NFTってなに?
実は、いろいろな人がいろいろな定義を持っており。
NFTではないけれど、似たような例で説明します。
数人の人に目隠しして、とある動物に触ってもらったうえで、どんな感じの動物ですか?と質問したら
Aさん「ひもみたい」
Bさん「うちわみたい」
Cさん「木の幹」
Dさん「槍みたい」
同じ動物だよ?でも、「ひも」「うちわ」「木の幹」「槍」なんて、全然違う定義ですよね。
目隠しを取ってみたら、その動物はなんと「象」でした。
ひも→しっぽ、うちわ→耳、木の幹→脚、槍→牙、ということで、みんな言っていることは正しいのである。
この記事でお題としているNFTやメタバースとかも、みんな正しいけれど、言うことは。。。という状況ですが、なるべく全貌をつかんだ定義を探してみました。
というわけで、NFTは「Non-Fungible Token、非代替性トークン」すなわちブロックチェーン上に記録される一意で代替不可能なデータ単位(トークン)である(Wikipedia)。
ブロックチェーンについては、別記事にも書きましたのでパス。「一意で代替不可能なデータ単位」のほうが核心です。
そして、「一意で代替できる」というのは、ここでは「誰にでも複製できる」という意味にとります。たとえば、画像・動画・音声、およびその他の種類のデジタルファイル。
ところが、ブロックチェーン技術で、これらの画像とかに「所有権の公的な証明」を与えることが可能になり。
例えば、ネット上でこんなサルの画像(アート)があります。
https://bijutsutecho.com/magazine/news/market/24790/pictures/1
この画像は、上記のリンクや、Google検索でだれでも閲覧できます。つまり、「一意で代替できる状態です」
一方、この絵はOpen Seaというプラットフォーム(ネット販売業者みたいなもの)から購入することができます。
購入時、ブロックチェーン技術で購入履歴と購入者の記録が明記され。
その後は、その人のみがその人の望む値段で売るなりできるようになります。
この瞬間、サルの絵は「一意で代替できない」つまり「非代替性のデータ(絵)」すなわちNFTとして生まれ変わるのでした。
どうもサルの絵じゃぴんとこないな?
というわけで、楽焼でいってみます。
時価3億円だそうです。
重文 黒楽茶碗『大黒』|長次郎
出展:https://tea-ceremony-tokyo.club/
この楽焼は、画像であればネットでいくらでも流通しているし、レプリカなんてのも売られているらしい。
でも、3億円で売ることのできる本物の楽焼は、世界で一つです。
楽焼の場合、鑑定家だのなんだのが、「これが本物です」という証明書かな?ともかく公的に証明されており、世界で唯一無二、デジタルじゃないけれど一種のNon Fungile なToken(物質)になっています。
一方、サルの絵は、ブロックチェーン技術で自動的に売買履歴と所有者の証明ができ。世界で唯一無二、真正のNFTというわけである。
ちなみに、こうしたサルの絵はたくさんあり、一匹、というか一枚3000万円くらいで取引されているそうです。
https://www.rollingstone.com/wp-content/uploads/2021/10/RS-BoardApe_Lead_5.jpg
3億の楽焼をはじめ、美術作品が1億だのなんだので売買されていますが、これは狂乱インフレになろうが、ナチスが政権を掌握しようが、共産主義者の戦車が庭になだれ込んでこようが、ともかく楽焼1個をぽっけに入れ、美術作品はくるくる巻いてアメリカだのアルゼンチンだのに逃げおおせれば、財産は安泰である。という資産価値を持っている。
時価1億6000万円の絵
こうした「美術資産」をデジタルにしたのがNFTと言えます。ううむ、美術か?
というわけで、サルの絵が1枚3000万円というのも理解できたとおもいます。
サルの絵は「Bored Ape Yacht Club(退屈した猿のヨットクラブ)」という「画集」の中の一枚ですが、ほかにもいろいろなNFTがあり。
https://fisco.jp/media/cryptopunks-about/
クリプトパンク
ハッシュマスク
NFTのおそるべきところは、ゲームなどの仮想社会に乱入できるところにあります。ゲーム空間内に不特定多数の人々が同時参加し資産取引を行うことができるようになっているのです。
メタバースという技術が関わってきますが、関連してVR,AR,MR等いよいよこんがらかるので、定義は別途記事にして。ここではどんな利用法があるのかをのぞいてみます。
「パーソナルテクノロジースタッフ」という企業のホームページに「メタバースとは:注目される理由やゲーム例・代表的なプラットフォームも紹介」(https://persol-tech-s.co.jp/hatalabo/it_engineer/584.html)という記事があったので、抜粋と要約。
「マインクラフト」
「ユーザーが建物や世界を自由に構築できるゲームです。アバターのコスチュームを変更したり、自分なりの建物や土地を構築したり、プレイヤー同士でサバイバルを楽しんだりできるゲームであり、将来的にはMinecraft上でゲームアイテムなどを売買できるよう開発を進めています。」
「Decentraland(ディセントラランド)」
「プラットフォーム内の独自トークンを使用して土地を売買・管理することができます。購入した土地は自由にカスタマイズ可能で、ユーザーは動画や3DCGを用いて自由にコンテンツを作成・配置できます。土地だけでなく、作成したコンテンツの売買も可能です。アバター用のアイテムも販売されており、購入したアイテムの転売も行われています」
以上で引用終わり。
みんながアクセスしているメタバースで売られている仮想の物件を、それこそサルの絵を買うがごとく購入し、土地ころがしじゃないけど高くなったら売る、みたいなことが可能になっている。プロの不動産業業者が、都市連動型メタバース内で開業したら大儲けかもしれん。この場合、バーチャルサンパウロ(本当は渋谷と言いたい)においてバーチャル環境内で取引するが、物件は現実世界のサンパウロでちゃんと存在し、現実世界の現物不動産の取引になる(デジタルツイン技術)とか、いろいろ可能性があるのでは?と思います。
https://time-space.kddi.com/au-kddi/20211130/3217
バーチャル渋谷
さて、NFTの世界で、どのようにトークン(例えばサルの絵)一枚いちまいの価格が決まるのか。
例えば、とあるプラットフォーム「おんちゃのゆ」で、いろいろな楽焼の絵が売買されていたとします。
とある吉日「長次郎の黒楽」が100円で売られていました。
一週間後、もう一度アクセスしていたら、100万円になっていたぞ!
みたいなこともあり。
わああーなんとか101万円で買えば、来年には1億円になるかも?なんて狂乱したりします。
でも、この値上がりのからくりで、要注意なケースもあり。
Aさんが100円で持っていた「黒楽」を、Bさんが100万円で買ったとします。
でも、AさんとBさんは同一人物だったという可能性もあるのです。
かりに秀吉くんというナイスガイがいたとします。
秀吉くんは、プラットフォーム上で「Aさん」というアカウント(アドレス)を開けて、「黒楽NFTトークン」を100円(実際はETHすなわちイーサリアム)で購入します。
そして、今度はプラットフォーム上で「Bさん」というアカウントを開けて、「Aさん」から100万円(実際はETH,以下同じ)で黒楽NFTを購入します。
ここで、ブロックチェーン上は、確かにAさんからBさんへの売買が成立し、これにともないBさんのアカウントからAさんのアカウントに100万円が振り込まれます。
でも、この二つのアカウントは、認証(識別)番号は違っても、オーナーはいずれも秀吉くんだったのでした(片方は秀吉くんで、片方は秀吉くんの奥さんにするとかいう手もある)。
この結果、秀吉くんは、もともと持っていた黒楽NFTトークンを、100円から100万円に値上げさせることに成功したのでした。
ちなみに、上記の100万円を用立てるにあたって、フラッシュローンという、Defi(分散型金融)を活用し、無担保・無利子で確保可能というリソースもあるのですが、これもいつか別の記事にします。
この「爆上げ」に目がくらんで、誰かが秀吉くん(プラットフォーム上はBさん)からこの黒楽を150万円で購入すれば、秀吉くんのアドレスには、一瞬で150万円の現金が振り込まれることになり。
すごいぼろもうけですねえ。
3000字越えなので、打ち止め。
恐れを知らない若者たちが、想像もできない未来を切り開いているのですね。。。
最後に一言
「若い者はいい…みんなひたすらに勝利を信じている(南雲忠一)」
猿の絵と違って、確かにアートだと思うのはぼくだけでしょうか?
https://www.sakushop.com/img/k4-806_main.png
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。