ペット、といっても、犬や猫みたいな生き物ではなくて、ポルシェ356Aレプリカという、「怪車」のことです。
怪車356A
さて、とある吉日、ブラジリア市内のアパートを出発して45分、とある田舎の飛行クラブへ到着。
クラブの門を開くためにエンジンを切って、南京錠をとりはずし。
車に戻ってセルモーターを回そうとしたら「ぐに、ぐに」と回らなくなってしまいました。
にっくき門
幸い、キャブレター整備をしたばかりで、クランク2,3回転程度でかかる状態だったので、強引にセルを回し、アクセルをふかしてかけちゃいました。
その後格納庫で、バッテリー充電器をつないで電池を復活させ。
充電しているところ
充電器(左)とバッテリー(右)
それだけならよかったのですが。。。。
車のバッテリーは、何年もたつと、どうしても端子のところに白い粉が吹いてしまいます。
この粉が絶縁体となって電気が通らなくなってしまうので、端子の金属肌が出てくるまで、紙やすりだのでがしがし!とこすり。
これでいいじゃん、と気を抜いてしまったのが、かえすがえすも失敗のもとだった。
こすったターミナルからの白い粉は、バッテリーの上部一面に積もっています。
これを、なにげに「ぷうう」と吹いてしまったため、ぶわわーと埃のように舞った粉が顔に吹きかかってしまい。
びょん!と後ずさってよけました。
よけられたからいいじゃん、と、その時は、とにかくど田舎の格納庫でポルシェのエンジンがかからなくなっちゃったら大変だ、とバッテリーの再生に注意がいってしまい。
硫酸鉛錆の一例。http://blog.goo.ne.jp/nishimituru/e/011fb4dd0380ce5272075c71498f7d8a
車いじりも一段落して、よしよしシャワーでも、という段階になって、あれ、この粉、意外に危険じゃね?と思い至り。
別に「死の灰」じゃないからいいよね。念のため、ぐぐってみようか。
「バッテリーの粉 目に入った」
みたいな感じで探してみたら。。。
「バッテリーの白い粉は、漏れたバッテリー液が端子と反応して、錆状になったものです」
「もしこの硫酸鉛錆(りゅうさんなまりさび)が目に入ったら、ただちに流水で15分以上目を洗うこと」
「そして直ちに眼医者に行きなさい。さもないと、錆は目の中で化学反応を起こして、失明するぞ」
なんて書いてありました。
ぎゃああああー
鏡をみたら、一応黒目や白目はふつーの状態であり、痛いとかぼやけるとかは全くなし。無意識に一瞬安心しようとするのですが、しかし、まつげだのまゆげだのに、しろっぽいこなが点々としてるじゃん!
でも、なんか湿っていて、バッテリーの粉じゃないよね、単なるフケじゃん、とまた無意識に信じようとしてることに気づき。
もう一度HP検索。そこには
「その日には症状は出なくても、翌日から目がぼやけ、涙が止まらなくなり、痛みで七転八倒するぞ」なんて書いてあり。
血の気が凍りました。
土曜日の午後です。病院なんてどこにもない、かぼちゃに囲まれたど田舎の格納庫です。
田舎の滑走路で飛んでいます
必死になって、「救急 土日 眼科」とぐぐりました。
すると、土日というのはヒットしなかったのですが、24時間営業というのは見つかり。
写真とかを見る限り、単なる眼科とは思えない大病院らしい。
その病院にとにかく電話。全然アテンドしてくれず。
Whatsappがあったので、メッセージを送りました:「失明の瀬戸際にいる。アテンドしてくれ」
なんと返信がすぐきましたが
「お問い合わせ可能な時間は月~金の朝7時から午後8時、土曜日の朝7時から午後1時までです」
このときは土曜も午後5時を過ぎており。なんか右目に違和感が出てきたぞ!
この病院のHPでは、とにかく24時間アテンドです、とあり、それが月~金だけなのか、土日も24時間開いていることは開いているのか?開いてはいるが、緊急対応はしませんとか?
ともかく、ポルシェをかっ飛ばし、その病院に直行することに。
格納庫のある田舎から30キロ突っ走ってブラジリア市に。そのブラジリア市をさらに南北縦断して病院に到着しました。1時間半以上はかかりましたかねー
確かにでかい病院だ!でも、がらんとして、だれもいなさそうだぞ?
その時は午後7時近くになっており。がらんとしていましたが、建物の奥で明かりが見えたので、正門ではなく横手に回ってみたら、なんと、ちゃんと門があいているではないか!
守衛のお兄ちゃんが、緊急アテンド病棟があるから、そこへどうぞ、と教えてくれ。
ちゃんと受付があり。フツーに稼働していました
一方、受付、待合室ともがらがら。
ぼく以外は、おばさんに連れられた子供とかが2組いるのみでした。
ほどなく医師の診察を受けることができ。
化学反応とかないか確認しましょう、と麻酔を点眼され。上瞼をひっくり返されて綿棒でごしごしやられるなど、ぎゃああーだったのですが、結論は
「確かに角膜とかに複数の傷があり、このままにしていたら、夜寝ることもできないくらい痛くなっていたかもしれん。抗菌薬とカルボキシメチルセルロースを処方するので、3日間使用すること」ということでした。
ちなみに、カルボキシメチルセルロースというのは、アルカリ性の粉末が角膜と反応して目に穴をあけちゃうことを防ぐ魔法の薬ではなく、単に「ドライアイ」などに対応する「潤滑剤」だそうです。
この診察で、「バッテリーの粉」といっても、お医者さんは特に反応せず。化学反応の恐れはないのか?と聞いたら、一瞬恐怖の表情になりましたが、とにかく見てみよう、と上記のごとく瞼を引きちぎられそうになったり、綿棒でぐりぐりやられ、結局はメカニカル(物理的)に傷があるだけだよん、という判断でした。
ちなみに、ほっておいて痛くなってから駆け込むのではなく、事前にとっとと診察に来たことについては、ほめられました。
別にご褒美、というわけでもないのでしょうが、上記の2つの目薬は、非売品のサンプルを無料でくれました。うれしいな
今回殊勲の目薬たち
たぶん、土日で薬局も空いていないことを見越しての配慮かも?
薬はタダになったが、診察料そのものは。。。。
260レアル、日本円で7600円でした。
重大なリスクを回避できたという点から見れば、安いと思っています。
その後1週間。遅発性の症状も出ず。ほっとしながらこの記事を書いています。
おまけ。上がりかけたバッテリーの復活法
バッテリーは上がるもの、お金の価値は下がるもの、なので、バッテリー用充電器というものもこの世に存在しています。
充電器(左)とバッテリー(右)
この充電器ですが、なかなか味わいのあるからくりを持っており。
充電器から伸びた黒の配線をバッテリーの⊖、赤を⊕につなぎ。電源は壁のコンセントから一般家庭用の220Vを取り入れています。
黒のワニ口は、いろいろあって行方不明なので、別の奴をテキトーにつけました
さて充電方法ですが、パネルの「BAT OK」のランプを見て行います。(ちなみに、右の赤いランプは、電源ON/OFFの表示灯です)。
壁のコンセントから取り入れた220V の電流は、この器械の中で12Vに変電され。BAT OKのランプ配線を通ってバッテリーに流入しています。
バッテリーが上がっちゃっているうちは、電気はランプ配線を素通りしてバッテリーに流れるので、写真左みたいに、ほとんど消えかかったようになっています。
これが、バッテリーに蓄電したよ!となると、余剰の電気がランプのところでせき止められて、緑のランプが点灯するという仕組みなのでした。
電気はパルス式に送られ。この緑のランプも、ぴっこんぴっこん、と規則正しく点滅を繰りかえし。
バッテリーがいっぱいになるにしたがって、1秒消えたら5秒点灯したまま、みたいになってきます。
バッテリーにダメージを与えないよう、この充電は「超低速」です。だいたい夜の9時ごろつないだら、翌朝7時ごろにはバッテリー容量がいっぱいになり、緑のランプはほとんどつきっぱなしになります。
今回は午後いちでつなぎ、5時過ぎに外しましたが、いい感じに充電できていました。もともとそれほど上っていなかったということですね。。。。
*備忘録として、24時間アテンドの眼科病院についての情報は
HOB – Brasília
HOB Brasilia :SGAS II St. de Grandes Áreas Sul 607 – Asa Sul, Brasília – DF, 70200-670
ではでは。
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