も減り、冷却にも有利だね!と気づいたところから始まり。
当初のタウネンドリングは、たんに一枚の板を輪っかにして、エンジンをぐるっと巻いただけの、なんとなくダクトファンみたいなものでしたが、次第に膨らみ・丸みをおびたものとなり。
初期のタウネンドリング(ダウンエンドリング)
Westland Wallace
https://i.pinimg.com/originals/32/a2/b0/32a2b07da03e2fbd0ffc4a4e67ac4361.jpg
https://www.webmodelers.com/202007katoucolumn.html
こげ茶色のタウネンドリングもあったらしい。
Westland機が一枚板をのり巻きみたいにぐるっとエンジンに一周させただけなのに対し、91戦はタウネンドリング自体を前方からの気流に対して流線形に整形しています。
この整形の過程で、96式艦上戦闘機のように、胴体側はぎゅっと絞ったタウネンドリング、というよりエンジンカウルのはしり、という形状がうまれ。
ところが、この形状では、操縦席に向けての光の乱反射も相当なものになり。
赤色の矢印のように、機首上面だけでなく、水平近くまでの下からであっても乱反射してしまう、というか、むしろ操縦席に乱反射しようとする一種の鏡みたいになってしまい。(画像はこちらを加工させていただきました。http://kurage55.blog60.fc2.com/blog-entry-536.html?sp )
結局「リングを全部黒く塗るしかなくなった」のだと理解します。
ちなみに、P26とかソードフィッシュとか、タウネンドリングが操縦席より遠く離れている、あるいは操縦席がぐんと上にせりあがって設置されているような場合は、防眩塗装なし或いは上面だけでもOkだったらしい。
ソードフィッシュ
https://img.amiami.jp/images/product/main/163/TOY-SCL2-44324.jpg
P26 ピーシューター
http://www.fiddlersgreen.net/aircraft/Boeing-P26/IMAGES/Boeing-P-26-Peashooter-Title.jpg
日本の飛行機は、非力なエンジンをカバーするために極力機体の太さを絞り(操縦席を高くする余裕がない)、また格闘性能のために視界を重視してコクピットをなるべく前に出そうとする傾向があり、防眩塗装が重要になったと思います。
さて零戦になると、タウネンドリングから明らかにカウリングになり、カウリングの絞り込みもなくなった、つまり最も太いところから水平で胴体につながるようになったので、乱反射も減ったけれど、これまでの慣習もあり全部黒く塗りました、というのが真相と理解します。
ガールズチャンネルの画像から抜粋。上が初期型で、カウルは水平絞り込みなしに抑えられており。下は改良型で、むしろ先細りの紡錘型になっています。
同時期に開発された隼は、先代の97戦ですでに胴と一体化したカウルだったこともあり、カウル全体を黒くしなくてもよくね?と気づいて、上面だけにしました、という事だと思います。
そして、次世代機の雷電はこんな感じ。
雷電は、機体全体が紡錘形で、操縦席から機首に向けてぐっと細くなっていくので、防眩塗装も上面だけでよくなった。
というわけで、カウリング形状変動の過渡期にあった零戦は、旧世代の名残でカウリング全体を黒くしました、という事だとおもいます。
ちなみに、零戦と同世代の99艦爆や97艦攻も、カウリング全体が黒くなっています。パイロット目線から見れば、これらの機体みたいに、カウリングだけでなく操縦席までの機体が大きく黒塗りになっているのが一番親切かなーと思います。
97艦攻の例
http://c2ssdt.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2017/05/11/862_1.jpg
ただ、黒色塗装は確かに熱を吸収するので、甲板だの飛行場だのに機体を係留・駐機していると、太陽熱で「目玉焼きができちゃう」くらい熱くなってしまったのではないかな?機体が痛むような気がします。
あと、上記で「こげ茶のカウリング」が出てきましたが、どうも零戦、90艦戦、96艦戦や96陸攻あたりは、鮮やかな紺のカウリングがあった気がします(学研の図鑑「飛行機・ロケット」で見た記憶あり)。ところが、ぐぐっても黒いのや、鼠色?みたいなのばっかりなのですよねーでも確かに存在していたと思います、いつかまた見てみたいな。
Youtube では発見。https://www.youtube.com/watch?v=nIRYc-p1J2A
なお、もっとおたくちっくな議論はこちら(外部リンク)。→ https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=22269&id=39709305
「塗粧」とか「通達」とか、中島製はこうだけど三菱製はああだとか、マニアックすぎて頭がこんがらかりました。
最後に、ぼくが乗っている白い軽飛行機は、機首上面も白ですが、特にまぶしいとかはないですよーという事で追記。
とある大農場の滑走路に着陸
着陸動画はこちら→https://www.youtube.com/watch?v=_v6jWNWwFHI
こんな飛行機に乗っています
というわけで、今回は思い切り飛行機おたくの投稿でした。ではでは
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