クルマ好きの中で、60年代や70年代のヒストリックカーで集まり、当時さながらのレースを楽しむマニアがいますが、最近では、そのオンボード画像をようつべで視聴できるというすごい世の中になってます。
以下は、Spaというからにはベルギーかな?(温泉のことじゃないよ)での、ルマン耐久出走車を集めた親善レース?の動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=HeEYxLwzlYs
この当時のクルマの特徴として「全然まっすぐに走ってくれない」「カーブでめちゃくちゃ安定性がなくなる」ので、動画でのレーサーのハンドルさばきを見ていると、カーブのみならずストレートでもステアリングを修正しまくっています。まあ現代のF1でも似たようなものらしいが。
これは時速200キロの世界ですが、ポルシェくんのステアリングが、街乗りの時速40キロでもこんなうふうになっちゃった、ので修理することに。
修理工場で、ポルシェ君をジャッキアップ。
あんのじょうステアリングギアボックスが摩耗して、ハンドルの遊びが大きくなりすぎていたのでした。
ポルシェくんのフロントサスペンション機構。赤丸がステアリングボックスです。
ステアリングボックスの拡大図はこんな感じ
左の透視図は出展:http://jornalailha.com.br/2017/10/02/folga-na-direcao-do-fusca-e-normal.html
右はポルシェくんからはずしたやつです。
①がステアリングシャフト(ハンドルとつながっている)。その先端には③ウオームギアで④ボックス内の定置ギアをまわし、連動して回転する②ピットマンアーム軸を通じて車軸側のステアリングアーム機構を操作しています。
ポルシェくんの場合は、上記③が摩耗して④との隙間ができてしまい。その摩耗も一律ではなくイレギュラーなので、まっすぐ走るにもめちゃくちゃハンドルを右左、だけでなく、カーブの途中で突然車の向きが変わっちゃうなんてやばいことになっていたので、この修理で大幅改善できました。
修理自体は、③のウオームギアを交換するだけで済むはずだったのですが、ブラジリアではポルシェくんみたいな「怪車」のギアボックスを分解できるウデのいいメカニックは存在せず。新品のギアボックスをサンパウロから取り寄せてボックスごと交換しました。
新旧ギアボックス
以下、交換風景。
新品のギアボックスをフロントサスの定位置に設置したところ。
下から。ピットマンアーム軸が見えます。
こちらはまだ交換前。ピットマンアームの固定状況が見えます。
ギアボックス自体は隠れて見えませんが、前輪の機構はこんな感じです。
装着後を上から見たらこんな感じ(交換してから1か月後に思い出して写真に撮ったので、早くも汚れが出ています)
さてステアリングギアを取り換えたはいいが、こんどはキャンバーとトーインを修正しなきゃ。。。
自動車の車輪には、まっすぐ走れるよう、
トーやキャンバーという角度がついています。
というわけで、別の工場へ。
ジャッキアップして、車軸にセンサー装置取り付け
探知機とモニター
画像の赤い半円が緑になるまで調整。かなり規定値をずれていたらしい
調整は車の下から行います。ジャッキアップしたのはそのためです。
ほんとうに完璧にするには、ステアリングダンパーの交換や、いろいろなパッキンなど、ステアリングを超えたフロントサス全般の更新が必要ですが、今回の修理で安全に走れるようになったのでとりあえず良しとします。
ちなみに、ポルシェくんは356レプリカで、今回のステアリングボックスもVWビートルのものを流用しているなど、メンテは比較的簡単のはずなのですが、それでも、「怪車」にランクされているらしく、なかなか精通したメカニックを見つけるのに苦労しました。
ポルシェくんやビートルは、基礎設計が1930年代から50年代というのもあり。まっすぐ走ってくれない、ブレーキが効かない、ヘッドライトが弱すぎて夜は前が見えない、などあるのですが、運転そのものがとても楽しい、ふしぎな車です。
古い方のステアリングボックスは、あとで分解して遊びました
最後に、ブラジリア名物 IPE Branco(日本名パオロペあるいはノウゼンカズラ)の花が咲く季節に撮った写真を掲載します。こちらは「旧車の集い」の記事にも載せてますので、お立ち寄りいただけたら幸いです。
ではでは。。。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。