楊斎延一画 本能寺焼討之図
紅蓮の炎に燃える本能寺。
乱入する明智光秀の軍勢に、織田信長の手勢は壊滅。
矢尽き刀折れ、ぼっちで光秀勢に取り囲まれた信長。
大刀を手に迫る光秀に、信長は最後の憎まれ口をたたいた。
「光秀ええええー。うぬには天下は取れぬわあああー。」
光秀答えて
「最初から天下を取ろうなどと考えてはおらぬわ。わしは茶の湯を極めるのよ」
「えつ?」
という間もなく、光秀の大刀一閃。
ぽん、とシャンペンのコルク栓のように信長の首が飛び、ぷしゅしゅしゅーと血煙があたりを染めたのでした。
なむなむ。。。。
主君信長を打ち取られながら、それぞれ遠隔地で強敵とがっぷり四つになり、身動き取れない状況に陥っていた織田諸将。このままいけば光秀の天下確定か?
ところが、最も身動きが取れないはずだった秀吉が、突如敵方と講和を結んで、電光のごとく引き返し。
油断し切っていた光秀の軍勢を、天王山の戦いで蹴散らしたのでした。
光秀はとらえられて処刑。
喜ぶ秀吉
「ひょひょひょひょ、すべて予定どうりよ」
ポスト信長の座についた秀吉。
「よしよし。諸将どもの経済基盤を弱体化させてやろう。そうすれば豊臣は安泰よ」
そこで「御茶湯御政道(おんちゃのゆごせいどう)作戦」を開始。
もともと信長が始めていた政策で、当時の経済基盤である土地と農産物を諸将に握らせないように、土地以外の別な「とある物質」に経済価値があるように見せかけ、その「とある物質」を諸将に配った。
諸将は「とある物質」の保有の多い少ないによって、互いの優劣を競う合うようになり。あるいは自滅、あるいは更なる秀吉への服従を促す、というなかなか手のこんだ政策でした。
「とある物質」をもらった諸将はまるで『マクドナルドに行った子供』のように、「とある物質」が「ロナルド」さながらにふりまく『幸せのふんいき』にとりこまれてしまい。実は懐からお金をふんだくられているのに、頭空っぽ、ぼくたち幸せです、という感じに白痴化されて、秀吉の天下をますます盤石にしたのでした。
ロナルド・マクドナルド
http://www.albatro.jp/birdyard/illustration-art/ronald_mcdonald/index.htm
「とある物質」とは?
さらに言えば、茶器一般。
重文 黒楽茶碗『大黒』|長次郎
出展:https://tea-ceremony-tokyo.club/
秀吉が臣下に与えた「楽焼」は「一国一城の価値あり」と秀吉自身が宣言。天下人の公認を得た楽焼は、あたかも金兌換性を得ていたドルのごとく、あっという間に諸将の間で価値の評価・保存手段として認められたのでした。
でも、秀吉の策略を揺るがす危機が。
「楽焼」なんて陶芸屋さんだったら誰でも作れるわけで。秀吉が認めていないのに、その辺のずるがしこいやつらが勝手に「楽焼」を粗製乱造し、流通させたら、「楽焼のインフレ」が起こり、一国一城どころか、コーヒーの一杯も買えなくなっちゃうぞ!
つまり「にせ楽焼」の密造や、「粗悪な楽焼の乱造」を防ぐ必要が生じ。
しかし秀吉は
「ひょひょひょひょ、すべて予定どうりよ」と次の一手に着手。
諸将を大阪城に呼び集め。
「よいか者ども。最近「楽焼偽造」がはやっており、せっかく者どもに与えた楽焼の価値がなくなってしまう危険が起きておる。」
「そこで、新たに中央銀行を創立して、楽焼の発行じゃなった製造や流通はすべてこの中央銀行を通すことにした。文句あっか?」
並みいる諸将は平身低頭して
「へへー、太閤様のお言葉は神のお言葉でござりまする。まことに賢明なるご判断とぞんじまするー」
喜ぶ秀吉。
「よしよし、では、次なる重大発表の前に、一つ余興をいたす。利休よ、いでよ」
すると、一頭の鹿を引いた千利休がまかりいで。その後ろに、大刀を腰に差した覆面の武士が参上。
ざわめく諸将「これこれ、太閤様の前で帯刀するのか」
さえぎる秀吉「よいよい、わしが許可した」
「さて、いよいよ余興を始める。利休が引いているのは、馬かのう、それとも鹿かのう」
諸将口々に
「はっはっは、鹿にござりまする」
秀吉やんわりと
「おやおや、者ども乱心したか?これは明らかに馬ではないか」
一瞬しんとする諸将。
しかし、中には空気を読めない者もいて、つい
「太閤様、こんな角があってぶちぶち模様の馬などございませぬ。これは鹿で。。。」
言い終わらないうちに、秀吉一喝!
「無礼者!手打ちにいたせ!」
次の一瞬、覆面の武士の大刀が一閃。KYな武将の首はシャンペンのコルク栓のようにぽん、と飛び、ぷしゅしゅしゅーと吹き出す血があたりを美しく彩ったのでした。
恫喝する秀吉
「わしが馬だといったら馬なのだ!者ども、馬か?それとも鹿か?」
平伏する諸将
「馬です!馬でござりまするー!」
秀吉はにこにこと
「よしよし余興を続けるぞ。馬を引いている御仁はいったいだれかの」
「ははー、千利休殿にござりまする」
「おやおや、者ども乱心したか?こやつはただのストリートチルドレンじゃ」
驚く利休
「太閤様、なぜ突然そのような?」
「ひょひょひょひょ、うぬは確かに楽焼の目利きはできるが、単なる茶人ふぜいよ。中央銀行を統括して楽焼の流通を牛耳る器はないわ。消えろ!手打ちじゃー!」
覆面の武士の大刀が一閃。利休さんの首はシャンペンのコルク栓のようにぽん、と飛び、ぷしゅしゅしゅーと吹き出す血があたりを美しく彩ったのでした。
恐れおののいて平伏する諸将を前に、言い放つ秀吉
「余興は終わりじゃ、光秀、覆面をはぎ棄てよ!」
光秀?おもわず顔を上げて大刀の武士を見上げる諸将。
えっ?あっ?あれ?
大刀を差した武士は、まぎれもなく明智光秀でした。
うああああー?と悲鳴を上げてどよめく諸将
どなる秀吉
「うつけどもが!だまれい!だまってよく聞け!」
「この秀吉、織田信長のおおうつけにこき使われること幾星霜、天下の時を待っておったのじゃ」
「そして、信長のおおうつけめが、ろくな護衛もつけずに本能寺に入りよった。信長めの動きは、すべてここにいる光秀より連絡させており、つつぬけだったのよ」
歌川豊宣画「新撰太閤記」。光秀をいじめる信長
「そこで、わしはすぐに討伐中の敵方と和平交渉にはいったのじゃ。講和がなったタイミングで、すかさず光秀に連絡して、信長を打ち取らせたのよ」
「ほかの有力武将が戦のさなかで全く身動きができない状況を利用して、わしのみが謀反人討伐にいち早く戻ってこれたのじゃ」
「光秀には謀反人役をやってもらった。天王山では光秀にわざと負けてもらい、光秀は処刑したことにして今日まで潜伏してもらったのよ」
「どうじゃ皆の者、なんか文句あっかー!」
恐れおののいて平伏する諸侯
「いえいえ、太閤様は神様です、そして光秀殿は天使でございますー!」
満足げにうなづく秀吉
「よしよし、物分かりがいいのう」
「ではみなのもの、わしの前に立つこの御仁は、明智光秀か?」
目が点になる諸侯
「は、は、はてな?、光秀殿でござりまするが?」
どなる秀吉
「おのれらみんな乱心したか?これなるは千利休であるぞー!」
「どうじゃ光秀、この瞬間からお主は千利休じゃ!」
落ち着いてかしこまる元光秀
「ははー、拙者はこれから先は確かに千利休でござりまする」
落合芳幾画 明智日向守光秀
どわわわーとどよめく諸侯
怒鳴る秀吉
「いちいちわめくな!いいか、本日をもって、中央銀行を設立し、頭取をこの千利休に任命いたす」
「この新しい千利休は、先ほど手打ちにしたクズと違って、楽焼を見定める芸術的センスと、楽焼の流通で経済開発するバンカーとしての商才を併せ持っておるのじゃ」
「したがって、これからは利休が目利きして偽札じゃなかった本物であるとした楽焼のみが、わしの許可を得て流通することになったのじゃ!わかったかー!」
いっせいにどよめく諸侯
「仰せの通りでございまするー!太閤様はエホバ様、光秀じゃなかった利休殿はキリストさまにござりまするー!」
こうして、秀吉が表の政道を、そして光秀改め利休が裏で経済をにぎり、秀吉の天下統一が実現したのでした。
しかし、時は過ぎ。。。。さしもの利休(光秀)も秀吉の狡猾さには勝てず。豊臣家の経済が盤石になった時点で、うまく言いがかりをつけられて、切腹させられてしまったのでした。
日本銀行券つまりお札の発行と管理を行う中央銀行(日本銀行)
生者必滅、会者定離、諸行無常のひびきあり。おごる豊臣はひさしからず。この世の栄華のはかなさよ。ああ無常。。。。
というわけで、3000字越え、ではまた。ばいばい。。。
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