短編集:「愛のジョージ」と「HAIKAI」ほか

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その①ヘッドセット修理

とある吉日、雨季のブラジリアにしてはからっと晴れて、久しぶりにそのへんの農場でTGL(タッチアンドゴー)してきました。ここ数週間、雨や霧で飛べないとか、飛べてもせいぜい滑走路の周回程度しかできなったので、まあまあせいせいと飛ぶことができました

現地でも有数の大農場。アスファルトの巨大な飛行場。

 

 

まあまあ、というのは、離陸前にちょっとやばくないけどやばいかも、というのが発生し。

いつもどおり、機体、エンジンと、プリフライトチェックは順調に行っていたのですが。。。

ラジオをオンにして、「えェラジオのテスト中。えへらへらへらー」とやったところ、あれ、片耳しか聞こえないじゃん?

もうフライトプランの離陸5分前くらいで、エンジンもガンガン回しているのに、あせりましたねえ。

スケルチ(マイク感度)調整とかやったのですがぜんぜんだめ。ヘッドセットからのコードを機体に接続しているコンセントをぶち抜き、コパイ用のヘッドセットに取り替えたらちゃんと作動したので、故障は機体側ではなくヘッドセットのスピーカーが死んだのであろうと判断し、その日はそのまま飛びました。

いやいや、ガンガンうなるコクピットの中でヘッドセットを外し、コンセントに抜いたりさしたりとか、うるさくてやってらんなかったですが、でもちゃんと両耳聞こえる状態でないと、大げさではなく多数の人の生死を分ける航空通信ですからねーちょうどソロでの飛行だったので全く問題なくヘッドセット交換できました。

問題のヘッドセット

 

 

さて、帰ってきてからじっくり確認、でもないけど、確かに7年以上の連続使用でもあり、湿気の立ち込めるブラジリアの夏でもあり。いつかは壊れるものが壊れたということで、インターネットで新たなヘッドセットを探してみましたが、なんと古すぎの化石になっていたらしく、どのサイトに行っても見つけることができず。

最新のに取り換えればいいじゃん?そうはしたいのですが、一応機長・コパイと2セット更新しなきゃならないし、値段も2倍どころか3倍、4倍となってしまうのですよねー

しゃあないので、いつも機体の検査をおねがいしているお兄ちゃんに連絡したら「確かに化石で新品はもうないが、部品は持っているから修理は可能である」とのことで、お兄ちゃんのアパートまでもっていって修理してもらいました。

7年の使用で、耳あてとマイクのスポンジがボロボロになっていたので、これらはコパイ分も含めて新品と交換してもらいました。これら消耗品はまだ新品があるらしい。

破れはてて、中から気味の悪い液体というボンドがにじみ出ていました

 

 

修理後はこんな感じ。耳当てがあんなにボロボロになったのは、純正品ではない得体の知れないニセモノだったから、ということで、じゃあちゃんと正規品を、としたら値段が高すぎて手が出ないので、やっぱり並行市場からまあいいじゃん、という模造品にしたのでした。ははは

ヘッドセットから耳当てを外して取り換え。上がダメになった耳当て。下がそれなりの新品。

 

ちゃんと両耳聞こえるようになりました

 

 

 

➁「愛のジョージ」と「HAIKAI」

「愛のジョージ」という名のカフェを発見。ポルトガル語で「Amado Jorge」です。

と言えば、ブラジルに住んだ人はわかると思いますが、Jorge Amado(ポルトガル語読みでジョルジェ・アマード)という文豪がおり。この文豪にあやかった、いわゆる意識高い系のカフェ兼古本屋らしい。

ムヒカそっくりのJorge Amado(パブリックドメイン)

 

 

このJorge Amadoですが、実はブラジル共産党員であり、このカフェも、結局そういう世界の住人が集まる恐るべきアジトではあるのですが、ぼくは小学校の教員のおばさんと一緒に行ったので、要すれば警察とかジエイタイとかとかかわりはないよね?ということで通してくれました。ブラジル空軍とはかかわりあいになっているけど。

街中にぽつんと立っている古本屋

 

 

ちょうどその日、というか夜の8時でしたが、共産主義者たちの集会に出くわし。でもその夜はみんなで詩を発表し合うというそれこそ意識高い系の集まりでした。

詩の内容もアジテーション的なものはなく、なんとなく平安貴族じゃね?みたいなのもあったりして。

マイクの前で歌ったり、詩の発表

 

 

安くてうまい、に近いかものサンドイッチと、謎のジュース

 

 

インテリアや古本コーナー

 

 

そのうち、へんなおっちゃんが登場し。

「俳諧をやります」

補足情報ですが、日本の俳諧とは「主に江戸時代に栄えた日本文学の形式、また、その作品のこと。誹諧とも表記する。正しくは俳諧の連歌あるいは俳諧連歌と呼び、正統の連歌から分岐して、遊戯性を高めた集団文芸であり、発句や連句といった形式の総称である。(Wikipedia)」

この俳諧が、日本人移民からブラジル人に広がり「HAIKAI」としてブラジル文化に定着したのでした。

季語だのなんだのというより、音韻とかがブラジルのソネットともなじみがあるらしいという技術的な部分と、なんでも茶化してやろう!というブラジル人の性格にマッチしたというのが主な理由らしい。

へんなおっちゃんの「HAIKAI」。お題は「マンゴー」

マンゴーは、皆さんご存じとおもいますが、とにかく繊維質で歯の間に挟まるのと、それはともかく、すさまじく黄色い果汁をそこら中にまき散らし、あたり一面を黄色くしてしまうという悪魔の果実です。

 

 

このHAIKAIを日本語に意訳したらこんな感じ(翻訳なので音韻もへったくれもないです。ご了承を)。

手にしたマンゴー

かぶりつく子供

歯に挟まる線維

喜ぶ子供。大口で笑う

黄色い笑い

 

原文はこちら、と言っても、書き取りしたわけでもなく、あくまで記憶です。

Mão com Manga

O menino Chupa

Fibra nos Dentes

Menino Feliz, Largo Sorrizo

Sorrizo Amarelo

 

ここで、「黄色い笑い」というのはブラジルのスラングで「気まずい笑い」という意味である。ここでは、盗み食いを見つけられた子供の「マンゴの-果汁で黄色く染まった口」を「気まずい笑い」とちゃかしているのですね。

 

会場は手を打って大笑い。

 

そんな感じでのんびりの一夜でした。

アフリカ系のおばちゃんと、アフリカ文化オマージュのオブジェ。

 

 

抽象画になり切れない、へんな絵画がいっぱいあった

 

 

③おまけ

今回の記事は字足らずなので、おまけに我が家の猫の写真を数枚。

車庫で、タイヤの上に登るバカネコ。

 

 

コンピュータの操作を邪魔するクズネコ

 

 

酔っ払いネコ

 

 

おそまつさまでした。

ではでは

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