*本題の前に。。。
先週の投稿が、知らないうちに「人気記事」にランクインしていました。読者の皆様に感謝申し上げます。
さて。
マニアの人は、スカイレイダーと聞いて、「あ便器を落っことした飛行機のことね」とピンとくると思います。
便器がある飛行機、というと、マニアでない人は旅客機を思い浮かべると思います。
でも、別にジェット旅客機のトイレが壊れて、便器が落っこちちゃった!というのではなく。
マニアの人が言っているスカイレイダーというのは、1945年に開発されたアメリカのピストン単発機で、あやうく太平洋戦争に投入されるところだった恐ろしい多用途機(爆撃・雷撃機)です。
スカイレイダー パブリックドメイン
この飛行機は朝鮮戦争やベトナム戦争で、地上の米軍部隊に協力してロケットだの爆弾だのを湯水のように大地にぶちこみ。
Wikipediaによれば「各種兵器を懸架するハードポイントは、左右の主翼下にそれぞれ7ヶ所、胴体下に1ヶ所の計15ヶ所も設けられており、現代のジェット戦闘機でも、これに匹敵する機体はなかなか見あたらない。」と、要すればロシアが自国の少数民族や北朝鮮人、最近は中国人まで「肉盾」として人命を湯水のように消費する一方で、アメリカは物量に訴えて人命の浪費を防いでいたのです。
「この飛行機に乗せることのできないものはないぞ!」
じゃあ、便器も載せることができるんだよね?
と誰が言い出したか。
パブリックドメイン
ちゃんと便器も落としました。
こういう国と日本は戦争をしてしまったのである。中二病的な国粋主義発言はやめて、憲法第九条と日米安保条約を大切にしましょう。
大活躍したスカイレイダーですが、実は朝鮮動乱の時点で世界はジェット機の時代に移行しており。60年代後半だっけ?には、ジェット攻撃機スカイホークと交代しました。
A1スカイホーク https://www.cavok.com.br/a-4-skyhawk-no-brasil-uma-curta-historia
スカイレイダーとよく似たやつにT28トロ―ジャンがあり。
トロ―ジャン パブリックドメイン
こちらは前輪式で離着陸時もパイロットに優しい飛行機。もともとは練習機だが、ベトナムに捕獲されて赤軍の戦闘機になったりとかもあり。フランスはこの飛行機をスカイレイダーみたいな地上襲撃に使い、アフリカにおける反乱軍の鎮圧に活躍したらしい(その後アルジェリアは独立達成)。
反乱鎮圧すなわちCounter Insurgencyを略してCOIN。
COIN機というモダリティーが生まれたのであった。
さて、スカイレイダーの後、A1スカイホークから、海軍はイントルーダー、空軍はサンダーボルトIIが生まれました。
https://canadianpower.shoutwiki.com/wiki/Grumman_A-6_Intruder
サンダーボルトII https://aeromagazine.uol.com.br/artigo/boeing-entrega-novas-asas-dos-a-10-thunderbolt-ii.html
特にサンダーボルトIIのほうは、湾岸戦争だのイラク戦争だので敵の地上部隊をぶち56して有名になった。
そのサンダーボルトも、1977年初飛行の50年選手であり。そろそろ新しいやつと交代する時期じゃね?
というわけで、空飛ぶエイみたいな感じのやつが出現、してはおらず。
空飛ぶエイにしか見えないB2爆撃機 https://theaviationist.com/2025/04/16/b-2-using-gbu-57-mop-yemen-reports/
B2という怪機が飛んではいますが、こちらははるか敵国の心臓部まで超高空で侵入するステルス爆撃機なので、スカイレイダーみたいに、地上に這いつくばるかわいそうな歩兵の群れを機関銃でダダダダ!ぶぎゃぎゃぎゃー!とぶち56すのとはまた違った用途なのである。
というわけで、ステルスだの高空性能だのとは別の方に発展し。
このほど、ついにその究極が誕生しました。
その名も「スカイレイダーII」
OA1K スカイレイダーII https://aviationweek.com/defense/aircraft-propulsion/us-air-force-names-oa-1k-skyraider-ii
あれ農業機じゃん?とピンときたあなたは大牧場主になれるかもしれません。
その名も「Air Tractor社」という、農業機製造で有名な会社によって作られた、というか、AT802という農業機そのものを改修したらこうなった、というのがスカイレイダーIIなのである。
農業機AT802 https://curiosidades.com.ar/ciencia-y-tecnologia/aviones-contra-incendios-mas-increibles-mundo/
農業機ってなに?
アメリカやカナダ、ブラジルの、とにかくだだっ広い超巨大農場において、肥料だの農薬だのを散布する飛行機のことです。
農地も、ある程度の大きさを超えると、トラクターだのなんだので、というのは時間がかかりすぎるらしい。飛行機なら相当の距離(面積)をひとっ飛びでいけますからねー
一方、農業機というのは、実は飛行機の中でも最も過酷な使用を強いられる機種といってよく。
◎そもそも離着陸性能がよくないと話にならない。滑走距離はともかくとして、普段から砂利だの石ころ、雨が降ればぬかるみ、という農業滑走路で楽々飛び上がったり、着地したりする性能が要求される。
◎いったん飛び上がれば、肥料だのが適切に散布される速度で飛ばねばならん。つまりジェット戦闘機とは別世界の、失速か?みたいな速度でユウユウ飛べる低速性能が必要である。
◎農場で肥料散布、となれば、農場の端っこまで飛んできたら、Uターンして散布を続ける必要があり。つまり零戦顔負けの旋回性能が必要である。
◎旋回以前に、超低空でのすわりがよくないと(安定性が悪いと)、肥料だのがあさっての方向にまかれてしまうので、爆撃機並みの直進性も必要となる。
◎大農場とはいえ、畑のすぐ横にはサイロだのなんだのがあり。こういうのに衝突しても空中分解とかせずになんとか不時着に持ち込める、という強靭さも必要。
◎無事に着陸したらしたで、こんどは整備があり。エアラインの格納庫とはこれまた真逆の、田舎のどまんなかでもなんとかなる整備性が必須である。
これらの性能は、そのままCOIN機に必須のものなのだった。
農業機からの転用はしごくまっとうな判断なのである。
肥料の散布装置を外してミサイルだのガンポッドだのに取り換え、データリンクなどの電子装備を追加したら「スカイレイダーII」になった。
でも、パイロットとして、スカイレイダーIIの出現は、素直に喜べないところがあるのです。。。。
ウクライナ戦争がはじまり、スティンガーだの、フツーの歩兵がよっこらしょ!と担いで発射すれば、ミサイルが勝手に飛行機を追尾して命中し、スホーイ戦闘機だっけ?とかを撃墜してしまうという事実が生まれました。
スティンガー https://ameblo.jp/jtkh72tkr2co11tk317co/entry-12659818821.html
一見安全な後方の飛行基地に駐機してあったTu爆撃機が、自爆ドローンで見事に爆破されたといった状況も発生。一機で50億円だか200億円だかの最新型戦闘機が、模型飛行機に毛の生えたようなドローンにやられてしまうというご時世になってしまった。
低空性能だのなんだの以前に、単に投資効率、カネの費用対効果の面から、ドローンや機関銃だの安くてお手軽な兵器が猛威を振るう地上すれすれの襲撃作戦に、とてもじゃないが高価なジェット攻撃機なんて使うわけにはいかなくなったということなのである。
といって、やっぱりCOIN機は必要だよねー
といいつつ、COIN機の役割を果たしていたヘリコプターはウクライナでバタバタ落とされまくりじゃん。
しゃあねえ、落とされても損にならないお手軽なやつを撃墜上等で配備しよう。
それが「スカイレイダーII」だったということなのである。
せめてコクピット周りは「スツルモビーク」みたいに装甲で防禦されていることを祈っています。といって、こういう飛行機が落っこちるところは、だいたいジュネーブ条約なんて無視、つかまえて首をちょん切っちゃえ!という場所ばかりなのでしょうけれど。
まあ、COIN機1機とそのパイロットを人柱にすることで、地上部隊の大損害が防げる、という計算なのでしょうねー
軍隊はいやですねえ。
でも、平和な日本の、ふつーの企業で、誰かが人柱にされて集団を救う、みたいな行為が日常化されていないでしょうか。
左前になった国は、収益の増加ができない代わりに「コスト削減」で乗り切ろうとします。じつはコストではないのに「コスト」というレッテルをかぶせられ。切り捨てられてしまうのです。
「人柱」で検索したら、なぜか「北海道」と出てきました。「たくさんの死者を出し、それを人柱として埋めながら作った」といわれるトンネル。https://tablo.jp/discover/urban_legend/news001977.html
あなたも、知らないうちに、無能な指導層から「お前も人柱だ」と切り捨てられようとしているかもしれません。
切り捨て上等だ!と、自分の資産で自分の身を守ることができる経済的自由の獲得が、どの時代にもまして重要になっていると思います。
なんか楽しい飛行機の話が、絶体絶命の逃げ切り計算の話に転嫁してしまいました。
逃げ切るのではなく、逃げなくても暮らしていける不労所得の構築にあたり、この記事がお役に立てば喜びこの上ありません。
ではでは
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