12歳:日本人の精神年齢

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12歳:日本人の精神年齢

戦時中、「汝の敵日本を知れ」と米軍は日本人の民族的、個人的な性質を研究し、その結果「12歳の少年である」という結論を得たらしい。

しかし、ここで注意いただきたいのは、12歳という言葉は理解と称賛の言葉ではあっても決して侮蔑や非難の言葉ではないということです。

最近のネットを見ていると、12歳イコール智慧遅れ、と短絡的に侮蔑の言葉ととらえ激昂している人たちがいますが、当時どんな意味で使われたのかを考えたうえで判断することが必要だと思います。

例えばぼくの母の世代は空襲を逃げまどったり、少年兵になるかならないか?で終戦、生き残った人たちが多いですが、そういう人たちいわく「ほんとうにマッカーサーの言うとおり12歳だったねー、ははは(十牛図)」と懐かしんでいます。

では、当時「12歳」とはどういう意味だったのか。「真相はこうだ」

「神国日本は米英帝国主義から日本と東洋を守るため正義の大戦争に突入した。日本人は勝利の日まで粉骨砕身努力せよ。義は山よりもなお重く、死は鴻毛より軽いと覚悟せよ」と言われて育った軍国少年たちは、この言葉を疑いのない真実と信じ切っていました(ここでは「真実であるかどうか」は議論しません)。当時農婦だった女性に「出征兵士が出陣するときは、本当に歓喜の声で送ってねー」というコメントもあり(出展は「家の光」)。


田川水泡著「のらくろ決死隊」

こうした出征兵士が、どのようにアメリカに映ったのでしょうか。

バンザイ突撃、サイパンなど民間人を含んだ自決や投降拒否、ついには特攻など、西洋人の常識では理解できない行動に走る日本人の、ドイツを含めた欧米人とはかけ離れた思考を解読した結果

◎神国日本、粉骨砕身、正義の大戦争、といったキャッチコピーを信じ切り、その達成に超人的な努力を惜しまない素直さ、敢闘力。

◎一方で降伏しか意味をなさなくなった状態で自決、バンザイ突撃、はては特攻など、人間として再重要である生命を簡単に放棄する浅はかさ。

が同居していることを発見。

その結果「燃えるような情熱と、正義感を発達させているが、その代償にしてもよいものと良くないもの(生命)の見分けがつかない程度の知能の発達状況」したがって「精神年齢12歳」となった。

やっぱり「知能の発達しきっていない」という侮蔑じゃないかー!と怒る前に、欧米人自身の自己採点はというと。


日本人に慕われたマッカーサー。「マッカーサーの命令により立小便を禁ずる」

と立札を立てたら、周辺一帯が本当にお◎っこ臭くなくなったといううわさもあり。

まずドイツ人については「民主主義、人権、博愛、暴力、虐待」といった見識を十分わきまえ、ワイマールなどで民主体制を体現し知り尽くしていながら、ユダヤ虐待など基本的な倫理を踏みにじる行為を行い、最後は「ヒットラーの扇動にだまされた」と言い逃れしている、とまさに侮蔑そのもの評価を下し、「45歳の成人だ。弁解の余地はない」ととどめを刺しています。

つまり、ここでの「12歳」は、アメリカ・イギリスでさえ持ちえなかった「日本人の純朴、素直さ」のことであり、この対局に位置する「ドイツのずる賢さ」を「45歳」と憎しみを込めて言っているのです。

さらに重要なのは、この「45歳」の意味として、単にドイツ人を侮蔑するというためではなく、ナチスをスケープゴートにしているドイツ人が、実はそのままドイツ人を悪者にして自己弁護しようとしているアメリカ・イギリス人たち自身のことでもあることをマッカーサーはじめ英米の人たちは熟知している、ということです。

太平洋戦争(純朴な日本人から見れば「大東亜戦争」)において、特攻で死亡した人たちは4000名前後とされています。(以後人数はおおむねWikipediaから引用)

大日本帝国の第二次大戦時における戦死者数は2,120,000名に上っています。

特攻なんて外道だ、そんな命令を下す奴の気が知れない、という批判があり、僕もそう思う一人ですが、そういった命令により「罪もないのに死刑執行にされた」という人たちは総戦死者数の0.18%に幸いながらとどまっています。

アメリカの総戦死者数は416,800名、対独爆撃で死亡した米国搭乗員は8万人、つまり、対独爆撃だけで総戦死者数の5分の1(20%)に上っています。

この事実の意味を米英の人たちは十分わかっており。

特攻隊は「水盃に紙の飛行帽、万一死ねずに戻ってくれば振武寮(一種の刑務所)で虐待」。

でも4000名ですみました。それでも多すぎますが。。。。

B17の搭乗員は、防弾装置万全の「空の要塞」に、サンドイッチなどたくさん積んで、撃墜されてもパラシュート脱出。ゲリラやレジスタンスが保護して中立国まで送ってくれる地下組織があり。海上であれば要所要所に潜水艦や飛行艇が待っている。もちろんエンジン不調などで戻ってもよいし、捕虜になるのも名誉のうち、という至れり尽くせりの人道的な配慮がなされていました。

でも8万人が死にました。

この差は何を意味しているのでしょうか。

ドイツ爆撃における爆撃機の損耗率は出撃機数の3分の1にのぼり、つまり、出撃ごとに3人に一人が「死刑執行になる」計算である。もちろん、搭乗員から見れば「必ず死ね」の特攻とは天と地の差がありますが、命令する側から見れば「いちおう安全策は取っています、後は個人の運ですね♪」とこうした作戦を繰り返し行っていたのです。(出展:ドイツ空襲は”地獄への急行便”/北山敏和の鉄道いまむかし)

その結果が8万人。イギリス爆撃隊を加えると倍になるそうです。

用兵者として、どちらが残酷なのでしょうか。日本は残酷、は当たり前ながら、アメリカは人道的だといえるのでしょうか。殺すと知っていながら、安全策を隠れ蓑にして「3人に1人」の賭けを搭乗者に強いた「45歳の狡猾な成人」だということを自分自身が良く分かっているのだと思います。

搭乗員はこの「巧妙な人道詐称のトリック(洗脳)」を見抜いており。連合軍(イギリス空軍)爆撃機運用の最高責任者アーサー・ハリス卿を「殺し屋ハリス」とあだ名していたらしい。


アーサー・ハリス卿。イギリスの切手

それでも率先して出撃していった。「いちおう人道配慮されたアメリカ」「死んじまえの特攻日本」ともに勇気の面では優劣つけがたいと理解します。そして上層部の愚劣さも程度問題でたいして変わらない ― 占領軍の総指揮官であるマッカーサーは、自分を慕って平和と復興に協力してくれた日本人に対し「45歳のひけめ」を感じていたのではないのでしょうか。「12歳」発言には、こうした戦中・戦後のそれぞれの当事者諸国の人々の本音がまじりあって、賞賛の意味合いがこもっているのだと思っています。


前谷惟光「ロボット三等兵」


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