ワインを殺す食べ物

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結論からいれば、令和の時代では、そんな食べ物はありません。どんな食べ物でも、ワインに合うご時世になっています。

「和」つながりで、昭和の時代ではそうはいかず。ワインを殺す食べ物であり、絶対ワインと合わせてはいかん!というのはいくらでも存在していました。

たとえば

チョコレート:苦いぞ!

ピーナッツ:金属みたいな?味になっちゃう

お醤油で調理した食べ物:えぐいぞ!

おさかな:ヨードチンキを飲むみたいになっちゃう

キムチ:からいからい!

などなど。


さすがに飲む人はいないだろうが、うがい薬としては使われたといううわさも。

https://www.askul.co.jp/p/P102280/

 

 

昭和というか、平成か?「ワインは魚介類に絶望的に合わない(美味しんぼ)」とか、さらにはもっと陰険なのもあり。


こわいな。。。。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1397922053

 

ところが、2022年の今日では、人々の味覚も変化したみたいで

◎「ワインとチョコレートは相性抜群!おすすめのペアリングを高島屋バイヤーがご紹介」(https://www.takashimaya.co.jp/shopping/gift/story/food/FA18986/

いわく

「どちらもポリフェノールを含んでいます。ポリフェノールはワインの渋みのもとであり、チョコレートにおいては苦みのもと。それぞれの味わいにも大きく関係するポイントですね。糖分の割合が似ているワインとチョコレートを選ぶと、相性がよいと言われています。甘口のワインには甘めのチョコレートを、辛口のワインにはビターなチョコレートを選ぶのがおすすめですよ。」

へえー

 

◎「味噌・醤油に合うワイン5選」(https://mariage.wine-temiyage.com/great-wines-for-miso-soy-sauce/

いわく

和食を象徴する味噌・醤油には、ワインは難しいという説があります。たしかに味噌・醤油は風味にインパクトがあるので、その風味が前面に出た料理には、合わせるワインに注意が必要です。ここでは、味噌・醤油に合うワインについてご紹介します。」

ふむふむ。


https://www.enoteca.co.jp/article/archives/20220112143725280/

 

 

◎【2021年お正月に考える】数の子に合うワインは無い説は本当か?独特な角度から検証してみた!(https://nihonwine.jp/enjoy-wine-life/kazunoko/

「ブドウ畑の環境によって海外のワインは日本のワインに比べて鉄分が多いかもしれない…という話です。

鉄分ゼロのワインはないものの、海外のワインに比べれば甲州やマスカット・ベーリーAなどの方が魚介類に合わせやすい可能性があるわけです。」

なるほどなるほど。

 

 


あまり悩まない、自然な組み合わせもある

 

 

往時の「チョコレートはワインに合わない」から「チョコレートはワインと相性抜群!」へと、180度逆転ですが、どちらが正しいのか?

結論は「どちらも正しいです」

なぜかというと、メタバースの時代の地球は、ギロチンの時代の地球とは違ってしまっているためです。

マリー・アントアネットがキツネ狩りを楽しんでいた時代は、ダイオキシンだのなんだのと、空気を汚す物質は存在しておらず。

当時のロンドンみたいな、人間の糞尿が垂れ流しの大都会ならいざ知らず、おフランスの貴族たちがのこのことお遊びに行くシャトーだの別荘だのは、自然そのものの環境が残っており。

そしてその自然は「石と砂漠のアラビア」ではなくて、ちょっと寒いけれど、人間の生活に適した、優しい温帯の明るい林だったりします。

そんな、清浄そのものの空気にあふれた別荘で飲むワインなので、ピーナッツだと、わあああー錆びたナイフみたいだーと、ものすごく繊細なレベルですが、しかしわかる人には耐えられないDesarmonizationとなり、おえええーとせっかくの超高級ワインを吐いちゃうことになったのだと思います。


喜多川歌麿「教訓親の目鑑(めがね)  俗に言うあばずれ」

 

 

さて、メタバース時代の大阪(東京でもよいです)だとどうなるか。

すさまじい排気ガスの香り。ごった返す人々の喧騒。「そこの車止まりなさい!ぴーぽーぴーぽー」などの雑音で、頭の中がガンガンとぶん殴られたようになり。

仕事でひいひい言いながらも、やっと昼休みだ!化学調味料や添加物でいっぱいの、味もへったくれもないコンビニの弁当。フランス貴族が食べていた「牛フィレ肉のポワレ 季節の温野菜とマスタードソース オレンジの香りを纏ったブールパチュー パセリを添えて」とは比べるべくもなく。

要するに、現代人の鈍化されまくった味覚、嗅覚では、せっかくの超高級ワインも、飲むほうで真の味を感知できなくなってしまっているのである。

一方、ギロチンの時代は、自由放任(レッセフェール)の重農主義なので、本物のワインを飲めるのは、王様や貴族しかおらず。その他大勢はお徳用のアルゼンチン製紙パックワインみたいなのしか飲めないので、マリアージュは、貴族のたしなみとして一部の人たちに限定されたものだった。


アルゼンチンのテトラパックワイン

https://cornershopapp.com/pt-br/products/oyyy-vinho-tinto-termidor-1l-caixa-1000-mililitros-3w8-carrefour-bairro

 

 

ところが産業革命以降、世界の全人類が商業活動に参加。あらゆる物品が商品となり、全人類がその商品を購入するお客さんとなり。

そうなると、風光明媚、空気清浄なお城でキツネ狩りを楽しむ少数の貴族だけに許されたアートな飲み物、というのでは商品として成り立たなくなってしまい。テトラパックでもいいから、ともかく大量生産、薄利多売で利ザヤを稼ぐ、という世の中になってしまいました。

どうせみんなロクな味覚も持っていないので、マリアージュもへったくれもなくなり。また、チョコやピーナツはだめですよ、というのでは購買者が限定されて、大量販売ができなくなってしまう。

というわけで、2022年のワインは数の子だろうがキムチだろうがなんでも合いますよーというふうに進化したのでした。


Photo AC

最強のマリアージュは、卵とごはんですねーぼくは黄身だけ乗せて白身はカリカリに焼いちゃいます。

おっとワインじゃなかった。。。

 

 

ここではあえて「進化」とします。

なぜ「退化」ではないのか?

それは、味覚なんて、結局各個人の自由に帰するものだからなのです。

ブルゴーニュのシャトーで貴族がキツネ狩りを楽しんでいた時代に、ワインとピーナツはだめよね、という常識があったとしても、スモッグにむせぶ現代では、あらたな常識が否応なく生まれているのです。

例えば、「力強い赤ワインで、チョコレートの苦みが強調されて、どちらもひきたつ」という意見。フランス貴族の時代の音楽が、モーツアルトの交響楽とすれば、現代の若者には、Led Zepperinのヘビメタこそミュージックだ!(ちょっと古いかな?)となるように、毛色は違っても音楽であることには違いはなく。


現代でも、フランス貴族と同じくらい繊細な人もいることはいる。

たとえば、「かな先生」みたいな、調律されつくした音楽の達人とか。

https://www.youtube.com/watch?v=8w65RzllNcI&t=134s

 

 

マリー・アントアネットだったらげーげー吐いちゃうような組み合わせでも、竹中平蔵だったら、おいしいね!なんてなるのだと思います。

そういう僕は、週末をエンジンの排気煙でむせぶ飛行機格納庫で過ごしています。

そんなハンガー(格納庫)では、サラミにチーズ。サラミのどうしようもない脂っこさと、チーズのこれまたバターみたいなくどくどのとろみに、ウルタナ(あるいはチリの赤)のタンニンがざらざら、脂っこさを中和して、至福ですねー、とか楽しんでいます。


 

 

さて、こんな飲み方は許せん?でしょうか?ぼくはそうは考えません。キツネ狩りの貴族は、茨だのなんだので擦り傷だらけになりながら、せいぜい馬に乗ってぽっこぽっこと地上を這いずり回るくらいしかできない、かわいそうな存在ですが、現在では、小さな、自分の体の一部みたいな飛行機で、鳥みたいにその辺を心ゆくまで飛び回り、着陸して地上の存在に戻る。その時に飲む、ガソリンの香りがする荒くれのワインと、やっぱり荒くれたサラミにチーズが、「牛フィレ肉のポワレ 季節の温野菜とマスタードソース オレンジの香りを纏ったブールパチュー パセリを添えて」よりもずっとおいしいごちそうだったりします。おっと「牛フィレ肉のポワレ・・・・」とかは食べたことはないですけど。ははは



こんな飛行機に乗っています

 

 

最後に「日本のワインは鉄分が少ないからおさかなと競合しない」については「鉄分のないワインなんてワインと言えるのか?だから日本のワインはダメなんだ」というふうに話がねじれてしまう事を恐れるので、ここでは「ワイン自身の資質の変化」については、上記引用のほかは、お題から外しました。

ではでは。。。

 

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